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4.花火
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9月に入ってもうだるような夏の暑さは居座っている。たぶん、10月の声が聞こえてくるまで、こんな暑さが続きそうで、うんざりしてしまう。
しかし、店頭に並ぶ商品は、すっかり秋モード。フロアの一角にあるイベント用のスペースには、気の早いハロウィンのものを準備するためにと、棚の整理をし始めていた。
「この残ってる花火、どうします?」
長谷川さんが誰かに聞いている声が、聞こえてきた。長谷川さんが聞く相手なんて尾賀さんくらいしかいないけれど。
僕は食品の棚の補充をしながらも、酒のつまみがいくつも下がっているフックを見つめる。山本さんがいつも買っていくおつまみの中で、よく見かけるのはさきいかとか、いわしせんべい。甘いものとか、スナック菓子を買っていくことはない。
比較的、男は甘いものが苦手、という話はよく聞くけれど(僕は好き)、山本さんもそうなんだろうか? スナック菓子はこの前、あの女の人が山ほど買っていってたけど、あの時のは山本さんは食べなかったんだろうか。
ついつい山本さんのことを考えてしまう。自分でも、もう自覚はあるのだ。
こんなに気になるのは、少なからず僕が山本さんに恋をしているんじゃないかと。男の僕が、男の山本さんに対して、こんな気持ちを抱くのは、おかしいのもわかってる。
「返品します?」
僕のこんな気持ちも返品できたらいいのに。
こんな報われる見込みのない想い。
それでも、山本さんの姿が見えたら嬉しくて目で追ってる。レジに入ってる僕の前に来てくれたらと思ってしまう。そして、少しでも声が聴けたらと思ってしまう。
正直、まともに恋愛らしいことをしてきたことのない僕。初恋は幼稚園の時の担任の先生だったし、その後は、特別気になる女子もいなかった。
だからといって、明確に男が好き、というわけではない。今までだって同じ男に対して、そういう気持ちを持ったことはなかったのだ。だからいわゆるホモとか,ゲイとか、そういうカテゴライズされるのは、自分の中では違うんじゃないかって、思ってる。
「どれくらい残ってるの?」
それでも、僕の気持ちの中の山本さんの割合は、言い訳ができないくらいに大きくなってる。
だからといって、山本さんにこの気持ちを伝えるわけにはいかない。だけど、その代わりに、山本さん、と心の中でつぶやきながら、酒のつまみを下げていく。どれが山本さんの手に渡るかわからないけど。
「もう、ほとんどないんですけどね」
こうやってつぶやいていったら、気持ちが減っていったらいいのに。
「じゃあ、私、買うわ」
「えー? いいんですか?」
「今度の週末、友達とバーベキュー行くから、その時にでも使うよ」
「毎度あり~」
僕の気持ちは、こんな風に簡単に引き受けてもらえるようなものじゃない。そもそも、言葉にしていいものでもない。
尾賀さんが店のカゴの中にいれた花火を、レジに持っていく姿を目の端に見ながら、ため息をつく。この想いはたぶん、ずっと胸の中に抱え込んだままなんだろう。
「お願いしまーす」
「あ、はーい」
尾賀さんより先に並んだお客さんの声に、僕は慌てて返事をする。そして、いつも通りにレジに立ち、お客さんの商品を受け取るのだった。
しかし、店頭に並ぶ商品は、すっかり秋モード。フロアの一角にあるイベント用のスペースには、気の早いハロウィンのものを準備するためにと、棚の整理をし始めていた。
「この残ってる花火、どうします?」
長谷川さんが誰かに聞いている声が、聞こえてきた。長谷川さんが聞く相手なんて尾賀さんくらいしかいないけれど。
僕は食品の棚の補充をしながらも、酒のつまみがいくつも下がっているフックを見つめる。山本さんがいつも買っていくおつまみの中で、よく見かけるのはさきいかとか、いわしせんべい。甘いものとか、スナック菓子を買っていくことはない。
比較的、男は甘いものが苦手、という話はよく聞くけれど(僕は好き)、山本さんもそうなんだろうか? スナック菓子はこの前、あの女の人が山ほど買っていってたけど、あの時のは山本さんは食べなかったんだろうか。
ついつい山本さんのことを考えてしまう。自分でも、もう自覚はあるのだ。
こんなに気になるのは、少なからず僕が山本さんに恋をしているんじゃないかと。男の僕が、男の山本さんに対して、こんな気持ちを抱くのは、おかしいのもわかってる。
「返品します?」
僕のこんな気持ちも返品できたらいいのに。
こんな報われる見込みのない想い。
それでも、山本さんの姿が見えたら嬉しくて目で追ってる。レジに入ってる僕の前に来てくれたらと思ってしまう。そして、少しでも声が聴けたらと思ってしまう。
正直、まともに恋愛らしいことをしてきたことのない僕。初恋は幼稚園の時の担任の先生だったし、その後は、特別気になる女子もいなかった。
だからといって、明確に男が好き、というわけではない。今までだって同じ男に対して、そういう気持ちを持ったことはなかったのだ。だからいわゆるホモとか,ゲイとか、そういうカテゴライズされるのは、自分の中では違うんじゃないかって、思ってる。
「どれくらい残ってるの?」
それでも、僕の気持ちの中の山本さんの割合は、言い訳ができないくらいに大きくなってる。
だからといって、山本さんにこの気持ちを伝えるわけにはいかない。だけど、その代わりに、山本さん、と心の中でつぶやきながら、酒のつまみを下げていく。どれが山本さんの手に渡るかわからないけど。
「もう、ほとんどないんですけどね」
こうやってつぶやいていったら、気持ちが減っていったらいいのに。
「じゃあ、私、買うわ」
「えー? いいんですか?」
「今度の週末、友達とバーベキュー行くから、その時にでも使うよ」
「毎度あり~」
僕の気持ちは、こんな風に簡単に引き受けてもらえるようなものじゃない。そもそも、言葉にしていいものでもない。
尾賀さんが店のカゴの中にいれた花火を、レジに持っていく姿を目の端に見ながら、ため息をつく。この想いはたぶん、ずっと胸の中に抱え込んだままなんだろう。
「お願いしまーす」
「あ、はーい」
尾賀さんより先に並んだお客さんの声に、僕は慌てて返事をする。そして、いつも通りにレジに立ち、お客さんの商品を受け取るのだった。
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