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第一章
6 旅の支度
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豪華で広すぎる部屋に落ち着かなかったが、以外とぐっすり眠れた。親父の修行の一つ、『どんな場所でも休息をとれるようになれ!』と、森の中やらボートの上やらで野宿をしていたお陰だろうか。
さっそく俺は昨日貰った服に着替える。さすがにあの学生服では目立つし防御面で心配があるということで、イワンさんとパティさんが用意してくれたのだ。
黒の革のパンツと黒のハイネックTシャツ。これらは一般的なものらしいがどれも肌触りがよく、しっくりと馴染む。
魔法によって付加価値が付けられた物も貰った。
まずミスリル銀糸のアンダーシャツ。銀糸と言われたから硬いイメージだったが、シルクのような着心地だ。通気性もバツグン!ミスリルは防御力がとても高く、魔力との親和性も高いため魔法の重ねがけで様々な耐性が付くらしい。
次に茶色い革のブーツ。バークガゼルという崖地に住む魔獣の蹄を靴底に使っており、衝撃吸収に優れ長時間歩いても疲れにくいらしい。そこにパティさんが素早く動けるようになる魔法をかけてくれた。
そして焦げ茶のローブ。これは留め具の白い石が魔法道具になっていて、周囲の気候に合わせて暑さや寒さを和らげてくれるらしい。……これ地球に持って帰れないかな。
そういえば……と母さんに貰った御守りも忘れずに首にかける。なんだか持っていないといけないような気がしたから。中身が気になったが、袋の口が縫い付けられていて開かなかった。まぁいいかとアンダーシャツの中に仕舞う。
全てを身に付けて鏡の前に立ってみた。もっとコスプレ感がでると思ったが……テンション上がってきた。なかなかイケてるんじゃないのか俺。最後に剣ホルダー付きのベルトをして宝剣クラウ・ソラスを差す。宝剣なんて俺が持ってて良いものかと思ったが、イワンさんに『正統な持ち主はアキラ様のみ。もはやこの剣はあなたのものです』と言われてしまったので、恐れ多いが貰っておいた。
腰に剣を差すと気が引き締まる。これだけ服装に気を使うということは、それだけ危険があるということだ。剣道で優勝してると言えど所詮は試合だ。例えば、モンスターと戦うなんてことができるのか?
少し気持ちが落ちてきたところで、扉をノックされた。
「アキラ様、パトリシアです。ご準備は整いましたでしょうか?」
「大丈夫です!今行きます!」
いくら考えても仕方ない。親父もよく『未知へと踏み込む勇気を持て!道は己で造るもの!』と言っていた。あの頃は修行をさせるため適当に誤魔化されていると思っていたが、今更ながら親父の言葉に少し勇気を貰う。何事もやってみなければ分からない。そう気持ちを奮い立たせて部屋を後にした。
さっそく俺は昨日貰った服に着替える。さすがにあの学生服では目立つし防御面で心配があるということで、イワンさんとパティさんが用意してくれたのだ。
黒の革のパンツと黒のハイネックTシャツ。これらは一般的なものらしいがどれも肌触りがよく、しっくりと馴染む。
魔法によって付加価値が付けられた物も貰った。
まずミスリル銀糸のアンダーシャツ。銀糸と言われたから硬いイメージだったが、シルクのような着心地だ。通気性もバツグン!ミスリルは防御力がとても高く、魔力との親和性も高いため魔法の重ねがけで様々な耐性が付くらしい。
次に茶色い革のブーツ。バークガゼルという崖地に住む魔獣の蹄を靴底に使っており、衝撃吸収に優れ長時間歩いても疲れにくいらしい。そこにパティさんが素早く動けるようになる魔法をかけてくれた。
そして焦げ茶のローブ。これは留め具の白い石が魔法道具になっていて、周囲の気候に合わせて暑さや寒さを和らげてくれるらしい。……これ地球に持って帰れないかな。
そういえば……と母さんに貰った御守りも忘れずに首にかける。なんだか持っていないといけないような気がしたから。中身が気になったが、袋の口が縫い付けられていて開かなかった。まぁいいかとアンダーシャツの中に仕舞う。
全てを身に付けて鏡の前に立ってみた。もっとコスプレ感がでると思ったが……テンション上がってきた。なかなかイケてるんじゃないのか俺。最後に剣ホルダー付きのベルトをして宝剣クラウ・ソラスを差す。宝剣なんて俺が持ってて良いものかと思ったが、イワンさんに『正統な持ち主はアキラ様のみ。もはやこの剣はあなたのものです』と言われてしまったので、恐れ多いが貰っておいた。
腰に剣を差すと気が引き締まる。これだけ服装に気を使うということは、それだけ危険があるということだ。剣道で優勝してると言えど所詮は試合だ。例えば、モンスターと戦うなんてことができるのか?
少し気持ちが落ちてきたところで、扉をノックされた。
「アキラ様、パトリシアです。ご準備は整いましたでしょうか?」
「大丈夫です!今行きます!」
いくら考えても仕方ない。親父もよく『未知へと踏み込む勇気を持て!道は己で造るもの!』と言っていた。あの頃は修行をさせるため適当に誤魔化されていると思っていたが、今更ながら親父の言葉に少し勇気を貰う。何事もやってみなければ分からない。そう気持ちを奮い立たせて部屋を後にした。
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