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75 魔将クロンダイク
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「な、何を…」
「王陛下を愚弄するとは、神殿の巫女と言えども許されませんぞ!」
「…スピカさん!」
大臣が文句を言う中、フレアは私の方を見て声を上げた。ポンという音ともに、スピカが姿を現す。
「もう出番がないかと思ったわ~」
「フェ、フェアリー?」
「妖精か!」
「あなたねー、あたしの目を騙せると思ったら大間違いよ!フェアリーはね、邪気を見ることが出来るんだから!あなた国王本人じゃないでしょ!」
騒ぐ大臣達を無視して、空中でビシッと国王に向かって指を指すスピカ。
「お、おい、スピカ、何を…」
「憑いてるのよ」
「え?」
「取り憑いているのよ、悪魔が!」
不審がるイルダにスピカが言う。
「ああ~あああぁぁぁ~」
スピカは、何度か聞いた、敵を吹っ飛ばす時と異なる、どちらかというと心地良い声で歌いだした。こんな声も出せたのか。
「ググ、グググォォォオオ…!」
「お、王陛下!?」
目を剥いてガクガクと震える国王の異常な様子に大臣達が騒ぐ。
「離れて!」
私は国王に近づこうとする大臣達に向かって叫んだ。国王はバッタリとテーブルに突っ伏し、その体から黒い霧が湧き上がる。一瞬後、その霧が収束して人型になったかと思うと、そこには山羊の角と額の間に第三の目を持つ、如何にも悪魔のような魔物が宙に浮いていた。体は真っ黒で実体があるのかはっきりしない。そうか、これがグレートデーモンか。
「まさか、こんな…いつから…」
「どうも、クロンダイクと申します。妖精を連れているとは驚きました。しかし、私をこの人間から追い出して、有利になったなどとは思わない方が良いですよ。顕現した方が思う存分力を使えますので」
唖然としているイルダに対して、馬鹿にしたような口調で返すクロンダイク。
私たちは椅子から立ち上がって左右に展開した。ピリピリとした感じの理由が分かったけど、またこのパターン?魔将が続けて出てくるなんて冗談じゃない。普通、ちょっと話の間を開けるものなんじゃないの?
「くっ、うおおっ!」
イルダがテーブルの上に駆け上がり、剣を振るったが、クロンダイクの体をすり抜けた。やはり実体はないのか。しかし、伸ばした手は実体を持つようで、イルダを剣ごと弾き返した。
「中々大したものですな。お父上は剣は苦手のようでしたが」
「くそっ!くそぉっ!」
「落ち着け!」
何度か弾き返されても向かっていこうとするイルダを、アルスが後ろから抱えるようにして懸命に止めた。
「離せ!」
「気持ちは分かるが落ち着け!無闇に突っ込んで勝てる相手じゃない!」
「…くそっ、…すまない、落ち着いた」
そう言うイルダの目は真っ赤だ。
「それでどうするの?」
「…顔というか頭は実体があると思うので攻撃が効くかと。あと、体はユウカさんの剣に魔力を込めれば…。それと…」
「それと?」
「イルダさんの闘気なら、邪気を祓えるのではないでしょうか」
「本当か!?」
私とフレアの相談を聴いていたイルダが、声を上げた。
「とうさま、いや親父に色々言いたいことがあるけど、終わった後だな」
「ああ」
イルダにアルスが頷く。
「無駄な相談は終わりましたかな?しかし、これでは多勢に無勢というもの。私の方も少々味方を増やさせて頂きましょう」
クロンダイクは魔石を取り出した。あれはウルリーの魔石?
「ダークナイト、ウルリーよ、あなたは私の僕。冥府より蘇り、あなたの敵を倒しなさい」
「…」
魔石に邪気が吸い込まれたと思ったら、そこにウルリーが現れた。ただ、さっきと違って顔に生気がない。
「なっ!」
「死者を操りますか」
騎士団長とフレアが驚きの声を上げる。
「…彼は私が」
「お待ちください…。『神よ、聖なる力で傷を癒したまえ、ヒール』」
「おお、忝い」
グレースさんは、ウルリーに向かい合う騎士団長の肩に手を置き、神聖魔法を唱えた。神官長だけあって、神聖魔法を使えるようだ。
「さらに、そうですね、そこの有象無象の方々」
「ま…!」
逃げられずに部屋の隅で震えていた大臣達に、クロンダイクが手を向けて何か唱える。すると、大臣たちは、何かに取り付かれたような空ろな目で、手を伸ばしこちらに向かってきた。まるでゾンビだ。
「闇魔法…」
グレースさんが呟く。
「さらに、これはおまけです」
クロンダイクが手を振ると、大きなカタツムリのような魔物と、人間の半分ぐらいの身長で両手をゆらゆらと揺らす影のような魔物が、複数現れた。
「それでは、高みの見物と参りましょうか」
私は影のような魔物に対峙し、女神の剣を構えたが、魔物の手の動きを見ると気分が悪くなってきた。自分が何をしたら良いか分からなくなるような不安と混乱。吐き気がする。
「その魔物は闇魔法を使います!気をしっかりと持ってください!」
ゾンビのような大臣達を、シールドで抑えながらフレアが叫ぶ。呪いを掛けてくるデビルシャーマン、カタツムリの方は確かヘク…なんとかスネイル、別名てんてこ蝸牛とかいう名前で混乱魔法を使う。両方ともスライムレベル4の、そこそこ強い魔物だ。
「私に!『神よ、慈愛に満ちたる癒しの天の光を与えたまえ、エリアキュア』」
グレースさんが跪いて呪文を祈る。エリアキュアはキュアオールのように傷まで完全に治すことは出来ないが、範囲内に持続的な効果を持つ上級呪文らしい。いくらか気分の持ち直した私は、大きく息を吐いた。
「王陛下を愚弄するとは、神殿の巫女と言えども許されませんぞ!」
「…スピカさん!」
大臣が文句を言う中、フレアは私の方を見て声を上げた。ポンという音ともに、スピカが姿を現す。
「もう出番がないかと思ったわ~」
「フェ、フェアリー?」
「妖精か!」
「あなたねー、あたしの目を騙せると思ったら大間違いよ!フェアリーはね、邪気を見ることが出来るんだから!あなた国王本人じゃないでしょ!」
騒ぐ大臣達を無視して、空中でビシッと国王に向かって指を指すスピカ。
「お、おい、スピカ、何を…」
「憑いてるのよ」
「え?」
「取り憑いているのよ、悪魔が!」
不審がるイルダにスピカが言う。
「ああ~あああぁぁぁ~」
スピカは、何度か聞いた、敵を吹っ飛ばす時と異なる、どちらかというと心地良い声で歌いだした。こんな声も出せたのか。
「ググ、グググォォォオオ…!」
「お、王陛下!?」
目を剥いてガクガクと震える国王の異常な様子に大臣達が騒ぐ。
「離れて!」
私は国王に近づこうとする大臣達に向かって叫んだ。国王はバッタリとテーブルに突っ伏し、その体から黒い霧が湧き上がる。一瞬後、その霧が収束して人型になったかと思うと、そこには山羊の角と額の間に第三の目を持つ、如何にも悪魔のような魔物が宙に浮いていた。体は真っ黒で実体があるのかはっきりしない。そうか、これがグレートデーモンか。
「まさか、こんな…いつから…」
「どうも、クロンダイクと申します。妖精を連れているとは驚きました。しかし、私をこの人間から追い出して、有利になったなどとは思わない方が良いですよ。顕現した方が思う存分力を使えますので」
唖然としているイルダに対して、馬鹿にしたような口調で返すクロンダイク。
私たちは椅子から立ち上がって左右に展開した。ピリピリとした感じの理由が分かったけど、またこのパターン?魔将が続けて出てくるなんて冗談じゃない。普通、ちょっと話の間を開けるものなんじゃないの?
「くっ、うおおっ!」
イルダがテーブルの上に駆け上がり、剣を振るったが、クロンダイクの体をすり抜けた。やはり実体はないのか。しかし、伸ばした手は実体を持つようで、イルダを剣ごと弾き返した。
「中々大したものですな。お父上は剣は苦手のようでしたが」
「くそっ!くそぉっ!」
「落ち着け!」
何度か弾き返されても向かっていこうとするイルダを、アルスが後ろから抱えるようにして懸命に止めた。
「離せ!」
「気持ちは分かるが落ち着け!無闇に突っ込んで勝てる相手じゃない!」
「…くそっ、…すまない、落ち着いた」
そう言うイルダの目は真っ赤だ。
「それでどうするの?」
「…顔というか頭は実体があると思うので攻撃が効くかと。あと、体はユウカさんの剣に魔力を込めれば…。それと…」
「それと?」
「イルダさんの闘気なら、邪気を祓えるのではないでしょうか」
「本当か!?」
私とフレアの相談を聴いていたイルダが、声を上げた。
「とうさま、いや親父に色々言いたいことがあるけど、終わった後だな」
「ああ」
イルダにアルスが頷く。
「無駄な相談は終わりましたかな?しかし、これでは多勢に無勢というもの。私の方も少々味方を増やさせて頂きましょう」
クロンダイクは魔石を取り出した。あれはウルリーの魔石?
「ダークナイト、ウルリーよ、あなたは私の僕。冥府より蘇り、あなたの敵を倒しなさい」
「…」
魔石に邪気が吸い込まれたと思ったら、そこにウルリーが現れた。ただ、さっきと違って顔に生気がない。
「なっ!」
「死者を操りますか」
騎士団長とフレアが驚きの声を上げる。
「…彼は私が」
「お待ちください…。『神よ、聖なる力で傷を癒したまえ、ヒール』」
「おお、忝い」
グレースさんは、ウルリーに向かい合う騎士団長の肩に手を置き、神聖魔法を唱えた。神官長だけあって、神聖魔法を使えるようだ。
「さらに、そうですね、そこの有象無象の方々」
「ま…!」
逃げられずに部屋の隅で震えていた大臣達に、クロンダイクが手を向けて何か唱える。すると、大臣たちは、何かに取り付かれたような空ろな目で、手を伸ばしこちらに向かってきた。まるでゾンビだ。
「闇魔法…」
グレースさんが呟く。
「さらに、これはおまけです」
クロンダイクが手を振ると、大きなカタツムリのような魔物と、人間の半分ぐらいの身長で両手をゆらゆらと揺らす影のような魔物が、複数現れた。
「それでは、高みの見物と参りましょうか」
私は影のような魔物に対峙し、女神の剣を構えたが、魔物の手の動きを見ると気分が悪くなってきた。自分が何をしたら良いか分からなくなるような不安と混乱。吐き気がする。
「その魔物は闇魔法を使います!気をしっかりと持ってください!」
ゾンビのような大臣達を、シールドで抑えながらフレアが叫ぶ。呪いを掛けてくるデビルシャーマン、カタツムリの方は確かヘク…なんとかスネイル、別名てんてこ蝸牛とかいう名前で混乱魔法を使う。両方ともスライムレベル4の、そこそこ強い魔物だ。
「私に!『神よ、慈愛に満ちたる癒しの天の光を与えたまえ、エリアキュア』」
グレースさんが跪いて呪文を祈る。エリアキュアはキュアオールのように傷まで完全に治すことは出来ないが、範囲内に持続的な効果を持つ上級呪文らしい。いくらか気分の持ち直した私は、大きく息を吐いた。
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