コロニー

神楽 羊

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第十二話 告白

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 狭い保護室で三人とも次の言葉を探し続けた。




 動揺を隠せない二人、ニーナは俯き肩を震わせている。どうやら泣いている様だ。

「なんで…なんで君なんだよ…なんで、なんで!!」

 ニーナの声が部屋に木霊する。

 まだ伝えていない一番大事な事を私は口にする。

「僕でこの手で継手信仰を終わらせようと思うんだ。」

「お前それはどういう事だ?」

「心臓にいるこいつを取り出して焼く。だから二人に力を貸して欲しい。」

「君、それをするという事がどういう事か分かっているの?
 死んじゃうんだよ?何で君がニエなの!何でこんな事になっちゃうの!」

 取り乱し、泣き叫びながらニーナが言う。

 私は鎮まった心のままベッドに横たわるジンと隣の椅子で項垂れるニーナを交互に見つめながらゆっくりと頷く。

「分かってる。こいつがいるから人間は苦しまなくてはいけないんだ。
 だからここで、僕がそれを終わらせる。大いなる神を殺す。」

 長い沈黙が過ぎる間、私の決意が変わらない事を二人とも理解した様だ。


 思い詰めた顔を貼り付けたまま小さな声でニーナがぽつりぽつりと話し始めた。
 

「【清め火】ならそのやり方が分かるかもしれない、わたしの育った場所に辿り着ければだけれど。」

 私もジンもニーナが何を言っているのか分からなかった。

「わたしは清め火の村からここに送り込まれ紛れ込んだ者。
 そしてコロニーの情報を【清め火】に渡し続けて来たの。
 幼い頃から灼かれた顔を忘れるなと教えられて来た。全てはニエを燃やす為だと教えられて来たから。」

 髪をかき上げたニーナの片目は焼かれ白く濁っていた。

「そしてあの夜仮面の者達が来るのも知っていた。でも聞いて欲しい。
 ニエだけを狙うと彼らは言っていたの。こんなにコロニー側に死者や怪我人が出るなんて思っていなかったの。それだけは信じて、お願い…」

 私とジーンはニーナが泣き止み落ち着くまで待った。

「それでね、もう何が大事な事なのか分からなくなっちゃった。
 どこにも居場所がない気がして。
 コロニーを裏切り、清め火ももう信じられくなった。そうしたら次は君がニエになってしまった。わたしはどうしたらいいの?教えてよ君たち、わたしはどうしたら良かったの?教えてよ…」

「俺達を信じればいい。」

 ジンが優しく声をかける。やはりこの男は頼りになると私は思った。

 ジンが真っ直ぐな目を私に向け語りかける。
「その話に乗った、ただお前を殺す為ではなく生かす為に付いて行く、ニーナの故郷までな。そこに行けば何か良い手が思い浮かぶかもしれない。」

 気づけば三人とも泣いていた。

 「私が貴方を殺さなければならない所だった。そうなっていたら私も心臓を燃やした後、自分の喉を掻き切っていたと思う。そんな事したくない。」

 ニーナは涙を流しながら悲しそうに微かに笑うと言った。


 私はこの運命に抗おうと思った。愛する人にこれ以上辛い思いをさせる訳にはいかないのだ
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