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第一章
9 旅の仲間
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スキンヘッドに鋭い目付き。歳は親父よりも上だろうか。
「おうパティ。それとお前さんが救世使か。まさか異世界人が本当に存在するとはな……ヴェルメリオ王国本部、ギルドマスターのダルトンだ」
ニカッと笑って丸太の様な腕を差し出され、こちらも慌てて手を出し握手を交わす。ヤクザみたいだと思ってすみません。
「アキラ・ジンノです。よろしくお願いします」
握った手を……中々離してくれない。
「あのー……」
「お前さん何か武術をしてるな?」
握っただけで分かるのか!?
「剣道……剣の心得は少しありますが、試合形式のものですしこちらの世界で使い物になるかどうか……」
ダルトンさんはようやく手を離してくれた。
「良い筋肉のつき方をしている。ヒョロヒョロのもやしみてぇなやつだったら護衛を増やそうとも思ったが、お前さんなら大丈夫そうだな」
こっちにももやしはあるのか。
「アキラ。リューズには縁もゆかりもねぇお前に頼むのは筋違いとは分かってる。とんでもねぇもんを背負わせちまっただろうが、どうか力を貸してほしい。日に日に黒の病の恐怖と不安が広がっている。俺たちには今、光が必要なんだ」
「……俺にできることは、やれるだけやります」
そうとしか言えなかった。俺にそれだけの力があるのか、どうしても信じきることができない。
再びドアがノックされる。
『マスター!護衛の二人が来ましたよ~』
リルさんの声だった。
中へ入ってきたのは女の人と男の人。
「ちょうどよかったな。アキラ、紹介する。サーラ。ランクAの、ヴェルメリオでも指折りの実力者だ」
「サーラ・ベルナール。サーラでいいわ。堅苦しいのもなし。黒の病の為なら協力は惜しまないわ」
肩で切り揃えられた黒髪に緑の瞳の女性。ショートパンツにロングブーツ、丈の短いローブという動きやすさを重視したような服装だ。そしてかなりの美人。見た目にはOLのお姉さんにしか見えないけど、ランクAっていうのは相当すごいんじゃないのか!?
「こっちがゼル。ランクBだが戦闘の面で言えばランクAにも引けをとらねぇ。少々頭は弱いが実力は保証する」
「おいマスター!俺は考えるのがちょっと苦手なだけなんだよ!ゼル・アボット19歳好きな食べ物は甘い物だ!俺がいるからには魔獣の心配はいらないぜ!」
短い焦げ茶の髪と瞳。上半身だけの鎧を身に付け、背中には身の丈ほどもある両刃の大剣。そして何より目を引くのが、頭の上でぴょこぴょこ動いている犬耳とふさふさの尻尾!人懐っこい笑顔と犬耳のせいで、つい近所にいた柴犬のコタロウを思い出してしまう。
「アキラ・ジンノです。こっちの世界のことは右も左もわからなくて迷惑かけると思いますけど、よろしく頼みます」
そう言って俺は頭を下げた。
「堅苦しいのは無しって言ったでしょ?それに異世界人だというあなたに協力をお願いしてるのはこっち。黒の病の治癒への希望が少しでも見つかればいいと思ってるわ。こちらこそよろしくね」
サーラがそう言い、ゼルも「俺も俺も!」とそれに続く。
こちらに来てからまだ2日、会って間もない人達だけど、力になりたいと素直に思った。
「おうパティ。それとお前さんが救世使か。まさか異世界人が本当に存在するとはな……ヴェルメリオ王国本部、ギルドマスターのダルトンだ」
ニカッと笑って丸太の様な腕を差し出され、こちらも慌てて手を出し握手を交わす。ヤクザみたいだと思ってすみません。
「アキラ・ジンノです。よろしくお願いします」
握った手を……中々離してくれない。
「あのー……」
「お前さん何か武術をしてるな?」
握っただけで分かるのか!?
「剣道……剣の心得は少しありますが、試合形式のものですしこちらの世界で使い物になるかどうか……」
ダルトンさんはようやく手を離してくれた。
「良い筋肉のつき方をしている。ヒョロヒョロのもやしみてぇなやつだったら護衛を増やそうとも思ったが、お前さんなら大丈夫そうだな」
こっちにももやしはあるのか。
「アキラ。リューズには縁もゆかりもねぇお前に頼むのは筋違いとは分かってる。とんでもねぇもんを背負わせちまっただろうが、どうか力を貸してほしい。日に日に黒の病の恐怖と不安が広がっている。俺たちには今、光が必要なんだ」
「……俺にできることは、やれるだけやります」
そうとしか言えなかった。俺にそれだけの力があるのか、どうしても信じきることができない。
再びドアがノックされる。
『マスター!護衛の二人が来ましたよ~』
リルさんの声だった。
中へ入ってきたのは女の人と男の人。
「ちょうどよかったな。アキラ、紹介する。サーラ。ランクAの、ヴェルメリオでも指折りの実力者だ」
「サーラ・ベルナール。サーラでいいわ。堅苦しいのもなし。黒の病の為なら協力は惜しまないわ」
肩で切り揃えられた黒髪に緑の瞳の女性。ショートパンツにロングブーツ、丈の短いローブという動きやすさを重視したような服装だ。そしてかなりの美人。見た目にはOLのお姉さんにしか見えないけど、ランクAっていうのは相当すごいんじゃないのか!?
「こっちがゼル。ランクBだが戦闘の面で言えばランクAにも引けをとらねぇ。少々頭は弱いが実力は保証する」
「おいマスター!俺は考えるのがちょっと苦手なだけなんだよ!ゼル・アボット19歳好きな食べ物は甘い物だ!俺がいるからには魔獣の心配はいらないぜ!」
短い焦げ茶の髪と瞳。上半身だけの鎧を身に付け、背中には身の丈ほどもある両刃の大剣。そして何より目を引くのが、頭の上でぴょこぴょこ動いている犬耳とふさふさの尻尾!人懐っこい笑顔と犬耳のせいで、つい近所にいた柴犬のコタロウを思い出してしまう。
「アキラ・ジンノです。こっちの世界のことは右も左もわからなくて迷惑かけると思いますけど、よろしく頼みます」
そう言って俺は頭を下げた。
「堅苦しいのは無しって言ったでしょ?それに異世界人だというあなたに協力をお願いしてるのはこっち。黒の病の治癒への希望が少しでも見つかればいいと思ってるわ。こちらこそよろしくね」
サーラがそう言い、ゼルも「俺も俺も!」とそれに続く。
こちらに来てからまだ2日、会って間もない人達だけど、力になりたいと素直に思った。
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