100均で始まる恋もある2

三森のらん

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3.エアプランツ

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「君みたいな若くて可愛らしい子が、あんなところに一人でいるのは、危なっかしくてねぇ」

 目の前の自分の湯呑を見つめながら、そう言うと、濱田くんは一瞬固まり、それから不審げに俺の顔を見つめる。

「僕、これでも一応、男ですが」
「うん、わかってるよ」


 確かに、今こうして普通に見れば、ひょろっとした普通の男の子だ。

「そんな『可愛い』わけでもないかと」
「うん?うちの部下たちは、『かわいい』と叫んでたけどな」


 昨夜の濱田くんは、けして肉食系とはいえない女性たちが『かわいい』と騒ぐくらいだし、変な輩がいたら、ちょっとばかり危険だったのかもしれない。俺の言葉に混乱したような彼は、今度は少し困惑気味に小さい声で呟いた。

「あ、あの……なんで、僕の名前知ってるんですか?」

 俺は自然と彼の名前を呼んでしまっていたが、彼からしてみたら、不思議に感じたかもしれない。

「君は、百均のバイトの子だろ?」
「そ、そうですけど」
「あそこの人たちは、みんな名札を下げてるじゃないか」

 そう言ったところで、納得しているように見えなかった。まぁ、確かに、俺が覚えてるのは濱田くんだけだし。だから、彼の名前が印象に残った理由を素直に話した。

「それに、私が昔好きだったアーティストの名前と似てるせいで覚えてたんだよ」

 学生時代に随分と流行っていたことを思い出す。
 あの頃は、よくサークルの仲間たちと何かあるたびに打ち上げと称して、散々カラオケに行っては歌いまくった。そんな楽しかった思い出が頭をよぎる。
 そういえば、あの頃は、俺もさおりもまだ付き合ってもいなかった。

「漢字は違うけどね。懐かしいなぁ、と思ったんだ」


 そもそも、濱田くんのように華奢な感じではなく、骨太なイメージのほうが強い。そう思って比べると、真逆なタイプかもしれない。思わず、フッと笑ってしまう。

「そのアーティストって?」
「君くらいの年齢の子じゃ知らないだろうなぁ。ああ、親御さんだったら知ってるかもな」

 彼くらいの息子がいるご両親だったら、俺とあまり変わらないか、少し上くらいだろうか。彼のひょろっとした感じから、ちゃんと食事を取っているのか、勝手ながらも心配になる。

「ほら、早く食べなさい」


 大したものはないから偉そうには言えないが、食事をするように促した。彼は、素直に汁椀を手に取ると、味噌汁を口にした。

「あ、美味しい」

 彼のつぶやきに、俺は胸の中でホッとする。

「インスタントだけどな」

 そんな俺の言葉など気にすることなく、濱田くんは美味そうに箸を進める。俺は彼のそんな姿を、ただジッと見つめた。
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