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第一章
5 不死の鳥
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「アキラ様にはまず、不死の鳥を探していただきたいのです」
さんざんお礼を言われた後、イワンさんが話を切り出した。王様は執事のような人と共に、公務があると部屋を退出した。
「神獣フェニックス。強い癒しの力を持ち、その炎はあらゆるものを浄化し、死と再生を繰り返し永遠を生きる。不老長寿の神獣は他にもおりますが、不死であるとされるものはフェニックスのみです」
フェニックス!ファンタジーの匂いが強くなってきた。ドラゴンとかも存在するのだろうか?
「フェニックスはフィカロの森に住まうと云われておりますが、ここ200年ほどその姿を見た者がいないのです」
えー……そんなの俺に見つけられるのか?
「でも手掛かりはあります!」
今まで黙っていた三つ編みの女性がそう言った。
「申し遅れました。私は魔導士のパトリシア・オルトレインと申します。どうかパティとお呼びくださいませ」
三つ編みの女性、パティさんは俺よりも少し年上くらいだろうか。少し興奮ぎみに話し出した。
「フィカロの森を調査した結果、どうやら森には“迷宮の魔法”がかけられています。特定の場所を守るため、その場所に近づこうとする者を迷わす魔法です。おそらくフェニックスが居るのはその近づけない場所ではないかと。相当高位の術者がかけたのか解除は難しいのですが、宝剣クラウ・ソラスがあれば突破できるかもしれません!」
「剣があれば解除できるってことですか?」
魔法のことはよく分からないが、魔法が剣でどうにかなるのか?
「いいえ、解除はできないと思います。ですが宝剣クラウ・ソラスは退魔の力を持ちます。正統な持ち主であるアキラ様ならば、剣の力で迷宮の魔法にかからないと思われるのです!あくまで推測になりますが……」
語尾がだんだん小さくなっていった。するとイワンさんが彼女の意見に賛同する。
「私もパティと同意見です。アキラ様がいれば道はひらけるはずです。今はそれしか手掛かりがありません。森の案内にはパティをお連れください。他2名をアキラ様の護衛として付ける予定です」
うわー……なんかもう準備バッチリな感じ?何も分からない俺にはただ従うしか他ない。けどそれとは別に確認したいことがある。
「ただひとつ気になっているんですが、フェニックスを連れてきたら……黒の病が治れば俺は元の世界に帰してもらえるんですよね?」
まさか勝手に召喚しといて、もう帰れませんなんてことはないよな?イワンさんが答えてくれた。
「それはもちろんです!準備に時間はかかりますが、帰喚の儀を行えばアキラ様が元居た場所、元居た時間にお帰しできますのでご安心ください」
良かった。元の時間に帰れるなら、向こうで警察沙汰になるようなことにはならないか。ならもう腹をくくろう。ファンタジー小説の主人公になったつもりでやるしかない。
「分かりました。俺にどこまでできるか分かりませんが、よろしくお願いします」
またもやさんざんお礼を言われ、パティさんなんか泣いて喜んでいた。
出発は明日の朝。俺の旅はここから始まった。
さんざんお礼を言われた後、イワンさんが話を切り出した。王様は執事のような人と共に、公務があると部屋を退出した。
「神獣フェニックス。強い癒しの力を持ち、その炎はあらゆるものを浄化し、死と再生を繰り返し永遠を生きる。不老長寿の神獣は他にもおりますが、不死であるとされるものはフェニックスのみです」
フェニックス!ファンタジーの匂いが強くなってきた。ドラゴンとかも存在するのだろうか?
「フェニックスはフィカロの森に住まうと云われておりますが、ここ200年ほどその姿を見た者がいないのです」
えー……そんなの俺に見つけられるのか?
「でも手掛かりはあります!」
今まで黙っていた三つ編みの女性がそう言った。
「申し遅れました。私は魔導士のパトリシア・オルトレインと申します。どうかパティとお呼びくださいませ」
三つ編みの女性、パティさんは俺よりも少し年上くらいだろうか。少し興奮ぎみに話し出した。
「フィカロの森を調査した結果、どうやら森には“迷宮の魔法”がかけられています。特定の場所を守るため、その場所に近づこうとする者を迷わす魔法です。おそらくフェニックスが居るのはその近づけない場所ではないかと。相当高位の術者がかけたのか解除は難しいのですが、宝剣クラウ・ソラスがあれば突破できるかもしれません!」
「剣があれば解除できるってことですか?」
魔法のことはよく分からないが、魔法が剣でどうにかなるのか?
「いいえ、解除はできないと思います。ですが宝剣クラウ・ソラスは退魔の力を持ちます。正統な持ち主であるアキラ様ならば、剣の力で迷宮の魔法にかからないと思われるのです!あくまで推測になりますが……」
語尾がだんだん小さくなっていった。するとイワンさんが彼女の意見に賛同する。
「私もパティと同意見です。アキラ様がいれば道はひらけるはずです。今はそれしか手掛かりがありません。森の案内にはパティをお連れください。他2名をアキラ様の護衛として付ける予定です」
うわー……なんかもう準備バッチリな感じ?何も分からない俺にはただ従うしか他ない。けどそれとは別に確認したいことがある。
「ただひとつ気になっているんですが、フェニックスを連れてきたら……黒の病が治れば俺は元の世界に帰してもらえるんですよね?」
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「それはもちろんです!準備に時間はかかりますが、帰喚の儀を行えばアキラ様が元居た場所、元居た時間にお帰しできますのでご安心ください」
良かった。元の時間に帰れるなら、向こうで警察沙汰になるようなことにはならないか。ならもう腹をくくろう。ファンタジー小説の主人公になったつもりでやるしかない。
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またもやさんざんお礼を言われ、パティさんなんか泣いて喜んでいた。
出発は明日の朝。俺の旅はここから始まった。
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