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日常編(単発)
復活のテレビレポーター
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ある日、クライブがいつもの様に稽古休みの時間を使ってニュース番組を見ていた。
『……というわけで、以上″足の小指特集″でした』
「俺が観る前に何やってたんだよ」
『続いては、帰ってきましたあのコーナー。今回は、事故なくおわれるのでしょうか』
クライブは、この一文に一抹の不安を抱いた。『帰ってきた』と『事故』という言葉からあのコーナーしか連想できない。
『帰ってきた、″素人レポーター、町を歩くver 2″!今回は頭のおかしい奴は迎えていないと思っているのでご安心を』
「フーリの奴頭おかしい判定食らってやんの」
今思えば、なぜ公共の電波で一般人のことを馬鹿にしているのか気になってしょうがない。
『そして、第一回放送に選ばれた栄えある人物は……ドコドコドコ……デープ国のお金持ち、マルセルさんです!』
『どうもー!』
そこには、いつも近くで見ているあのマルセルがいた。
「えー!流れ的になんか想像出来てたけどマジか」
前回と同じようにクライブはテレビに釘付けになる。
『さて、今回もデープ国最長の歴史を持つ『虎胃伝』に訪れたようです。前回と同じ過ちを繰り返さないようにスタッフは細心の注意を払っております』
「めっちゃトラウマになってるじゃん」
そして、スタジオのコールに合わせてVTRが映し出される。前と同じ虎胃伝だ。しかし、頑張って挨拶しているマルセルの周りに怖い顔したスーツのゴリゴリマッチョマンが二人いる。恐らく変なことが出来ないようにと監視役でも付けられたのだろう。
「ここまでするならやらなきゃいいのに」
思わず本音がこぼれた。
(スタッフ)『ではマルセルさん。行きましょう』
マルセルがドアを開けた先には前と同じボロい店内が映し出される。しかし、店主だけは前と同じ人ではなくもっと若い男性になっている。
『あれ?この前のおじいちゃんじゃないの?』
『実は、マスターは……旅行先のファリア国で側溝にハマってしまって帰ってこられないのです』
(スタッフ)『それで今は息子さんのあなたが?』
『あ、僕虎胃伝の常連の息子の甥です』
「初っ端から複雑すぎだろ色々」
複雑な家族(?)関係だ。ちなみに臨時マスターは虎胃伝に行ったことが無いらしい。もう訳が分からないよ。
『じゃあ料理の方は?』
『マニュアル通りに具材を混ぜてるだけですね』
『味は?』
『最低ですね』
『じゃあ不味いってこと?』
『端的に言えば』
『わぁー!めっちゃ食べたくない!スタッフさん食べて!』
(スタッフ)『そういうのは嫌だなぁ……。もし食べられなかったら黒服にあげてください』
『いいの?』
『御意』
『やったー!』
「黒服そのためにいるの?」
(スタッフ)『それでは注文の方を……』
『じゃあ白米のメロンソーダ漬けで』
(スタッフ)『待ってください!こんなきしょい料理頼まないでくださいよ!』
『だってなんか面白そうなんだもん』
(スタッフ)『ええい黙れ!行け黒服A、この白髪野郎を殴って黙らせるのだ』
『御意』
「どんな世界観だよ」
黒服の存在が敵なのか味方なのかいまいち理解できない。そして黒服はスタッフに命令されたように殴ろうとした。しかし、周知の通りマルセルは魔法使いなので一瞬のうちに黒服は服だけを燃やされた。
『あはは!これじゃあ黒服じゃなくて黒焦げだね』
「なに上手いこと言ってんだよ」
服をの脱がされた黒服は別の覆面スタッフによって退場させられた。その方向からは「この役立たずが!」と罵声が聞こえてくる。
「だからどんな世界観なんだよ」
多分このテレビ局ヤクザと繋がってる。
そんなことはさておき、カメラは厨房を写している。前回と違い少し小汚くなった感じだ。
『えっと、メロンソーダ漬けですよね』
『うん』
『それじゃあメロンソーダをご飯にかけるだけでできますよ』
『温めないの?』
『温めたければ』
『じゃあ温めて!』
『わかりまし……あっ、コンロ壊れてんじゃんやる気失くしたわ。あー仕事やりたくね』
「意思弱っ!」
『じゃあ魔法で温めるから店員さん休んでていいよ』
『ありがとうございます』
そう言って臨時マスターは冷蔵庫の中へと入っていった。
「バイトテロかよ」
そしてマルセルは自分で鍋を温め、盛り付け、自分の席へと運んで行った。まるでセルフサービスだ。
『よーし、準備完了!』
マルセルの目の前にはグツグツの煮えたぎった深緑色のご飯がある。パッと見は苔の生えたリゾットだ。
『それじゃあいただきます!』
マルセルはスプーンで掬えるだけ米を掬った。そしてそれを口に運ぶ。何回か咀嚼したが特に変わった様子を見せない。
「こりゃひょっとして実は美味いとかか?」
(スタッフ)『お味の方は……?』
スタッフが聞きたいことを聞いてくれた。
『味?くそ不味いよ?』
『え?』
『だってメロンソーダとご飯だよ?合うわけないじゃん馬鹿なの?』
『……』
『……』
『それでは、これにて第一回″素人レポーター、町を歩くver 2″は終了です。また次をお楽しみに~!』
残念ながら第一回″素人レポーター、町を歩くver 2″は不穏な空気のまま終わった。当然クライブは今「観なきゃよかった」という念に駆られている。
『それではさっきまでのクソコーナーとはなんも関係ない臨時ニュースをお伝えします』
「早速クソコーナーって呼ばれてるし」
『先程、虎胃伝が放火されているという情報が入りました』
「関係なくねーじゃねぇか!因果関係丸出しだよ!」
こうして、″素人レポーター、町を歩くver 2″は第三回で三十路OLの幽霊が写り込むという放送事故の末お蔵入りとなった。
『……というわけで、以上″足の小指特集″でした』
「俺が観る前に何やってたんだよ」
『続いては、帰ってきましたあのコーナー。今回は、事故なくおわれるのでしょうか』
クライブは、この一文に一抹の不安を抱いた。『帰ってきた』と『事故』という言葉からあのコーナーしか連想できない。
『帰ってきた、″素人レポーター、町を歩くver 2″!今回は頭のおかしい奴は迎えていないと思っているのでご安心を』
「フーリの奴頭おかしい判定食らってやんの」
今思えば、なぜ公共の電波で一般人のことを馬鹿にしているのか気になってしょうがない。
『そして、第一回放送に選ばれた栄えある人物は……ドコドコドコ……デープ国のお金持ち、マルセルさんです!』
『どうもー!』
そこには、いつも近くで見ているあのマルセルがいた。
「えー!流れ的になんか想像出来てたけどマジか」
前回と同じようにクライブはテレビに釘付けになる。
『さて、今回もデープ国最長の歴史を持つ『虎胃伝』に訪れたようです。前回と同じ過ちを繰り返さないようにスタッフは細心の注意を払っております』
「めっちゃトラウマになってるじゃん」
そして、スタジオのコールに合わせてVTRが映し出される。前と同じ虎胃伝だ。しかし、頑張って挨拶しているマルセルの周りに怖い顔したスーツのゴリゴリマッチョマンが二人いる。恐らく変なことが出来ないようにと監視役でも付けられたのだろう。
「ここまでするならやらなきゃいいのに」
思わず本音がこぼれた。
(スタッフ)『ではマルセルさん。行きましょう』
マルセルがドアを開けた先には前と同じボロい店内が映し出される。しかし、店主だけは前と同じ人ではなくもっと若い男性になっている。
『あれ?この前のおじいちゃんじゃないの?』
『実は、マスターは……旅行先のファリア国で側溝にハマってしまって帰ってこられないのです』
(スタッフ)『それで今は息子さんのあなたが?』
『あ、僕虎胃伝の常連の息子の甥です』
「初っ端から複雑すぎだろ色々」
複雑な家族(?)関係だ。ちなみに臨時マスターは虎胃伝に行ったことが無いらしい。もう訳が分からないよ。
『じゃあ料理の方は?』
『マニュアル通りに具材を混ぜてるだけですね』
『味は?』
『最低ですね』
『じゃあ不味いってこと?』
『端的に言えば』
『わぁー!めっちゃ食べたくない!スタッフさん食べて!』
(スタッフ)『そういうのは嫌だなぁ……。もし食べられなかったら黒服にあげてください』
『いいの?』
『御意』
『やったー!』
「黒服そのためにいるの?」
(スタッフ)『それでは注文の方を……』
『じゃあ白米のメロンソーダ漬けで』
(スタッフ)『待ってください!こんなきしょい料理頼まないでくださいよ!』
『だってなんか面白そうなんだもん』
(スタッフ)『ええい黙れ!行け黒服A、この白髪野郎を殴って黙らせるのだ』
『御意』
「どんな世界観だよ」
黒服の存在が敵なのか味方なのかいまいち理解できない。そして黒服はスタッフに命令されたように殴ろうとした。しかし、周知の通りマルセルは魔法使いなので一瞬のうちに黒服は服だけを燃やされた。
『あはは!これじゃあ黒服じゃなくて黒焦げだね』
「なに上手いこと言ってんだよ」
服をの脱がされた黒服は別の覆面スタッフによって退場させられた。その方向からは「この役立たずが!」と罵声が聞こえてくる。
「だからどんな世界観なんだよ」
多分このテレビ局ヤクザと繋がってる。
そんなことはさておき、カメラは厨房を写している。前回と違い少し小汚くなった感じだ。
『えっと、メロンソーダ漬けですよね』
『うん』
『それじゃあメロンソーダをご飯にかけるだけでできますよ』
『温めないの?』
『温めたければ』
『じゃあ温めて!』
『わかりまし……あっ、コンロ壊れてんじゃんやる気失くしたわ。あー仕事やりたくね』
「意思弱っ!」
『じゃあ魔法で温めるから店員さん休んでていいよ』
『ありがとうございます』
そう言って臨時マスターは冷蔵庫の中へと入っていった。
「バイトテロかよ」
そしてマルセルは自分で鍋を温め、盛り付け、自分の席へと運んで行った。まるでセルフサービスだ。
『よーし、準備完了!』
マルセルの目の前にはグツグツの煮えたぎった深緑色のご飯がある。パッと見は苔の生えたリゾットだ。
『それじゃあいただきます!』
マルセルはスプーンで掬えるだけ米を掬った。そしてそれを口に運ぶ。何回か咀嚼したが特に変わった様子を見せない。
「こりゃひょっとして実は美味いとかか?」
(スタッフ)『お味の方は……?』
スタッフが聞きたいことを聞いてくれた。
『味?くそ不味いよ?』
『え?』
『だってメロンソーダとご飯だよ?合うわけないじゃん馬鹿なの?』
『……』
『……』
『それでは、これにて第一回″素人レポーター、町を歩くver 2″は終了です。また次をお楽しみに~!』
残念ながら第一回″素人レポーター、町を歩くver 2″は不穏な空気のまま終わった。当然クライブは今「観なきゃよかった」という念に駆られている。
『それではさっきまでのクソコーナーとはなんも関係ない臨時ニュースをお伝えします』
「早速クソコーナーって呼ばれてるし」
『先程、虎胃伝が放火されているという情報が入りました』
「関係なくねーじゃねぇか!因果関係丸出しだよ!」
こうして、″素人レポーター、町を歩くver 2″は第三回で三十路OLの幽霊が写り込むという放送事故の末お蔵入りとなった。
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