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5.ネクタイ
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山本さんが連れてきてくれた店は、ちょっと入り組んだ小道の突き当りにあった。パッと見た感じは二階建ての小さな和風の一軒家なのかと思いきや、オーガニック系の和食を食べさせてくれるお店だった。
店に入るとそこはひどく狭くて、もう14時を過ぎてるというのに、テーブルはすでに満席状態。ここじゃ無理なんじゃ、と思ってたら、
「あら、山本さん、遅いのね」
気さくな感じのおばさんが、カウンターの中から声をかけてきた。
「ああ、今日は何?」
席はないのに、大丈夫なんだろうか、と、オロオロしていると、二階の階段を降りてくる人がいた。
「ごちそうさま~」
スーツ姿の男の人たちが、声をかけてそのまま店を出ていく。あれ、会計は?と不思議に思ってると、
「濱田くん、ここは先払いなんだ。サンプルがここにある。どれを選ぶ?」
山本さんの隣に立ってみると、カウンターの上に小さな小皿のようなものに、いろんなお惣菜がのせられていた。メインは肉か魚のどちらかで、あと3品、付け合わせ的に選べるらしい。なんだか、色々あって目移りしてしまう。
僕が悩んでいるうちに山本さんは決め終わったのか、カウンターの中のおばさんとお会計をしながら話している。
「先に上に行ってるよ?」
カウンターの中にいたもう一人の若いお姉さんに、選んだものを伝えていると、山本さんは階段に上りかけながら声をかけてきた。
「あ、は、はい」
慌てて僕は会計をしようとおばさんに声をかけた。
「あら、もう山本さんから頂いてるわよ?」
「え?」
「せっかくだから、奢られちゃいなさい」
コロコロと笑うおばさんに、ペコリと頭を下げると急いで階段を上がった。2階はテーブル席がいくつかあるけれど、客は僕たちだけ。窓際のほうに山本さんの姿を見つけ近寄った。
「あ、あの、ここの代金……」
「ん?気にするな」
「でも」
「おっさんでも、それなりに稼いでるから。濱田くんの飯くらいは奢れる」
「そういうわけじゃ」
僕が困った顔をしていると、山本さんは面白そうに僕を見ている。
「じゃあ、今度、百均の店で何か商品を奢ってくれよ。ここと同じ値段だと、10種類くらいになるかな」
「え、あ、はい……」
うちの店で10種類って、何を山本さんにあげればいいんだろう?
テーブルの上にあった麦茶を飲みながら店のことを考える。
「今日は、百均の仕事はないのかい?」
「あ、いえ。あります。ここが終わったら、行く予定になってます」
「へぇ、その格好で?」
僕のスーツ姿をしげしげと見る山本さん。そういう風にみられると、なんだか照れくさくなる。
店に入るとそこはひどく狭くて、もう14時を過ぎてるというのに、テーブルはすでに満席状態。ここじゃ無理なんじゃ、と思ってたら、
「あら、山本さん、遅いのね」
気さくな感じのおばさんが、カウンターの中から声をかけてきた。
「ああ、今日は何?」
席はないのに、大丈夫なんだろうか、と、オロオロしていると、二階の階段を降りてくる人がいた。
「ごちそうさま~」
スーツ姿の男の人たちが、声をかけてそのまま店を出ていく。あれ、会計は?と不思議に思ってると、
「濱田くん、ここは先払いなんだ。サンプルがここにある。どれを選ぶ?」
山本さんの隣に立ってみると、カウンターの上に小さな小皿のようなものに、いろんなお惣菜がのせられていた。メインは肉か魚のどちらかで、あと3品、付け合わせ的に選べるらしい。なんだか、色々あって目移りしてしまう。
僕が悩んでいるうちに山本さんは決め終わったのか、カウンターの中のおばさんとお会計をしながら話している。
「先に上に行ってるよ?」
カウンターの中にいたもう一人の若いお姉さんに、選んだものを伝えていると、山本さんは階段に上りかけながら声をかけてきた。
「あ、は、はい」
慌てて僕は会計をしようとおばさんに声をかけた。
「あら、もう山本さんから頂いてるわよ?」
「え?」
「せっかくだから、奢られちゃいなさい」
コロコロと笑うおばさんに、ペコリと頭を下げると急いで階段を上がった。2階はテーブル席がいくつかあるけれど、客は僕たちだけ。窓際のほうに山本さんの姿を見つけ近寄った。
「あ、あの、ここの代金……」
「ん?気にするな」
「でも」
「おっさんでも、それなりに稼いでるから。濱田くんの飯くらいは奢れる」
「そういうわけじゃ」
僕が困った顔をしていると、山本さんは面白そうに僕を見ている。
「じゃあ、今度、百均の店で何か商品を奢ってくれよ。ここと同じ値段だと、10種類くらいになるかな」
「え、あ、はい……」
うちの店で10種類って、何を山本さんにあげればいいんだろう?
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「今日は、百均の仕事はないのかい?」
「あ、いえ。あります。ここが終わったら、行く予定になってます」
「へぇ、その格好で?」
僕のスーツ姿をしげしげと見る山本さん。そういう風にみられると、なんだか照れくさくなる。
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