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4.花火
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レジ下のレジ袋の整理をしていた海老原さんに声をかける。
「海老原さん、尾賀さんが差し入れでたこ焼き持ってきてくれました」
「わ、マジ?」
「僕、1つだけ先にいただいちゃいました。もしよかったら、今のうちに食べてきたらどうですか。まだ温かいですよ」
もう1台のレジを開けながら、しゃがみこんでる海老原さんに話しかける。
「ついでに、フロアに出て補充してる人にも声かけてください」
「おっけー。すぐ戻るから」
「はいはい」
嬉しそうにレジから離れていく海老原さんを見ながら、僕は明日のつり銭の準備をしようとした。でも、すでに海老原さんがやってくれたのか、レジの中はきれいに整理されている。さすが、僕より長くここでバイトしてるだけのことはある。
フロアは花火が上がる音の他は駅ビルに流れるBGMだけが響いて、人の声がしない。フッと人の気配を感じて顔をあげると、サラリーマン風の男の人の背中が見えた。花火大会は見に行かないのだろうか。僕自身、バイトがなくても見に行ったかは怪しいから、行かない人がいたっておかしくはない。
僕はレジ前の棚のいくつかが、ガラガラなのに気づいたので、ストックに何をとりにいくかメモを取り始めた。
「すみません」
いつの間にか、レジに人が来ていた。それも。
「あ」
山本さんだ。
「こ、こんばんわ」
「ん? あ、ああ、濱田くん」
レジ台の上に置かれたのは、いつも通りの酒のつまみ。まだ花火があがる音は聞こえてくるというのに、 会社の人たちと花火は見なかったのかな、なんで、ここにいるんだろう? と頭の中でグルグルと思考が蠢いて、一瞬身動きが取れなくなる。
「これ、いいかな」
手にしていたおつまみをフラフラと振って見せる。
「あ、は、はいっ!」
僕は慌ててレジに戻る。今日のおつまみは、ミックスナッツに、さきいかと、ゴマわかめ。あの女性たちとは一緒じゃないんだ、ということが嬉しくて、僕はついつい口元が緩んでしまう。
「あ、あの、この前はありがとうございました」
バーコードをよみとりながら、山本さんにお礼を言う。恥ずかしくて、顔を正面から見られないけど。
「いや。ちゃんと帰れたんだったらよかった」
「僕の家、けっこう近いところにあったんで、すぐに帰れました」
「へぇ」
軽くそう言いながら、財布を取り出す山本さん。その仕草を見ただけなのに、ドキドキし始めてる僕。
「花火なのにバイト大変だね」
お金を渡しながら山本さんが僕に声をかけてきた。
「え、あ、はい……」
レジ袋にいれたつまみを渡そうとしたら、山本さんが僕の顔を見てクスリと笑った。ずっと疲れたような顔の印象しかない山本さんの笑った顔は反則だ。
胸の奥がキュンとしてしまう。
「ここ、ついてるよ」
自分の顔の唇に指をさす山本さん。それの意味するところがよくわからなくて、キョトンとしてしまう。
「青海苔」
そう言われて、ようやく気付いて、慌てて口元を拭った。たぶん、顔は真っ赤になってる。ダブルで恥ずかしすぎる。
「お好み焼き?たこ焼き?」
山本さんが、いつになく話しかけてくれるのが嬉しくて、つい素直に答えてしまう。
「……たこ焼きです」
「ハハハ。旨いよな」
「はい」
「それじゃ」
「あ、ありがとうございましたっ」
山本さんの背中に、僕にできる精一杯の大きさで声をかけた。山本さんは、今日もやっぱり猫背で疲れてる風だったけれど、少しだけ楽し気だった。
それが、僕と話をしたことで得られたものだったならいいな、と思った。
「海老原さん、尾賀さんが差し入れでたこ焼き持ってきてくれました」
「わ、マジ?」
「僕、1つだけ先にいただいちゃいました。もしよかったら、今のうちに食べてきたらどうですか。まだ温かいですよ」
もう1台のレジを開けながら、しゃがみこんでる海老原さんに話しかける。
「ついでに、フロアに出て補充してる人にも声かけてください」
「おっけー。すぐ戻るから」
「はいはい」
嬉しそうにレジから離れていく海老原さんを見ながら、僕は明日のつり銭の準備をしようとした。でも、すでに海老原さんがやってくれたのか、レジの中はきれいに整理されている。さすが、僕より長くここでバイトしてるだけのことはある。
フロアは花火が上がる音の他は駅ビルに流れるBGMだけが響いて、人の声がしない。フッと人の気配を感じて顔をあげると、サラリーマン風の男の人の背中が見えた。花火大会は見に行かないのだろうか。僕自身、バイトがなくても見に行ったかは怪しいから、行かない人がいたっておかしくはない。
僕はレジ前の棚のいくつかが、ガラガラなのに気づいたので、ストックに何をとりにいくかメモを取り始めた。
「すみません」
いつの間にか、レジに人が来ていた。それも。
「あ」
山本さんだ。
「こ、こんばんわ」
「ん? あ、ああ、濱田くん」
レジ台の上に置かれたのは、いつも通りの酒のつまみ。まだ花火があがる音は聞こえてくるというのに、 会社の人たちと花火は見なかったのかな、なんで、ここにいるんだろう? と頭の中でグルグルと思考が蠢いて、一瞬身動きが取れなくなる。
「これ、いいかな」
手にしていたおつまみをフラフラと振って見せる。
「あ、は、はいっ!」
僕は慌ててレジに戻る。今日のおつまみは、ミックスナッツに、さきいかと、ゴマわかめ。あの女性たちとは一緒じゃないんだ、ということが嬉しくて、僕はついつい口元が緩んでしまう。
「あ、あの、この前はありがとうございました」
バーコードをよみとりながら、山本さんにお礼を言う。恥ずかしくて、顔を正面から見られないけど。
「いや。ちゃんと帰れたんだったらよかった」
「僕の家、けっこう近いところにあったんで、すぐに帰れました」
「へぇ」
軽くそう言いながら、財布を取り出す山本さん。その仕草を見ただけなのに、ドキドキし始めてる僕。
「花火なのにバイト大変だね」
お金を渡しながら山本さんが僕に声をかけてきた。
「え、あ、はい……」
レジ袋にいれたつまみを渡そうとしたら、山本さんが僕の顔を見てクスリと笑った。ずっと疲れたような顔の印象しかない山本さんの笑った顔は反則だ。
胸の奥がキュンとしてしまう。
「ここ、ついてるよ」
自分の顔の唇に指をさす山本さん。それの意味するところがよくわからなくて、キョトンとしてしまう。
「青海苔」
そう言われて、ようやく気付いて、慌てて口元を拭った。たぶん、顔は真っ赤になってる。ダブルで恥ずかしすぎる。
「お好み焼き?たこ焼き?」
山本さんが、いつになく話しかけてくれるのが嬉しくて、つい素直に答えてしまう。
「……たこ焼きです」
「ハハハ。旨いよな」
「はい」
「それじゃ」
「あ、ありがとうございましたっ」
山本さんの背中に、僕にできる精一杯の大きさで声をかけた。山本さんは、今日もやっぱり猫背で疲れてる風だったけれど、少しだけ楽し気だった。
それが、僕と話をしたことで得られたものだったならいいな、と思った。
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