しっかり者がダメ男に惹かれる法則(2)

坂田 零

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ACT3  ローマは一日にして成らず、そう言った先人まじすげー9

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 きっと芸能人だろうそいつが、なんか意味深な笑い方をして俺らがいるソファの後ろに立った。
 
 とりあえず、なんか感じ悪ぃな・・・

 ふと、そいつの背後に目を向けると、なんだかおどおどした感じで可愛い女の子が立ってる。
 あれ・・・?
 この子もどっかで見たことあるような???

 その時、ふと思い出した。
 あれ?この子・・・
 『FleurDOLL』っていうアイドルグループの彩菜(あやな)って子じゃなかったっけ?

 で、もう一度男の方に目を向けてはっとした。
 あ・・・そういえば・・・
 この感じ悪いこいつも、『JOYSTEP』ってアイドルグループのToyってメンバーじゃなかったか?

 週刊誌が喜びそうなネタだなぁ・・・?
 俺とあおいも弱冠ヤバいが・・・
 でもまぁ、俺となら色々ごまかせるか・・・

 やっと名前を思い出して、なんとなくすっきりしたのもつかの間、感じの悪い男Toyが、やけにニヤついてあおいのソファの背もたれに両肘を付いた。

「よぉ、まりん?久しぶり~
地下アイドルからまさかのアーティスト転身、しかもバカ売れとか・・・
世の中わかんないよな」

 すげー棘のある言い方してきたんで、なんとなく俺もイラっとする。
 あおいは、綺麗な顔を本気で嫌そうにしかめて、それこそMarinのクールな顔になってToyに言った。

「あんたと違って、こっちは実力で勝ちにいったの、だから当然の結果
今、プライベートなの、さっさと消えてくれる?」

 その口調は、まるで、汚いものに向かって言ってるような、嫌悪感たっぷりの強烈に冷たい言い方だった。
 俺ですら驚くぐらい冷淡で、めちゃくちゃ怒ってるのがわかる。
 このToyってやつ、あおいと何があったんだ??
 あおいがあまりにも冷淡に言い放ったから、Toyもイラっとしたのか、怒ったような表情をしてソファから肘を上げる。

「何が実力だよ、どうせプロデューサーあたりに枕でもしたんだろ?
そういうの得意そうだもんな?
それなのに、あの時は、お高く止まってわめき散らしてたっけな」
 
 何いってんだこいつ???
 そう思って顔をしかめた俺。
 あおいの顔はますます怒りにゆがみ、Toyの後ろにいる彩菜ちゃんと思しき女の子は、その険悪な雰囲気にますますおどおどした様子。
 あおいは、たたみかけるようにToyに言った。

「あんた達のしたことは犯罪!事務所の力で何件もみ消してもらってんの?
あたしに実力ないとか言うなら、それをそっくりあんたに返すよ
いまだに口パクでしか、ステージで歌えないくせに!」

「おまえ!ちょっとぐらい売れたからって生意気な口きくと、あん時の写真ばらまくぞ!」

「勝手にすれば?それやったら、あんた達の犯罪がバレるだけだから!勝手にしたらいい!」

 なんとなく会話が不穏すぎて、色んなことが頭をよぎる。
 俺もクズだけどこういう種類のクズにはなれそうにないなと思いつつ、俺はゆっくりソファを立った。
 
「あおい、行くぞ~」

「てっちゃん?」

 あおいが驚いて俺に声をかける。

「部屋帰るぞ~」

 俺はそう言って、あおいの腕を引っ張った。
 Toyは悔しまぎれなのか、そんな俺らに向かって吐き捨てるように言った。

「そいつ、おまえの男か?枕で仕事取るような女と付き合ってるとか気の毒だな!」

 俺はあおいの腕を引っ張ったまま、ちらっとToyを振り返ると、あえて、にんまり笑ってやった。
 Toyは一瞬、変な表情をする。
 思い切り気を抜いてたみたいなんで、なんとく、ほんとになんとなく・・・・

 膝カックンしてやった!!

 その膝がまた見事に決まってしまい、Toyは「ふぎゃっ」と変な声を上げて体のバランスを崩し、前のめりになって思い切りソファの背もたれに顔面を強打した。
 Toyは顔を抑えて涙目になりながら、俺を振り返ってがなった。

「にぇ、にぇめぇ~!にゃ、にゃにすんにゃ!」

 鼻を打ったのか地味に鼻血が垂れ流れてる上に、鼻を手で押さえたもんだから言葉にまるで迫力もなく・・・
 顔を真っ赤にして妙に情けない表情をしながら、なんか猫みたいな言葉をしゃべってたもんで、俺も猫みたいに答えてやった。

「にゃにもしてないにゃー!膝カックンしただけにゃー!」

 それを聞いた彩菜ちゃんが、思い切り笑いを吹き出したのを俺は見逃さない。

「なんか、こいつ猫語話すみたいなんで!
付き合ってると猫語移るかもだから、さっさと帰ったほうがいいぞ!
じゃっ!」

 俺はすかさずそう言って、あおいの手を引きBARを出る。
 代金は部屋付って、BARにきたときあおいがそう言ってたんで支払い義務はなし!
 全部経費!
 そんな訳で、部屋に帰る!!
 
 エレベーターまでの廊下を早足で歩きながら、俺はあおいを横目で見た。

 「大丈夫か?あおい??」

 「あはははははwwww」

 俺がそう聞くと、あおいは弾かれたように大笑いしだしたんだ。

「て、てっちゃんウケるwwww膝カックンしただけにゃーってwww
しかもあのToyの顔www最高www
ヤバいwwwほんとヤバいwwww」


 思ったより大丈夫そうだったわ・・・・w
 
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