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いつも幸せは最後に訪れて
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マイクを持った諒一は、さながら熱血系のバンドのリーダーだった。
意外にもうまいそのトークテクニックと、観衆の注目を集められるカリスマ性は、やっぱりあいつにしかないものだ。
あのさわやかで、全く暑さなんて感じさせない澄んだ川の流れのような声で言った。
「本日は、僕たち『青空に翔ける』の演奏を聞きに来てくれてありがとう
今日は合計で三曲お届けする予定だから、楽しみしててね」
というと、観衆が明るくざわつきだした。
その光景を見るに、やっぱり諒一は人気者というか、スターなんだろうなぁ。
僕にとっても、多分このバンドの全員から見てもヒーローだし、立役者だ。
あいつがいないと絶対に成り立たないし、僕らがあいつを立たせているのも良く分かっている。
諒一は、僕らの方を向くと、準備が万端かどうかを目線で聞いた。
僕らは、何かの隊員のように諒一の方に準備完了の視線を送った。
最後に、僕がバチでカウントをとれることをサインすると、諒一はにかっと笑った。
再び諒一は、観客の方に視線を向けると、巧みな手さばきでくるくるとマイクをまわして見せた。
「それでは演奏します
『あの夏に縋る』」
それを言われた瞬間、僕は驚きとあきれが同時に出てきた。
なんせ、『あの夏に縋る』は僕らにとって得意曲ではあるけれど、練習してきた曲じゃない。
というか、『涙色のさよなら』以外は一曲も練習していなかったから、確実に曲数が足りないとは思っていた。
それでも、この場になって急に、曲を演奏させに来るとは思わなかった。
僕は、回りの様子をうかがうと、意外とみんな落ち着いていた。
もしかしたら、諒一がこういうことをすることを予想していたのかもしれない。
そうとしか思えないほど、水上さんも山縣もあせっている様子がうかがえなかった。
だから、僕は諒一の準備が整うと、フォーカウントを取り始めた。
久しぶりすぎて、この曲のテンポを正確に思い出せなかった。
だから、すごく不安そうにフォーカウントをたたいてるのがばれてしまいそうなほど、音が震えていた。
それでも、叩ききった瞬間にそれをかき消すほどの、諒一のギターが響いた。
そして、すぐさまそれを支えるようにベースが入った。
その音を聞いて、僕も楽譜を思い出して、ドラムをたたき始めた。
その曲のドラムは、ちょっと特殊なビートをしていることは思い出せたけど、どういう刻み方だったかが思い出せなかった。
でも、諒一たちの演奏を聞いた瞬間に、あの裏の取り方が特殊なビートを思い出した。
何故か体が勝手に思い出して叩くような、体になじみやすいそのビート。
どこかの原住民の踊りにありそうな、叩きやすくて体が載ってくるビートは叩いて楽しかった。
そこで、僕ははっと気が付いた。
水上さんはどうしているのだろうかと。
諒一は声でしか伝えていないはずだ。
そうすると、水上さんは僕らが『あの夏に縋る』を演奏していることに気が付いているんだろうか。
水上さんの演奏に耳を澄ませてみた。
僕はまた驚いて、ビートが飛びそうになった。
水上さんは、ちゃんと『あの夏に縋る』を演奏していたんだ。
どこで気が付いたのか、それともどこかで連絡していたのかわからないけど、ちゃんとあの曲を弾いていた。
どこにも欠けている部分がない音楽は、僕らの間だけの世界から、どんどん観客の方に広がっていく。
演奏していると、ここら一帯が僕らの世界になっているのが肌で感じられた。
最初は音が響くかどうか、不安に感じていたけど、それを払拭するように観客まで音が届いている。
波のように、寄せては返すように何度も観客との間を行き来するこの曲は、観客がいてこそ成り立つから、届いていることが分かる。
僕らの演奏している夏と春のはざまの季節が、今まさに僕らを包んでいる。
まだ始まってさえいない夏の風が、春の気温の中に吹きすぎてゆく、一瞬を切り取ったような雰囲気だった。
この曲は、僕らにとっては実はかなり大切な一曲でもあるんだ。
確かに、かなり練習し続けた一曲ではあるけれど、それだけではないんだ。
この曲は、この三人で初めて書いた曲でもあるし、三人でコンクールに出た時の曲でもある。
僕らにとっては、一番大切な曲と言っても過言じゃないほどに、こころのよりどころになっている曲なんだ。
実は、この曲は春になってからも何度もひいてはいるんだ。
ただ真面目な練習ではなかったけど、ことあるごとに集まっては、最初に演奏する曲と言えば、この曲だった。
それだけじゃなくて、確か水上さんと初めて合わせた曲も、この曲だった気がする。
だから、水上さんからしてもかなりなじみがある曲のはずなんだ。
まあ、あの一回以降はほとんど弾いたことさえないんだろうけど。
今語るだけでも、多分片手では数えきれないほどのえ@いそーどがこの曲にはある。
だから、僕にとってはこの曲は最後に一回は叩いておきたい曲でもあったんだ。
こんな姿で、こんな状態で弾くとは思わなかったけど。それでもここでたたけると思うと幸せな気持ちになる。
あの頃の、雪のように降り積もっては雨に流され、積もっては踏まれてきた数々の努力が、にじんでいる曲なんだ。
最初にビートを忘れていたんだけどね。
気が付いたら、この曲の演奏は終わりに向かっていた。
頭の中で、世界の中の誰か、嫌もしくはこの世界の外側の人に語り掛けていたら、時間が過ぎてしまったみたいだ。
急いで、ラストに向けて盛り上げようとしたけど、時すでに遅し。
演奏は終わってしまった。
僕は、最後に占められなかったのを後悔していると、諒一が前に出てまた話し始めた。
「聞いてくださりありがとうございました
実は、この曲は全くと言っていいほど練習してこなかったんです
それどころか、今急に弾いた曲だから、多分僕はあとでメンバーに怒られますね
まあ、終ったことは置いておきますか」
というと、観客がかすかに笑い声を積もらせた。
塵も積もれば山となるっていうだけあって、小さな笑いでも大きく聞こえる。
こういうトーク術がうまいのが、諒一のいいところだ。
「それじゃあ、この曲は終わりにしまして、また次の曲に行きます
次の曲は、『青い空に残されて』です」
それを聞いて、僕は驚くこともせず、軽くうなだれた。
予想外なことを勝手にしたっていうのもあるけど、実際はそうじゃない。
そもそも、諒一がさっき無茶ぶりをしたのを見たから、別にこれぐらいはおどろきもなくなった。
でも、この曲は僕にとっては、とにかく面白みがない曲なんだ。
最早下を向いていた僕は、フォーカウントもとる必要さえなくなっていた。
何せ、この曲にドラムは全くと言っていいほど必要がない。
ただこの曲が演奏終了するまで待つ以外に、僕はやることがなくなってしまった。
でも、諒一を責めるつもりは一切ない。
この曲は、諒一の声とギターが同時に入るところから始まる。
そこに、小さく山縣のベースが入り込んでいく。
水上さんのキーボードも、サビに入るモアでは完全にお預け状態だ。
そして、ビートを作るドラムには仕事が回ってこないから、考え事をして待つぐらいしかない。
この曲は、確かにいい曲だし、きっと思い入れのある曲なんだ。
それは十分に知っているし、僕にとっても大好きな曲であるのは変わらない。
一回だけだけど、この曲を聞いたときの間奏は、良く諒一の声とこの曲調がよく合うなってことだった。
だって、この曲は、諒一の声に似つかわしくないような、バラードなんだから。
僕にとっては、記憶に新しい水上さんとの出会い。
あの日の帰った後に、諒一が即興で演奏していたのが、この曲だったはずだ。
そして、山縣を凄い喜ばせていたのも覚えている。
確か、山縣が好きなバラードとか言っていた気がするなぁ。
僕はあれ以来諒一の声では一回も聞いていないけど、確かに綺麗な曲だ。
この曲を山縣が好きなのは、結構前から知っていたんだ。
確か、コンクールの後に山縣が小さなmp3プレイヤーから流していたように覚えている。
あの時は、諒一はもっと激しい曲にしてほしいって言ったけど、山縣が断って軽い喧嘩になったんだったっけ。
それで、諒一が泣き止んで結果オーライとか言ってたような気がする。
まあ、やっぱり諒一は誰とも代えがたい、諒一らしさがあるんだよなぁ。
ふと気が付くと、演奏は終わってしまっていた。
バラードとは思えないほど短い曲だったけど、伴奏が取ってもきれいだから、頭にこびりついている。
僕ららしさというより、諒一らしさの対極に位置するであろう曲だったけど、意外にも諒一の声があうから面白い。
ラストのサビを駆け抜けていく諒一の声は、やっぱり夏を泳いでいる魚のように、自由気ままで、それでも忙しくて、何かに縛られている。
意外にもうまいそのトークテクニックと、観衆の注目を集められるカリスマ性は、やっぱりあいつにしかないものだ。
あのさわやかで、全く暑さなんて感じさせない澄んだ川の流れのような声で言った。
「本日は、僕たち『青空に翔ける』の演奏を聞きに来てくれてありがとう
今日は合計で三曲お届けする予定だから、楽しみしててね」
というと、観衆が明るくざわつきだした。
その光景を見るに、やっぱり諒一は人気者というか、スターなんだろうなぁ。
僕にとっても、多分このバンドの全員から見てもヒーローだし、立役者だ。
あいつがいないと絶対に成り立たないし、僕らがあいつを立たせているのも良く分かっている。
諒一は、僕らの方を向くと、準備が万端かどうかを目線で聞いた。
僕らは、何かの隊員のように諒一の方に準備完了の視線を送った。
最後に、僕がバチでカウントをとれることをサインすると、諒一はにかっと笑った。
再び諒一は、観客の方に視線を向けると、巧みな手さばきでくるくるとマイクをまわして見せた。
「それでは演奏します
『あの夏に縋る』」
それを言われた瞬間、僕は驚きとあきれが同時に出てきた。
なんせ、『あの夏に縋る』は僕らにとって得意曲ではあるけれど、練習してきた曲じゃない。
というか、『涙色のさよなら』以外は一曲も練習していなかったから、確実に曲数が足りないとは思っていた。
それでも、この場になって急に、曲を演奏させに来るとは思わなかった。
僕は、回りの様子をうかがうと、意外とみんな落ち着いていた。
もしかしたら、諒一がこういうことをすることを予想していたのかもしれない。
そうとしか思えないほど、水上さんも山縣もあせっている様子がうかがえなかった。
だから、僕は諒一の準備が整うと、フォーカウントを取り始めた。
久しぶりすぎて、この曲のテンポを正確に思い出せなかった。
だから、すごく不安そうにフォーカウントをたたいてるのがばれてしまいそうなほど、音が震えていた。
それでも、叩ききった瞬間にそれをかき消すほどの、諒一のギターが響いた。
そして、すぐさまそれを支えるようにベースが入った。
その音を聞いて、僕も楽譜を思い出して、ドラムをたたき始めた。
その曲のドラムは、ちょっと特殊なビートをしていることは思い出せたけど、どういう刻み方だったかが思い出せなかった。
でも、諒一たちの演奏を聞いた瞬間に、あの裏の取り方が特殊なビートを思い出した。
何故か体が勝手に思い出して叩くような、体になじみやすいそのビート。
どこかの原住民の踊りにありそうな、叩きやすくて体が載ってくるビートは叩いて楽しかった。
そこで、僕ははっと気が付いた。
水上さんはどうしているのだろうかと。
諒一は声でしか伝えていないはずだ。
そうすると、水上さんは僕らが『あの夏に縋る』を演奏していることに気が付いているんだろうか。
水上さんの演奏に耳を澄ませてみた。
僕はまた驚いて、ビートが飛びそうになった。
水上さんは、ちゃんと『あの夏に縋る』を演奏していたんだ。
どこで気が付いたのか、それともどこかで連絡していたのかわからないけど、ちゃんとあの曲を弾いていた。
どこにも欠けている部分がない音楽は、僕らの間だけの世界から、どんどん観客の方に広がっていく。
演奏していると、ここら一帯が僕らの世界になっているのが肌で感じられた。
最初は音が響くかどうか、不安に感じていたけど、それを払拭するように観客まで音が届いている。
波のように、寄せては返すように何度も観客との間を行き来するこの曲は、観客がいてこそ成り立つから、届いていることが分かる。
僕らの演奏している夏と春のはざまの季節が、今まさに僕らを包んでいる。
まだ始まってさえいない夏の風が、春の気温の中に吹きすぎてゆく、一瞬を切り取ったような雰囲気だった。
この曲は、僕らにとっては実はかなり大切な一曲でもあるんだ。
確かに、かなり練習し続けた一曲ではあるけれど、それだけではないんだ。
この曲は、この三人で初めて書いた曲でもあるし、三人でコンクールに出た時の曲でもある。
僕らにとっては、一番大切な曲と言っても過言じゃないほどに、こころのよりどころになっている曲なんだ。
実は、この曲は春になってからも何度もひいてはいるんだ。
ただ真面目な練習ではなかったけど、ことあるごとに集まっては、最初に演奏する曲と言えば、この曲だった。
それだけじゃなくて、確か水上さんと初めて合わせた曲も、この曲だった気がする。
だから、水上さんからしてもかなりなじみがある曲のはずなんだ。
まあ、あの一回以降はほとんど弾いたことさえないんだろうけど。
今語るだけでも、多分片手では数えきれないほどのえ@いそーどがこの曲にはある。
だから、僕にとってはこの曲は最後に一回は叩いておきたい曲でもあったんだ。
こんな姿で、こんな状態で弾くとは思わなかったけど。それでもここでたたけると思うと幸せな気持ちになる。
あの頃の、雪のように降り積もっては雨に流され、積もっては踏まれてきた数々の努力が、にじんでいる曲なんだ。
最初にビートを忘れていたんだけどね。
気が付いたら、この曲の演奏は終わりに向かっていた。
頭の中で、世界の中の誰か、嫌もしくはこの世界の外側の人に語り掛けていたら、時間が過ぎてしまったみたいだ。
急いで、ラストに向けて盛り上げようとしたけど、時すでに遅し。
演奏は終わってしまった。
僕は、最後に占められなかったのを後悔していると、諒一が前に出てまた話し始めた。
「聞いてくださりありがとうございました
実は、この曲は全くと言っていいほど練習してこなかったんです
それどころか、今急に弾いた曲だから、多分僕はあとでメンバーに怒られますね
まあ、終ったことは置いておきますか」
というと、観客がかすかに笑い声を積もらせた。
塵も積もれば山となるっていうだけあって、小さな笑いでも大きく聞こえる。
こういうトーク術がうまいのが、諒一のいいところだ。
「それじゃあ、この曲は終わりにしまして、また次の曲に行きます
次の曲は、『青い空に残されて』です」
それを聞いて、僕は驚くこともせず、軽くうなだれた。
予想外なことを勝手にしたっていうのもあるけど、実際はそうじゃない。
そもそも、諒一がさっき無茶ぶりをしたのを見たから、別にこれぐらいはおどろきもなくなった。
でも、この曲は僕にとっては、とにかく面白みがない曲なんだ。
最早下を向いていた僕は、フォーカウントもとる必要さえなくなっていた。
何せ、この曲にドラムは全くと言っていいほど必要がない。
ただこの曲が演奏終了するまで待つ以外に、僕はやることがなくなってしまった。
でも、諒一を責めるつもりは一切ない。
この曲は、諒一の声とギターが同時に入るところから始まる。
そこに、小さく山縣のベースが入り込んでいく。
水上さんのキーボードも、サビに入るモアでは完全にお預け状態だ。
そして、ビートを作るドラムには仕事が回ってこないから、考え事をして待つぐらいしかない。
この曲は、確かにいい曲だし、きっと思い入れのある曲なんだ。
それは十分に知っているし、僕にとっても大好きな曲であるのは変わらない。
一回だけだけど、この曲を聞いたときの間奏は、良く諒一の声とこの曲調がよく合うなってことだった。
だって、この曲は、諒一の声に似つかわしくないような、バラードなんだから。
僕にとっては、記憶に新しい水上さんとの出会い。
あの日の帰った後に、諒一が即興で演奏していたのが、この曲だったはずだ。
そして、山縣を凄い喜ばせていたのも覚えている。
確か、山縣が好きなバラードとか言っていた気がするなぁ。
僕はあれ以来諒一の声では一回も聞いていないけど、確かに綺麗な曲だ。
この曲を山縣が好きなのは、結構前から知っていたんだ。
確か、コンクールの後に山縣が小さなmp3プレイヤーから流していたように覚えている。
あの時は、諒一はもっと激しい曲にしてほしいって言ったけど、山縣が断って軽い喧嘩になったんだったっけ。
それで、諒一が泣き止んで結果オーライとか言ってたような気がする。
まあ、やっぱり諒一は誰とも代えがたい、諒一らしさがあるんだよなぁ。
ふと気が付くと、演奏は終わってしまっていた。
バラードとは思えないほど短い曲だったけど、伴奏が取ってもきれいだから、頭にこびりついている。
僕ららしさというより、諒一らしさの対極に位置するであろう曲だったけど、意外にも諒一の声があうから面白い。
ラストのサビを駆け抜けていく諒一の声は、やっぱり夏を泳いでいる魚のように、自由気ままで、それでも忙しくて、何かに縛られている。
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