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1.嘘と秘密の誘惑
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***
「……はぁ」
「小恋、聞いてる?」
「え? あ、ごめん。ぼーっとしてた」
「まったくもう。悟さんとはうまくいっているのかって、聞いているの」
母は鬼の形相で睨んでいる。
そのまんまメドゥーサに変身できるよと不謹慎なことを思いながら、私は憂鬱さを隠そうともせずにだらけた返事をした。
「あー、うーん」
「なんなのよ。やっぱり断るとか言いたいの?」
その通り、断りたいんですよ。はい。
「あんないい人、そうそういないよ? 次男だから向こうの親と同居しないで済むし、公務員だから仕事は安定しているし」
延々と続きそうな小言にため息をつき、テーブルの上にある籠から、まだ青いミカンに手を伸ばす。
「そうやってね。ぼーっとしているうちに行き遅れたらどうするの。それからじゃ遅いんだよ?」
説教を聞きながら食べるミカンは、予想以上に酸っぱくて思わず顔をしかめた。
私、森村小恋二十四歳は、地元の大学に進んでそのままこの町にある農協に就職した、とりたてて特徴のなり普通で地味な女子だ。
木枯らしが吹き始めたある日。私は両親の強い勧めに従って、お見合いをした。
お相手は小山悟さん、三十歳、町役場に勤める公務員。中肉中背の、悪くない感じの人。
ここは関東の外れにある小さな町で、商店街もなく百貨店と名のつく店までは車を三十分以上走らせなければいけないような田舎である。どの家も、隣の家との間には田んぼや畑があって、庭先の小屋にはニワトリがいたり、縁側では猫が日向ぼっこをしているようなのどかなところだ。
娯楽という娯楽はなくて、祖父母や両親は暇さえあれば近所の人たちと集まってお茶のみをして、野菜や煮物を分け合ったり、直売所の片隅に置いている手作りの布小物を作ったり編み物をしたりと、それはそれで楽しそうではあるが、若者はそうはいかない。
ほとんどがもう少し活気のある隣町や都会へ行ってしまうので、残っているのは私のような真面目なだけが取り柄の、どこか臆病で地味人間ということになる。
私は恋を知らない。
これまでの人生でキスはおろか、男の子と手を繋いだ経験すらない。
大学生になっても親から決められた夜十時という門限を忠実に守っていたし、そもそもコミュニケーション能力が高いわけでもないので、合コンみたいなものも参加しなかった。
職場である農協へは車通勤。時々買い物に行くだけのそんな毎日のなかで、新しい出会いなど望むべくもない。
お見合いで三十代の若い相手を望むなら二十五歳が限界だと脅され続け、よし、お見合いをするぞと意を決したのが九月の二十四歳の誕生日だった。
恋を知らぬまま、お見合いで結婚するつもりでいた。でも――。
いざとなると胸の奥が疼いた。
このままでいいの?
結婚したら、もう冒険はできないよ?
ちょっとくらい。いいんじゃない? たった一度ならと、悪魔が私の脳裏でささやいた。
スマートホンで女子力云々というサイトを見ていて、ふと目に留まったハロウィンの文字。
"今日だけは違う私に"
これだと思った。
地味な自分を捨てて、一日だけ別の自分になってみよう。一度きりでいいと思ううち、その思いに憑りつかれ、夢中になってインターネットで検索をした。
見つけたのは、ちょっと大人が行くような高級ホテルのハロウィンパーティ。早速予約をして、通販でコスプレの服や小物を仕入れた。
そして迎えたあの夜。
私は思ったとおりの姿になって、龍を背負ったヴァンパイアの彼と出会った。
魂を奪われるような情熱的なキス……。
でもそれだけ。
結局追い出されるようにして逃げてきたけれど、あのまま部屋を飛び出さなければ、どうなっていただろう――。
いや、どんなに素敵な人でも極道はない。ないない。
逃げてよかったんだよね。はぁ。
「小恋ったら、ちょっと! 話し聞いてる? ほんとうにもう」
「ん? ああ、ごめんごめん」
母は呆れたように左右に首を振る。
「お仲人さんの話だと、悟さんのほうは随分乗り気で、もう結婚の話まで進めたいそうよ」
「ええ? うそ。まだ三回しか会ってないのに?」
結婚って、そんな簡単に決められるものなのだろうか。
悟さんはいい人だとは思うけど、私たちはまだ手すら繋いでもいない。ましてやキスなんて想像すらできないというのに、結婚っていわれてもちょっと。
あの夜のヴァンパイアとは、出会ってほんの一時間後には情熱的なキスをした。
この違いはなに? 気持ちの乗らなさ加減はいったいなんなんだろう。
「無理だよ、決められないってば」
「なに言ってんのよ。お見合いなんだもの三回会えば十分でしょ。それで? 昨日はどうだったの? 映画を見て食事をして?」
昨日が悟さんとの三度目のデートだった。
寒い冬のお決まりのコース、映画を見に行ったのである。
見る映画を決めたのは私。悟さんは、小恋さんが見たいものをと言うので、遠慮なく選ばせてもらった。
ずっと楽しみにしていたハリウッドのラブストーリーの上映が、ちょうど始まったばかりだった。カップルが愛を育むためにはうってつけだと思ったし、私はすぐに夢中になった。
無意識のうちに悟さんにも同じ感動を求めたのだろう。頬を高揚させて隣を見た。きっと彼の瞳も輝いているに違いないと期待して。
ところが彼は、目を閉じていた。
悟さんは、しっかりと寝ていたのである。静かな寝息まで立てて。
それを見た瞬間、私は思った。
これが現実なんだよなって。
「映画見たよ。でも、あの人ずっと寝てた。いびきかいて」
まあ、いびきは大げさだけど。
「あらそう、疲れていたんじゃないの?」
「うん。そうかもね」
そうかもしれないよ。そうかもしれないけど。がっかりしたんだよ。
私だっていい大人だから、白馬の王子さまとかスパダリじゃなきゃ嫌だとは言わない。だけど、それでもやっぱり寂しかった。
こんなはずじゃなかったのになぁと思う。
たとえお見合いという平凡な出会いでも、結婚して幸せになるつもりだった。
ハロウィンでだって、初めて会った人と夢中になってキスできたんだから。意外と大丈夫かもしれないと思ったの。
よく知らない人との結婚だって案外へっちゃらかもしれないってね。
悟さんは見た目だって、そんなに悪くない。生理的に嫌いだとかそういうものは感じなかった。
それなのに。
夕べ、家に送ってもらう車の中で、ふとした瞬間お互いの手が触れた時に感じたのは、ピリピリとした嫌悪感だった。
指先が、ちょっと触れただけなのに。この人に触られるのは、嫌だと思ってしまった。
ヴァンパイアの彼に触れた時は違った。あの時は電流が走ったように時めいた。
肝心な時にはうまくいかない。
どうして?
お母さん、教えてほしいよ。指先が触れただけで嫌な人と結婚しても、幸せになれるの?
「またそんな顔して。なにが嫌なんだか言ってご覧なさいよ。映画で寝てたから?」
「えー」
無理だよ。
先延ばしにすれば、ますます断りづらくなる。絶対今日中に断ってもらおう。
言わなきゃ。さあ早くと決意して深く息を吸ったとき、ルルルと家の電話が鳴った。
小言を中断して立ち上がった母の後ろ姿にやれやれとため息をつく。
まさかと思うが仲人さんからの返事の催促だと厄介だ。
ジッと母の様子を伺っていると、ギョッとしたように私を振り返った母が「ええ?!」と悲鳴のような声を上げた。
「なんですって?!」
ん? なになに、なんなの?
「わかりました。ご縁がなかったということで」
電話を切った母に「どうしたの?」と聞くと、母は吐き捨てるように言う。
「悟さん、付き合っていた子がいて、その子が妊娠したんですって」
「へ?」
「破談よ! バカバカしい。うちの大事な娘をなんだと思っているの! 良かったね、小恋、結婚前で」
お父さんに言わなくちゃと、母はバタバタと居間を出ていった。
「妊娠……?」
破談?
結婚がなくなった。どうせ断ろうと思っていたのだからいいけれど、でも。
「フラれたの? 私」
「……はぁ」
「小恋、聞いてる?」
「え? あ、ごめん。ぼーっとしてた」
「まったくもう。悟さんとはうまくいっているのかって、聞いているの」
母は鬼の形相で睨んでいる。
そのまんまメドゥーサに変身できるよと不謹慎なことを思いながら、私は憂鬱さを隠そうともせずにだらけた返事をした。
「あー、うーん」
「なんなのよ。やっぱり断るとか言いたいの?」
その通り、断りたいんですよ。はい。
「あんないい人、そうそういないよ? 次男だから向こうの親と同居しないで済むし、公務員だから仕事は安定しているし」
延々と続きそうな小言にため息をつき、テーブルの上にある籠から、まだ青いミカンに手を伸ばす。
「そうやってね。ぼーっとしているうちに行き遅れたらどうするの。それからじゃ遅いんだよ?」
説教を聞きながら食べるミカンは、予想以上に酸っぱくて思わず顔をしかめた。
私、森村小恋二十四歳は、地元の大学に進んでそのままこの町にある農協に就職した、とりたてて特徴のなり普通で地味な女子だ。
木枯らしが吹き始めたある日。私は両親の強い勧めに従って、お見合いをした。
お相手は小山悟さん、三十歳、町役場に勤める公務員。中肉中背の、悪くない感じの人。
ここは関東の外れにある小さな町で、商店街もなく百貨店と名のつく店までは車を三十分以上走らせなければいけないような田舎である。どの家も、隣の家との間には田んぼや畑があって、庭先の小屋にはニワトリがいたり、縁側では猫が日向ぼっこをしているようなのどかなところだ。
娯楽という娯楽はなくて、祖父母や両親は暇さえあれば近所の人たちと集まってお茶のみをして、野菜や煮物を分け合ったり、直売所の片隅に置いている手作りの布小物を作ったり編み物をしたりと、それはそれで楽しそうではあるが、若者はそうはいかない。
ほとんどがもう少し活気のある隣町や都会へ行ってしまうので、残っているのは私のような真面目なだけが取り柄の、どこか臆病で地味人間ということになる。
私は恋を知らない。
これまでの人生でキスはおろか、男の子と手を繋いだ経験すらない。
大学生になっても親から決められた夜十時という門限を忠実に守っていたし、そもそもコミュニケーション能力が高いわけでもないので、合コンみたいなものも参加しなかった。
職場である農協へは車通勤。時々買い物に行くだけのそんな毎日のなかで、新しい出会いなど望むべくもない。
お見合いで三十代の若い相手を望むなら二十五歳が限界だと脅され続け、よし、お見合いをするぞと意を決したのが九月の二十四歳の誕生日だった。
恋を知らぬまま、お見合いで結婚するつもりでいた。でも――。
いざとなると胸の奥が疼いた。
このままでいいの?
結婚したら、もう冒険はできないよ?
ちょっとくらい。いいんじゃない? たった一度ならと、悪魔が私の脳裏でささやいた。
スマートホンで女子力云々というサイトを見ていて、ふと目に留まったハロウィンの文字。
"今日だけは違う私に"
これだと思った。
地味な自分を捨てて、一日だけ別の自分になってみよう。一度きりでいいと思ううち、その思いに憑りつかれ、夢中になってインターネットで検索をした。
見つけたのは、ちょっと大人が行くような高級ホテルのハロウィンパーティ。早速予約をして、通販でコスプレの服や小物を仕入れた。
そして迎えたあの夜。
私は思ったとおりの姿になって、龍を背負ったヴァンパイアの彼と出会った。
魂を奪われるような情熱的なキス……。
でもそれだけ。
結局追い出されるようにして逃げてきたけれど、あのまま部屋を飛び出さなければ、どうなっていただろう――。
いや、どんなに素敵な人でも極道はない。ないない。
逃げてよかったんだよね。はぁ。
「小恋ったら、ちょっと! 話し聞いてる? ほんとうにもう」
「ん? ああ、ごめんごめん」
母は呆れたように左右に首を振る。
「お仲人さんの話だと、悟さんのほうは随分乗り気で、もう結婚の話まで進めたいそうよ」
「ええ? うそ。まだ三回しか会ってないのに?」
結婚って、そんな簡単に決められるものなのだろうか。
悟さんはいい人だとは思うけど、私たちはまだ手すら繋いでもいない。ましてやキスなんて想像すらできないというのに、結婚っていわれてもちょっと。
あの夜のヴァンパイアとは、出会ってほんの一時間後には情熱的なキスをした。
この違いはなに? 気持ちの乗らなさ加減はいったいなんなんだろう。
「無理だよ、決められないってば」
「なに言ってんのよ。お見合いなんだもの三回会えば十分でしょ。それで? 昨日はどうだったの? 映画を見て食事をして?」
昨日が悟さんとの三度目のデートだった。
寒い冬のお決まりのコース、映画を見に行ったのである。
見る映画を決めたのは私。悟さんは、小恋さんが見たいものをと言うので、遠慮なく選ばせてもらった。
ずっと楽しみにしていたハリウッドのラブストーリーの上映が、ちょうど始まったばかりだった。カップルが愛を育むためにはうってつけだと思ったし、私はすぐに夢中になった。
無意識のうちに悟さんにも同じ感動を求めたのだろう。頬を高揚させて隣を見た。きっと彼の瞳も輝いているに違いないと期待して。
ところが彼は、目を閉じていた。
悟さんは、しっかりと寝ていたのである。静かな寝息まで立てて。
それを見た瞬間、私は思った。
これが現実なんだよなって。
「映画見たよ。でも、あの人ずっと寝てた。いびきかいて」
まあ、いびきは大げさだけど。
「あらそう、疲れていたんじゃないの?」
「うん。そうかもね」
そうかもしれないよ。そうかもしれないけど。がっかりしたんだよ。
私だっていい大人だから、白馬の王子さまとかスパダリじゃなきゃ嫌だとは言わない。だけど、それでもやっぱり寂しかった。
こんなはずじゃなかったのになぁと思う。
たとえお見合いという平凡な出会いでも、結婚して幸せになるつもりだった。
ハロウィンでだって、初めて会った人と夢中になってキスできたんだから。意外と大丈夫かもしれないと思ったの。
よく知らない人との結婚だって案外へっちゃらかもしれないってね。
悟さんは見た目だって、そんなに悪くない。生理的に嫌いだとかそういうものは感じなかった。
それなのに。
夕べ、家に送ってもらう車の中で、ふとした瞬間お互いの手が触れた時に感じたのは、ピリピリとした嫌悪感だった。
指先が、ちょっと触れただけなのに。この人に触られるのは、嫌だと思ってしまった。
ヴァンパイアの彼に触れた時は違った。あの時は電流が走ったように時めいた。
肝心な時にはうまくいかない。
どうして?
お母さん、教えてほしいよ。指先が触れただけで嫌な人と結婚しても、幸せになれるの?
「またそんな顔して。なにが嫌なんだか言ってご覧なさいよ。映画で寝てたから?」
「えー」
無理だよ。
先延ばしにすれば、ますます断りづらくなる。絶対今日中に断ってもらおう。
言わなきゃ。さあ早くと決意して深く息を吸ったとき、ルルルと家の電話が鳴った。
小言を中断して立ち上がった母の後ろ姿にやれやれとため息をつく。
まさかと思うが仲人さんからの返事の催促だと厄介だ。
ジッと母の様子を伺っていると、ギョッとしたように私を振り返った母が「ええ?!」と悲鳴のような声を上げた。
「なんですって?!」
ん? なになに、なんなの?
「わかりました。ご縁がなかったということで」
電話を切った母に「どうしたの?」と聞くと、母は吐き捨てるように言う。
「悟さん、付き合っていた子がいて、その子が妊娠したんですって」
「へ?」
「破談よ! バカバカしい。うちの大事な娘をなんだと思っているの! 良かったね、小恋、結婚前で」
お父さんに言わなくちゃと、母はバタバタと居間を出ていった。
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