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第1部【明暗の大魔導師】編
第22話 夏以外にカブト虫はお呼びじゃない
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私の名前はイン…コォ、新入りのイワと共に冒険していた少女だ…
クッド遺跡街に来たものの…そこで待ち受けていた3魔士という奴等。
彼らのうちの1人、ガリパはコォと戦い…最初は優勢と思われたがガリパは全くダメージを受けておらず、逆にコォを瀕死にまで追い込んだ。
蹴られたコォは弱々しくヒューヒューと呼吸をしている…瀕死状態だ。
【放っておけば死ぬわね…】
【やるなガリパ、ちょっと焦ったぞ。】
【私に掛かれば当然って事よ。】
この状況を打開するにはタニポ・インジャでコォの傷を誰かに移すしかない…だが、この魔法も便利ではない。
タニポ系は上手く行けば強力だが、その分失敗すれば倍の効果が負傷した本人へ振りかかってしまう…それにこれは禁句魔法に入っているとも言われた。
使い過ぎると使用者の身体を影が蝕んで行く…死んでしまえば効果もクソも無い。
【で…次はどうするのかしら?どっちがあのチビを殺しに?】
【オレダ!オレガイク!】
【しょうがねぇな。良いぞ、やって来い。】
「くっ…(やるしかない!)」
【イ、イン…どうしよう…】
「アンタはそこに隠れて。私が戦う。」
【良いねぇ!仲間を守るなんて立派な戦乙女だ!。】
私の相手は知恵が無さそうなカブト虫男のフランクか…気持ちの悪い奴だ。
どうするか…まず、魔法で鈍らせてからタニポで怪我を移す…そしてトドメに底なし穴…よし!これで行こう!
どうせ失敗してもなんとかすれば良い!
私は未来余地が出来ないんだ!上手く行くかなんて誰にも分からない!
【オンナハ、メノマワリトハラマワリガウマイ…ヤイテクウカ…】
「ウソでしょ…人間食べるの…」
【ナカマイガイ、ゼンブガカテダ。】
カブト虫となれば…寒さには弱いはず…雹球をぶつけて鈍らせるか…
マズイ!動き出した!ええい!!もう考えるより行動だ!!!
【グァアアアアア!!シネェエエエエ!!】
「(氷は薄く作って冷気を多めに…水気含ませて…)我流雹球!!」
【あがッ!?ナ、ナンダ!?】
「(よし!後はタニポで!!)」
フランクの節々には氷で包んだ水が染み込み、それは冷気で凍って動きを鈍らせる!!
奴が怯んでいる隙にコォの目の前まで下がると…おぇぇ…酷いな…
ともかく!傷の数を出来るだけ捉えて…
「タニポ・インジャ!!」
【がっはぁああ!!いでぇなぁ…】
よし効いている!とにかくスピード重視で唱えたのでまだコォに怪我が残っているが、それでも魔法が使えるのなら生きている証拠だ!
目は…覚ましていない…気絶している。
さて…どうするか…コォが起きるまで私が戦わなくては…
【グゥウウ…ハッァアアア!!ハァ…サムカッタ…】
「ッチ…目を覚ましたか…」
【ヨクモヤッテクレタナ…コンドハオレガヤルゼェ!!】
奴はこちらへ駆け寄ると、素早いパンチをかます!咄嗟に躱したが…奴の拳は石造りの家屋へいとも簡単に…まるでハンマーでガラスを割る様に撃ち砕く!
あんなものを一発でも喰らえば即死…だが!私、素早さに自信がある!
……ごめん、嘘…やっぱり自信ない…でも…何処かの偉い人も言っていた!
当たらなければどうという事はないと!
「(こっちも攻撃!刃物は通じなさそうだから…)マジカ・モーニス!!」
【ウォ!?ナンダソリャ…】
「魔法が生み出す知能の武器よ!!」
【うっがぁああ!!】
唱えれば現れるは光るチェーンフレイル…マジカ系の武器の威力と重さは魔力に比例する…私の場合、常人より優れた魔力を有しているので軽い…
しかし、私には力がない、不意打ちで魔法鉄球をぶつけたが…見切られたら最後…掴まれたりしたら引き寄せられて逆にピンチ…まぁ、その場合は解除すれば良いけどね。
それと…これは甲とは違って乙、一瞬だけ出す甲に比べて永続して出す乙の方が消費魔力は高い。
【ナカナカヤッテクレルナ…ダガ…モウキカンゾ!!】
「それはどうかしら!ッハァ!!」
【キカン!!】
「!?」
再度放った鉄球は相手の身体にバッキィン!!と弾かれる!
そんな…魔法とは言え本物の金属と同じ硬さのハズなのに…どうして…
【オレノカラダハセントウチュウ…シュンカンテキニカタサヲマセル…カタサハパワーニウワノセサレ…コウゲキノイリョクハマス…ソウイウコトダ…】
「意外と頭は良いみたいね…それとも直感?」
【ヌカセ…オレハオレノカラダヲカタッテイルダケダ!!】
「くっ!!」
気付けば奴はチェーンを握っており、ズイッと私を引っ張り寄せる!!
咄嗟に解除したが時すでに遅し…奴の射程距離内に入ってしまった私は容赦なく腹部を殴られ、奥の家まで飛ばされた…
拳が腹へめり込んだ瞬間…メキメキと音が聞こえた気がする…
「ぐはぁあ!!がは!!ゲッフォ!!はぁ…はぁ…」
よ、良かった…なんとか…致命傷にはなっていない…息が出来るなら骨も折れていないハズ!
直ぐに立ち上がろうとしたが…
【ナニカッテニタトウトシテンダ?】
「きぃ!?」
【タツンジャネェ!!】
「ッキャァアアア!?」
目の前にはヤツが居り、私の顔面を掴んで持ち上げると外へと投げ飛ばした!
バゴッ!ベッギィ!と言った生々しい音を響かせ、硬い道を数回バウンドすると…静かに止まった…マズイ…本当にマズイ!目の前がピンク色になっている!
何かマズい所に頭をぶつけたんだ…ど、どうしよう…ガタガタ震えて立てない…
その間にも相手はこちらへ来ているのに…
「はぁ…はぁ…やめて…来ないで…」
【サッキマデノイセイハドウシタ…マァイイ、オレハノウミソハキライダ…アタマヲツブシテ、ソレカラクッテヤルゼ。】
「や、やめ…」
【アバヨ。】
「た…たた…た……助けて影狩人!!」
咄嗟的にそう叫んだ…まるで身体が勝手に動いたように…
【ウガギィイイイイイ!!】
【ナ、ナンダコイツハ!?どっはぁああ!!】
「さ、最後の…抵抗だけど…上手く行った…」
自身の影からはこの前と同じようにドロドロの人間が現れて相手を殴り飛ばした…前に初めて出した時より…すこし原型を留めていたが、直ぐに崩れ去ってしまった。
な、何はともあれ…助かった…けど…ダメだ、クラクラする…
魔力が尽きたわけじゃないけど…消費する量が多いんだ…一気に根こそぎ持っていかれた…
魔力と言うのは一気に減り過ぎると身体にショック症状が現れてしまう。
【クッソォオオ!!コロス!!】
「ひ…き、来た…どうしよう…」
【おいおい、フランクの野郎…手間取ってるぜ。】
【情けないわね。あんな子供相手に。】
今度こそ本当にマズイ…視界がグワングワンして魔法の照準がぶれる…
撃ち込んでも外れて無駄撃ちになるだけ…でも…やるしか!!
【シィイイイネェエエエエ!!】
「ハァアアア!!」
「!?こ、コォ!」
【ウグッ…ジャ、ジャマヲ…】
間一髪でコォが現れ、タックルをかましてフランクを横へ突き飛ばした。
や、やった…助かった…とにかく今は助かったのだ。
「イン、立てるか?」
「うん…」
【クッソー…】
「イン、作戦がある。一度しか言わないからよく聞け。」
「わ、分かった…」
コォは魔法が使えるかどうか確認して来たので「うん」と答えると、コソコソと作戦を早口で教えてくれた。
それを実行すれば…勝てる!いや、勝つしかない!!
【ナニヲシャベクッテイル!2ヒキマトメテキョウダイデクシヤキニシテヤル!】
「そうはさせない!!キム…ムーア!!」
【チカラクラベカ!オモシロイ!】
まずコォがキム・ムーアを使って相手と取っ組み合い…私は奴の後ろへ回る!
そしてありったけの雹球を撃ち込む!!氷少なめ、水気多めで!
(なんかラーメンみたい…)
【ムダダ!!ソンナモノ!モウキカナイ!!ソレニ…】
「ぐわあああ!!」
【チカラヲキョウカシテモオレニカナワナイ!!】
「くっそー!!重ねがけ!キム・ムーア!!3倍!」
【ソンナコトヲシテモウデヲイタメルダケダ!】
コォの腕ははち切れんばかりに筋肉が肥大して、力が増すも…それでも基礎の筋力が低いコォでは太刀打ち出来なかった…いとも簡単にコォは投げられた。
腕は紫に変色している…筋肉が壊れたのだろう…痛そうだ。
【ジャア…シネェ!!】
「ふ…掛かったわね!我流大雹球!!」
【ナ!?コ、コレハ…ウゴカン…だが…チカラデ…】
「無駄よ。先ほどとは水気も冷気も段違いだから。」
【!?ソ、ソウカ!アノヒョウキュウハ…!】
私が撃ち込んだ雹球は飽くまでも凍らせるのではなく、濡れさせるためにだ…そして先ほど撃ち込んだのは氷多め、冷気ガン増しの大雹球…作るの大変だった…
とにかく!それを喰らえば一瞬にして全身の水気は凍り、見動けは取れない!
氷の硬度は温度と水分に比例する!そして…
「動けなくなったところを…」
「タニポ・インジャ!コォの筋肉の負担を押し付ける!!」
【グアァアアアアッ!キ、キサマラ…】
【お、おい…なんかヤバいんじゃないか?】
【まさかあの子供たち…勝つんじゃ…】
【やれ!!イン!コォ!殺せ!!(応援しか出来ないなぁ…ウチ…)】
これにより奴の両腕はほぼ壊死状態…そうなればもう氷から自力で抜け出すことは不能。
動けなくなったところを透かさず!コォの魔法で!!
「マジカ・バーヤ!!」
【うぎゃあぁあああああぁぁぁぁぁ…】
ぶった斬る!!
マジカウェポン甲は一瞬だけ鋭利な刃物を出す魔法…コォのものはセンスもあって小さく、変な形をしているが…それでも切れ味は抜群に良い!!
容赦なく魔法の剣はフランクを縦に真っ二つに斬り裂いた!
【や、やられた…!フランクが…】
【きっと…アイツの知能が高くなかったからよ。偶然よ。】
【そうだな…】
【(何なんだコイツ等は…とにかく!やった!)】
どうにか3魔士の一人、フランクは撃破…しかし……もうダメだ、逃げる体力も戦う魔力も微塵も残っていない…悔しいな…此処で2人揃って死ぬなんて…
【これは何事じゃ!!】
「「【!?】」」
しかし、突如として現れた謎の女…大分老けてる…誰だこの人は…
も、もしかして!救いの女神かも!やった!助かっちゃうかもしれない!
ラッキー!!
【こんなクズにやられるとは…情けないのう…お主ら!!】
【ひぃい!!ち、チカ様…お許しを…】
【ちょっとふざけちゃっただけなのよ…】
「う、嘘でしょ…黒幕…?」
「そんな…俺達にもう力なんて…」
駄目だ、私がバカだった…救いの女神なんて現れるはずがない…
きっとコイツ等の態度からして上司だろう…そう言えばチカに忠誠を何とかと言っていた気がする。
【2人になってどうするんじゃ!3人だからカッコいいのに!!】
【すいません!!許してください!】
【わ、私は勝ってたわよ…よ、余裕で…】
【そんなの当たり前じゃ!情けない…ああ!情けない…】
「(マジかよ…俺、この人とセンス同じなのか…)」
そして部下へ威圧感をたっぷり浴びせたチカは横たわる私の元まで来ると、数回杖で何度か突っついた。
「ぐふ!や、やめて…」
「やめろ!インに手を出すな!!」
【黙れい。お主ら、中々に良い腕をしている。特に女…ワシの部下にならないかい?】
ぶ、部下?本気で言ってんのこのイカレポンチババァは…
ンなモンになるわけ無いじゃない!何が悲しくて自分と兄を痛めつけた奴の仲間に入ってダサい自己紹介しないといけないワケ!?
新手の拷問?前世で大量虐殺でもしたの?私…
「断る…」
【どうじゃ、お金はたっぷり払うぞ。】
「お金なんて要らない…」
【ワシの元に来れば…将来、良い職業に就けるぞ。】
「………でも断る!」
「ちょっと迷ってんじゃねぇよ!!」
例え、山のような金を積まれても、思い通りの未来を見せられても…私の意思は絶対に曲がらない!勧誘の数だけ断ってやる!私は死んでもこんなババァの下には就かない!
「やだやだ!」
【んもう…駄々っ子じゃのう……ところで、ネストロは何処じゃ?】
【えっ…し、死にました…】
【そうか…お前、クビじゃ。】
【あぎゃ!?】
「!?ば、爆発した…」
バラバラのゾンビ女はチカの指先一つでダウン…では無く、爆散した。
あんなに強かったアイツをたった一撃で…恐ろしい!
【ひぃいい!?な、なにをするんですかチカ様ぁ!】
【ほら、これでそっちの男も3魔士に入れるぞ。どうじゃ?】
「やーだ!ばーか!死ねうんこ!」
【口を慎め…女子がそんな事を申してはならん。】
チカは「困ったのう…」と頭をポリポリ掻く…そしてふと物陰の方を見ると…
【誰じゃそこに居るのは!出て来んかい!このボケ!!】
【ひぇえ…お、お見逃してつかぁさい…】
【うん?魔族の童とは珍しい………ッ!?こ、此奴は紫肌族じゃないか!?】
【コハダ?】
コマタだか何だか知らないけど!明らかにチカは恐怖している!
まるでこれから叱られるちびっ子のように!なんだ…イワって何かヤバイ種族なのか…確かに紫色の魔族は見ないけど…
【なんですか…それ…】
【人工魔族の1種じゃ…まさかまだ生き残りが居たなんて…】
【ウチはイワだよ…ジンコーじゃないよ…】
【もうコイツ等などどうでも良い!連れて帰るっきゃない!!】
【キャアアアア!?】
「イワ!!」
「新入り!!」
イワはそのままチカに連れ去られ、3人共その場から消え去ってしまった…
に、逃げられた…ははは…イワは連れて行かれたけど、私達は助かった。
とりあえず…身体が動くようになるまでは寝ていよう…その後で助けに行こう…うん、そうしよう。
つづく
・・・
魔力と知能について
著者:マジシィ・ゴース(元全国魔法委員会役員)
『魔力と知能については、科学的な根拠はないが…魔法的な根拠はある。知能テスト調べた結果…知能が高い者ほど多くの種類の魔法が使えると言う事が分かっている。しかし、興味深い事に知能が芳しくない者は種類こそ劣るものの、一発の威力が格段に違う事が確認された。これは知能云々では無く、モチベーションと創造力で違うと思われる。きっと頭が悪い人ほど無駄な事を考える時間が多いのだろう。…いや、待て…私は何を基準に頭の良し悪しを分類しているんだ?他人の知能は他人には語れない、説明できないのだ…他人を語る時点でどうかしている…当たり前の事じゃないか…私はなんてことを…この実験記録は削除する事にしよう。』
「お前なんで実験記録消したの?」
「人が他人の頭の良し悪しを語るなんてどうかしているからだ!」
「あ、そう…お前クビ。」
「そんなぁ。」
『他人を口だけで否定する事は愚行です、止めましょう。全国魔法委員会一同より』
クッド遺跡街に来たものの…そこで待ち受けていた3魔士という奴等。
彼らのうちの1人、ガリパはコォと戦い…最初は優勢と思われたがガリパは全くダメージを受けておらず、逆にコォを瀕死にまで追い込んだ。
蹴られたコォは弱々しくヒューヒューと呼吸をしている…瀕死状態だ。
【放っておけば死ぬわね…】
【やるなガリパ、ちょっと焦ったぞ。】
【私に掛かれば当然って事よ。】
この状況を打開するにはタニポ・インジャでコォの傷を誰かに移すしかない…だが、この魔法も便利ではない。
タニポ系は上手く行けば強力だが、その分失敗すれば倍の効果が負傷した本人へ振りかかってしまう…それにこれは禁句魔法に入っているとも言われた。
使い過ぎると使用者の身体を影が蝕んで行く…死んでしまえば効果もクソも無い。
【で…次はどうするのかしら?どっちがあのチビを殺しに?】
【オレダ!オレガイク!】
【しょうがねぇな。良いぞ、やって来い。】
「くっ…(やるしかない!)」
【イ、イン…どうしよう…】
「アンタはそこに隠れて。私が戦う。」
【良いねぇ!仲間を守るなんて立派な戦乙女だ!。】
私の相手は知恵が無さそうなカブト虫男のフランクか…気持ちの悪い奴だ。
どうするか…まず、魔法で鈍らせてからタニポで怪我を移す…そしてトドメに底なし穴…よし!これで行こう!
どうせ失敗してもなんとかすれば良い!
私は未来余地が出来ないんだ!上手く行くかなんて誰にも分からない!
【オンナハ、メノマワリトハラマワリガウマイ…ヤイテクウカ…】
「ウソでしょ…人間食べるの…」
【ナカマイガイ、ゼンブガカテダ。】
カブト虫となれば…寒さには弱いはず…雹球をぶつけて鈍らせるか…
マズイ!動き出した!ええい!!もう考えるより行動だ!!!
【グァアアアアア!!シネェエエエエ!!】
「(氷は薄く作って冷気を多めに…水気含ませて…)我流雹球!!」
【あがッ!?ナ、ナンダ!?】
「(よし!後はタニポで!!)」
フランクの節々には氷で包んだ水が染み込み、それは冷気で凍って動きを鈍らせる!!
奴が怯んでいる隙にコォの目の前まで下がると…おぇぇ…酷いな…
ともかく!傷の数を出来るだけ捉えて…
「タニポ・インジャ!!」
【がっはぁああ!!いでぇなぁ…】
よし効いている!とにかくスピード重視で唱えたのでまだコォに怪我が残っているが、それでも魔法が使えるのなら生きている証拠だ!
目は…覚ましていない…気絶している。
さて…どうするか…コォが起きるまで私が戦わなくては…
【グゥウウ…ハッァアアア!!ハァ…サムカッタ…】
「ッチ…目を覚ましたか…」
【ヨクモヤッテクレタナ…コンドハオレガヤルゼェ!!】
奴はこちらへ駆け寄ると、素早いパンチをかます!咄嗟に躱したが…奴の拳は石造りの家屋へいとも簡単に…まるでハンマーでガラスを割る様に撃ち砕く!
あんなものを一発でも喰らえば即死…だが!私、素早さに自信がある!
……ごめん、嘘…やっぱり自信ない…でも…何処かの偉い人も言っていた!
当たらなければどうという事はないと!
「(こっちも攻撃!刃物は通じなさそうだから…)マジカ・モーニス!!」
【ウォ!?ナンダソリャ…】
「魔法が生み出す知能の武器よ!!」
【うっがぁああ!!】
唱えれば現れるは光るチェーンフレイル…マジカ系の武器の威力と重さは魔力に比例する…私の場合、常人より優れた魔力を有しているので軽い…
しかし、私には力がない、不意打ちで魔法鉄球をぶつけたが…見切られたら最後…掴まれたりしたら引き寄せられて逆にピンチ…まぁ、その場合は解除すれば良いけどね。
それと…これは甲とは違って乙、一瞬だけ出す甲に比べて永続して出す乙の方が消費魔力は高い。
【ナカナカヤッテクレルナ…ダガ…モウキカンゾ!!】
「それはどうかしら!ッハァ!!」
【キカン!!】
「!?」
再度放った鉄球は相手の身体にバッキィン!!と弾かれる!
そんな…魔法とは言え本物の金属と同じ硬さのハズなのに…どうして…
【オレノカラダハセントウチュウ…シュンカンテキニカタサヲマセル…カタサハパワーニウワノセサレ…コウゲキノイリョクハマス…ソウイウコトダ…】
「意外と頭は良いみたいね…それとも直感?」
【ヌカセ…オレハオレノカラダヲカタッテイルダケダ!!】
「くっ!!」
気付けば奴はチェーンを握っており、ズイッと私を引っ張り寄せる!!
咄嗟に解除したが時すでに遅し…奴の射程距離内に入ってしまった私は容赦なく腹部を殴られ、奥の家まで飛ばされた…
拳が腹へめり込んだ瞬間…メキメキと音が聞こえた気がする…
「ぐはぁあ!!がは!!ゲッフォ!!はぁ…はぁ…」
よ、良かった…なんとか…致命傷にはなっていない…息が出来るなら骨も折れていないハズ!
直ぐに立ち上がろうとしたが…
【ナニカッテニタトウトシテンダ?】
「きぃ!?」
【タツンジャネェ!!】
「ッキャァアアア!?」
目の前にはヤツが居り、私の顔面を掴んで持ち上げると外へと投げ飛ばした!
バゴッ!ベッギィ!と言った生々しい音を響かせ、硬い道を数回バウンドすると…静かに止まった…マズイ…本当にマズイ!目の前がピンク色になっている!
何かマズい所に頭をぶつけたんだ…ど、どうしよう…ガタガタ震えて立てない…
その間にも相手はこちらへ来ているのに…
「はぁ…はぁ…やめて…来ないで…」
【サッキマデノイセイハドウシタ…マァイイ、オレハノウミソハキライダ…アタマヲツブシテ、ソレカラクッテヤルゼ。】
「や、やめ…」
【アバヨ。】
「た…たた…た……助けて影狩人!!」
咄嗟的にそう叫んだ…まるで身体が勝手に動いたように…
【ウガギィイイイイイ!!】
【ナ、ナンダコイツハ!?どっはぁああ!!】
「さ、最後の…抵抗だけど…上手く行った…」
自身の影からはこの前と同じようにドロドロの人間が現れて相手を殴り飛ばした…前に初めて出した時より…すこし原型を留めていたが、直ぐに崩れ去ってしまった。
な、何はともあれ…助かった…けど…ダメだ、クラクラする…
魔力が尽きたわけじゃないけど…消費する量が多いんだ…一気に根こそぎ持っていかれた…
魔力と言うのは一気に減り過ぎると身体にショック症状が現れてしまう。
【クッソォオオ!!コロス!!】
「ひ…き、来た…どうしよう…」
【おいおい、フランクの野郎…手間取ってるぜ。】
【情けないわね。あんな子供相手に。】
今度こそ本当にマズイ…視界がグワングワンして魔法の照準がぶれる…
撃ち込んでも外れて無駄撃ちになるだけ…でも…やるしか!!
【シィイイイネェエエエエ!!】
「ハァアアア!!」
「!?こ、コォ!」
【ウグッ…ジャ、ジャマヲ…】
間一髪でコォが現れ、タックルをかましてフランクを横へ突き飛ばした。
や、やった…助かった…とにかく今は助かったのだ。
「イン、立てるか?」
「うん…」
【クッソー…】
「イン、作戦がある。一度しか言わないからよく聞け。」
「わ、分かった…」
コォは魔法が使えるかどうか確認して来たので「うん」と答えると、コソコソと作戦を早口で教えてくれた。
それを実行すれば…勝てる!いや、勝つしかない!!
【ナニヲシャベクッテイル!2ヒキマトメテキョウダイデクシヤキニシテヤル!】
「そうはさせない!!キム…ムーア!!」
【チカラクラベカ!オモシロイ!】
まずコォがキム・ムーアを使って相手と取っ組み合い…私は奴の後ろへ回る!
そしてありったけの雹球を撃ち込む!!氷少なめ、水気多めで!
(なんかラーメンみたい…)
【ムダダ!!ソンナモノ!モウキカナイ!!ソレニ…】
「ぐわあああ!!」
【チカラヲキョウカシテモオレニカナワナイ!!】
「くっそー!!重ねがけ!キム・ムーア!!3倍!」
【ソンナコトヲシテモウデヲイタメルダケダ!】
コォの腕ははち切れんばかりに筋肉が肥大して、力が増すも…それでも基礎の筋力が低いコォでは太刀打ち出来なかった…いとも簡単にコォは投げられた。
腕は紫に変色している…筋肉が壊れたのだろう…痛そうだ。
【ジャア…シネェ!!】
「ふ…掛かったわね!我流大雹球!!」
【ナ!?コ、コレハ…ウゴカン…だが…チカラデ…】
「無駄よ。先ほどとは水気も冷気も段違いだから。」
【!?ソ、ソウカ!アノヒョウキュウハ…!】
私が撃ち込んだ雹球は飽くまでも凍らせるのではなく、濡れさせるためにだ…そして先ほど撃ち込んだのは氷多め、冷気ガン増しの大雹球…作るの大変だった…
とにかく!それを喰らえば一瞬にして全身の水気は凍り、見動けは取れない!
氷の硬度は温度と水分に比例する!そして…
「動けなくなったところを…」
「タニポ・インジャ!コォの筋肉の負担を押し付ける!!」
【グアァアアアアッ!キ、キサマラ…】
【お、おい…なんかヤバいんじゃないか?】
【まさかあの子供たち…勝つんじゃ…】
【やれ!!イン!コォ!殺せ!!(応援しか出来ないなぁ…ウチ…)】
これにより奴の両腕はほぼ壊死状態…そうなればもう氷から自力で抜け出すことは不能。
動けなくなったところを透かさず!コォの魔法で!!
「マジカ・バーヤ!!」
【うぎゃあぁあああああぁぁぁぁぁ…】
ぶった斬る!!
マジカウェポン甲は一瞬だけ鋭利な刃物を出す魔法…コォのものはセンスもあって小さく、変な形をしているが…それでも切れ味は抜群に良い!!
容赦なく魔法の剣はフランクを縦に真っ二つに斬り裂いた!
【や、やられた…!フランクが…】
【きっと…アイツの知能が高くなかったからよ。偶然よ。】
【そうだな…】
【(何なんだコイツ等は…とにかく!やった!)】
どうにか3魔士の一人、フランクは撃破…しかし……もうダメだ、逃げる体力も戦う魔力も微塵も残っていない…悔しいな…此処で2人揃って死ぬなんて…
【これは何事じゃ!!】
「「【!?】」」
しかし、突如として現れた謎の女…大分老けてる…誰だこの人は…
も、もしかして!救いの女神かも!やった!助かっちゃうかもしれない!
ラッキー!!
【こんなクズにやられるとは…情けないのう…お主ら!!】
【ひぃい!!ち、チカ様…お許しを…】
【ちょっとふざけちゃっただけなのよ…】
「う、嘘でしょ…黒幕…?」
「そんな…俺達にもう力なんて…」
駄目だ、私がバカだった…救いの女神なんて現れるはずがない…
きっとコイツ等の態度からして上司だろう…そう言えばチカに忠誠を何とかと言っていた気がする。
【2人になってどうするんじゃ!3人だからカッコいいのに!!】
【すいません!!許してください!】
【わ、私は勝ってたわよ…よ、余裕で…】
【そんなの当たり前じゃ!情けない…ああ!情けない…】
「(マジかよ…俺、この人とセンス同じなのか…)」
そして部下へ威圧感をたっぷり浴びせたチカは横たわる私の元まで来ると、数回杖で何度か突っついた。
「ぐふ!や、やめて…」
「やめろ!インに手を出すな!!」
【黙れい。お主ら、中々に良い腕をしている。特に女…ワシの部下にならないかい?】
ぶ、部下?本気で言ってんのこのイカレポンチババァは…
ンなモンになるわけ無いじゃない!何が悲しくて自分と兄を痛めつけた奴の仲間に入ってダサい自己紹介しないといけないワケ!?
新手の拷問?前世で大量虐殺でもしたの?私…
「断る…」
【どうじゃ、お金はたっぷり払うぞ。】
「お金なんて要らない…」
【ワシの元に来れば…将来、良い職業に就けるぞ。】
「………でも断る!」
「ちょっと迷ってんじゃねぇよ!!」
例え、山のような金を積まれても、思い通りの未来を見せられても…私の意思は絶対に曲がらない!勧誘の数だけ断ってやる!私は死んでもこんなババァの下には就かない!
「やだやだ!」
【んもう…駄々っ子じゃのう……ところで、ネストロは何処じゃ?】
【えっ…し、死にました…】
【そうか…お前、クビじゃ。】
【あぎゃ!?】
「!?ば、爆発した…」
バラバラのゾンビ女はチカの指先一つでダウン…では無く、爆散した。
あんなに強かったアイツをたった一撃で…恐ろしい!
【ひぃいい!?な、なにをするんですかチカ様ぁ!】
【ほら、これでそっちの男も3魔士に入れるぞ。どうじゃ?】
「やーだ!ばーか!死ねうんこ!」
【口を慎め…女子がそんな事を申してはならん。】
チカは「困ったのう…」と頭をポリポリ掻く…そしてふと物陰の方を見ると…
【誰じゃそこに居るのは!出て来んかい!このボケ!!】
【ひぇえ…お、お見逃してつかぁさい…】
【うん?魔族の童とは珍しい………ッ!?こ、此奴は紫肌族じゃないか!?】
【コハダ?】
コマタだか何だか知らないけど!明らかにチカは恐怖している!
まるでこれから叱られるちびっ子のように!なんだ…イワって何かヤバイ種族なのか…確かに紫色の魔族は見ないけど…
【なんですか…それ…】
【人工魔族の1種じゃ…まさかまだ生き残りが居たなんて…】
【ウチはイワだよ…ジンコーじゃないよ…】
【もうコイツ等などどうでも良い!連れて帰るっきゃない!!】
【キャアアアア!?】
「イワ!!」
「新入り!!」
イワはそのままチカに連れ去られ、3人共その場から消え去ってしまった…
に、逃げられた…ははは…イワは連れて行かれたけど、私達は助かった。
とりあえず…身体が動くようになるまでは寝ていよう…その後で助けに行こう…うん、そうしよう。
つづく
・・・
魔力と知能について
著者:マジシィ・ゴース(元全国魔法委員会役員)
『魔力と知能については、科学的な根拠はないが…魔法的な根拠はある。知能テスト調べた結果…知能が高い者ほど多くの種類の魔法が使えると言う事が分かっている。しかし、興味深い事に知能が芳しくない者は種類こそ劣るものの、一発の威力が格段に違う事が確認された。これは知能云々では無く、モチベーションと創造力で違うと思われる。きっと頭が悪い人ほど無駄な事を考える時間が多いのだろう。…いや、待て…私は何を基準に頭の良し悪しを分類しているんだ?他人の知能は他人には語れない、説明できないのだ…他人を語る時点でどうかしている…当たり前の事じゃないか…私はなんてことを…この実験記録は削除する事にしよう。』
「お前なんで実験記録消したの?」
「人が他人の頭の良し悪しを語るなんてどうかしているからだ!」
「あ、そう…お前クビ。」
「そんなぁ。」
『他人を口だけで否定する事は愚行です、止めましょう。全国魔法委員会一同より』
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