月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜

白亜凛

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◆エピローグ

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 ゴールデンウィーク。一俊がマンションに泊まりに来た。

 マンションは何しろ広いから、使っていない部屋が二部屋あるうちのひとつが一俊の部屋になった。

 尊さんが突然、実の兄だと告白し、一俊は混乱していたけれど、事情がわかるにつれて妙に神妙な顔になり、最後は破顔した。

『すげーな、これで一生安泰だ』なんて言う一俊が実は金の亡者だったらどうしようと思ったが、相変わらずバイトはするようだから大丈夫だと思う。

 もしそんなことになったら、私が根性を叩きのめしてやるからいいが、これで一俊にも実家ができた。

 私の家、私の家族。私の大切な旦那様。

「じゃ、そろそろ行こうか」
「はい」


 これから、月城家に行く。

 お祖母様が退院して家に帰ったお祝いパーティだ。

「しかし、よくできてますねぇ、このレプリカ」

「だろ?」

 いつの間にか尊さんはアレキサンドライトの指輪のレプリカを作っていた。抜け目のなさはさすがだと思う。

 密かにそんなものを作っていたなんて、私を追い出す気満々だったんじゃないのと、ショックだったが、彼はその告白を私と“繋がっている”ときに言った。

 その最中の、頭の中がまっピンクになっている状態の私の耳元で、彼は囁いた。

『弥衣、指輪のレプリカを作ったよ。T&Y って彫ったんだ』

 レプリカは今、私の左手の薬指で結婚指輪と一緒に嵌めてある。うまく丸め込まれたような気がしなくもないけれど、もう指輪がなくても私たちは大丈夫なはず。

 本物は金庫に入れておいたほうがこの先安全だからと、本家の金庫の中にしまった。

 尊さんは私に、お祖母様を許してあげてほしいと言った。

 言いながら彼は、お祖母様を許そうと自分に言い聞かせているように、私には見えた。

『大丈夫だよ。お母さんはきっとわかってくれてる』

 ねえ尊さん。あなたの心の傷は大丈夫なの?
 それが心配だけれど、多分お母さんが残してくれたスマートフォンの日記が彼を支えてくれると思う。

 私も。これからずっと尊さんを支える。

 ふと隣にいる尊さんを振り返ると、彼は私を見ていた。

 左手が伸びてきて、私の右手を握る。

「今日は叔父夫婦も来るんだけど、叔父はね、今は俺の父代わりなんだ」

「そう」

「弥衣に会えるのを楽しみにしてるよ」

「えー、どうしよう緊張しちゃう」

 尊さんは私の肩を抱き寄せてクスッと笑う。

「これからみんな弥衣の家族だ」

 頬にチュッとキスをした尊さんは、耳に触れるほど唇を知被けて囁いた。


「愛してるよ、弥衣」

 俺たちはずっと夫婦だ。


―了―
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