8 / 17
第一章「逃れられない呪縛」
己の記憶
しおりを挟む
私は小説家。
東雲美空という。
家族は、いない。
私が、殺してしまった。罪に問われないと言えばYES、だ。
なぜなら、あれは正当防衛。なので、私は今まで犯罪者という、レッテルを貼られなくてすんでいる。
しかし殺してしまったのは、紛れもない事実だ。父、母、弟、使用人たち、およそ十三人。家族たちを、全員殺してしまった。
否、家族ではない。あんな外道な奴ら、家族などというものではない。
私が、認めさせない。
一度は罪に溺れ、病みに病んだ。殺したいと毎日想い、死ねばいいと毎日願った相手だが、私も人間だった。
人を殺した罪悪感はあった。
その証拠に今でも、あのゴムを切った感触に似たものが残っている。
気持ち悪い。
しかし、幼少期にかけられた大切な人の言葉を信じ、私は前を向いた。
決して、後ろを振り返らないように。
そうやって、耐えた。耐えてきたが、あの日私は死んでしまった。
物理的に考え、事故や病気などで死んだわけではない。それまでの自分を殺し、感情をOFFにしてしまった。
なぜ、私を殺してしまったのか。
彼女が、自殺してしまったのだ。
しかもその事実を知ったのは、一週間後だった。
だが私は彼女が、自殺してしまった理由が分からない。
彼女が、何に追い込まれていたのか、何に苦しんでいたのか、さっぱりわからない。
OFFにしてしまったのは、償うとか、彼女のためだとか、決してそんな綺麗事を言うつもりはない。
これは、ただの自己満足。
悲しみ、後悔、無力さ、恋慕の情でさえなかったことにした。それをすることで、自己満足に浸れた。
だけど、全てを消すことなどできなかった。
彼女に抱いた感情は、まぎれもなく現実だったから。
東雲美空という。
家族は、いない。
私が、殺してしまった。罪に問われないと言えばYES、だ。
なぜなら、あれは正当防衛。なので、私は今まで犯罪者という、レッテルを貼られなくてすんでいる。
しかし殺してしまったのは、紛れもない事実だ。父、母、弟、使用人たち、およそ十三人。家族たちを、全員殺してしまった。
否、家族ではない。あんな外道な奴ら、家族などというものではない。
私が、認めさせない。
一度は罪に溺れ、病みに病んだ。殺したいと毎日想い、死ねばいいと毎日願った相手だが、私も人間だった。
人を殺した罪悪感はあった。
その証拠に今でも、あのゴムを切った感触に似たものが残っている。
気持ち悪い。
しかし、幼少期にかけられた大切な人の言葉を信じ、私は前を向いた。
決して、後ろを振り返らないように。
そうやって、耐えた。耐えてきたが、あの日私は死んでしまった。
物理的に考え、事故や病気などで死んだわけではない。それまでの自分を殺し、感情をOFFにしてしまった。
なぜ、私を殺してしまったのか。
彼女が、自殺してしまったのだ。
しかもその事実を知ったのは、一週間後だった。
だが私は彼女が、自殺してしまった理由が分からない。
彼女が、何に追い込まれていたのか、何に苦しんでいたのか、さっぱりわからない。
OFFにしてしまったのは、償うとか、彼女のためだとか、決してそんな綺麗事を言うつもりはない。
これは、ただの自己満足。
悲しみ、後悔、無力さ、恋慕の情でさえなかったことにした。それをすることで、自己満足に浸れた。
だけど、全てを消すことなどできなかった。
彼女に抱いた感情は、まぎれもなく現実だったから。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる