しっかり者がダメ男に惹かれる法則(2)

坂田 零

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ACT1 聞いてますかぁ?ちゃんと聞いてますかぁ?ひとの話はちゃんと聞きましょう!3

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 まじかぁ・・・
 まじかぁ・・・
 まじかぁぁぁぁ・・・・!

 その夜は、俺はそんなことを考えながらずっとシェイカーを振っていた。
 目の前では、俺とは無縁の世界の人々がえらい賑やかに飲んでるんだが・・・

 いや・・・だって!
 この輪の中にただの一般人の俺が入るの!?
 まじで!?
 まじかぁ・・・・w

 カクテルグラスに『花椿』を注ぎ、カウンターに出すと、それを受け取ったあおいがにっこり笑った。

「てっちゃんさっきからずっと無言だし無表情だし、どうしたの??」

 そう言われて、俺は思わずハッとする。

「いや・・・無言でも無表情でもないつもりだけど・・・
まじ、その・・・これは現実なのか??と思いまして・・・」

「えー?コーラスのこと?」

「う、うん」

「あはははは!もぉ!ほんとだよww
現実現実!
ちゃんとみんなでオーディション音源聞いて!
ちゃんとみんなで検討して、てっちゃんがいいってなったんだよ?
ほんとはね、プロを使うって話だったけど・・・
ギョーカイだけじゃなくて、今は一般でもセミでも実力ある人間多いし
未来の人材を探すためにも、一般公募でいこうってなったんだよ!
今は、プロもアマも、垣根があるのかないのか、全然わからない時代だから
あえて、実力ある一般人を探してみようってw」

「ああ・・・そういう主旨があったのな?」

「そうそう!それに、うちのプロデューサーもマーボさんも実力主義だから
お金積んできても実力ない人は採用したくないって」

「え?」

 あおいのその言葉に、俺は、まじまじと、あおいのヘーゼルの瞳を見つめてしまう。
 あおいは、カクテルを飲みながら、大人びて笑うと、何故か俺の頭をぽんぽんと叩いた。

 酔っぱらってんのか???w


「だから、そんな顔しなくていいんだよ?ね?w」

「え・・・あぁ、は、はい」

「なにそれ!」

 そう言って、あおいは可笑しそうに笑った。
 日本人離れした綺麗な顔立ちのあおい。
 どきっとするほど色が白い。
 見た目もそうだが、アーティストとしても実力があるから、どんどん人気が上がっていってる。

 この子がきなこの従姉妹かぁ・・・・

 とか、しみじみ思いながら、俺は大きく息を吐いた。

 今さっき言われたばっかで、全然実感ねーや
 この子のアルバムのバックコーラスか
 そもそも、どんな楽曲なんだろうな?

「あおい」

「なに?」

「次のアルバムっていつ発売なの?」

「予定では来年6月かなぁ?」

「まだ先なんだ」

「でも、八か月ないからね!あっという間だよ!
アルバム発売と同時に、Marin初のアリーナツアーだから!!」

「ああ・・・そういえば、なんかの雑誌に出てたなそれ」

「他人事みたいに言わないでよwてっちゃんも参加するんだよ??」

 その言葉に、俺はぎょっとした。
 思わずぽかーんとして、まじまじとあおいの顔を見てしまう。

「あの?聞いてますかぁ??聞いてますかぁ???
すいません、僕、ただの素人ですが??
もう一度言いますね、ただの素人ですが???」

 そう言ったら、あおいがカクテルグラスを片手に爆笑した。

「ちょおおおっと、なにそれ面白いwwww
素人じゃないでしょ!
今までだって、ちゃんと歌ってきたんだし、基礎はあるじゃん?
だから、てっちゃんはオーディション受けた時点でプロではなかったけど、素人でもなかったのwww」

「いやいやいやいやいやwww
そこらのライブハウスでも、満員にできるほど客もいないんですよ?俺のバンドは???
そんなとこで唄ってやつに、いきなりアリーナですと????
いやいやいやいやいやwwwww」

「いやいやいやいやwwww
よろしくお願いしますねwwwww」 

「いやいやいやいやwwwww」

「いやいやいやいやwwwww」

「・・・・・・・」

「・・・・???」

 俺とあおいの目が真正面からあった。

「まじかぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!????」

 俺はもう一度そう叫んだ・・・
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