しっかり者がダメ男に惹かれる法則(2)

坂田 零

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ACT3  ローマは一日にして成らず、そう言った先人まじすげー5

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 そんな俺のぼんやりした考えを知るはずもなく、きなこは無邪気に言うのだった。

「最近のてっちゃんは、なんか、人生真面目に生きてるね?」

「ああ・・・そうかもなぁ、ほら、今、未知の世界に足突っ込んでるし
あの世界を見ると、絶対に、努力しないとダメだなって思っちゃうんだよ、不思議と・・・
あおいも・・・きっとすげープレッシャー感じてるだろうけど、頑張ってるしな
俺がガチで関心してリスペクトするほど」

「あおちぃはめっちゃ努力してるよ!
でもたまに、折れそうになってうちに逃げてくるw
だから、いつも、いいこいいこってしてあげて一緒に寝るの!」

「なるほどw」

 なんとなく、その光景が目に浮かんで、俺は思わず笑った。

 あおいは努力家だ。

 天性の才能というなら、きっとマーボさんがそれなんだろうけど・・・
 あおいは運を必死で自分でつかんで、掴んだものを逃さないように、努力して努力して、今のポジションにまで駆け上がってきたんだろうな。
 そう思うと、どこかで息抜きして、自分を立て直したいこともあるだろうな・・・とかぼんやり考える。

「きなこだって・・・」

「うん?」

「きなこだって、看護師がんばってんだもんな・・・?
あんな良い部屋住めるってことは、めちゃくちゃしっかり仕事して稼いでんだろうなって・・・
何気にそう思ってた」

 何気なく、俺がそう言うと、きなこは一瞬きょとんとした。
 そして、何を思ったか、ぎゅーっと俺の腕にしがみついてきて、猫みたいにほっぺたをすりすりと腕におしつけてきたんだ。

「猫かよwwなんだよwww」

「だって!!てっちゃんがそういう風に思ってくれてたとか!
あたし全然しらなかったから、なんか!
めっちゃうれしい!!!」

「あ・・・そうw」

 そう答えたけど、内心、俺は悪い気はしなかった。
 人生を真剣に生きてこなかった俺。
 でも、結局、ある意味でこいつが、人生を真剣に考える材料を投げてくれたのかもしれない。
 
 天然すぎて意味不明だし、行動だって突拍子もないし、こいつは色々面倒くさいんだけど・・・
 多分きっと、俺はこいつが嫌いじゃないんだと思う。
 どっちかっていうと、好きなのかもしれない。
 でも、なんていうか・・・
 恋愛感情云々っていうのとも、ちょっと違う気がする。
 まぁ、この時点では、だけどさ。

 でもこいつは何故か、大きくて丸くて真っすぐな目で俺を見つめてくるんだ。
 嬉しそうに、きなこは俺を見つめてる。
 黙ってれば、顔だって可愛いきなこ。

 冷たい風に、きなこが、寒そうにまた首をすくめた。

「うぅ~寒い~」

「はよ帰るか~俺も明日は東京だしな」

 寒そうにするきなこを、なんとなく抱き寄せながら駅までの道を歩く。
 地方都市なんて、この時間にはもうほとんど人通りもない。
 気づいたら、街灯の下には、俺ときなこの影しか映ってなかった。

「あたしね、てっちゃん」

「うん?」

「人生真面目に生きてる人がいいんだぁ」

「は???」

 唐突にまた訳のわからんことを言い出したんで、俺はきょとんとしてしまう。
 きなこは、ふと足を止めて、じーっと俺を見上げてにっこり笑った。

「やる気ないクズゴミなてっちゃん
最近、なんか、一所懸命音楽やってて、ほんとクズゴミ卒業できた気がする」

「・・・・あの、すいません・・・それ、褒められてない気がしますが???」

「褒めてるよぉ、やだなぁw」

「あ・・・そう」

「にゅふふ」

 きなこは一度俺の腕から離れると、何故か両手を広げてぎゅーっと俺の胸に抱きついてくる。

「なんなんだよwおまえはほんとw」

 寒いし、きなこだし・・・仕方ないんで、俺は、ぎゅっときなこの体を抱きしめ返した。
 ふと見上げた冬の空には、なんだかやけにキラキラした、満天の星空が広がっていた。
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