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5.ネクタイ
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会議はスムーズに終わった。まだ濱田くんがいればと思った俺は、自販機で見かけた面白そうなジュースを買った。なぜかシュークリームと書いてある。ジュースなのに。濱田くんは、面白がってくれるだろうか、と缶を手にしていると、小笠原に声をかけられてしまった。
そこからそのまま打ち合わせになだれ込み、これが意外に長くかかってしまった。フロアに戻ると、19時近くになっていて、その頃には、うちの課は遠藤くらいしか残っていなかった。
「お疲れ様っす」
「おお」
席に戻ると、電話の受話器にメモが一枚。相沢からだ。ちょうど俺が会議に入った直後にかかってきたのだろう。
「ほんと、あの人は……タイミング狙ってんのかよ」
相沢からの伝言は特になく、電話があったとだけ伝えて、というものだった。さすがに、この時間に、あの人が仕事をしているとは思えない。面倒くさくなった俺は、メールをチェックしたついでに、相沢宛に、用件があればメールでくれと、メールを送る。俺だって、暇ではないのだ。
ふと、パーテーションのほうに目を向けた。さすがに小島もいないのだから、当然、濱田くんの姿はなく、今頃、彼は百均でバイトしてるのだろうか、とワイシャツ姿の彼を思い出す。
「山本課長、飯でも食っていきますか?」
遠藤がパソコンの電源を落として、帰り支度を始めている。俺の方も、そろそろ帰るつもりでいたのだが。
「あ、遠藤さん、飯行くなら、俺も連れてってくださいよ」
小笠原を待ってた酒田が、話が終わったのか、遠藤に声をかけてきた。すると、葛木までも行くような話になっていく。こうなると、俺のようなおっさんがいると、邪魔になりそうだ。
「遠藤、俺、もう少し仕事してくから、お前らだけでいってこいよ」
「えぇぇ」
「ほら、葛木達が待ってるぞ」
実際、葛木達はフロアの出口近くで、遠藤を待っている。そう言うと遠藤も、諦めたのか「じゃあ、お先に失礼します」と 葛木達の方へと向かっていった。
遠藤に仕事うんぬん言った手前、ついでだからと、今日の会議の資料の整理を始めると、一時間はあっという間に進んでしまう。そして気が付けば、フロアに残ってるのは俺一人。
「おっと……そろそろ帰るか」
俺はパソコンの電源を落とし、フロアの電気も消してフロアを出た。
遠藤じゃないけれど、晩飯を食べて帰ろうか、と思った時、そういえば冷蔵庫に逆井さんが煮物をわけてくれたのがあったのを思い出す。かなり量が多かったのを考えると、消費してしまわないと、またゴミ箱行きだ。
それでも、いつものように酒のつまみを買いに、百均に足を向けてしまう。ほとんど習慣のようになっているから、仕方がない。
今日は俺の好物のかわはぎに、メンマ、焼き鳥の缶詰。メンマはそのまま食べてもいいが、ネギとごま油と粗びき胡椒で和えるのも、簡単で旨い。ネギはあったか自信がないが、とりあえず買って帰ろう。
カゴの中を確認しながらレジへと向かうと、この時間には珍しく、カゴに山盛りに商品を入れている客が続いている。ふと見ると、無表情の濱田くんがレジに入っていた。ワイシャツにネクタイ姿は、やはり新鮮な感じがする。
「ありがとうございました」
さすがに彼も疲れているのだろう。明らかに惰性で言葉が出ているのがわかって、思わず口元が緩みそうになる。俺は彼の目の前に、静かにカゴを置いた。
「いらっしゃいませ」
俺のほうを見もせずに、カゴの中に視線を向ける濱田くん。俺が前に立っているというのも気づいていないようだ。
「お疲れ様」
思わず、俺の方から声をかけてしまった。すると、一瞬固まったかと思ったら、顔を赤らめながら「お、お疲れ様です」と返事をしてくれた。
そこからそのまま打ち合わせになだれ込み、これが意外に長くかかってしまった。フロアに戻ると、19時近くになっていて、その頃には、うちの課は遠藤くらいしか残っていなかった。
「お疲れ様っす」
「おお」
席に戻ると、電話の受話器にメモが一枚。相沢からだ。ちょうど俺が会議に入った直後にかかってきたのだろう。
「ほんと、あの人は……タイミング狙ってんのかよ」
相沢からの伝言は特になく、電話があったとだけ伝えて、というものだった。さすがに、この時間に、あの人が仕事をしているとは思えない。面倒くさくなった俺は、メールをチェックしたついでに、相沢宛に、用件があればメールでくれと、メールを送る。俺だって、暇ではないのだ。
ふと、パーテーションのほうに目を向けた。さすがに小島もいないのだから、当然、濱田くんの姿はなく、今頃、彼は百均でバイトしてるのだろうか、とワイシャツ姿の彼を思い出す。
「山本課長、飯でも食っていきますか?」
遠藤がパソコンの電源を落として、帰り支度を始めている。俺の方も、そろそろ帰るつもりでいたのだが。
「あ、遠藤さん、飯行くなら、俺も連れてってくださいよ」
小笠原を待ってた酒田が、話が終わったのか、遠藤に声をかけてきた。すると、葛木までも行くような話になっていく。こうなると、俺のようなおっさんがいると、邪魔になりそうだ。
「遠藤、俺、もう少し仕事してくから、お前らだけでいってこいよ」
「えぇぇ」
「ほら、葛木達が待ってるぞ」
実際、葛木達はフロアの出口近くで、遠藤を待っている。そう言うと遠藤も、諦めたのか「じゃあ、お先に失礼します」と 葛木達の方へと向かっていった。
遠藤に仕事うんぬん言った手前、ついでだからと、今日の会議の資料の整理を始めると、一時間はあっという間に進んでしまう。そして気が付けば、フロアに残ってるのは俺一人。
「おっと……そろそろ帰るか」
俺はパソコンの電源を落とし、フロアの電気も消してフロアを出た。
遠藤じゃないけれど、晩飯を食べて帰ろうか、と思った時、そういえば冷蔵庫に逆井さんが煮物をわけてくれたのがあったのを思い出す。かなり量が多かったのを考えると、消費してしまわないと、またゴミ箱行きだ。
それでも、いつものように酒のつまみを買いに、百均に足を向けてしまう。ほとんど習慣のようになっているから、仕方がない。
今日は俺の好物のかわはぎに、メンマ、焼き鳥の缶詰。メンマはそのまま食べてもいいが、ネギとごま油と粗びき胡椒で和えるのも、簡単で旨い。ネギはあったか自信がないが、とりあえず買って帰ろう。
カゴの中を確認しながらレジへと向かうと、この時間には珍しく、カゴに山盛りに商品を入れている客が続いている。ふと見ると、無表情の濱田くんがレジに入っていた。ワイシャツにネクタイ姿は、やはり新鮮な感じがする。
「ありがとうございました」
さすがに彼も疲れているのだろう。明らかに惰性で言葉が出ているのがわかって、思わず口元が緩みそうになる。俺は彼の目の前に、静かにカゴを置いた。
「いらっしゃいませ」
俺のほうを見もせずに、カゴの中に視線を向ける濱田くん。俺が前に立っているというのも気づいていないようだ。
「お疲れ様」
思わず、俺の方から声をかけてしまった。すると、一瞬固まったかと思ったら、顔を赤らめながら「お、お疲れ様です」と返事をしてくれた。
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