100均で始まる恋もある2

三森のらん

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7.オーナメント

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 濱田くんの告白を聞いてから、俺は悶々と悩み続けていた。
 彼の言った「好き」とは、いわゆる、そういう「好き」なんだろう。それは、今まで何度か赤くなった彼の顔や、別れ際の泣き顔を思い出して、そうだったのか、と今更ながらに納得した。そして、あんな風に逃げ出してしまうくらいに、俺は彼を追い詰めてしまっていたのか、と思うと、申し訳なくなる。

 そして、肝心の告白された俺のほうは、どうなのか。

 正直、驚きはした。濱田くんの俺に対する接し方や視線からは、慕われてるとは思った。それは店員とお客としての距離より、少し近いくらいで、でも、けして近すぎることはなかった。
 俺からしてみれば、その親しみの籠った視線は、亡くした娘、静流から向けられるそれと同じものだろうと思っていた。だからだろうか。それを、とても心地よく感じていたのは。だからこそ、彼に対して、ついつい構いたくなって手を伸ばしていたのかもしれない。

 今から思えば、きっと濱田くんのほうは、意識してこれ以上はと、距離を置いていたのかもしれない。それなのに、俺の方が、彼への距離感と接し方を間違えたのだろう。
 振り返ってみれば、彼といる時間は癒しであり、嫌悪するようなものではなかったし、落ち着いてみれば、彼の言葉は、素直に嬉しいと感じることができたし、好感も持っていた。
 ただ、それが、濱田くんの思っている「好き」と同じ程度のものなのかは、自分でもよくわからなかった。

「課長、どうかしたんですか」

 パソコンを見つめたまま、しばらく手が止まっていた俺に、遠藤が心配そうに声をかけてきた。

「いや、ちょっと考え事」

 そう言うと俺は再びパソコンの画面に目を向ける。
 そういえば、最近、遠藤の周りに八巻さんの姿が見えないな、と思い、顔を上げ、彼女のいる営業一課のほうへ視線を向ける。今日は、葛木以外、外出しているようで、葛木が一人自分の席で仕事をしている……ようだったが、その隣に、八巻さんがベッタリ張り付いていた。

「……なぁ、遠藤」
「はい?」

 思わず、俺同様にパソコンに向かっていた遠藤に声をかけてしまう。

「あれは、どういうことになってるんだ?」

 俺の言葉に顔を上げ、俺の見ている方向に顔を向ける。すると、ニヤリと悪そうな顔で微笑んだ。

「この前の飲み会で、葛木のヤツが、八巻さんのこと慰めてやったみたいで。それでコロッといっちゃったみたいです」
「は?」
「いやぁ、もう、助かっちゃいましたよ。俺の方も、一応、八巻会長に連絡とれたんで、それとなく伝えてはあったんですけど」

 そう言いながら、葛木と八巻さんの様子をニヤニヤしながら見続けている。

「あれは、時間の問題かもしれませんね」
「……葛木には彼女とかいないのか?」
「さぁ、今はいないと思いますよ。散々、俺たちの飲み会に来てましたし」
「だったら、いいんだが……」

 相手がいない者同士であれば、問題はない。葛木もいい奴だし、八巻さんの相手はなかなか大変かもしれないが、まぁ、幸せになってくれればいい。
 それよりも、今の俺としては、濱田くんのことを、どうにかしないといけない。
 俺は、大きくため息をつくと、再び仕事へと意識を集中した。
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