しっかり者がダメ男に惹かれる法則(2)

坂田 零

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ACT3  ローマは一日にして成らず、そう言った先人まじすげー6

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 東京のある有名ホテルのラウンジ。
 音楽雑誌の記者とカメラマンが、急上昇中アーティストMarinの取材にきてる。
 実力派として知られる女性シンガーMarinの顔をして、クールに取材を受けるあおいの姿を、俺は、妙に感心して見つめていた。

 元からエキゾチックな顔立ちのあおい。
 ファッション雑誌のモデルとしても活躍してるぐらいだから、スタイルも抜群だ。

 俺と話してる時は、ごく普通の女の子。
 だけど、一度Marinの表情になると、凛として気が強そうで、なんとなく近寄りがたい印象すらうけるほどクール
になる。
 Marinのコンセプトは『ミステリアス・エキゾチック』らしいので、その仮面をつけるんだそうだ。

 案外おっとりしていて、無邪気で可愛い性格のあおいにとって、この仮面は時に重すぎるらしく、たまに地元に帰ってきて息抜きをする。

 デビューして2年半。
 あおいはそうやって、アーティストMarinとしてステージに立ってきたんだそうだ。
 ブレイクし始めたのは一昨年。
 そこから一気にアリーナツアーができるほどに人気が急上昇したのも、シンガーとして実力とミステリアスな顔があったからだと、さっきプロデューサーのサイゾー氏が言ってた。

 俺の隣のソファーには、来年七月に発売されるアルバムと、同意時期に開催されるアリーナツアーに参加するサポートメンバー一同が座ってる。

 あまりにも場違いすぎて、隠れたくなる勢いな俺www
 どう考えたって場違いだろwww
 俺、なんでこの錚々たるメンバーの中に入ってんだろうwww
 まじで謎すぎるわwwww

 コーラスに参加するボーカリストは俺の他に3名。
 男は俺含めて2名、女性ボーカルが2名。
 この4名でアルバムとツアーに参加する訳だ。
 すでに顏合わせも済んでて、地味に4人で音合わせとかもしてる。
 そして地味に仲良くやってるのは言うまでもない。


 コーラスメンバーこんなにいるの、ちょっと珍しい気がするよな。

 それにしたって待ち時間なげーwww   
 もうほんとこういうの苦手www
 16時からセッティング始まって、衣装やらメイクやらをやって、このホテル内であおいのグラビア撮影が開始されたのは17時半。
 結局インタビューが始まったのは19時近く。

 ギョーカイほんと時間食うよなww

 そんなこと思ってたら、目の前でコーヒーを飲んでたマーボさんが、可笑しそうに笑って俺に声をかけてきた。

「退屈そうだわね?てっちゃん?」

「ここだけの話・・・・まじ退屈っす
しかも・・・・マーボさんに『てっちゃん』って呼ばれると、なんか魂が震えます・・・」

 俺は白目を向きそうになりながら、めちゃくちゃ正直にそう答えた。
 マーボさんは、更に笑った。

「あーら!相変わらず正直でいいわねww
あたし、あなたのそういうバカ正直で物怖じしないとこ好きよ、ほんとにww
魂が震えるとかいい言葉!
だったらこれからもあたし、あなたをてっちゃんって呼ぶわwww」

「あざっす!!!」

 白目向く勢いで、応援団みたいにそう答える俺。
 思ったより自分声がでかくて、やけに静かなラウンジに思い切り響いて、周りの人間がぎょっとして振り返る。
 
 あ・・・やべぇw

 俺は思わず、周りの連中に頭を下げた。

「あなたってほんと面白いわwwww」

 そんな俺を見て、マーボさんがめちゃくちゃ笑ってた。
 そこに、今の今まであおいのインタビューをした、やけに美人な女性記者が現れる。

「なんだか楽しそうですね!
お待たせしました、インタビューよろしくお願いします。
『SoulSound』の木下です!」

 そう名乗った美人女性記者がふと俺の方をみる。

「あなたですね?さっきMarinさんがおっしゃってた、オーディションを勝ち抜いて、全員一致で選ばれたスーパーラッキーなシンガーさんて?」

「え?ww」

 唐突にそう聞かれた、俺は、思わず目が点になった。
 茶々を入れるようにマーボさんが言う。

「そうよ!根っこから正直で面白い子よ、ちょっとおバカだけど、いい声してるのよ
贔屓にしてやってちょーだい!」

「マーボさんおバカって言わないで!!!恥ずかしいから!!!俺、褒められると照れちゃうから!!」

 すかさずそんな突っ込みを入れると、美人記者木下さんが、何故かぎょっとした顔をする。

「え?あの・・・大河さん・・・え、えと・・・・こ、こんなにラフで、い、いいんですか?」

 木下さんが何にビビったのかまるでわからない俺。
 でも、マーボさんは木下さんがビビった理由をすぐに把握したらしい。
 マーボさんは、声をあげて可笑しそうに笑った。

「いいのよ!この子、オーディションの時からこうなの!
あたしに、物怖じも遠慮もしないでこんなこと言える新人なんて、この子ぐらいよw
こんな子だから気に入ってるのw
そんな幽霊でも見た顔しないでちょうだい、木下ちゃんww」

 ああ・・・・w
 そうか、そういうことかww

 俺はここにきて、今さらながら、マーボさんがスーパー有名な大御所大物ミュージシャンであることを自覚した。

 
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