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日常編(単発)
ゴールデンタイム
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ある日、クライブが夕食を食べながらニュースを見ていると、時間が変わりバラエティー番組が始まった。見たことも聞いたこともないタイトルなので恐らく新番組かなにかだろう。早速テレビには金色に装飾されたスタジオが写り、その中央に立つ二人の出演者にカメラがズームインしていく。
『さぁ始まりました、タックルジャイアント!』
『いやーついに始まりましたね~。実は今日の収録楽しみだったんですよ』
『そうなの?全然そうには見えませんでしたけど』
『最近はね、旅番組ばっかりだったから座って笑ってればいいこの収録は楽そうだなーって』
『お前ただ楽したいだけじゃねぇか!』
(観客席:ワハハハハ)
「ふーん、普通のバラエティ番組か。このスタジオの豪華な感じ、ランキング系かな?」
紅茶の注がれた白磁のカップを右手に、未知の番組の内容を考察していた。確かにクライブの考えは妥当だと思うが果たして当たっているのだろうか。
『それじゃあ早速始めますか!では、ピーターさん、この番組は一体どんな番組ですか?』
『はいアランさん!この番組は、視聴者の方から送られてきました心霊映像を垂れ流しするという俗に言う心霊番組でございます!』
「この派手なスタジオで心霊かよ!」
予想見事に外れけり。
『それでは、早速第一発の心霊映像いっちゃいましょう!』
そうコメントすると、女性の悲鳴と共に真っ黒な画面に切り替わりVTRがスタートした。
『それでは、この心霊映像から見て頂こう……』
ここからは無駄に低い声の彼がナレーターらしい。
『ペンネーム:竹串の先っぽさんからの提供です。この映像は、ある家族の誕生パーティーの映像である……』
テレビには少し古い映像で誕生日ケーキの乗ったテーブルを囲む家族の映像が映った。
『Happy brthday to you……』
「無駄に発音いいな」
『それじゃあ蝋燭の火を消しましょうね~』
そう母親に言われると、きっと誕生日を迎えたであろう小さな女の子がどこかに走り去ったかと思うと、ブロワーを持ってきてケーキ諸共吹き飛ばした。
『お分かりいただけただろうか……。こんな家族、怖いですよね……?』
「なに同意求めてきてるんだよ。怖いけどさ」
クライブのツッコミには目もくれず(テレビだから当たり前だけどね)ナレーターは次のビデオを紹介した。
『お次は、ペンネーム:虹色三角筋さんからの提供です。これは、友達と集まった時に撮影した映像だそうだ……』
テレビにはジムらしき所にいる三人(撮影者も入れると四人)が映った。
『見ろよ~俺の胸筋!』
『俺の背筋も見てくれよ~!』
『俺の辛子明太子も見てくれよ~!』
『お前らのもすごいけど俺の頬筋はどうだ!』
『お分かりいただけただろうか……。こんなムキムキ金髪軍団、街ですれ違ったら怖いよね……?』
「それはお前の主観じゃねぇかよ。てかこれ送ったやつ自分らのこと怖いって思ってたのかよ。あと一人明太子持ってた奴いたな」
そして、場面は再びスタジオに戻る。『いやー怖かったですね』
「ほんとかよ」
『そして、ここで非常に、まじで、ほんとに、クソクソ残念なお知らせなのですが、この番組は今回で最終回となります』
「随分と唐突だな」
『理由は、送られてくる映像が加工ばかりで胡散臭い心霊番組になってしまうからです』
「じゃああの二つは選りすぐりって事か?」
『ちなみに先程の二つの映像はスタッフが苦渋の選択をし残った選りすぐりのおもしろ映像を心霊映像としてお送り致しました』
「改竄してたのかよ」
『それでは、次回からこの時間帯は“全国津々浦々、明太子グランプリ”をお送り致します』
「明太子限定かよ」
こうして、無駄な時間を過ごしたと後悔したクライブはそそくさと食器をもってキッチンに行ってしまった。ちなみに『全国津々浦々、明太子グランプリ』の司会はお察しいただけただろうか……。どうやら筋肉友達の中で辛子明太子を誇張していた奴らしい。そして超人気番組になった。
『さぁ始まりました、タックルジャイアント!』
『いやーついに始まりましたね~。実は今日の収録楽しみだったんですよ』
『そうなの?全然そうには見えませんでしたけど』
『最近はね、旅番組ばっかりだったから座って笑ってればいいこの収録は楽そうだなーって』
『お前ただ楽したいだけじゃねぇか!』
(観客席:ワハハハハ)
「ふーん、普通のバラエティ番組か。このスタジオの豪華な感じ、ランキング系かな?」
紅茶の注がれた白磁のカップを右手に、未知の番組の内容を考察していた。確かにクライブの考えは妥当だと思うが果たして当たっているのだろうか。
『それじゃあ早速始めますか!では、ピーターさん、この番組は一体どんな番組ですか?』
『はいアランさん!この番組は、視聴者の方から送られてきました心霊映像を垂れ流しするという俗に言う心霊番組でございます!』
「この派手なスタジオで心霊かよ!」
予想見事に外れけり。
『それでは、早速第一発の心霊映像いっちゃいましょう!』
そうコメントすると、女性の悲鳴と共に真っ黒な画面に切り替わりVTRがスタートした。
『それでは、この心霊映像から見て頂こう……』
ここからは無駄に低い声の彼がナレーターらしい。
『ペンネーム:竹串の先っぽさんからの提供です。この映像は、ある家族の誕生パーティーの映像である……』
テレビには少し古い映像で誕生日ケーキの乗ったテーブルを囲む家族の映像が映った。
『Happy brthday to you……』
「無駄に発音いいな」
『それじゃあ蝋燭の火を消しましょうね~』
そう母親に言われると、きっと誕生日を迎えたであろう小さな女の子がどこかに走り去ったかと思うと、ブロワーを持ってきてケーキ諸共吹き飛ばした。
『お分かりいただけただろうか……。こんな家族、怖いですよね……?』
「なに同意求めてきてるんだよ。怖いけどさ」
クライブのツッコミには目もくれず(テレビだから当たり前だけどね)ナレーターは次のビデオを紹介した。
『お次は、ペンネーム:虹色三角筋さんからの提供です。これは、友達と集まった時に撮影した映像だそうだ……』
テレビにはジムらしき所にいる三人(撮影者も入れると四人)が映った。
『見ろよ~俺の胸筋!』
『俺の背筋も見てくれよ~!』
『俺の辛子明太子も見てくれよ~!』
『お前らのもすごいけど俺の頬筋はどうだ!』
『お分かりいただけただろうか……。こんなムキムキ金髪軍団、街ですれ違ったら怖いよね……?』
「それはお前の主観じゃねぇかよ。てかこれ送ったやつ自分らのこと怖いって思ってたのかよ。あと一人明太子持ってた奴いたな」
そして、場面は再びスタジオに戻る。『いやー怖かったですね』
「ほんとかよ」
『そして、ここで非常に、まじで、ほんとに、クソクソ残念なお知らせなのですが、この番組は今回で最終回となります』
「随分と唐突だな」
『理由は、送られてくる映像が加工ばかりで胡散臭い心霊番組になってしまうからです』
「じゃああの二つは選りすぐりって事か?」
『ちなみに先程の二つの映像はスタッフが苦渋の選択をし残った選りすぐりのおもしろ映像を心霊映像としてお送り致しました』
「改竄してたのかよ」
『それでは、次回からこの時間帯は“全国津々浦々、明太子グランプリ”をお送り致します』
「明太子限定かよ」
こうして、無駄な時間を過ごしたと後悔したクライブはそそくさと食器をもってキッチンに行ってしまった。ちなみに『全国津々浦々、明太子グランプリ』の司会はお察しいただけただろうか……。どうやら筋肉友達の中で辛子明太子を誇張していた奴らしい。そして超人気番組になった。
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