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3.エアプランツ
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レジはそれほど混んでいないようだった。俺はエアプランツの置いてあるレジに向かうと、つまみを台の上に置いた。今日もあの男の子だ。おどおどしながら、俺の置いたつまみを手に取り、バーコードを読み取っていく。
フッと、初めて彼の名札に目を向けた。そこには『濱田』と書かれている。学生の頃によく聞いていたアーティストの名前を思い出し、少しばかり懐かしいと思った。
視線はすぐにエアプランツに向く。目の前にあると、やはり自然と手が伸びた。一つだけ手に取って眺める。
「……エアプランツです」
小さい声ながらも、商品の売り込みをしようという彼に、少し驚いた。この前も女性に声をかけてはいたが、あれは女性だから声をかけやすかっただけだろう。俺のようなオジサンにまで声をかけるとは。そうは言っても、囁くような小さい声だが。
「知ってる」
俺は手にしたエアプランツを彼に差し出した。たぶん、彼が声をかけなければ、そのまま、戻してしまったかもしれない。
「お、お買い上げでよろしいですか?」
俺は小さく頷いた。彼は少しばかり驚いたような顔をしながら、エアプランツを受け取った。それを透明な袋に入れると、つまみが入ってる袋に一緒にいれてくれた。
勢いで買ってしまった俺は、ふと、そのエアプランツに静流の笑顔が重った。
今更、これを育てて何になるというのだ。そう思ったものの、もう袋の中だ。俺は金を払うと、さっさと店を後にした。
家に帰るとさっそくエアコンをつける。カーテンを引いていても、部屋の中も十分に暑い。
俺は買ってきたエアプランツをどうしたものか、と、つまみと一緒に透明な袋から取り出して、テーブルに置いた。
前のやつの時は、使っていなかった皿か何かに入れて、リビングの出窓のところに置いてあった記憶がある。日当たりのいいそこは、夏にはかなり熱がこもる。梅雨明け直後の今の時期では、もう、かなり暑いだろう。
俺はスマホでエアプランツの育て方のページを検索した。すると、同じように枯らした人の話や、育て方のページがいくらでも出てきた。あの当時も、こうしてパッと検索してやればよかったのに、と、じわりと後悔の念が湧き上がった。
結局エアプランツは、あまり暑くならない玄関の下駄箱の上に置くことにした。
食器棚の中にあった小さなガラスの皿に、静流の部屋にあったビー玉の瓶詰から、ビー玉を取り出してそれに置くと、エアプランツをのせた。
「今度は枯らさないようにしないとな」
ボソッと、誰に言うでもなく呟くと、俺はキッチンにもどった。
冷蔵庫を開けると、昨日、逆井さんが俺の帰宅を待ち伏せたかのように現れて、「多めに作ったから」と渡された、鶏肉とジャガイモの煮物が入っていた。煮凝りのようになっている汁と一緒に小皿に取り分けて、レンジで温める。その間に、仏壇のある部屋に向かった。
香に火をつけて、鈴を鳴らす。エアプランツのせいだろうか。目の前の二人の写真が、いつもよりも楽しそうに見えた。
フッと、初めて彼の名札に目を向けた。そこには『濱田』と書かれている。学生の頃によく聞いていたアーティストの名前を思い出し、少しばかり懐かしいと思った。
視線はすぐにエアプランツに向く。目の前にあると、やはり自然と手が伸びた。一つだけ手に取って眺める。
「……エアプランツです」
小さい声ながらも、商品の売り込みをしようという彼に、少し驚いた。この前も女性に声をかけてはいたが、あれは女性だから声をかけやすかっただけだろう。俺のようなオジサンにまで声をかけるとは。そうは言っても、囁くような小さい声だが。
「知ってる」
俺は手にしたエアプランツを彼に差し出した。たぶん、彼が声をかけなければ、そのまま、戻してしまったかもしれない。
「お、お買い上げでよろしいですか?」
俺は小さく頷いた。彼は少しばかり驚いたような顔をしながら、エアプランツを受け取った。それを透明な袋に入れると、つまみが入ってる袋に一緒にいれてくれた。
勢いで買ってしまった俺は、ふと、そのエアプランツに静流の笑顔が重った。
今更、これを育てて何になるというのだ。そう思ったものの、もう袋の中だ。俺は金を払うと、さっさと店を後にした。
家に帰るとさっそくエアコンをつける。カーテンを引いていても、部屋の中も十分に暑い。
俺は買ってきたエアプランツをどうしたものか、と、つまみと一緒に透明な袋から取り出して、テーブルに置いた。
前のやつの時は、使っていなかった皿か何かに入れて、リビングの出窓のところに置いてあった記憶がある。日当たりのいいそこは、夏にはかなり熱がこもる。梅雨明け直後の今の時期では、もう、かなり暑いだろう。
俺はスマホでエアプランツの育て方のページを検索した。すると、同じように枯らした人の話や、育て方のページがいくらでも出てきた。あの当時も、こうしてパッと検索してやればよかったのに、と、じわりと後悔の念が湧き上がった。
結局エアプランツは、あまり暑くならない玄関の下駄箱の上に置くことにした。
食器棚の中にあった小さなガラスの皿に、静流の部屋にあったビー玉の瓶詰から、ビー玉を取り出してそれに置くと、エアプランツをのせた。
「今度は枯らさないようにしないとな」
ボソッと、誰に言うでもなく呟くと、俺はキッチンにもどった。
冷蔵庫を開けると、昨日、逆井さんが俺の帰宅を待ち伏せたかのように現れて、「多めに作ったから」と渡された、鶏肉とジャガイモの煮物が入っていた。煮凝りのようになっている汁と一緒に小皿に取り分けて、レンジで温める。その間に、仏壇のある部屋に向かった。
香に火をつけて、鈴を鳴らす。エアプランツのせいだろうか。目の前の二人の写真が、いつもよりも楽しそうに見えた。
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