4 / 5
霊感少年の事件簿 前日譚2
しおりを挟む
あたしは、お祭りに一緒に行こうとその子を誘ったのだった。
家が比較的近く、その子にとってもあたしが一番近い子なのだ。
それなのに断ったのだ。
よくよく考えれば、これまでその子はずっと断ってきた。
「お母さんといくから」
とか、
「お祭りの準備をお祖父ちゃんとしないといけないから」
とか、いろいろな理由をつけて断ってきていた。
あたしはいつも、
「残念。仕方ないね」
とあきらめていた。あたしの地域のお祭りは、もう機能していなくて何年もしていない。だから、少し遠くのお祭りに行くのだ。お祭りには、ずっと祖父と一緒に行っていた。そこの地域の人たちは祖父に話しかけない。あたしたちはいつも空気みたいだった。祖父も居心地が悪そうだったが、あたしが行きたがるから一緒についてくるのだ。あたしにも、だんだんそれが分かってくる。だから、どうしても彼女と一緒に行きたかった。そうしたら祖父は安心して、家で待っていられるだろう。
しかし彼女は断った。
「どうして?」
あたしは聞いた。
「家の手伝いをしないといけないから、行けないかもしれないの。ごめんね」
彼女は言った。
「うそ。そう言っておいて、いつもお祭りに行ってるじゃない。ねえ、本当のことを言って。あたしの何が気に入らないの?」
「気に入らないところなんてないよ。キリコちゃんはお友達だよ」
困ったように彼女は言った。
「あたしが山に住んでいるからなの?お父さんとお母さんがいないからなの?人殺しが身内にいるからなの?だから、遊んじゃダメってお父さんとお母さんに言われているの?」
あたしはずっと胸の中にわだかまっていたものを彼女に吐き出した。あたしに問い詰められ、彼女は途方に暮れたような顔をした。
「違うよ、あたしのお父さんもお母さんもそんなこといわないよ」
「じゃあ、どうして」
「キリコちゃんが・・・」
そう言いかけて、彼女は目をうろうろさせた。
「あたしが、なに」
あたしが聞き返すと、彼女は泣きそうな顔をした。
「なんでもないの」
「言ってよ。言わないと分からないよ」
あたしが一歩も引かないことがわかったのか、観念したように彼女は話した。
「あのね…おじいちゃんたちがいってたの。キリコちゃんたちの住んでいるところは呪われてるって。だから、キリコちゃんにかかわるなって。でもこれはサベツだから、外でゼッタイ言っちゃダメって・・・。お願い。あたしがいってたって誰にも言わないで」
そう言って、彼女はシクシク泣き出した。
あたしには彼女が嘘をいっているように思えなかったが、内容はあまりに荒唐無稽だった。10歳の私でもおかしいと思った。
(くだらない、年寄りのメイシンじゃない!)
あたしは走って家に帰った。
次の日、夕方になるにつれて祖父がソワソワするのが分かった。
ついに祖父が、
「お祭りに行かないのかい?」
と聞いてきた。
「行かない」
あたしは答えた。目からポロっと涙がこぼれて、堰を切ったようにどんどん私の頬を伝っていった。
家が比較的近く、その子にとってもあたしが一番近い子なのだ。
それなのに断ったのだ。
よくよく考えれば、これまでその子はずっと断ってきた。
「お母さんといくから」
とか、
「お祭りの準備をお祖父ちゃんとしないといけないから」
とか、いろいろな理由をつけて断ってきていた。
あたしはいつも、
「残念。仕方ないね」
とあきらめていた。あたしの地域のお祭りは、もう機能していなくて何年もしていない。だから、少し遠くのお祭りに行くのだ。お祭りには、ずっと祖父と一緒に行っていた。そこの地域の人たちは祖父に話しかけない。あたしたちはいつも空気みたいだった。祖父も居心地が悪そうだったが、あたしが行きたがるから一緒についてくるのだ。あたしにも、だんだんそれが分かってくる。だから、どうしても彼女と一緒に行きたかった。そうしたら祖父は安心して、家で待っていられるだろう。
しかし彼女は断った。
「どうして?」
あたしは聞いた。
「家の手伝いをしないといけないから、行けないかもしれないの。ごめんね」
彼女は言った。
「うそ。そう言っておいて、いつもお祭りに行ってるじゃない。ねえ、本当のことを言って。あたしの何が気に入らないの?」
「気に入らないところなんてないよ。キリコちゃんはお友達だよ」
困ったように彼女は言った。
「あたしが山に住んでいるからなの?お父さんとお母さんがいないからなの?人殺しが身内にいるからなの?だから、遊んじゃダメってお父さんとお母さんに言われているの?」
あたしはずっと胸の中にわだかまっていたものを彼女に吐き出した。あたしに問い詰められ、彼女は途方に暮れたような顔をした。
「違うよ、あたしのお父さんもお母さんもそんなこといわないよ」
「じゃあ、どうして」
「キリコちゃんが・・・」
そう言いかけて、彼女は目をうろうろさせた。
「あたしが、なに」
あたしが聞き返すと、彼女は泣きそうな顔をした。
「なんでもないの」
「言ってよ。言わないと分からないよ」
あたしが一歩も引かないことがわかったのか、観念したように彼女は話した。
「あのね…おじいちゃんたちがいってたの。キリコちゃんたちの住んでいるところは呪われてるって。だから、キリコちゃんにかかわるなって。でもこれはサベツだから、外でゼッタイ言っちゃダメって・・・。お願い。あたしがいってたって誰にも言わないで」
そう言って、彼女はシクシク泣き出した。
あたしには彼女が嘘をいっているように思えなかったが、内容はあまりに荒唐無稽だった。10歳の私でもおかしいと思った。
(くだらない、年寄りのメイシンじゃない!)
あたしは走って家に帰った。
次の日、夕方になるにつれて祖父がソワソワするのが分かった。
ついに祖父が、
「お祭りに行かないのかい?」
と聞いてきた。
「行かない」
あたしは答えた。目からポロっと涙がこぼれて、堰を切ったようにどんどん私の頬を伝っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる