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9.酒のつまみ、再び
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正月二日目。いつもの休日とは違うのは、年賀状が届くことくらい。近所のスーパーで買い物をした帰りにポストから取り出して、1枚1枚確認する。だいたいが仕事関係のもので、たまに学生時代の友人やさおりの実家からのものくらいで、たいした量はない。
出し忘れている相手がいないかチェックをすると、1枚だけ出していなかった相手がいた。なんと、八巻さんから届いていたのだ。
二階へ上がり、俺の書斎となっている小部屋で、残っている年賀状を探した。宛名を印刷していない物を1枚見つけると、手書きで八巻さんの住所を書きあげた。ポストに出すのは、明日でも構わないだろう。
俺は出来上がった年賀状を手にリビングへ戻ろうとした時、ポケットに入れていたスマホのメールの着信音が鳴った。テルくんからの連絡を取り逃したくなくて、マナーモードを解除していたのだ。
テルくんから届くのは、小学生の甥っ子と二人の画像や、近所の風景。行ったことがない場所なのに、どこか懐かしいと感じるのは、今はもう無くなった俺の実家と似たような風景のせいかもしれない。
結婚して静流が産まれてすぐに、母が病気で亡くなり、その喪失感から飲み歩くようになった父は、近所の飲み屋からの帰宅途中、車にはねられて亡くなった。よくよく妻に先立たれる親子だと、今更ながらに思う。違うのは、父は酒に逃げて、俺は仕事に逃げたこと。今は人手に渡った実家に、もう戻ることはない。しかし、懐かしく思う気持ちは変わらない。
今度のテルくんからのメールには画像はついておらず、ただ一言『行って来ます』と書かれていただけだった。もう飲み会に行くような時間なのか、と窓の外を見れば、すっかり日も暮れていた。
テレビをつけてチャンネルを変えても、これといってみたい物があるわけでもない。ただひたすら、画面に目を向けているだけ。それは今までも同じことだったはず。それがこうも味気ないものだと感じるようになったのは、やはりテルくんの存在が大きいのだろう。
夕飯を用意するのも面倒になっていた俺は、缶ビールを片手に、酒の肴にカワハギをつまんでいた。しかし、酔いはなかなかやってこない。テレビの画面からは観客の笑い声が聞こえてくるが、俺には何が面白いのかが伝わってこない。これがテルくんが傍にいたら、共に笑うことができるのだろうか。
気が付けばカワハギの載っていた皿は空になっていた。俺はビールを一気に飲み干すと、缶を持って台所へと向かう。百均で買ったつまみは、まだ残っている。冷蔵庫を開けて、もう1本缶ビールを手にしようとした時、ローテーブルに置きっぱなしだったスマホのメールの着信音が鳴った。とりあえず冷蔵庫を閉めると、リビングへと戻る。この時間では、飲み会に出ているテルくんのはずはない、と思いながらも、画面を開くとやっぱりテルくんからのメールだった。
『最終の特急に乗れたので、これから帰ります』
その言葉に、一瞬固まる。飲み会のほうはどうしたのだろうか。何かあったのか、と不安を感じたが、それよりもテルくんが帰ってくるということに、喜びが上回った。
『何時ごろ着く? 迎えに行く』
返事を打ちながら、今の自分の格好を見下ろす。休日に一人、ということもあり、いつものグレーのジャージの上下に、無精ひげを生やしたまま。このまま、テルくんに会うのは、さすがにみっともない。
テルくんからの返事はすぐに来た。
『日付が変わる前くらい。だから、迎えはいいです』
そんなつれない返事を返してくる。だからといって、俺が迎えに行かないわけがない。
「よし」
俺はジャージから着がえるために、急いで寝室へとかけあがった。
出し忘れている相手がいないかチェックをすると、1枚だけ出していなかった相手がいた。なんと、八巻さんから届いていたのだ。
二階へ上がり、俺の書斎となっている小部屋で、残っている年賀状を探した。宛名を印刷していない物を1枚見つけると、手書きで八巻さんの住所を書きあげた。ポストに出すのは、明日でも構わないだろう。
俺は出来上がった年賀状を手にリビングへ戻ろうとした時、ポケットに入れていたスマホのメールの着信音が鳴った。テルくんからの連絡を取り逃したくなくて、マナーモードを解除していたのだ。
テルくんから届くのは、小学生の甥っ子と二人の画像や、近所の風景。行ったことがない場所なのに、どこか懐かしいと感じるのは、今はもう無くなった俺の実家と似たような風景のせいかもしれない。
結婚して静流が産まれてすぐに、母が病気で亡くなり、その喪失感から飲み歩くようになった父は、近所の飲み屋からの帰宅途中、車にはねられて亡くなった。よくよく妻に先立たれる親子だと、今更ながらに思う。違うのは、父は酒に逃げて、俺は仕事に逃げたこと。今は人手に渡った実家に、もう戻ることはない。しかし、懐かしく思う気持ちは変わらない。
今度のテルくんからのメールには画像はついておらず、ただ一言『行って来ます』と書かれていただけだった。もう飲み会に行くような時間なのか、と窓の外を見れば、すっかり日も暮れていた。
テレビをつけてチャンネルを変えても、これといってみたい物があるわけでもない。ただひたすら、画面に目を向けているだけ。それは今までも同じことだったはず。それがこうも味気ないものだと感じるようになったのは、やはりテルくんの存在が大きいのだろう。
夕飯を用意するのも面倒になっていた俺は、缶ビールを片手に、酒の肴にカワハギをつまんでいた。しかし、酔いはなかなかやってこない。テレビの画面からは観客の笑い声が聞こえてくるが、俺には何が面白いのかが伝わってこない。これがテルくんが傍にいたら、共に笑うことができるのだろうか。
気が付けばカワハギの載っていた皿は空になっていた。俺はビールを一気に飲み干すと、缶を持って台所へと向かう。百均で買ったつまみは、まだ残っている。冷蔵庫を開けて、もう1本缶ビールを手にしようとした時、ローテーブルに置きっぱなしだったスマホのメールの着信音が鳴った。とりあえず冷蔵庫を閉めると、リビングへと戻る。この時間では、飲み会に出ているテルくんのはずはない、と思いながらも、画面を開くとやっぱりテルくんからのメールだった。
『最終の特急に乗れたので、これから帰ります』
その言葉に、一瞬固まる。飲み会のほうはどうしたのだろうか。何かあったのか、と不安を感じたが、それよりもテルくんが帰ってくるということに、喜びが上回った。
『何時ごろ着く? 迎えに行く』
返事を打ちながら、今の自分の格好を見下ろす。休日に一人、ということもあり、いつものグレーのジャージの上下に、無精ひげを生やしたまま。このまま、テルくんに会うのは、さすがにみっともない。
テルくんからの返事はすぐに来た。
『日付が変わる前くらい。だから、迎えはいいです』
そんなつれない返事を返してくる。だからといって、俺が迎えに行かないわけがない。
「よし」
俺はジャージから着がえるために、急いで寝室へとかけあがった。
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