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五、恋はやっぱり切なくて
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ゆっくりと走り出す車を見送りながら、うれしさと切なさが同時に込み上げてきた。
揺れる気持ちを振り切って社長室に戻り、父と叔父に簡単に挨拶をして会議室へと移動する。ホームページなどの打ち合わせは事務の女性が窓口だ。
「お疲れ様です」
「美咲さん、ホームページ手直しお願いできますか?」
「はい。お任せください」
敬礼して笑いを取りながら椅子に腰を下ろす。
「ケーキを持ってきたので、後で皆さんで食べてくださいね」
「わーい、うれしい。ご馳走様です」
美咲はあくまでもキラリデザインの社員として来ており、なるべく社長の娘という顔をしないようにしている。自腹で買ってきたケーキは社長の娘としての気持ちからだけれど、娘であり外注先の社員でもあるという案配が難しい。
「美咲さん、さっき恋する乙女の目をしてましたよ」
事務の女性がコーヒーとケーキを出しながら冷やかしてきた。彼女は美咲の少し年上で気さくな人柄なので、思ったことをすぐに口にする。
「それに、天城さんが美咲さんを見つめる様子も特別感があったわ」
「気のせいですよ、やだなぁ」
「仲がよさそうで何よりですよ。このお菓子は天城さんが持ってきてくれたんです。たくさん頂いたのでどうぞ」
「ありがとうございます」
隼人が持ってきた手土産は、鎌倉の有名な洋菓子店の焼き菓子だった。
打ち合わせが済んで社長室に立ち寄ると父が「元気そうだな」と微笑んだ。
「忙しいだろうが、たまには帰ってきなさい。お母さんが寂しがってるぞ」
「はーい」
まだ話をしたい様子を見せる父ににこにこと笑顔を向けて、時間がないからと早々に社長室を後にした。
本当は時間なら十分にある。直帰にしたし、隼人は帰って来ないというのだから、なんだったらこのまま実家に泊まったっていいくらいだ。
母は喜んで夕ご飯に美咲の好きなコロッケをたくさん作ってくれるかもしれない。茶碗蒸しが食べたいと甘えれば、笑って用意してくれるだろう。本当の両親のように可愛がってくれる二人が美咲はもちろん好きだ。
でもいつの頃からか、話をするのがなんとなく気重になった――
揺れる気持ちを振り切って社長室に戻り、父と叔父に簡単に挨拶をして会議室へと移動する。ホームページなどの打ち合わせは事務の女性が窓口だ。
「お疲れ様です」
「美咲さん、ホームページ手直しお願いできますか?」
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敬礼して笑いを取りながら椅子に腰を下ろす。
「ケーキを持ってきたので、後で皆さんで食べてくださいね」
「わーい、うれしい。ご馳走様です」
美咲はあくまでもキラリデザインの社員として来ており、なるべく社長の娘という顔をしないようにしている。自腹で買ってきたケーキは社長の娘としての気持ちからだけれど、娘であり外注先の社員でもあるという案配が難しい。
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「それに、天城さんが美咲さんを見つめる様子も特別感があったわ」
「気のせいですよ、やだなぁ」
「仲がよさそうで何よりですよ。このお菓子は天城さんが持ってきてくれたんです。たくさん頂いたのでどうぞ」
「ありがとうございます」
隼人が持ってきた手土産は、鎌倉の有名な洋菓子店の焼き菓子だった。
打ち合わせが済んで社長室に立ち寄ると父が「元気そうだな」と微笑んだ。
「忙しいだろうが、たまには帰ってきなさい。お母さんが寂しがってるぞ」
「はーい」
まだ話をしたい様子を見せる父ににこにこと笑顔を向けて、時間がないからと早々に社長室を後にした。
本当は時間なら十分にある。直帰にしたし、隼人は帰って来ないというのだから、なんだったらこのまま実家に泊まったっていいくらいだ。
母は喜んで夕ご飯に美咲の好きなコロッケをたくさん作ってくれるかもしれない。茶碗蒸しが食べたいと甘えれば、笑って用意してくれるだろう。本当の両親のように可愛がってくれる二人が美咲はもちろん好きだ。
でもいつの頃からか、話をするのがなんとなく気重になった――
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