国外追放されたくないので第二王子の胃袋を掴んだら溺愛されました!

和栗かのこ

文字の大きさ
12 / 40

悪役令嬢、焦る

しおりを挟む
アンセル殿下とアイリスをくっつける
ためのお茶会は、何の進展もないまま
終わり、その後も手を尽くしてみたが
結局二人が恋に落ちることはなかった。

おかしい…。
あんなにお膳立てしたのに、なにも
起こらないなんて…。
もしかして二人とも好きな人がいる
のでは!?

隣の席のアイリスをチラリと見ると、
目が合ってしまった。

「セセリア様、どうかしました?」

アイリスにたずねられ、私はあわてて
開いていた教科書を指さした。

「この問題がよくわからなくて。」

少々強引ではあったが、アイリスの
視線を教科書に誘導することに成功
した。

「ああ、これ、ちょっと難しいですよ
ね。もうすぐお昼休みだし、アンセル
殿下に教えてもらいましょう。」

殿下とアイリスの関係は何も変わら
ないままだが、相変わらず私たちは
昼休みを一緒に過ごしていた。

変わったことといえば、光魔法の力が
認められ聖女になったアイリスが、
私と同じ特別クラスになったことだ。

特別クラスには、王族や位の高い貴族、
もしくはレベルの高い魔法が使える
生徒しか入れない。

「そういえば、アンセル殿下もあと
数か月でご卒業ですね。」

アイリスに言われて、私はハッとした。

そうだ、私たちより2学年上の殿下は
先に卒業してしまう。

殿下とアイリスをくっつけることは
もう不可能なのか。

「あの、アイリス、ちょっと聞きたい
ことがあるんだけど…。」

「はい、なんでしょう?」

「…好きな人っている?」

私は思い切って聞くことにした。

「はい、いますよ。」

直球すぎる私の質問に、なんの迷いも
なく、アイリスは答えた。

「そ、そうなんだ…。それって殿下じゃ
ないよね…?」

「はい、違います。」

もしかして、とは思っていたけど
こうもあっさり答えられてしまうと
逆に清々しいわ。

そりゃ、いつまでたっても2人がくっつ
かないはずだわ。

お茶会を開いたり、私が努力してきた
ことは全て無駄だったというわけか。

こんなことならもっと早く聞いておけば
よかった。
そうすれば、こんなに時間を無駄にする
ことはなかったのだ。

それにしても、今まで私やアンセル殿下
としか交流していなかったアイリスが
好きになる相手って、誰なんだろう?

「アイリスの好きな人って学院の中の
人?」

「ふふ。内緒です。」

アイリスは、少し照れくさそうに笑って
言った。

ええ!?そこは内緒なの!?
そこまで言っておいてそれはないんじゃ
ない!?
めちゃめちゃ気になるんですけど!!

「楽しそうだね。何の話?」

後ろから突然声をかけられ、驚いて振り
返ると、そこにはアンセル殿下が立って
いた。

「ええと、数学でわからないところが
あって…。」

恋バナをしていたとは言えず、私は咄嗟に
誤魔化した。

「殿下、教えて頂けますか?」

「ああ、ごめんね。ちょっと用事があって
今から王宮に行かなくちゃならないんだ。
明日でもいいかな?」

休日でもないのに、殿下が王宮に呼び出さ
れるなんて、余程大事なことなのか。

「あの、なにかあったんですか?」

「うん、実はね、カインが予定より早く
帰国するかもしれないんだ。」

え!?

「セセリア、嬉しいでしょ?でもまだ正式
に決まったわけじゃないから、ここだけの
話にしておいてね。」

えええええ!?

カイン殿下の留学って2年間じゃなかった
っけ!?
いや、会えるのは嬉しいけど、カイン殿下
と聖女になったアイリスを会わせるのは
ちょっと不安だわ。

アイリスに好きな人がいたって、殿下が
アイリスを好きにならないとは限らない。
なんたって、聖女様なんだから。

「よかったですね、セセリア様。」

「う、うん。」

アイリスの言葉に、私は引きつった笑みで
答えることしか出来なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?

きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...