ALL MY THINGS 〜耳鳴りが止まるまで〜

はいとく

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それぞれの夜 1

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 街に戻ったオレ達は、まず役所に依頼失敗の届けを出した。その後、戦利品の換金に行ったのだが、今回の依頼は失敗だったにも関わらず戦果は上々だった。

 オーガを倒す事は出来なかったが、投げつけてきて”あずき”の背中に刺さった時点でゲットしていたらしいオーガの大太刀は5万円で売れるのだ。あとはオークの牙が全部で1万円程になった。

「今日は少し贅沢しましょ。」
「賛成。色々あって疲れたよ..」
「ご飯食べに行きましょ。」
「うん、腹減った~!ハングリーメーター、振り切っちゃいそうだよ。」

~ そう言えば振り切ったらどうなるのか試してなかったな。 ~

 オレもあずきもいつものレストランで1番高い「大正牛のステーキ」を注文した。それとオレは得意のビール。ジョッキで飲むのは久しぶりだ。

「よし、今日は私も飲むわっ!」
「えっ?」
「イイわよね?ゲームの中なんだから」
「イイけど、珍しいね?」
「そう言う気分なのよ!1回死んだし。」
「ゴメン、今日のは失策だったよ。」
「ううん、作戦は間違ってなかったわ。燕返しの3太刀目を外したのが敗因よ。あー、悔しい!あ、すみませーん!モスコミュール下さーい!」

~ レストランの頼み方じゃ無いな。居酒屋かっ! ~

「なぁ、死んだ時と死んでる間ってどんな感じなの?」
「うーん、死んだ時は一瞬、視界が真っ白になって、死んでる間は他人がゲームしてるのを横で見てる感じかなぁ。」
「へぇ..死ぬ程痛いとか、そう言うのは?」
「無いわね。」
「そうなんだ。」

~ 死ぬ程恥ずかしかったけど.. ~

「ん?何て?」
「何でもない無いわよっ!それにしても焦ったわよ、ホントに死ぬのかと思ったわ。」
「面目無い。まさかオレが汚れているとは..」
「本性、バレたわね。笑」
「ははは...」

笑うしか無い。

「来たわよ!いただきましょっ!」
「街1番の高級メニュー!いただきます!」
「美味しーい!」
「うまいっ!」

その後、あまりの美味しさに、2人とも食べ終わるまで無言だった。

「あー、美味しかった!そろそろ行きましょうか!」
「そうだね!」

 オレは期待に胸を躍らせていた。珍しくあずきも酒を飲んで、ほろ酔い加減の上機嫌。今日1日の出来事を踏まえた上でのこの状況。コレはいつもの2人部屋でついに...

「今日は贅沢に個室にしましょ」
「そうだね..って、ですよねー」

世の中そんなに甘くは無かった...

しかし、だ。女の子と同じ部屋に居るのに”何”か出来る訳でも無く、むしろ同じ部屋に居るからこそ”ナニ”も出来ない日々が続いていたのだ!
ここはオレも敢えて1人を満喫してやろうじゃないか。

 チェックインを済ませると”あずき”は、そそくさと行ってしまった。

ー “あずき”の夜 ー

 全く、どうしちゃったのかしら、私..
ドキドキが止まらないわ。
アイツのあんな告白みたいの聞いたから?それに、あんなに必死になって蘇生しようとして...
今日、一緒の部屋だったら、どうなっちゃってたんだろ。
明日からアイツの顔、まともに見られる自信ないよぉ...
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