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強い想いと願い
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こうする、と決めてからは、もう迷いも無くなって体が軽くなったような気がした。瘴気の苦しさも感じない。体の底から力が溢れてくるような、今なら何でもできるような気がする。それは、私も死に近付いているからなのか。それとも、火事場の馬鹿力なのか、もしくはアドレナリンが出ているのか。自分でも分からないが、とにかく私は、目の前で今にも化け物に成り果てようとしている目隠しさんを救いたい一心だった。
目隠しさんは、そんな私の気配を感じてゆっくりと顔を上げる。仮面越しでも、何故、と言いたげな視線を感じた。こんなに苦しそうなのに、それでも私のことを助けようとしてくれるなんて、本当に貴方は優しい。私はただ、そんな目隠しさんの想いに、少しでも何かを返したいと思ったのだ。
「………ハやく、逃…………っ!」
苦しそうに吐息を漏らす目隠しさんを、私は何も言わずに抱きしめた。所々化け物に変化しつつあろうが、私は彼のことを怖いなんて、ちっとも思わない。ただ何も言わずに力強く抱きしめた。例えこれで、理性を失った目隠しさんに切り殺されて食べられたって、私が選んだことなのだから怨みも悔いもしない。
驚いて固まる目隠しさんの体と私の体は、ピッタリと重なっている。私の体温が、冷たい目隠しさんの体に移ってジンワリと温かくなっていく。こうして触れ合うと、彼の体の異様な冷たさが、もう彼が生きている人間ではないことを改めて実感させられて、ならばせめて、死後くらいは安らかな、救いのある道を辿って欲しいと、そう願ってしまう。化け物になんか、させたくない。
そんな私の強い願いが通じたのか。何故か私の体が温かい光を帯びて、目隠しさんの体諸共包み込んだ。やがてその光は、溢れ出すように周囲にも広がり始め、視界を悪くしていた瘴気も払っていく。変化しつつあった目隠しさんの体は徐々に戻っていき、失いかけていた理性もしっかりと取り戻し始めていた。
「………これは…………」
「目隠しさん………!もう苦しくない………?」
「………お前の、生命力の力か………」
その声音は、いつもの低く安心するような静かな声音で、彼が変化せずに済んだことを悟った。瘴気も無くなったので、私の体も毒に侵されることはない。これで、倒れている吉光も無事な筈だ。
後は…………。
「ア………アタタカイ………ヒカリ………」
既に化け物に変化してしまった体は戻らないものの、意識は少しだけ取り戻したのだろうか。鬼が呆然と、周囲を包む光に手を翳していた。もうこちらを襲う気配を感じない。私と目隠しさんはそんな鬼の様子を見つめながら、ゆっくりと立ち上がった。目隠しさんが静かに右手に大鎌を取り出す。
「殺すの………?」
「………一度化け物になった者は、もう二度と戻らない………。殺すことが、アイツにとっても救いになる………」
そして目隠しさんが大鎌を一振りすると、鬼の体は真っ二つに引き裂かれた。ボロボロと土のように崩れて消えていく巨体から、光り輝く大きな球体がフヨフヨと浮いて現れる。それは、目隠しさんの手の中へとゆっくり飛んできて、一層の輝きを増した。
「これは………」
「………あの鬼の魂だ………。これを食らうことで階級が上がる………」
そして目隠しさんがその魂を体の中に取り込んだ。終わった。助かったんだ。私も、目隠しさんも、吉光も。そう実感すると急に体の力が抜けて、ふらりと体が傾く。でもすぐに目隠しさんが私の体を支えてくれて、ヒョイと軽々しく抱き上げてくれた。またお姫様抱っこ………。目隠しさんって、無自覚なのかな………。
「………生命力を使い過ぎている………。少し休む必要がある………」
「目隠しさんって…………」
「…………?」
「おうじさま、みたい、だね…………」
「…………!?」
いつもピンチになると助けてくれて、スマートにお姫様抱っこもしてくれるし、強いし………。私は微睡む意識の中で、思ったことを率直に彼に伝えた。目隠しさんはそんな事を言われると思っていなかったのか、珍しく動揺した様子を見せていて、そんな彼の姿に私も小さく笑みを溢す。幽霊だけど、私にとってはヒーローのような、そんな存在だ。だって今も、昨日も、私は貴方のお陰で生きている。
そしてゆっくり閉じた目の向こうで、小さく、
「………救われたのは、俺の方だ………」
そう、目隠しさんが呟いていたのは、夢か、現実か………。私はそのまま意識を手放したのである。
「…………俺の力不足のせいで、すみませんでした」
目が覚めた時、そこは見慣れたグラウンドの片隅だった。鬼を倒した事で、私たちは元の世界に戻ってこれたのだ。吉光も無事に意識を取り戻したが、その表情に喜びは無かった。目を覚ました後、1番に私の身を案じてくれて、無事である事に安心したら、今度は表情に曇りを落として、謝罪の言葉を口にしたのだ。
「俺の浅はかな作戦が、逆に恋白を危険な目に遭わせてしまった。それに………貴方のことも」
「……………」
力不足、修行不足、経験不足………。吉光自身が、それを痛感し、悔やんでいる。吉光だって、まだ高校生だ。今足りないものは、これから沢山積んでいき、神主として強くなっていくだろう。今日のことだって、その為の糧になる筈だ。
「化け物になれば、もう魂は救えない。たくさんの人を危機に晒すかもしれないし、霊魂は無となって消えるだけ。誰も………救われない。御神木に強い力があるのは知っていましたが、まさかあそこまでとは………」
後悔ばかりが浮かぶ吉光の肩を、私がそっと叩いた。ゆっくり顔を上げる吉光の目が、ニッと笑う私の笑顔を捉えて光が戻る。
「でも、私はあの時、吉光に助けてもらったよ!」
鬼に引き摺り込まれて、食べられそうになっていたところを助けてくれたのは、紛れもなく吉光だ。普通の人なら怖くて逃げ出すような場面も、勇敢に立ち向かっていた。今はそれだけでも合格点なのではないだろうか。
「いつも守ってくれてありがとう、吉光」
「………恋白…………」
そんな私の励ましが心に響いたのか。吉光は目をキラキラと輝かせながら、突然私の手を握りしめてきた。ぐい、と顔を近づけてくる吉光。もうすっかり普段の調子に戻ったようである。このままだとキスしてしまうのではないかという程に近付いてきた頃、ガシ、と吉光の頭を掴む手。目隠しさんだ。
「………俺たち亡霊を救いたいと思うのなら………、もっと修行を積むことだ………」
「く………返す言葉もない………」
「………俺すら祓えない間は………到底一人前とは呼べない…………」
悔しそうだが、返す言葉もなく押し黙る吉光。目隠しさんに引き剥がされた彼は、地面に無造作に落ちていたスクールバッグを拾い上げ、私たちに背を向けた。時刻は既に19時を回っており、すっかり日も暮れてしまっている。吉光は校門に向かって歩いていた足を途中で止め、まるで捨て台詞のように振り返る。
「いつか………いつか必ず、貴方の魂も救ってみせますよ!」
「………………」
「また明日ねー!吉光ー!」
そして1人帰っていくその背中を見送って、私と目隠しさんも歩き出す。今日の夕飯は何だろうなー、と、くだらない会話を幽霊相手に一方的に繰り広げながら、私たちは温かい我が家へと歩みを進めるのだ。
「………俺が祓うまでは、恋白の守護霊として………働いてもらいますからね…………」
帰路の途中、ポツリと呟かれた吉光の独り言は、誰に拾われることもなく、夜道にそっと消えた。
目隠しさんは、そんな私の気配を感じてゆっくりと顔を上げる。仮面越しでも、何故、と言いたげな視線を感じた。こんなに苦しそうなのに、それでも私のことを助けようとしてくれるなんて、本当に貴方は優しい。私はただ、そんな目隠しさんの想いに、少しでも何かを返したいと思ったのだ。
「………ハやく、逃…………っ!」
苦しそうに吐息を漏らす目隠しさんを、私は何も言わずに抱きしめた。所々化け物に変化しつつあろうが、私は彼のことを怖いなんて、ちっとも思わない。ただ何も言わずに力強く抱きしめた。例えこれで、理性を失った目隠しさんに切り殺されて食べられたって、私が選んだことなのだから怨みも悔いもしない。
驚いて固まる目隠しさんの体と私の体は、ピッタリと重なっている。私の体温が、冷たい目隠しさんの体に移ってジンワリと温かくなっていく。こうして触れ合うと、彼の体の異様な冷たさが、もう彼が生きている人間ではないことを改めて実感させられて、ならばせめて、死後くらいは安らかな、救いのある道を辿って欲しいと、そう願ってしまう。化け物になんか、させたくない。
そんな私の強い願いが通じたのか。何故か私の体が温かい光を帯びて、目隠しさんの体諸共包み込んだ。やがてその光は、溢れ出すように周囲にも広がり始め、視界を悪くしていた瘴気も払っていく。変化しつつあった目隠しさんの体は徐々に戻っていき、失いかけていた理性もしっかりと取り戻し始めていた。
「………これは…………」
「目隠しさん………!もう苦しくない………?」
「………お前の、生命力の力か………」
その声音は、いつもの低く安心するような静かな声音で、彼が変化せずに済んだことを悟った。瘴気も無くなったので、私の体も毒に侵されることはない。これで、倒れている吉光も無事な筈だ。
後は…………。
「ア………アタタカイ………ヒカリ………」
既に化け物に変化してしまった体は戻らないものの、意識は少しだけ取り戻したのだろうか。鬼が呆然と、周囲を包む光に手を翳していた。もうこちらを襲う気配を感じない。私と目隠しさんはそんな鬼の様子を見つめながら、ゆっくりと立ち上がった。目隠しさんが静かに右手に大鎌を取り出す。
「殺すの………?」
「………一度化け物になった者は、もう二度と戻らない………。殺すことが、アイツにとっても救いになる………」
そして目隠しさんが大鎌を一振りすると、鬼の体は真っ二つに引き裂かれた。ボロボロと土のように崩れて消えていく巨体から、光り輝く大きな球体がフヨフヨと浮いて現れる。それは、目隠しさんの手の中へとゆっくり飛んできて、一層の輝きを増した。
「これは………」
「………あの鬼の魂だ………。これを食らうことで階級が上がる………」
そして目隠しさんがその魂を体の中に取り込んだ。終わった。助かったんだ。私も、目隠しさんも、吉光も。そう実感すると急に体の力が抜けて、ふらりと体が傾く。でもすぐに目隠しさんが私の体を支えてくれて、ヒョイと軽々しく抱き上げてくれた。またお姫様抱っこ………。目隠しさんって、無自覚なのかな………。
「………生命力を使い過ぎている………。少し休む必要がある………」
「目隠しさんって…………」
「…………?」
「おうじさま、みたい、だね…………」
「…………!?」
いつもピンチになると助けてくれて、スマートにお姫様抱っこもしてくれるし、強いし………。私は微睡む意識の中で、思ったことを率直に彼に伝えた。目隠しさんはそんな事を言われると思っていなかったのか、珍しく動揺した様子を見せていて、そんな彼の姿に私も小さく笑みを溢す。幽霊だけど、私にとってはヒーローのような、そんな存在だ。だって今も、昨日も、私は貴方のお陰で生きている。
そしてゆっくり閉じた目の向こうで、小さく、
「………救われたのは、俺の方だ………」
そう、目隠しさんが呟いていたのは、夢か、現実か………。私はそのまま意識を手放したのである。
「…………俺の力不足のせいで、すみませんでした」
目が覚めた時、そこは見慣れたグラウンドの片隅だった。鬼を倒した事で、私たちは元の世界に戻ってこれたのだ。吉光も無事に意識を取り戻したが、その表情に喜びは無かった。目を覚ました後、1番に私の身を案じてくれて、無事である事に安心したら、今度は表情に曇りを落として、謝罪の言葉を口にしたのだ。
「俺の浅はかな作戦が、逆に恋白を危険な目に遭わせてしまった。それに………貴方のことも」
「……………」
力不足、修行不足、経験不足………。吉光自身が、それを痛感し、悔やんでいる。吉光だって、まだ高校生だ。今足りないものは、これから沢山積んでいき、神主として強くなっていくだろう。今日のことだって、その為の糧になる筈だ。
「化け物になれば、もう魂は救えない。たくさんの人を危機に晒すかもしれないし、霊魂は無となって消えるだけ。誰も………救われない。御神木に強い力があるのは知っていましたが、まさかあそこまでとは………」
後悔ばかりが浮かぶ吉光の肩を、私がそっと叩いた。ゆっくり顔を上げる吉光の目が、ニッと笑う私の笑顔を捉えて光が戻る。
「でも、私はあの時、吉光に助けてもらったよ!」
鬼に引き摺り込まれて、食べられそうになっていたところを助けてくれたのは、紛れもなく吉光だ。普通の人なら怖くて逃げ出すような場面も、勇敢に立ち向かっていた。今はそれだけでも合格点なのではないだろうか。
「いつも守ってくれてありがとう、吉光」
「………恋白…………」
そんな私の励ましが心に響いたのか。吉光は目をキラキラと輝かせながら、突然私の手を握りしめてきた。ぐい、と顔を近づけてくる吉光。もうすっかり普段の調子に戻ったようである。このままだとキスしてしまうのではないかという程に近付いてきた頃、ガシ、と吉光の頭を掴む手。目隠しさんだ。
「………俺たち亡霊を救いたいと思うのなら………、もっと修行を積むことだ………」
「く………返す言葉もない………」
「………俺すら祓えない間は………到底一人前とは呼べない…………」
悔しそうだが、返す言葉もなく押し黙る吉光。目隠しさんに引き剥がされた彼は、地面に無造作に落ちていたスクールバッグを拾い上げ、私たちに背を向けた。時刻は既に19時を回っており、すっかり日も暮れてしまっている。吉光は校門に向かって歩いていた足を途中で止め、まるで捨て台詞のように振り返る。
「いつか………いつか必ず、貴方の魂も救ってみせますよ!」
「………………」
「また明日ねー!吉光ー!」
そして1人帰っていくその背中を見送って、私と目隠しさんも歩き出す。今日の夕飯は何だろうなー、と、くだらない会話を幽霊相手に一方的に繰り広げながら、私たちは温かい我が家へと歩みを進めるのだ。
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