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97 狼の襲撃
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皆で飛び出すと、私は宿屋の前で佇む小さな女の子を見つけた。思わず駆け寄り、しゃがんで目線を合わせる。
「あ、お姉ちゃん、あの、あたし、お姉ちゃんたちにお話が…」
「えっと、あなたお名前は?私は、悠歌」
「リーゼ…」
「リーゼちゃん、今ちょっとなんていうか危険なの。今日はお家に帰ってね。外に出ちゃ駄目よ」
「で、でも…」
「後でちゃんと話を聞いてあげるから。約束ね」
「リーゼ!」
「おかあさん…」
ちょうど女の子の母親が探しに来たようだ。見た記憶がある。昼間にドラゴンのことを聞いて回ったときに会っている。
「あなたは…」
「昼間お会いしましたね。冒険者の悠歌です。今、正門の方で何かあったようで…」
「はい、私も鐘の音を聞いて、娘を探していたところで」
「私は正門の方に行きますので。危険かもしれないので、お嬢さんを連れて家に帰られたら、外に出ないようにしてください」
「ありがとうございます」
様子を見ていたフレアと共に、少し遅れて正門の前に着く。
「酷いわね…」
大きめの荷馬車が、斜めになって門の中の小屋にぶつかって停まっている。門も片側が完全に破壊されている。衛兵や先に来た冒険者だけでなく、少数だが野次馬のような人もいる。
私とフレアは人をかき分けて前に出て、アルスとイルダ、ジルさんを見つけた。
「何が起こったの?」
「商人の荷馬車が、閉じている門に構わず突っ込んできたようだな。あれに追われていたらしい」
イルダが顎で示す先を見ると、唸り声をあげてこちらを睨んでいる狼が見えた。森でも見たシロオオカミだ。数十匹はいるだろうか。
「シロオオカミが人を襲うなんて考えられません」
ジルさんが言う。
「あんたたちいったい何をしたんだい!」
「な、何もしてない!森を荷馬車で走っていたらいきなり追いかけてきたんだ!」
少し前に来ていたらしいアレッタさんが、荷馬車の前に佇む男に詰め寄るが、その男が叫び返す。商人だろう。荷物が大事なのか、逃げずにいるようだ。仲間と思しき数人が荷馬車を守るように立っている。
「シロオオカミのいる森は、今は立ち入り禁止だろ!群れに突っ込みでもしたのかい!」
「俺たちは何もしていない!」
シロオオカミの一頭がまた遠吠えを上げた。それに呼ばれているのか、どんどんシロオオカミの数が増えているようだ。
「まずいな…。個体ならスライムレベルでいえば3から4というところだけど、数が多いと手に負えないぞ」
イルダが顔を顰める。
「町の結界は?」
「シロオオカミは魔物じゃないからな…結界は役に立たないだろうな」
アルスが、シロオオカミから目を離さないまま、私に答える。このまま戦闘になったら、双方に大きな被害が出るだろう。レベルが高い一頭よりも、低くても多頭の方が厄介だ。さらに狼は集団の先頭に慣れているだろう。時刻も良くない。もう夕方だ。暗くなったらこちらが不利だ。
私は手を挙げて、イメージを固めると手を振り下ろした。直後、キラララ…という冴えない音と共に、無数の鮮やかな色の小さな星が降り注ぐ。場所は門の外側の、シロオオカミの群れのやや手前だ。ドドド…という音がする。前に出ていたシロオオカミの一部が、星に当たってキャインという声を上げているが、怪我をするほどではないはずだ。
いったい今のは何だ?という驚きの声が後方で上がった。
「ス、スターレイン!」
「呪文を後から…は良いけど、効果がないようだな…。ったく、あの馬鹿商人どもは何をやったんだ」
アルスが言う。群れを追い払えるかと思ったけど、簡単には諦めてくれないようだ。
じりじりと門に近づいてくるシロオオカミ。門に入った瞬間、戦いが始まる…。最初の一頭が門の中に一歩踏み込んだ瞬間、ジルさんが前に出た。飛び掛かって来たその爪と牙を二つの剣で受ける。切らずに受けるだけ。それが出来るだけで技量の高さが伺える。
「双剣使い?…やっぱりおかしい」
アルスが何か呟くが、それを気にしている暇はない。私は近づく一頭を左手から出した水流で弾き飛ばした。右手には既にネックレスから戻した女神の剣が握られている。
アルスが剣の柄で一頭を抑えると、イルダが別の一頭を大剣の腹で叩き飛ばす。フレアはシールドを展開して、数頭を押し返そうとしている。他の冒険者や衛兵もそれぞれの武器で必死にシロオオカミを牽制している。
「何やってんだ、殺しちまえ!」
「そうだそうだ、冒険者だろうが!」
商人たちが叫ぶ。冒険者を何だと思っているのか。ここで、どちらか一方が血を流したら取り返しのつかないことになるのが理解できないのか。
「おい、この狼たちは…」
「ああ」
アルスにイルダが頷く。私達だけではない。シロオオカミも私達を本気で襲おうとしていない。牽制しながら、出来たら怪我をさせずに押し入ろうとしているのだ。目当てが商人たちだけということだろうか。
「諦めて…、あなたたちを殺したくないのよ!」
向かってきた他の一頭を、女神の剣を盾に変形して抑える。
「いいから殺しちまえ!俺たちを襲って来たんだぞ!」
うるさい。誰のせいだと思っているの。文句を言おうと商人の方に目を向けると、商人の一人が弓を構えているのが目に入った。
「止め…!」
「くぅっ」
私が止めようと声を上げたが間に合わず、商人の一人がシロオオカミに矢を射ったが、その矢は私の声で振り向いたアレッタさんの斧に阻まれた。しかし、完全に防ぎきれず、斧をかすった矢はアレッタさんの腕に刺さった。矢の勢いは斧にかすったおかげで弱められたはずだが、かなり深く刺さっているように見える。
「アレッタさん!」
「…大丈夫。おい、その商人どもをどこかに連れていきな!シロオオカミも、そいつらが目当てのようだからね」
「お、俺が悪いんじゃない!狼なんぞを庇うから…」
「自分の方が庇われたのも分からないのですか」
ジルさんが吐き捨てるように言う。まったくだ。この商人達をシロオオカミに]突き出してやれば、騒ぎが収まるのじゃないの。
私は、また飛び掛かって来た一頭のシロオオカミを抑える手を緩めた。シロオオカミは地面に降り立つと、私の横を抜けていく。
「ユーカ、何を!」
アルスが叫ぶ。いや、私は商人達にシロオオカミを向かわせたわけではない。ちょっとは考えたけど。シロオオカミの目が、連行されていく商人達を追っていないことに気が付いたのだ。最初からシロオオカミの目的は…。
私の横を抜けたシロオオカミは、荷馬車に縋りつく。私の行動に驚いて手を止めた冒険者や衛兵の横をすり抜けた他のシロオオカミも、商人に目もくれず次々に荷馬車に向かった。入口の垂れ幕がシロオオカミの爪でびりびりと引き裂かれる。
「積み荷が原因か!」
「止めろ!積み荷に手を出すな!」
離れたところから叫ぶ商人を無視して、イルダが残っていた垂れ幕を剥ぎ取ると、荷馬車の中が見えた。巨大な檻と、その中に横たわるシロオオカミの子供。十頭はいるだろう。さらに奥には、ハーピーのまるごとの翼やワイルドラットの毛皮などもある。ワイルドラットは当然として、この翼を取られたハーピーも生きていないに違いない。
「あいつら…」
「シロオオカミの子供は生きてる!フレア!」
わずかに胸を上下させているのに気が付いた私が叫ぶと、フレアがシールドを展開して荷馬車に飛び乗った。続いて乗り込んだイルダが、面倒くさいとばかりに檻の鉄格子を大剣で紙のように切り裂く。
「大丈夫。薬で眠らされているだけのようです。…神よ、慈愛に満ちたる天の光をもって、全ての者を癒したまえ、キュアオール」
すぐに気が付いたシロオオカミの子供は、フレアの足にじゃれついた。普通なら微笑ましい光景なのだろうが、今の状況ではとてもそうは思えない。
「あいつら本当に許せないな」
アルスが呟く中、荷馬車の中を見廻したジルさんは、すぐに荷馬車から飛び降り、衛兵に拘束されている商人たちに勢いよく詰め寄った。
「あなたたち、ドラゴンの子供を知らない?」
聞いていた私達は息を飲んだ。そうだ、この連中なら、ドラゴンの子供に手を出していてもおかしくない。
「し、知らない…」
「正直に答えなさい」
次の瞬間、ジルさんの双剣が商人の一人の首を挟むように突きつけられた。
「ほ、本当に知らないんだ。ゆ、弓で射たんだが逃げられてその後は…」
「弓で射た後は知らない、ですって?」
ジルさんの腕がぶるぶると震え、商人の首から血が流れた。この商人は、さっきアレッタさんを傷つけた男だ。
「ジルさん!」
アルスが声を掛けると、ジルさんは剣を降ろした。商人の男は地面に崩れ落ちる。そのまま衛兵に引きずられていった。
「あの連中は、しっかりと処罰するから、人間を許してくれるかねぇ」
アレッタさんが群れのボスと思しき一頭のシロオオカミに頭を下げた。他の個体より少し大きい。そのシロオオカミが軽く鳴くと、他のシロオオカミも子供を伴って門に向かう。私達は黙ってそれを見送った。
門の外には、いつの間にかハーピーやラミア等の複数の魔物が集まっていた。シロオオカミのボスが一声二声しゃべるようにハーピーに鳴いた。ハーピーの翼のことを話しているのか。そのハーピーは、責めるでもなく、ただ悲しそうにじっとこちらを見つめた。そして、ゆっくりと背を向けると他の魔物やシロオオカミと共に去っていった。
アレッタさんはその背に向かってずっと頭を下げていた。
「あ、お姉ちゃん、あの、あたし、お姉ちゃんたちにお話が…」
「えっと、あなたお名前は?私は、悠歌」
「リーゼ…」
「リーゼちゃん、今ちょっとなんていうか危険なの。今日はお家に帰ってね。外に出ちゃ駄目よ」
「で、でも…」
「後でちゃんと話を聞いてあげるから。約束ね」
「リーゼ!」
「おかあさん…」
ちょうど女の子の母親が探しに来たようだ。見た記憶がある。昼間にドラゴンのことを聞いて回ったときに会っている。
「あなたは…」
「昼間お会いしましたね。冒険者の悠歌です。今、正門の方で何かあったようで…」
「はい、私も鐘の音を聞いて、娘を探していたところで」
「私は正門の方に行きますので。危険かもしれないので、お嬢さんを連れて家に帰られたら、外に出ないようにしてください」
「ありがとうございます」
様子を見ていたフレアと共に、少し遅れて正門の前に着く。
「酷いわね…」
大きめの荷馬車が、斜めになって門の中の小屋にぶつかって停まっている。門も片側が完全に破壊されている。衛兵や先に来た冒険者だけでなく、少数だが野次馬のような人もいる。
私とフレアは人をかき分けて前に出て、アルスとイルダ、ジルさんを見つけた。
「何が起こったの?」
「商人の荷馬車が、閉じている門に構わず突っ込んできたようだな。あれに追われていたらしい」
イルダが顎で示す先を見ると、唸り声をあげてこちらを睨んでいる狼が見えた。森でも見たシロオオカミだ。数十匹はいるだろうか。
「シロオオカミが人を襲うなんて考えられません」
ジルさんが言う。
「あんたたちいったい何をしたんだい!」
「な、何もしてない!森を荷馬車で走っていたらいきなり追いかけてきたんだ!」
少し前に来ていたらしいアレッタさんが、荷馬車の前に佇む男に詰め寄るが、その男が叫び返す。商人だろう。荷物が大事なのか、逃げずにいるようだ。仲間と思しき数人が荷馬車を守るように立っている。
「シロオオカミのいる森は、今は立ち入り禁止だろ!群れに突っ込みでもしたのかい!」
「俺たちは何もしていない!」
シロオオカミの一頭がまた遠吠えを上げた。それに呼ばれているのか、どんどんシロオオカミの数が増えているようだ。
「まずいな…。個体ならスライムレベルでいえば3から4というところだけど、数が多いと手に負えないぞ」
イルダが顔を顰める。
「町の結界は?」
「シロオオカミは魔物じゃないからな…結界は役に立たないだろうな」
アルスが、シロオオカミから目を離さないまま、私に答える。このまま戦闘になったら、双方に大きな被害が出るだろう。レベルが高い一頭よりも、低くても多頭の方が厄介だ。さらに狼は集団の先頭に慣れているだろう。時刻も良くない。もう夕方だ。暗くなったらこちらが不利だ。
私は手を挙げて、イメージを固めると手を振り下ろした。直後、キラララ…という冴えない音と共に、無数の鮮やかな色の小さな星が降り注ぐ。場所は門の外側の、シロオオカミの群れのやや手前だ。ドドド…という音がする。前に出ていたシロオオカミの一部が、星に当たってキャインという声を上げているが、怪我をするほどではないはずだ。
いったい今のは何だ?という驚きの声が後方で上がった。
「ス、スターレイン!」
「呪文を後から…は良いけど、効果がないようだな…。ったく、あの馬鹿商人どもは何をやったんだ」
アルスが言う。群れを追い払えるかと思ったけど、簡単には諦めてくれないようだ。
じりじりと門に近づいてくるシロオオカミ。門に入った瞬間、戦いが始まる…。最初の一頭が門の中に一歩踏み込んだ瞬間、ジルさんが前に出た。飛び掛かって来たその爪と牙を二つの剣で受ける。切らずに受けるだけ。それが出来るだけで技量の高さが伺える。
「双剣使い?…やっぱりおかしい」
アルスが何か呟くが、それを気にしている暇はない。私は近づく一頭を左手から出した水流で弾き飛ばした。右手には既にネックレスから戻した女神の剣が握られている。
アルスが剣の柄で一頭を抑えると、イルダが別の一頭を大剣の腹で叩き飛ばす。フレアはシールドを展開して、数頭を押し返そうとしている。他の冒険者や衛兵もそれぞれの武器で必死にシロオオカミを牽制している。
「何やってんだ、殺しちまえ!」
「そうだそうだ、冒険者だろうが!」
商人たちが叫ぶ。冒険者を何だと思っているのか。ここで、どちらか一方が血を流したら取り返しのつかないことになるのが理解できないのか。
「おい、この狼たちは…」
「ああ」
アルスにイルダが頷く。私達だけではない。シロオオカミも私達を本気で襲おうとしていない。牽制しながら、出来たら怪我をさせずに押し入ろうとしているのだ。目当てが商人たちだけということだろうか。
「諦めて…、あなたたちを殺したくないのよ!」
向かってきた他の一頭を、女神の剣を盾に変形して抑える。
「いいから殺しちまえ!俺たちを襲って来たんだぞ!」
うるさい。誰のせいだと思っているの。文句を言おうと商人の方に目を向けると、商人の一人が弓を構えているのが目に入った。
「止め…!」
「くぅっ」
私が止めようと声を上げたが間に合わず、商人の一人がシロオオカミに矢を射ったが、その矢は私の声で振り向いたアレッタさんの斧に阻まれた。しかし、完全に防ぎきれず、斧をかすった矢はアレッタさんの腕に刺さった。矢の勢いは斧にかすったおかげで弱められたはずだが、かなり深く刺さっているように見える。
「アレッタさん!」
「…大丈夫。おい、その商人どもをどこかに連れていきな!シロオオカミも、そいつらが目当てのようだからね」
「お、俺が悪いんじゃない!狼なんぞを庇うから…」
「自分の方が庇われたのも分からないのですか」
ジルさんが吐き捨てるように言う。まったくだ。この商人達をシロオオカミに]突き出してやれば、騒ぎが収まるのじゃないの。
私は、また飛び掛かって来た一頭のシロオオカミを抑える手を緩めた。シロオオカミは地面に降り立つと、私の横を抜けていく。
「ユーカ、何を!」
アルスが叫ぶ。いや、私は商人達にシロオオカミを向かわせたわけではない。ちょっとは考えたけど。シロオオカミの目が、連行されていく商人達を追っていないことに気が付いたのだ。最初からシロオオカミの目的は…。
私の横を抜けたシロオオカミは、荷馬車に縋りつく。私の行動に驚いて手を止めた冒険者や衛兵の横をすり抜けた他のシロオオカミも、商人に目もくれず次々に荷馬車に向かった。入口の垂れ幕がシロオオカミの爪でびりびりと引き裂かれる。
「積み荷が原因か!」
「止めろ!積み荷に手を出すな!」
離れたところから叫ぶ商人を無視して、イルダが残っていた垂れ幕を剥ぎ取ると、荷馬車の中が見えた。巨大な檻と、その中に横たわるシロオオカミの子供。十頭はいるだろう。さらに奥には、ハーピーのまるごとの翼やワイルドラットの毛皮などもある。ワイルドラットは当然として、この翼を取られたハーピーも生きていないに違いない。
「あいつら…」
「シロオオカミの子供は生きてる!フレア!」
わずかに胸を上下させているのに気が付いた私が叫ぶと、フレアがシールドを展開して荷馬車に飛び乗った。続いて乗り込んだイルダが、面倒くさいとばかりに檻の鉄格子を大剣で紙のように切り裂く。
「大丈夫。薬で眠らされているだけのようです。…神よ、慈愛に満ちたる天の光をもって、全ての者を癒したまえ、キュアオール」
すぐに気が付いたシロオオカミの子供は、フレアの足にじゃれついた。普通なら微笑ましい光景なのだろうが、今の状況ではとてもそうは思えない。
「あいつら本当に許せないな」
アルスが呟く中、荷馬車の中を見廻したジルさんは、すぐに荷馬車から飛び降り、衛兵に拘束されている商人たちに勢いよく詰め寄った。
「あなたたち、ドラゴンの子供を知らない?」
聞いていた私達は息を飲んだ。そうだ、この連中なら、ドラゴンの子供に手を出していてもおかしくない。
「し、知らない…」
「正直に答えなさい」
次の瞬間、ジルさんの双剣が商人の一人の首を挟むように突きつけられた。
「ほ、本当に知らないんだ。ゆ、弓で射たんだが逃げられてその後は…」
「弓で射た後は知らない、ですって?」
ジルさんの腕がぶるぶると震え、商人の首から血が流れた。この商人は、さっきアレッタさんを傷つけた男だ。
「ジルさん!」
アルスが声を掛けると、ジルさんは剣を降ろした。商人の男は地面に崩れ落ちる。そのまま衛兵に引きずられていった。
「あの連中は、しっかりと処罰するから、人間を許してくれるかねぇ」
アレッタさんが群れのボスと思しき一頭のシロオオカミに頭を下げた。他の個体より少し大きい。そのシロオオカミが軽く鳴くと、他のシロオオカミも子供を伴って門に向かう。私達は黙ってそれを見送った。
門の外には、いつの間にかハーピーやラミア等の複数の魔物が集まっていた。シロオオカミのボスが一声二声しゃべるようにハーピーに鳴いた。ハーピーの翼のことを話しているのか。そのハーピーは、責めるでもなく、ただ悲しそうにじっとこちらを見つめた。そして、ゆっくりと背を向けると他の魔物やシロオオカミと共に去っていった。
アレッタさんはその背に向かってずっと頭を下げていた。
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