偽装結婚のはずが、溺愛なんて聞いてません!

白亜凛

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プロローグ

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「やめるって、言ったじゃ、ないですか」

 ベッドサイドの淡い光を見つめながら、美(み)咲(さき)は息も絶え絶えに抗議した。

 彼は嫌だと言えばやめると言った。
 だからもう何度もイヤと言い身をよじらせて逃げようとするのに、彼はしっかりと太腿を掴んだまま離さない。

「うっ……あ……」

 堪えきれず漏れる声が静かな寝室に響く。

 自分のものは思えない甘い声に美咲は泣きたくなった。これではまるで誘っているようだ。そんな美咲を嘲笑うように、彼はやめるそぶりを見せない。

 そむけた顔に彼の左手が伸びてくる。

「こっちを向いて、美咲。それじゃキスができない」

 頬に手をかけられて上を向くと、馬乗りになった彼の顔が近づいてきて、妖艶に光る瞳に吸い込まれそうになる。

「聞いただろう? 本気かって」

 形のいい彼の唇がにやりと歪む。

 唇を唇で覆うように塞がれて、口内を舌で蹂躙されながら、わかっていると心で答えた。

 抱いてくださいと言ったのは美咲だ。

 彼は笑うばかりで相手にしてくれなくて。それが悔しくて――

 くちゅくちゅと音を立てて吸い続けた口を離れた彼の唇は、唾液を伸ばしながらゆっくりと離れた。

 そして、愛おしそうに美咲の頬を撫でる。

「本当にやめていいのか? 本当の夫婦になりたいんだろう?」

 そんなことを言いながら、彼の手は下へと伸びて硬くなった胸の頂をツンと弾いた。

「っあぁ……」

「どうする?」

 やめてほしいけれど、やめてほしくない。


 だって私は、あなたが好きだから――
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