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本編
3話
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もちろん私もはじめから抵抗しない訳ではなかった。
お父様は多忙で直接話すことは出来なかったが、何度もお母様に相談した。使用人達も説得した。
セリーヌ夫人はその度に目に涙をうかべて、
「私はお嬢様をほんとの娘のように思っているのです!そんな事を出来るはずありません、、」
と訴えた。
幼いながらにゾッとした。なんの罪悪感もなく人をだませるセリーヌ夫人、そしてそんなセリーヌ夫人を盲目的に信じる使用人たちに。
私は使用人達に嘘つきでわがままな最低のお嬢様と噂されるようになってしまった。
私をいじめるのは当然のことで、正義であるとみんなが思いはじめた。
唯一お母様だけは私の話を聞いてくれた。けれどもとても評判がいいセリーヌ夫人と、みんなから嫌われている私だと、当然私が嘘をついていると思うだろう。お母様もセリーヌ夫人のことを信じていた。
サララにつききりになってしまっている自覚のあったお母様は、セリーヌ夫人が私を娘のように思っていると言ったことが嬉しかったらしく、私がセリーヌ夫人のことを相談するとお母様はいつも悲しそうな顔をした。
ただでさえ水曜日しかお母様に会うことができないのに、セリーヌ夫人のことをはなして悲しまれたくはなかった。
水曜日だけはどうしても楽しいものにしたかった。
いつからか私はセリーヌ夫人のことを誰にも相談できなくなっていた。
「お嬢様のようなやせ細った小娘がリシャール家の子だなんて信じられない!誰もまさかこんなみすぼらしい子供が公爵家の長女だなんて思わないでしょう!」
「そもそもサララ様が体調を崩されなければ、きっと次期侯爵夫人になるのはサララ様のはずでした!だって旦那様も奥様も、お嬢様よりいつもサララさまを大事になさるでしょう?サララ様はお嬢様のことをきっと恨んでいるでいますよ」
「こんな事もできないなんて!!ほんとうにあなたはリシャール家の長女の自覚があるのですか!!」
セリーヌ夫人に言われた言葉が呪いのように私にまとわりつく。
セリーヌ夫人に打たれた鞭の痕が酷く痛む。
じきに私はセリーヌ夫人に抵抗できなくなっていった。
お父様は多忙で直接話すことは出来なかったが、何度もお母様に相談した。使用人達も説得した。
セリーヌ夫人はその度に目に涙をうかべて、
「私はお嬢様をほんとの娘のように思っているのです!そんな事を出来るはずありません、、」
と訴えた。
幼いながらにゾッとした。なんの罪悪感もなく人をだませるセリーヌ夫人、そしてそんなセリーヌ夫人を盲目的に信じる使用人たちに。
私は使用人達に嘘つきでわがままな最低のお嬢様と噂されるようになってしまった。
私をいじめるのは当然のことで、正義であるとみんなが思いはじめた。
唯一お母様だけは私の話を聞いてくれた。けれどもとても評判がいいセリーヌ夫人と、みんなから嫌われている私だと、当然私が嘘をついていると思うだろう。お母様もセリーヌ夫人のことを信じていた。
サララにつききりになってしまっている自覚のあったお母様は、セリーヌ夫人が私を娘のように思っていると言ったことが嬉しかったらしく、私がセリーヌ夫人のことを相談するとお母様はいつも悲しそうな顔をした。
ただでさえ水曜日しかお母様に会うことができないのに、セリーヌ夫人のことをはなして悲しまれたくはなかった。
水曜日だけはどうしても楽しいものにしたかった。
いつからか私はセリーヌ夫人のことを誰にも相談できなくなっていた。
「お嬢様のようなやせ細った小娘がリシャール家の子だなんて信じられない!誰もまさかこんなみすぼらしい子供が公爵家の長女だなんて思わないでしょう!」
「そもそもサララ様が体調を崩されなければ、きっと次期侯爵夫人になるのはサララ様のはずでした!だって旦那様も奥様も、お嬢様よりいつもサララさまを大事になさるでしょう?サララ様はお嬢様のことをきっと恨んでいるでいますよ」
「こんな事もできないなんて!!ほんとうにあなたはリシャール家の長女の自覚があるのですか!!」
セリーヌ夫人に言われた言葉が呪いのように私にまとわりつく。
セリーヌ夫人に打たれた鞭の痕が酷く痛む。
じきに私はセリーヌ夫人に抵抗できなくなっていった。
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