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9.酒のつまみ、再び
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実家に帰るテルくんの見送りをしたかったのだが、忘年会と二次会は小笠原、三次会では遠藤たちがなかなか帰してくれなくて、散々飲まされてしまった。無事に帰宅できたのが不思議なくらいだ。おかげで、日がすでに真上に上がる昼近くまで、ベッドから起きることが出来なかった。
目が覚めても、瞼が重い。それでもベッド脇に置いてあったスマホを手にとり、すぐに画面を見る。テルくんからの『行ってきます』という短い言葉とともに、テルくんの指先と特急の切符の画像が添付されたメールが1通、届いていた。
珍しく二日酔いになっている俺は、一人で落胆してしまった。電話やメールでやりとりしていても、本人に会えないのは、やはり寂しい。絶不調だからこそ、余計にそう感じるのかもしれない。
しかし、テルくんにそんなことを素直に言えるわけもない。彼は今頃、一人、電車で実家へと向かっていることだろう。
怠い身体をなんとか起こすと、俺はテルくんに返事を送る。
『見送りに行けなくてゴメン。気を付けて』
送信をしてから、背中を丸めながら俺は大きくため息をつく。
……こうも酒臭いんじゃ、見送りに行かなくて正解だったかもしれない。
俺の両親は若い頃に亡くなったせいもあり、さおりたちがいなくなった今の俺は天涯孤独だ。義理の両親とは、今では年賀状のやり取りをする程度の付き合いでしかない。この年末も、例年通り、一人で家で過ごすことになるが、今までとは気の持ちようはだいぶ違う。
酒を抜くためにシャワーを浴びた俺。さすがに昼を過ぎた時間だ。腹も減ってきていた。風呂上がりに冷蔵庫を覗き込むが、大したものは入っていない。今日からの年末年始の休みを乗り越えるために、買出しに行かないとまずいな、と考えていると、ダイニングテーブルの上に置いてあったスマホが震えた。
『無事に着きました』
そうタイトルされたメールには、ずいぶんと大きなお屋敷のような日本家屋が映っている。門の両サイドには、大きな門松まで飾られている。まさか、テルくんは、こんな家の跡取り息子なのか? と思い、焦って『実家?』という返事のメールを送ってしまう。すると。
『違います! これは帰り道の途中にある、近所の県指定の文化遺産のお屋敷です』
という返事とともに、その説明の書いてある看板の画像を送ってくれた。そして続くように届いたメールには『今、実家に向かって歩いてます』と書かれていた。なんとも心臓に悪いメールをくれたものだ。
それでも、ふと、改めて考えてしまう。彼は長男で跡継ぎのはず。そんな彼が、いつか実家に戻ってしまうのではないか、ということを。俺はその時、何も言わずにテルくんを送り出してやれるだろうか。
可愛らしい女性と並ぶテルくんを想像する。そして、その腕の中には……。
先のことを考えて暗くなりそうな自分を振り払うように頭を振る。腹が減っているから、余計なことを考えてしまうのだろう。
俺は財布を手にすると、年末で騒がしくなっているだろう商店街に向かうために、家の外に出た。
目が覚めても、瞼が重い。それでもベッド脇に置いてあったスマホを手にとり、すぐに画面を見る。テルくんからの『行ってきます』という短い言葉とともに、テルくんの指先と特急の切符の画像が添付されたメールが1通、届いていた。
珍しく二日酔いになっている俺は、一人で落胆してしまった。電話やメールでやりとりしていても、本人に会えないのは、やはり寂しい。絶不調だからこそ、余計にそう感じるのかもしれない。
しかし、テルくんにそんなことを素直に言えるわけもない。彼は今頃、一人、電車で実家へと向かっていることだろう。
怠い身体をなんとか起こすと、俺はテルくんに返事を送る。
『見送りに行けなくてゴメン。気を付けて』
送信をしてから、背中を丸めながら俺は大きくため息をつく。
……こうも酒臭いんじゃ、見送りに行かなくて正解だったかもしれない。
俺の両親は若い頃に亡くなったせいもあり、さおりたちがいなくなった今の俺は天涯孤独だ。義理の両親とは、今では年賀状のやり取りをする程度の付き合いでしかない。この年末も、例年通り、一人で家で過ごすことになるが、今までとは気の持ちようはだいぶ違う。
酒を抜くためにシャワーを浴びた俺。さすがに昼を過ぎた時間だ。腹も減ってきていた。風呂上がりに冷蔵庫を覗き込むが、大したものは入っていない。今日からの年末年始の休みを乗り越えるために、買出しに行かないとまずいな、と考えていると、ダイニングテーブルの上に置いてあったスマホが震えた。
『無事に着きました』
そうタイトルされたメールには、ずいぶんと大きなお屋敷のような日本家屋が映っている。門の両サイドには、大きな門松まで飾られている。まさか、テルくんは、こんな家の跡取り息子なのか? と思い、焦って『実家?』という返事のメールを送ってしまう。すると。
『違います! これは帰り道の途中にある、近所の県指定の文化遺産のお屋敷です』
という返事とともに、その説明の書いてある看板の画像を送ってくれた。そして続くように届いたメールには『今、実家に向かって歩いてます』と書かれていた。なんとも心臓に悪いメールをくれたものだ。
それでも、ふと、改めて考えてしまう。彼は長男で跡継ぎのはず。そんな彼が、いつか実家に戻ってしまうのではないか、ということを。俺はその時、何も言わずにテルくんを送り出してやれるだろうか。
可愛らしい女性と並ぶテルくんを想像する。そして、その腕の中には……。
先のことを考えて暗くなりそうな自分を振り払うように頭を振る。腹が減っているから、余計なことを考えてしまうのだろう。
俺は財布を手にすると、年末で騒がしくなっているだろう商店街に向かうために、家の外に出た。
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