人生は小説よりも奇なるか

古明地 蓮

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忘れかけた紺色

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乙女心や人生などとよく比較される小説
お題目として
「人生は小説よりも奇なり」
なんて言われたりしている
しかし、実際はどうだろうか
所謂ライトノベルのように、死んだら異世界転生なんてことは起きていない。
新しい能力が突然開花するなんてことも起きはしない
では、本当に人生は小説よりも奇なるか
とある人物のノンフィクションストーリーを元に読んでいこう

都市と呼ぶには殺伐としているが、田舎と呼ぶような広大な畑もない土地に、ある少年が生まれた。
平凡な子供のように見えていたが、私が知る中でもこれほどの人はいないと呼べるような人になるとは、まだ誰も知らなかった。
少しずつ成長を重ね、段々と喋るようになってきた頃、親が音楽を教え始めた。
親は音楽に対しての才能があると思っていたそうだ。
音を知り、音に導かれるように学んでいったそうだ。
しかし、類稀な才能を発揮し始めたのは、音楽を学び始めて1年がたった頃のことだった。

まだ幼い子供が、足し算を理解したのだ。
しかも、親は一切教えていなかったそうだ。
それでも、1桁の足し算をいともたやすくできるようになっていた。
これこそが、類稀な才能の一つである。

とはいえ、それ以外には卓越した才能はないように思えた。
音楽についても、かなりの耳の良さを活かして、頑張ったが努力を怠った。
声を出さず、ピアノに触れなかったからか、それ以上の能力は引き出せなかった。
だから、なんら周りと変わらない少年に育って言った。

幼稚園は、元は親のすすめでいいところに通わせる予定だったが、引っ越したために近所のキリスト教系のところにしたそうだ。
だから、今でも彼はキリスト教の信者である。
幼稚園の中では、狭いところを好み、ダンボールなどで小屋を作って遊んでいた。
友達が多かった訳では無いが、仲のいい友達は、とことん仲が良かった。
相手の家に上がったほどだったからか、別れた時は辛かった。

しかし、身内に悲劇が起きた。
祖父が亡くなったのだ。
膵臓癌だったため、長くは持たなかったということをあとから聞いた。
当初は、混乱してしまい、自殺しようとした。
今でも、右目の真横に切ったあとがある。
刃物で目の横を切ったため、失血で死にかけたらしい。
危うく助かったが、それ以来性格が捻れて言ったと思う。

小学生になってからは、少し内気な性格となっていった。
本当に仲のいい人以外は、話しかけられなければ喋らないし、無視することもあった。
それでも、孤立しなかったのは、一緒にいてくれる友達がいたからだろう。
ただ、その子は小三になる前になる前に死んでしまった。
また身に降りかかる不幸に、もう一度自殺しようとした。
学校にある、木製のロッカーに、そのまま倒れて頭をぶつけてみたのだ。
後頭部からの出血だったが、特に命に別状はなく、助かった。

しかし、今度は自分の心に問題が起きた。
頭を売った衝撃と、これまでのストレスで、記憶を失ったと思ったのだ。
さらにいえば、二重人格になってしまった。

記憶がほとんどない状態で新しく生まれた少年は、優しさを持っていなかった。
喧嘩や問題行動を起こしまくったのだ。
しかも、この荒れ果てた心の状態に、さらに魔の手が伸びてきた。

親戚のヤクザに誘われたのだ。
夜遅くに家を空けるために、剣道の練習という体で、ヤクザの仕事をさせられた。
とは言っても、そんなに大変なことでもなく、車も見守りとかの楽な仕事しか無かった。
しかし、この恐ろしさにすぐ気付かされることになった。

それは、学校のほとんどの連中がヤクザとつるんでいたのだ。
しかも、そいつらはもっとやばいやつらとつるんでいたし、親戚のような関係者もいなかった。
親戚なら、楽な仕事だけを与えてくれるが、そうでなければ辛い仕事が多い。
麻薬の運び屋に詐欺電話の掛子受け子などなど
ただ、地方一帯で狂っていたからか、警察にも捕まらなくて済んだ。

そして、ここから裏の世界での暗躍が始まった。
まずは手始めに、頭と運動神経の良い奴を数人かきあつめた。
その頃には、元のヤクザからは手を引いていたし、関わらないようにしていた。
それに、一応剣道の稽古もしていたからか、棒1本あれば負けることは無かった。

次に、集めたヤツらで適当な場所を確保して、事務所的な場所を作った。
メンバーは、学校の悪で有名なやつとか、頭のキレるやつだけど、人と話さないやつなど、様々だった。
そのおかげか、色んなところに手を出しながら、他の勢力に負けないようにできた。
武器をくれるやつもいたし、金をくれるやつもいて、弱小にしては色々できた。
他のところに合併されないように警戒して、とにかく力を溜め込んだ。
そして、裏の世界の警察へと進化していくことになる。

まず、蓄えた武器などを手に、クラスメートが、働いている場所を壊して、そいつを取り込んだ。
窓を叩き割り、首を掴んで事務所に連れてった。
そして、上手く言いくるめて、そいつへの責任がないように組を抜けさせてやった。

こうやって、少しずつ足を洗わせて、普通の人間に戻してやった。
これがこの少年の物語の半分と言ったところだろう。
ここからは想像も出来ないような人間に生まれ変わるまでを見ていこうか。
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