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第1部【明暗の大魔導師】編
第21話 山と遺跡と3魔士
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俺の名前はコォ、インとイワと共にロリア山を進む冒険者だ。
昨夜…少しインとぶつかり合いがあってちょっと喧嘩中だ…この歳にもなって喧嘩とは…自分が情けない。
何を言っても彼女は無視を決め込む…すっかり拗ねてしまった様だ…
こんな時…父さんが居れば何とかしてくれるのに…いや、駄目だ、この旅で父親を頼ってはいけない…俺が何とかするしかない。
「イン…悪かったよ…機嫌を直してくれ…」
「………」
「イワは子供だ。しょうがないさ。」
【2人より年上だけど。】
「いやまぁ…そうだけど…」
インがご機嫌ナナメなのは昨晩、イワへいちゃもんを付けたが俺に否定されたからだ…確かにイワは自分達の荷物を盗もうとした奴だが…
もう、そんな事はしないと本人が言っている。
信じてあげようじゃないか、頭だって…イイとは言えないけど純粋だと思う。
【イン、ウチの事嫌い?】
「当たり前だよ!盗人なんか好きになれないよ!」
【そうか……だったらコォ…ウチはもう良い。】
「良いって…何が良いんだ?」
イワは歩くのを止めてそのまま立ち止まってしまった…
【やっぱりウチは山に居る。2人の仲を悪くしたくない。】
「イワ…正気か?だってこの山は…」
「アンタ…」
この山にはまだまだ強力な魔物が居るに違いない、それにようやく山の終わり付近まで来たんだ、此処で引き返すなんてあんまりだ。
自分は止めるようにと何度も言ったが…「機嫌を損ねたくない」の一点張りでイワは動こうとしない。
此処で1人置いて行くのもアレだ…
「ったく…もう分かった!私が悪かった…もう信じるから…残るなんて言わないで…」
「イン…」
【仲直りして。】
「はいはい…コォ…」
「なんだ?」
「えいッ!!」
インは俺の脇腹を素早い拳で突いた…い、痛い…これが…仲直りか…
「うぐふ…これで…仲直りだな…」
「そーゆーこと。」
【あはは。これで仲直り。】
イワはにっこりと笑い…そのまま3人で山を進むことに…意外と今回は早く仲直り出来たな、いつもは2日ぐらいは無視のし合いなのに。
成長したって事なのかな…いや、イワが仲裁してくれたからかな。
やっぱり連れて行きたい…だが…うーむ…止めておこう、危険だ。
「アンタ、意外と根性あるのね。」
【こんじょー上等。】
「旅をしている間は私がアンタのボスだからね。覚えといてね。」
「ボスって…」
しばらく歩けば見えてくるのは…人の住まなくなったクッド旧市街。
石造りの白く、大きな街は太古に栄えたが…どういうワケか一晩のうちに千単位の住人が消えてしまったらしい…それ以来、この街はイワクツキの遺跡として扱われている。
誰も寄り付かなく、広いので世捨て人等が住み着きそうだが…その類の人間は時々やって来る魔物の腹に収まってしまうらしい。
「この街を抜ければモース大平原に出られるぞ。」
【ダイヘイゲン?】
「大きい平原って書いてあるけど…分かんないや。」
「丘みたいなものじゃない?」
ま!何はともあれ!この街を抜けさえすれば良いんだ!さっさと抜けてさっさと本部へ行こう!
そう言えばこの辺りは不審者が出るって聞いたな…出くわさないと良いけど。
山道と違って歩きやすい…けど…どうしよう、奥にもちょっと山が見える…そう言えば関所が何とかって聞いた…もしかしてアッチの方に在るのだろうか。
【不思議…こんなに硬い道があるなんて…四角い石も…】
「知らないの?家だよ、アンタ…何処で寝てたの?」
【熊の穴…いそーろーしてた。】
「熊ってあの熊か…イワって根性あるんだな…」
熊と魔物には手を出すなと言われていたな…自分は数回しか出会わなかったが、直ぐに逃げて行った…案外臆病な性格なのかもしれない。
それはさておき、この遺跡街…少し変な感じがする。
この街が栄えたのは少なくとも1000年前以上だ…なのに…少し綺麗過ぎないか?
石造りの住居には細かい傷が見られ、ドアも窓も無いが、コレと言って大きな損傷は見当たらない…まるで数年前まで誰かが住んでいた様だ…
「コォ、この家良くない?」
「そうだな…大きさも丁度いい…って、使わないぞ?」
「分かってるけどさ…無人じゃん。」
「一晩のうちに人が消えた街で寝たいのか?」
「そ、そうだよね…早く先を急ごうよ!」
しかし…どうやって一晩のうちに千単位の住民が消えたのだろう。
現在の科学力では解析不明と聞いたが…是非とも生きているうちに知りたい。
「……?イン、イワ…ちょっと…」
「どうかしたの?」
【なにか?】
気のせいだろうか…今、話し声が聞こえたような気がする…こんな所に人が?
もしかしたら赤い首飾りの仲間かもしれない…慎重に行こう…
『…で…だ……らしい…』
「「【!?】」」
やはり聞こえる!気のせいでは無い!ど、どうする…気になってしまう!話しかけるか?
いやしかし!やはり敵かもしれない…ちょっとアレだけど…盗み聞きをするか…
会話の内容で判断しよう!ヤバイ人達だったりしたら…逃げよう、うん。
自分達は耳を澄まして壁の向こうの彼らの話をそーっと…聞いた…
『ネストロも使えない奴だな…やられてしまうとは…』
『ヤッパ、オレタチガイクシカナイ、コロシニイクゾ。』
『情けないわね貴方達、相手はたかが子供が3人でしょう?』
「(な、なんだ?変な声がするな…)」
子供が3人…もしかして俺達の事…じゃないよな?いや…そんな事は…
『あの4人は新参だからな。べコタスもコリンパイもクズだ。』
『私1人で全員やったるわよ。縫い縫いしちゃうわ。』
『オレモタタカイタイ…』
やばい…明らかに…あの首飾りたちの仲間に違いない!ネストロと言う聞きなれないヤツは…そうだ!入り口に貼ってあった行方不明者の1人だ!
知らないうちに死んでいた様だ…ともかく…此処から逃げるか…
『んで、誰からやる?やっぱりお前からか?』
『当たり前よ。さぁ、身体を動かしましょうかね!!】
「「【!?】」」
壁の向こうから3人の影がこちらに向かって降りて来た!
バレていたのか…それにしてもなんだコイツ等は…全員人間ではない…
【オレ、カラダナマッテキタ…モットウンドウシタイ…】
「か、カブト虫…だ…」
「キモイ!」
【アァン!?モンクアッカ!!】
1人目は全身が光沢のある茶色い体をした…デカいカブト虫人間だ…魔族か?それとも魔物か…意味が分からない…
【おいフランク、慌てるな。まずはガリパが相手するんだろう。】
【そうよ、アンタは大人しく木の蜜でも啜ってなさい。】
【ヒドイ…】
「頭箱族だ…」
【よく知ってるな、博識な奴は大歓迎!でもお前は大嫌い。】
2人目はジャックンと同じ頭箱族の男…箱のデザインが微妙に違うので別人だろう。
そして3人目は…全身が継ぎ接ぎだらけの…分からない、人間なのか魔族なのか…とにかく腐臭がすごい女性だ…匂いだけで吐いてしまいそうだ…
3人共明らかに見逃してくれそうにない。
「アンタ達…何者?」
【よくぞ聞いた!俺達は魔導師チカ様に忠誠を誓う!】
【エリートゾロイノトクシュセントウタイ!】
【その名も3魔士!!覚えておきなさい、お子ちゃま共。】
「えっ…ださ「カッコイイ!」嘘でしょコォ…」
3人共バラバラの種族だが…どこか調和が取れている気がする…それがカッコイイ!
昔、本で読んだ騎士道にこんなのが居たな…
【あら、最近の子にしてはよく分かってるじゃない。】
「コォ!こんなのダサいよ!ギ○ュー○戦隊の劣化版だよ!」
【世間知らないウチでも無いかなって思うよ。】
「えぇ…カッコいいと思うんだけどな…」
それはともかく!コイツ等は敵…だけど首飾りは着けていない。
もしかしたら話し合いでどうにかなるかもしれない…それが良い!
「あの…えーっと…」
【俺はフィフィレ―だ。】
「フィフィレーさん、戦わなくても…良くないですか?見逃してくださいよ。」
【確かに…よく考えたらそんなに戦う理由無いかもな…面倒くさいし…】
やった!ちょっと悩んでいるぞ…いくら忠誠を誓っていても面倒くさいのは誰だって嫌だからね!
このまま見逃してくれる方向に持って行けば…
【けどダ・メ♪お前等は殺すように言われてるから。】
「そ、そんな…」
【アッハハハ!私も暴れたくなってたのよ…】
【ダレカラコロス、オマエカ!】
今にでも飛び掛かって来そうなカブト虫男をフィフィレーは止めた。
最初に戦うのはこのゾンビらしいが…3人でやれば…勝てるか?
此処の奴らはどれも手強いヤツが多い、自分もマジカウェポン等を使わないと勝てないかもしれない!
【ね?フェアに行かない?】
「ふぇ、フェア?」
【そう!アンタ等は3人、こちらも3人…1対1でやり合うってのは?もちろん、3対1でも良いのよ?】
ガリパと呼ばれていた女は腐臭の漂う口を開けながら大笑いする…
どうする…3対1でやるか、それとも1対1でやり合うか…インとイワに怪我をさせたくないのでサシで戦うのを選びたいが、自分1人で勝てる気がしない…
最悪…自分を犠牲に2人だけでも逃がすことは出来ないだろうか…インなら1人でも大魔導師会の本部まで行けるだろう。
それが良い…
「1対1でやるぞ…俺と戦え!!」
【ふぅー!やっるぅ!イカしてるわよアンタ。】
「ちょ、ちょっとコォ…」
【無茶だよ、1人でなんて…】
「良いか、イン、イワ…もし何かあった場合は…逃げろ。」
自分は2人へ「何かあった場合は全力で時間を稼ぐのでその間に逃げろ」と静かに伝えた…荷物の中には必要な物がたくさん入っているので大丈夫だろう。
【さぁ!ギャラリーは引きなさい。私と僕の楽しい殺し合いが始まるのよ。】
【相変わらずちゃらけた女だな。】
【アノ2ヒキノウチ、ドチラカハオレノダカラナ。】
【わーってるって。】
「【………】」
自分とガリパ以外は道の端により、自分達は大通りのド真ん中で戦う事となった。
どうする…久しぶりに使うか…火球…だけど、コントロールが苦手なんだよな…
ともかく!コイツにはもう…手加減なんかしないぞ…殺してやる、殺す勢いでやってやる。
【力がどのくらいの物か試してあげる。さぁ、お姉さんにぶちまけなさい!】
「(な、舐めてる…しかし!チャンス!)…フラッシュル!!」
【!?(光魔法!?)】
手始めにフラッシュルで相手の目を潰すと、メイスで頭と胴の辺りを何度も滅多打ちにする!!
バキッ!やメゴォ!と言った音は徐々に水気を含み、血がメイスに付着する。
【ぐぁ!がはぁ!!】
「ハァァアアア!!キム・ムーア!!ダリャァアア!!」
【うずわぁあああああ!?】
【お、中々やるな。】
「(コォ…魔力が少ないのに…)」
次にキム・ムーアを唱えると、腕を強化してメイスを思いっきり!!胴体のド真ん中へ振るう!!ガリパは血をまき散らしながら飛んで行き、家屋へ突っ込んだ。
大穴が空いて崩れそうな家屋へ今度は右手で火球を作ると…投げつける!
火球は飛んで行き、奴が倒れているであろう建物へ入って行くと大爆発を起こして周辺の家ごとガリパを吹き飛ばした!
「はぁ…はぁ…」
【嘘だろ…ガリパの野郎…やられたか!?】
【イマノイチゲキハツヨカッタナ。】
「や、やった!コォ!凄いや!」
どうだ…これが俺の全力だ…もう魔力は少ないが…1人撃破だ。
殺してしまうとは…だが、1人も2人も同じようなもの…
【やるわね、ここまでとは。】
「!?い、生きて…」
「そんな…あれだけ喰らって生きてるなんて…」
げに恐ろしき事か…なんとガリパは建物から出て来た。
肌は焼け焦げ、頭にはなんか刺さっているが、ブシュ!と普通に抜いた。
立っているなんて…しかも余裕そうに…
【ちぃとばかし…カチンと来ちゃったな。次は私の番ね…】
「ひぃ!?」
【逃がさないわよ。】
「あぐぁ!!」
怯える自分に対してガリパは風の如き速さで近付いてくると俺の腹部へ膝蹴りを入れた。
そうして蹲る自分の首を絞め上げ、ガリパはギヒヒと笑う…
【捕まえた♪さぁて…どうしましょうかね…】
「あが!ががが!」
【こうしましょうか!!】
まるでおもちゃを乱暴に扱う子供のようにガリパは自分を片手で持ち上げると、近くの家の壁へ押し付けて擦る!ザラザラしている壁は肌を削ぎ、血肉を抉る!
痛みと共に白い壁は赤い血で染まって行く…強い…強すぎる…だが!
負けてたまるか!せめて!せめて時間を稼がないと!!2人を逃がさなくては!
「(禁じ手だが…使うしかない!)キム・ムーア!!」
【お?】
間を置かずに使うのは危険だが、魔法を唱えて腕を強化するとガリパの掴む腕を無理やり外した!
そしてイン達へ目で合図を送ると…奴を掴み、精一杯地面へ叩き付ける!
その間に逃げてくれれば良いのだが…
【おっと!逃がさねぇぞ?逃げるなんて卑怯だな。】
「ッチ…(やっぱり私も戦うしか…)」
「(ダメか…)チクショウ!!」
【中々オイタをするわね?それでも戦ってるつもりなの?】
「な!?」
【アンタの攻撃なんかあくびが出るわよ!!】
ガリパは腕を振り解くと今度はこちらの足を持って同じように強く地面へ叩き付ける!
たった1発で瀕死状態になってしまった…こんなにも実力差があったとは…
しかし…やはり!まだくたばるわけには!!行くか!!
【あら?もうお終い?だったらトドメを刺すわよ。】
「まだだ…まだだ!!ぐぉお!!!」
【キャー!立つなんて丈夫ね。どんなことをしてくれるのかしら?】
「はぁ…はぁ…クッソぉおお!!」
自分は持てる力全てを使って…まだ魔法の効力が残っているうちに!!
右の拳を思いっきり相手の腹部へ打ちこんだ!!出せる限界の力を!
【ギャァアアア!!……って言うと思った?】
「な、なんで…」
【弱い、弱すぎるわ…本当にザコね。】
「そんな…全力を出したのに…」
【全力を出せば勝てるとは限らないの。死ぬ前に良い事が分かって…良かったわね!!】
「アッガァッツ!!!」
全く効いていない…それどころか…相手の素早い蹴りは自分の腹部へ鋭く刺さる様にぶち込まれ…バギゴキ!と鈍い音を鳴かせた…
痛い…い、息が出来ない…アバラが折れたんだ…ちくしょう…死ぬのか…
父さんごめん…何も出来なくて…
つづく
・・・
13星座物語、ゾニウ座編
解説:名も無き旅人
『西の森林を我の物にせんと太古の支配者リグラノールは自身の住む森へ魔物の群れを解き放った。しかし、北の戦士ゾニウは横暴な支配者を葬るため、森へと突入した。異界の魔物と激戦を繰り返したゾニウはやがて、大火竜と一戦交えたが、体力の消耗もあり、相打ちで亡くなった。それ以降、ゾニウは天の星となり…戦士を見守るのであった…1月生まれの者はゾニウの加護を受けると言う伝説がある…しかし、それは正しい道を行く者に対しての話だ。』
昨夜…少しインとぶつかり合いがあってちょっと喧嘩中だ…この歳にもなって喧嘩とは…自分が情けない。
何を言っても彼女は無視を決め込む…すっかり拗ねてしまった様だ…
こんな時…父さんが居れば何とかしてくれるのに…いや、駄目だ、この旅で父親を頼ってはいけない…俺が何とかするしかない。
「イン…悪かったよ…機嫌を直してくれ…」
「………」
「イワは子供だ。しょうがないさ。」
【2人より年上だけど。】
「いやまぁ…そうだけど…」
インがご機嫌ナナメなのは昨晩、イワへいちゃもんを付けたが俺に否定されたからだ…確かにイワは自分達の荷物を盗もうとした奴だが…
もう、そんな事はしないと本人が言っている。
信じてあげようじゃないか、頭だって…イイとは言えないけど純粋だと思う。
【イン、ウチの事嫌い?】
「当たり前だよ!盗人なんか好きになれないよ!」
【そうか……だったらコォ…ウチはもう良い。】
「良いって…何が良いんだ?」
イワは歩くのを止めてそのまま立ち止まってしまった…
【やっぱりウチは山に居る。2人の仲を悪くしたくない。】
「イワ…正気か?だってこの山は…」
「アンタ…」
この山にはまだまだ強力な魔物が居るに違いない、それにようやく山の終わり付近まで来たんだ、此処で引き返すなんてあんまりだ。
自分は止めるようにと何度も言ったが…「機嫌を損ねたくない」の一点張りでイワは動こうとしない。
此処で1人置いて行くのもアレだ…
「ったく…もう分かった!私が悪かった…もう信じるから…残るなんて言わないで…」
「イン…」
【仲直りして。】
「はいはい…コォ…」
「なんだ?」
「えいッ!!」
インは俺の脇腹を素早い拳で突いた…い、痛い…これが…仲直りか…
「うぐふ…これで…仲直りだな…」
「そーゆーこと。」
【あはは。これで仲直り。】
イワはにっこりと笑い…そのまま3人で山を進むことに…意外と今回は早く仲直り出来たな、いつもは2日ぐらいは無視のし合いなのに。
成長したって事なのかな…いや、イワが仲裁してくれたからかな。
やっぱり連れて行きたい…だが…うーむ…止めておこう、危険だ。
「アンタ、意外と根性あるのね。」
【こんじょー上等。】
「旅をしている間は私がアンタのボスだからね。覚えといてね。」
「ボスって…」
しばらく歩けば見えてくるのは…人の住まなくなったクッド旧市街。
石造りの白く、大きな街は太古に栄えたが…どういうワケか一晩のうちに千単位の住人が消えてしまったらしい…それ以来、この街はイワクツキの遺跡として扱われている。
誰も寄り付かなく、広いので世捨て人等が住み着きそうだが…その類の人間は時々やって来る魔物の腹に収まってしまうらしい。
「この街を抜ければモース大平原に出られるぞ。」
【ダイヘイゲン?】
「大きい平原って書いてあるけど…分かんないや。」
「丘みたいなものじゃない?」
ま!何はともあれ!この街を抜けさえすれば良いんだ!さっさと抜けてさっさと本部へ行こう!
そう言えばこの辺りは不審者が出るって聞いたな…出くわさないと良いけど。
山道と違って歩きやすい…けど…どうしよう、奥にもちょっと山が見える…そう言えば関所が何とかって聞いた…もしかしてアッチの方に在るのだろうか。
【不思議…こんなに硬い道があるなんて…四角い石も…】
「知らないの?家だよ、アンタ…何処で寝てたの?」
【熊の穴…いそーろーしてた。】
「熊ってあの熊か…イワって根性あるんだな…」
熊と魔物には手を出すなと言われていたな…自分は数回しか出会わなかったが、直ぐに逃げて行った…案外臆病な性格なのかもしれない。
それはさておき、この遺跡街…少し変な感じがする。
この街が栄えたのは少なくとも1000年前以上だ…なのに…少し綺麗過ぎないか?
石造りの住居には細かい傷が見られ、ドアも窓も無いが、コレと言って大きな損傷は見当たらない…まるで数年前まで誰かが住んでいた様だ…
「コォ、この家良くない?」
「そうだな…大きさも丁度いい…って、使わないぞ?」
「分かってるけどさ…無人じゃん。」
「一晩のうちに人が消えた街で寝たいのか?」
「そ、そうだよね…早く先を急ごうよ!」
しかし…どうやって一晩のうちに千単位の住民が消えたのだろう。
現在の科学力では解析不明と聞いたが…是非とも生きているうちに知りたい。
「……?イン、イワ…ちょっと…」
「どうかしたの?」
【なにか?】
気のせいだろうか…今、話し声が聞こえたような気がする…こんな所に人が?
もしかしたら赤い首飾りの仲間かもしれない…慎重に行こう…
『…で…だ……らしい…』
「「【!?】」」
やはり聞こえる!気のせいでは無い!ど、どうする…気になってしまう!話しかけるか?
いやしかし!やはり敵かもしれない…ちょっとアレだけど…盗み聞きをするか…
会話の内容で判断しよう!ヤバイ人達だったりしたら…逃げよう、うん。
自分達は耳を澄まして壁の向こうの彼らの話をそーっと…聞いた…
『ネストロも使えない奴だな…やられてしまうとは…』
『ヤッパ、オレタチガイクシカナイ、コロシニイクゾ。』
『情けないわね貴方達、相手はたかが子供が3人でしょう?』
「(な、なんだ?変な声がするな…)」
子供が3人…もしかして俺達の事…じゃないよな?いや…そんな事は…
『あの4人は新参だからな。べコタスもコリンパイもクズだ。』
『私1人で全員やったるわよ。縫い縫いしちゃうわ。』
『オレモタタカイタイ…』
やばい…明らかに…あの首飾りたちの仲間に違いない!ネストロと言う聞きなれないヤツは…そうだ!入り口に貼ってあった行方不明者の1人だ!
知らないうちに死んでいた様だ…ともかく…此処から逃げるか…
『んで、誰からやる?やっぱりお前からか?』
『当たり前よ。さぁ、身体を動かしましょうかね!!】
「「【!?】」」
壁の向こうから3人の影がこちらに向かって降りて来た!
バレていたのか…それにしてもなんだコイツ等は…全員人間ではない…
【オレ、カラダナマッテキタ…モットウンドウシタイ…】
「か、カブト虫…だ…」
「キモイ!」
【アァン!?モンクアッカ!!】
1人目は全身が光沢のある茶色い体をした…デカいカブト虫人間だ…魔族か?それとも魔物か…意味が分からない…
【おいフランク、慌てるな。まずはガリパが相手するんだろう。】
【そうよ、アンタは大人しく木の蜜でも啜ってなさい。】
【ヒドイ…】
「頭箱族だ…」
【よく知ってるな、博識な奴は大歓迎!でもお前は大嫌い。】
2人目はジャックンと同じ頭箱族の男…箱のデザインが微妙に違うので別人だろう。
そして3人目は…全身が継ぎ接ぎだらけの…分からない、人間なのか魔族なのか…とにかく腐臭がすごい女性だ…匂いだけで吐いてしまいそうだ…
3人共明らかに見逃してくれそうにない。
「アンタ達…何者?」
【よくぞ聞いた!俺達は魔導師チカ様に忠誠を誓う!】
【エリートゾロイノトクシュセントウタイ!】
【その名も3魔士!!覚えておきなさい、お子ちゃま共。】
「えっ…ださ「カッコイイ!」嘘でしょコォ…」
3人共バラバラの種族だが…どこか調和が取れている気がする…それがカッコイイ!
昔、本で読んだ騎士道にこんなのが居たな…
【あら、最近の子にしてはよく分かってるじゃない。】
「コォ!こんなのダサいよ!ギ○ュー○戦隊の劣化版だよ!」
【世間知らないウチでも無いかなって思うよ。】
「えぇ…カッコいいと思うんだけどな…」
それはともかく!コイツ等は敵…だけど首飾りは着けていない。
もしかしたら話し合いでどうにかなるかもしれない…それが良い!
「あの…えーっと…」
【俺はフィフィレ―だ。】
「フィフィレーさん、戦わなくても…良くないですか?見逃してくださいよ。」
【確かに…よく考えたらそんなに戦う理由無いかもな…面倒くさいし…】
やった!ちょっと悩んでいるぞ…いくら忠誠を誓っていても面倒くさいのは誰だって嫌だからね!
このまま見逃してくれる方向に持って行けば…
【けどダ・メ♪お前等は殺すように言われてるから。】
「そ、そんな…」
【アッハハハ!私も暴れたくなってたのよ…】
【ダレカラコロス、オマエカ!】
今にでも飛び掛かって来そうなカブト虫男をフィフィレーは止めた。
最初に戦うのはこのゾンビらしいが…3人でやれば…勝てるか?
此処の奴らはどれも手強いヤツが多い、自分もマジカウェポン等を使わないと勝てないかもしれない!
【ね?フェアに行かない?】
「ふぇ、フェア?」
【そう!アンタ等は3人、こちらも3人…1対1でやり合うってのは?もちろん、3対1でも良いのよ?】
ガリパと呼ばれていた女は腐臭の漂う口を開けながら大笑いする…
どうする…3対1でやるか、それとも1対1でやり合うか…インとイワに怪我をさせたくないのでサシで戦うのを選びたいが、自分1人で勝てる気がしない…
最悪…自分を犠牲に2人だけでも逃がすことは出来ないだろうか…インなら1人でも大魔導師会の本部まで行けるだろう。
それが良い…
「1対1でやるぞ…俺と戦え!!」
【ふぅー!やっるぅ!イカしてるわよアンタ。】
「ちょ、ちょっとコォ…」
【無茶だよ、1人でなんて…】
「良いか、イン、イワ…もし何かあった場合は…逃げろ。」
自分は2人へ「何かあった場合は全力で時間を稼ぐのでその間に逃げろ」と静かに伝えた…荷物の中には必要な物がたくさん入っているので大丈夫だろう。
【さぁ!ギャラリーは引きなさい。私と僕の楽しい殺し合いが始まるのよ。】
【相変わらずちゃらけた女だな。】
【アノ2ヒキノウチ、ドチラカハオレノダカラナ。】
【わーってるって。】
「【………】」
自分とガリパ以外は道の端により、自分達は大通りのド真ん中で戦う事となった。
どうする…久しぶりに使うか…火球…だけど、コントロールが苦手なんだよな…
ともかく!コイツにはもう…手加減なんかしないぞ…殺してやる、殺す勢いでやってやる。
【力がどのくらいの物か試してあげる。さぁ、お姉さんにぶちまけなさい!】
「(な、舐めてる…しかし!チャンス!)…フラッシュル!!」
【!?(光魔法!?)】
手始めにフラッシュルで相手の目を潰すと、メイスで頭と胴の辺りを何度も滅多打ちにする!!
バキッ!やメゴォ!と言った音は徐々に水気を含み、血がメイスに付着する。
【ぐぁ!がはぁ!!】
「ハァァアアア!!キム・ムーア!!ダリャァアア!!」
【うずわぁあああああ!?】
【お、中々やるな。】
「(コォ…魔力が少ないのに…)」
次にキム・ムーアを唱えると、腕を強化してメイスを思いっきり!!胴体のド真ん中へ振るう!!ガリパは血をまき散らしながら飛んで行き、家屋へ突っ込んだ。
大穴が空いて崩れそうな家屋へ今度は右手で火球を作ると…投げつける!
火球は飛んで行き、奴が倒れているであろう建物へ入って行くと大爆発を起こして周辺の家ごとガリパを吹き飛ばした!
「はぁ…はぁ…」
【嘘だろ…ガリパの野郎…やられたか!?】
【イマノイチゲキハツヨカッタナ。】
「や、やった!コォ!凄いや!」
どうだ…これが俺の全力だ…もう魔力は少ないが…1人撃破だ。
殺してしまうとは…だが、1人も2人も同じようなもの…
【やるわね、ここまでとは。】
「!?い、生きて…」
「そんな…あれだけ喰らって生きてるなんて…」
げに恐ろしき事か…なんとガリパは建物から出て来た。
肌は焼け焦げ、頭にはなんか刺さっているが、ブシュ!と普通に抜いた。
立っているなんて…しかも余裕そうに…
【ちぃとばかし…カチンと来ちゃったな。次は私の番ね…】
「ひぃ!?」
【逃がさないわよ。】
「あぐぁ!!」
怯える自分に対してガリパは風の如き速さで近付いてくると俺の腹部へ膝蹴りを入れた。
そうして蹲る自分の首を絞め上げ、ガリパはギヒヒと笑う…
【捕まえた♪さぁて…どうしましょうかね…】
「あが!ががが!」
【こうしましょうか!!】
まるでおもちゃを乱暴に扱う子供のようにガリパは自分を片手で持ち上げると、近くの家の壁へ押し付けて擦る!ザラザラしている壁は肌を削ぎ、血肉を抉る!
痛みと共に白い壁は赤い血で染まって行く…強い…強すぎる…だが!
負けてたまるか!せめて!せめて時間を稼がないと!!2人を逃がさなくては!
「(禁じ手だが…使うしかない!)キム・ムーア!!」
【お?】
間を置かずに使うのは危険だが、魔法を唱えて腕を強化するとガリパの掴む腕を無理やり外した!
そしてイン達へ目で合図を送ると…奴を掴み、精一杯地面へ叩き付ける!
その間に逃げてくれれば良いのだが…
【おっと!逃がさねぇぞ?逃げるなんて卑怯だな。】
「ッチ…(やっぱり私も戦うしか…)」
「(ダメか…)チクショウ!!」
【中々オイタをするわね?それでも戦ってるつもりなの?】
「な!?」
【アンタの攻撃なんかあくびが出るわよ!!】
ガリパは腕を振り解くと今度はこちらの足を持って同じように強く地面へ叩き付ける!
たった1発で瀕死状態になってしまった…こんなにも実力差があったとは…
しかし…やはり!まだくたばるわけには!!行くか!!
【あら?もうお終い?だったらトドメを刺すわよ。】
「まだだ…まだだ!!ぐぉお!!!」
【キャー!立つなんて丈夫ね。どんなことをしてくれるのかしら?】
「はぁ…はぁ…クッソぉおお!!」
自分は持てる力全てを使って…まだ魔法の効力が残っているうちに!!
右の拳を思いっきり相手の腹部へ打ちこんだ!!出せる限界の力を!
【ギャァアアア!!……って言うと思った?】
「な、なんで…」
【弱い、弱すぎるわ…本当にザコね。】
「そんな…全力を出したのに…」
【全力を出せば勝てるとは限らないの。死ぬ前に良い事が分かって…良かったわね!!】
「アッガァッツ!!!」
全く効いていない…それどころか…相手の素早い蹴りは自分の腹部へ鋭く刺さる様にぶち込まれ…バギゴキ!と鈍い音を鳴かせた…
痛い…い、息が出来ない…アバラが折れたんだ…ちくしょう…死ぬのか…
父さんごめん…何も出来なくて…
つづく
・・・
13星座物語、ゾニウ座編
解説:名も無き旅人
『西の森林を我の物にせんと太古の支配者リグラノールは自身の住む森へ魔物の群れを解き放った。しかし、北の戦士ゾニウは横暴な支配者を葬るため、森へと突入した。異界の魔物と激戦を繰り返したゾニウはやがて、大火竜と一戦交えたが、体力の消耗もあり、相打ちで亡くなった。それ以降、ゾニウは天の星となり…戦士を見守るのであった…1月生まれの者はゾニウの加護を受けると言う伝説がある…しかし、それは正しい道を行く者に対しての話だ。』
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