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完 - ダーリオという男(1)
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ダーリオは泣きじゃくるルリを抱きしめて、自分の屋敷に連れ帰った。
そのまま寝台に押し倒すと、別離を埋める様にすぐにルリの体と結合する。
ぐちゅぐちゅと結合部から水音が響き、何度目かになる精を胎内に放出すると、ダーリオはルリの柔らかな体をぎゅうっと抱きしめる。
彼女の意識は飛んでいたが、それでも愛し足らず、彼女の頬に自身の頬をこすりつけた。
「ルリ、私がいるから、だからもういいだろう?」
ルリに告げた彼女との出会い――悪竜を討伐しにいったさいに最後に魔力を放たれ、それから逃れるために王国に転移した際に出会ったと言ってあるが、半分真実で半分は偽りだ。
世界から噴き出す魔力、それを吸収しつづけたダーリオは永遠の時間を生きるようになった。
悪竜はダーリオ自身だった。さらにいうと、帝国はダーリオが作った国だ。
長い年月に飽き、竜の形をした化身をおいて、人間に交じって人ダーリオは暮らし、帝国も気まぐれに作った国だった。
魔力を吸収し続けた体は永遠に長い時間を生きることを定められており、吸収し続けたこと自体が、均衡を保つために世界の理が下した楔でもあった。
いつしか化身として残した竜の人形が意思を持ち暴れる様になると、魔力を餌に蟻のように沸いた魔物がのさばるようになり、さすがに周りが騒がし過ぎて面倒だと思ったダーリオは、悪竜の人形を自分に吸収することにした。
思いもよらなかったのが、人形としての悪竜は予想以上に力をつけていて、吸収したさいに自身のなかで倍以上の力が膨れ上がり、暴れまわったことだ。
ダーリオはその力を鎮めるために、あちこちに転移する羽目になった。
何十万回目かの転移をしたときのことだ。ダーリオはルリに出会った。
暴走した魔力によって、ダーリオは本来の姿――人にとっては醜悪でおぞましく、ぐちゃぐちゃに入り混じった、人とも獣とも、もはや形容することができない姿をしていた。
「っ、神様、仏様、異世界ってなんでこんなにハードモードなんですかっ。せっかくここまで生きてきたのにっ、死にたくない、死にたくないっ」
そんなダーリオを目の前に、何を思ったのかルリは覚悟した様子で必死に聖力を使った治癒をかけた。
「ひいっ、っええいっ、もうっ、どうにもなれっ」
彼女は震えていた。だが、ルリの瞳には生きたいという生存本能が強く滲んでいた。
最後の望みにかけてルリはダーリオに治癒をかけたのだ。
その聖力を浴びた時の恍惚感は凄まじいものだった。
そしてその聖力はダーリオの溢れる魔力を鎮めるには十分であり、神経の一つ一つが濾過された聖力によって再生されていった。
全身の神経が研ぎ澄まされ、臓腑をすべてに浸透するその力に、胸の奥が沸き立ち、醜悪な獣の中の欲望がむくりと勃ちあがり、抑えられなかった。
そしてダーリオはその醜悪なおぞましい姿の状態でルリを襲った。
「っ、ひいっ、やめっ、ぎゃあああああっ」
人間は物理的にも精神的にも脆弱だ。その脆弱さを忘れたまま、力加減を間違え、衝動のままルリを抱いてしまった。
初めての抱擁は甘美な記憶として刻まれているが、ルリの喉奥から胎内まで余すことなく犯してしまったので、ルリにはいささか刺激が強すぎたようだ。
そのせいでルリは正気を失ってしまった。だから、その出会いの記憶を消したのだ。
ルリと交わったあと、暴れる魔力は落ち着きを見せたが、人間の形をとれるまでには、しばらく時間を要した。
ようやく人間の形に戻ったときには、ルリは帝国との戦争に徴兵されていた。
だが、王国と帝国の戦いは、そうなるようにダーリオが仕向けたことでもあり、ルリが戦地に行くことも織り込みずみだった。
人間の体は精神的にも物理的にも脆弱だ。初めての性交から重々と理解していたダーリオは、ルリを怯えさせないように手数を踏むことにしたのだ。
ルリにとっては今度の出会いが初めての出会いになる。
なるべく良い記憶の方がいい。ダーリオは自身の部下に案を出させた。
眷属たる帝国を支配する皇族だったが、ダーリオによく仕えており、その男にダーリオは満足していた。
そして今回も人間らしい案を出した眷属に、ダーリオは頷いた。
それは、ダーリオ自身が戦場に出て、戦場で自然に出会うというものだった。
また、王国で平民の治癒師の扱いは良くないとわかっていたので、なるべく高そうな外套を着ていると自然と出会いやすいなども眷属は提案し、ダーリオはルリのために喜んで外套を選んだ。
高価な外套を着ていったら、ルリはきっとダーリオを見つけるし、きっと身ぐるみを剥ぐためにも助けてくれるだろう。
なんと自然な出会いだろうか――この案ならばルリは抵抗感なくダーリオと結ばれるだろう、そんな気持ちだった。
ルリ自身が受け入れやすいように出会おう。
ルリは生存欲求が強い。その欲求から起こる行動を予想しては、唇がにやけて仕方なかった。
ああ、なんてルリは可愛いんだろうか。
「可哀想なことをしてしまったな」
眷属たる帝国の皇帝がぼそりとつぶやいたが、眷属の言うことなど塵のようなものだ。ダーリオは金色の瞳を輝かせて、獰猛な笑みを浮かべた。
そしてルリはダーリオと出会った。
非力な腕でダーリオを引っ張るルリに可愛さを思い出すと、唇が緩んだ。
あちこちダーリオの頭をぶつけては心配そうに顔をのぞき込むルリの唇にむしゃぶりつきたい衝動を抑えるのがどれほど大変だったことか。
そのまま寝台に押し倒すと、別離を埋める様にすぐにルリの体と結合する。
ぐちゅぐちゅと結合部から水音が響き、何度目かになる精を胎内に放出すると、ダーリオはルリの柔らかな体をぎゅうっと抱きしめる。
彼女の意識は飛んでいたが、それでも愛し足らず、彼女の頬に自身の頬をこすりつけた。
「ルリ、私がいるから、だからもういいだろう?」
ルリに告げた彼女との出会い――悪竜を討伐しにいったさいに最後に魔力を放たれ、それから逃れるために王国に転移した際に出会ったと言ってあるが、半分真実で半分は偽りだ。
世界から噴き出す魔力、それを吸収しつづけたダーリオは永遠の時間を生きるようになった。
悪竜はダーリオ自身だった。さらにいうと、帝国はダーリオが作った国だ。
長い年月に飽き、竜の形をした化身をおいて、人間に交じって人ダーリオは暮らし、帝国も気まぐれに作った国だった。
魔力を吸収し続けた体は永遠に長い時間を生きることを定められており、吸収し続けたこと自体が、均衡を保つために世界の理が下した楔でもあった。
いつしか化身として残した竜の人形が意思を持ち暴れる様になると、魔力を餌に蟻のように沸いた魔物がのさばるようになり、さすがに周りが騒がし過ぎて面倒だと思ったダーリオは、悪竜の人形を自分に吸収することにした。
思いもよらなかったのが、人形としての悪竜は予想以上に力をつけていて、吸収したさいに自身のなかで倍以上の力が膨れ上がり、暴れまわったことだ。
ダーリオはその力を鎮めるために、あちこちに転移する羽目になった。
何十万回目かの転移をしたときのことだ。ダーリオはルリに出会った。
暴走した魔力によって、ダーリオは本来の姿――人にとっては醜悪でおぞましく、ぐちゃぐちゃに入り混じった、人とも獣とも、もはや形容することができない姿をしていた。
「っ、神様、仏様、異世界ってなんでこんなにハードモードなんですかっ。せっかくここまで生きてきたのにっ、死にたくない、死にたくないっ」
そんなダーリオを目の前に、何を思ったのかルリは覚悟した様子で必死に聖力を使った治癒をかけた。
「ひいっ、っええいっ、もうっ、どうにもなれっ」
彼女は震えていた。だが、ルリの瞳には生きたいという生存本能が強く滲んでいた。
最後の望みにかけてルリはダーリオに治癒をかけたのだ。
その聖力を浴びた時の恍惚感は凄まじいものだった。
そしてその聖力はダーリオの溢れる魔力を鎮めるには十分であり、神経の一つ一つが濾過された聖力によって再生されていった。
全身の神経が研ぎ澄まされ、臓腑をすべてに浸透するその力に、胸の奥が沸き立ち、醜悪な獣の中の欲望がむくりと勃ちあがり、抑えられなかった。
そしてダーリオはその醜悪なおぞましい姿の状態でルリを襲った。
「っ、ひいっ、やめっ、ぎゃあああああっ」
人間は物理的にも精神的にも脆弱だ。その脆弱さを忘れたまま、力加減を間違え、衝動のままルリを抱いてしまった。
初めての抱擁は甘美な記憶として刻まれているが、ルリの喉奥から胎内まで余すことなく犯してしまったので、ルリにはいささか刺激が強すぎたようだ。
そのせいでルリは正気を失ってしまった。だから、その出会いの記憶を消したのだ。
ルリと交わったあと、暴れる魔力は落ち着きを見せたが、人間の形をとれるまでには、しばらく時間を要した。
ようやく人間の形に戻ったときには、ルリは帝国との戦争に徴兵されていた。
だが、王国と帝国の戦いは、そうなるようにダーリオが仕向けたことでもあり、ルリが戦地に行くことも織り込みずみだった。
人間の体は精神的にも物理的にも脆弱だ。初めての性交から重々と理解していたダーリオは、ルリを怯えさせないように手数を踏むことにしたのだ。
ルリにとっては今度の出会いが初めての出会いになる。
なるべく良い記憶の方がいい。ダーリオは自身の部下に案を出させた。
眷属たる帝国を支配する皇族だったが、ダーリオによく仕えており、その男にダーリオは満足していた。
そして今回も人間らしい案を出した眷属に、ダーリオは頷いた。
それは、ダーリオ自身が戦場に出て、戦場で自然に出会うというものだった。
また、王国で平民の治癒師の扱いは良くないとわかっていたので、なるべく高そうな外套を着ていると自然と出会いやすいなども眷属は提案し、ダーリオはルリのために喜んで外套を選んだ。
高価な外套を着ていったら、ルリはきっとダーリオを見つけるし、きっと身ぐるみを剥ぐためにも助けてくれるだろう。
なんと自然な出会いだろうか――この案ならばルリは抵抗感なくダーリオと結ばれるだろう、そんな気持ちだった。
ルリ自身が受け入れやすいように出会おう。
ルリは生存欲求が強い。その欲求から起こる行動を予想しては、唇がにやけて仕方なかった。
ああ、なんてルリは可愛いんだろうか。
「可哀想なことをしてしまったな」
眷属たる帝国の皇帝がぼそりとつぶやいたが、眷属の言うことなど塵のようなものだ。ダーリオは金色の瞳を輝かせて、獰猛な笑みを浮かべた。
そしてルリはダーリオと出会った。
非力な腕でダーリオを引っ張るルリに可愛さを思い出すと、唇が緩んだ。
あちこちダーリオの頭をぶつけては心配そうに顔をのぞき込むルリの唇にむしゃぶりつきたい衝動を抑えるのがどれほど大変だったことか。
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