重すぎる愛

古明地 蓮

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どちらの愛が重いのか

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僕は、とある女子に愛されている。
非常に顔も良く、性格も優しかったので、愛されていると気づいたとき、とてもうれしかった。
そして先日、とうとう告白をされた。
もちろん断る気なんて毛頭なかった。
だから、即答でOKした。
付き合って最初の方は、とても楽しく、こんな日がずっと続くと思ってた。
とある日、そんな僕の希望は打ち砕かれた。
彼女が僕から友達を遠ざけた。
話しているときに割って入ったり、帰りに呼び出して一緒に帰らされたりと、友達と疎遠になることを始めた。
それでも、彼女が良い子だと知っていたから、全然よかった。
ただ、彼女には、ヤンデレ気質があることに気づいた。
そんなある日、僕は散歩ということにして、彼女と関係のない女友達と話していた。
そうしないと、彼女がついてきてしまうのだ。
そして、公園まで一緒に歩いてきた。
そして、彼女に話しかけた。

「このところ大変なんだよね」

「どうしたの?
 彼女がいて、楽しそうじゃん」

「そうなんだけどそうじゃないんだよ」

「どういうこと?」

「彼女に愛されていて楽しいのは事実なんだけど、愛が強すぎるんだよ」

「つまりヤンデレと?」

「そうなんだよね。
 僕を束縛しようとしてくるんだよね」

「どのくらい大変なの」

「友達と強引に疎遠にさせられたんだ」

「それは…大変ね」

「それだけじゃないんだよ。
 こないだ、同棲したいって言ってきたんだ」

「年齢的に早すぎない?」

「そうだよね。
 僕らまだ高校生だよ。
 しかも僕は、実家暮らしだから無理だと思ってたんだよ」

「無理じゃなかったと?」

「こないだ遊びに来た時に、彼女が親に同棲していいか聞いてたんだよ。
 そしたら、僕が大人になるためだからといって、許可しちゃったんだよ」

「じゃあ、今同棲してるってこと?」

「そうなんだ。
 今日は、散歩ってことにしてるからついてきてないけど、普通だったらついてきちゃうんだよね」

「本当に大変そうね」

「束縛されるのは嫌いじゃないけど、一人の時間がどんどん減ってるんだ」

「まあ、私から言えることは、がんばれってことかな」

ため息をつこうと思ったら、携帯が鳴った。
携帯を見ると、彼女からの電話だった。
女子の声が聞こえるとやばいと思い、彼女に

「静かにしててね」

といってから電話に出た。

「もしもし?」

「もしもし?
 そこに女子がいるよね?」

「いないけど?」

「カバンの中に盗聴器入れてあるからね。
 どこに行ってたか、誰かと話しているかわかるんだよ」

「ごめん」

「私以外の女子と話さないでって言ったじゃん
 ちゃんと話聞いてよね。
 とりあえず、いますぐ帰ってきて」

そういうと、彼女は電話を切った。

「どうだった?」

と聞いてくる友達に

「帰らないといけなくなったから帰るね」

「あんたも大変そうだけど、がんばって」

そう言って、友達と別れて家に帰った。
玄関に、怒りと嫉妬の混じった彼女がいた。

「何してたの?」

「散歩していたら偶然会ったからちょっと話してたんだ」

「私以外の女のことは話さないでって言ったでしょ」

「ごめん」

「次やったら、本当に監禁するからね。
 それじゃ私、ちょっと行ってくるから」

「どこか行くのか?」

「今日は塾があるの」

「それは大変だな。
 行ってらっしゃい」

「行ってきます」

そう言って彼女が家を見たのを見計らい、僕は自室に戻った。

「はは」

ずっとこらえてた笑みが漏れた。
僕は、盗聴器の存在を知っていた。
じゃあ、なぜあの子と話したのかって?
それは、彼女の嫉妬してる顔が見たかったからさ。
彼女の怒ってる顔が可愛くて、愛おしい。

本当に愛が重いのは、僕か、彼女か
一体どっちなんだろうな
嗚呼、本当に心の底から思う

「本当に愛してる、大好きだよ」
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感想 2

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みんなの感想(2件)

風の吹くまま気の向くまま

怖い"(-""-)"
どっちがって......それは、もちろん......

2020.06.09 古明地 蓮

読んでくださりありがとうございました
どっちでしょうね
私はどっちも耐えられなさそうですが

解除
ねる
2020.05.27 ねる

読ませて頂きました。
とてつもなく愛が重く感じる話だなと思いました。

2020.06.09 古明地 蓮

読んでくださりありがとうございました
愛はとても重く、時に人を縛り、時に人を殺すものです
重すぎる愛は怖いですね

解除

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