しっかり者がダメ男に惹かれる法則(2)

坂田 零

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ACT5 昔、なんじゃこりゃぁぁぁ?って叫んでたドラマあったよね4

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 サイゾースタジオを出た時は、すでに20時を回っていた。
 なんかもう、夢と現実の見境がなくなってきたというか、他人事のような自分事で、とりあえず放心状態。
 ロビーのソファに座って、タクシーを待ちながらほへっとしている俺に、マーボさんが可笑しそうに笑って声をかけてきた。

「あーら?その間抜け顔どうしたのかしら?気を抜くにはまだ早いわよw」

 俺はハッとして思わずマーボさんを振り返る。

「いやぁ・・・なんていうか、もちろんサイゾー氏のおkもらうのに頑張ってたんすけど・・・・
いざおkでたら、なんか色んな意味で夢見てるみたいになってw」

「まぁ、その気持ちはわからなくもないけど
あたしだって、デビューした頃は毎日が夢の中だったしねw
だ・け・ど。
シャキッとしないさいよ!
年末歌謡祭なんてそれこそ会場には何万人って人がいるし、テレビの向こうにも何十万人て人間がいるのよw
失敗なんかしたら、それこそSNSは大炎上ねww」

「わぁぁぁww
ちょっと脅すのやめてくださいよマーボさんwww
俺なんかただの素人上がりなんだからw」

「あーら?もうここまできたら、ただの素人とは言えなくなってるわよ?w
『SoulSound』を見て、地味にあいつ誰だ?って事務所に問い合わせもきてるって話だし
覚悟しとくのねw」

「まじかぁぁぁぁぁ・・・・」

 俺はいたたまれなくなって、頭を抱えて思わず床に座りこんだ。

 それを見ていたあおいが、可笑しそうに笑い出す。

「そうだよ、もうてっちゃんはMarinファミリーなんだから、堂々とミュージシャン顔していいんだよw」

「できるかよそう簡単にww」

 俺がそういうと、あおいは何か思い出したようにハッと肩を震わせて、まじまじと俺の顔を見たんだ。

「そういえばてっちゃん!見つけたよ!40万円のネックレス!」

「はい?」

 思わず聞き返して、俺はふと思い出した。

 以前、あおいの公式SNSに『40万のネックレスを送ったのにファンクラブ限定liveの抽選を外したな!許さん!!』的なメールやらコメントやらを書いてきた変な奴がいたんだよな。

 あおいはバックから自分のスマホを取り出して、写真のフォルダを開いて俺に見せた。
 そこに写っていたのは、カルティエのケースに入ったネックレス。

「これこれ!
でもこれね~・・・現品の値段もっと高いから、多分、リサイクルショップで買ったんだと思う」

「・・・・・ww」

 それを聞いて俺は苦笑した。
 いや、リサイクル品でも40万は高いのわかるよ、俺なんか中古だってそんなネックレス誰にも買ってやれないw
 だけどさ・・・・
 だけどさ・・・・w

「ちっせーな・・・・w」

 俺は思わずそう呟いた。

「でしょ!?」

「そいつ、まだ書き込みしてくんの?」

「してくるしてくる!
SNSは大沢さんとかスタッフが更新してるから、あたしほとんど無感知なんだけど・・・
なんか気持ち悪いよね~」

 あおいがスマホをバックにしまいながらそういうと、マーボさんがまた可笑しそうに笑いながら言うのだった。

「いつの時代もいるよのよね~そういう変なファンが・・・・!
あたしなんか、『結婚してくれるって言ったのに!裏切ったわね!ひどい!!』って書いた手紙と一緒に、カミソリの刃が入ってたことあったわよ?
べた過ぎて笑っちゃったわw」

「うわぁwwwきっついすねそれww」

「ファンていうのはありがたい存在だけど、逆に怖い存在でもあるからねぇ
まりんちゃんも注意しないさいよ、変なのは世の中に山ほどいるから」

 マーボさんの言葉に、あおいも苦笑しながらうなずいた。

「で、ですね・・・気を付けます」

「地下アイドルから昇りつめたまりんちゃんだし、古参のファンも残ってるんでしょうけど
ファンはあくまでファン、あたしたちは音楽を売るのが仕事、それ以外のプライベートを売る必要もないわ
何があってもその姿勢は崩したらいけないわよ」

「はい、わかってます!」

 マーボさんの深い言葉に、あおいはきちっと姿勢を正してそう答えた。
 あおいは、話してると普通の女の子。
 スイッチ入るとすげーアーティストオーラが出て近寄りがたくなるけど、それがあおいなりのメリハリなんだと、最近俺は思ってる。

 そういう切り替え上手いとこ、ほんとリスペクトするよな・・・と思っていたら、大沢さんがタクシーがきたと俺達を呼びにきたんだ。

 
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