夫のペット

かん

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実家にいたときのように、終わらない家事や、家族のサンドバッグに明け暮れることもなく、要領さえつかんだら、男の家での家事は楽なものだった。
清潔で無駄なものがないシステムキッチンには食洗機も備え付けられ、勝手に定期的に床掃除をしてくれるルンバ、乾燥機つきの洗濯機など、楽をしようと思えば、いくらでも手を抜くことができるのだ。

そして、しんどいときには休めるというのも幸せなことだった。生理前の体調不良で、帰宅後横になり、うっかり朝まで寝ていても起こされることはなくゆっくり休むことができた。それで家事を忘れてても、男が不満を言うことはなかった。むしろ、心配してナプキンや痛み止めまでかってきてくれたのだ。

実家だと、しんどくて横になっていると無理やりパンツを下ろされて血まみれなのを嘲笑われたり、ナプキンを捨てられたり、母の恋人に無理やりつっこまれ、真っ赤に汚れたそれを顔の前に持ってこられ、口で綺麗にさせられたりと、胸糞悪く、腹立たしいことをされていたのだ。

体調が悪いと、嫌なことばかり思い出して、猛烈な怒りや情けなさに襲われる。
実家ではできなかったことだが、ひとしきり泣いてみると気持ちは嘘みたいにスッキリした。顔は嘘みたいに腫れ上がってしまって、鏡を見たときは不細工な自分の顔にショックで言葉を失ったが。


生理前のホルモンの影響か、その時は強い性欲に襲われた。とにかく、セックスがしたい、股は何もしなくても濡れている状態だった。

リビングで、性器に玩具を取り付けたペットを目隠しして、乳首などを嘗めさせている男を見ていると、妙な気持ちになってしまい私はシャワーを浴びて自室に戻った。

あのペットの舌使いが、やたら脳に残ってしまっている。
音を立てて男の乳首を舐めている姿、男が気持ちよさそうに漏らす声…
そして、ペットと男のそれぞれ形の違った性器……
いつもと違って、やたらと意識してしまい、股が温かく湿るのを感じる。


ムラムラした気持ちは納まらず、男にセックスがしたいと言うべきか、自分でオナニーをするべきか悩んだ。しかし、気持ち良く楽しんでいる男の邪魔をするのも悪いので、後者を選んだ。

落ち着かない気持ちだったので、男の玩具のコレクションを手に取った。私も使って良いと言われていたからだ。使い方の良くわからないものもあるが、とりあえず電マをかりた。実家では、母らにこれを無理やり下腹部にあてられ、のたうち失禁する姿を嗤われていた。よい思い出はないが、これは手加減をすればきっと気持ちのいいものなのだろう。とりあえず、さっさと私の性欲を解消させたかった。

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