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ACT5 昔、なんじゃこりゃぁぁぁ?って叫んでたドラマあったよね6
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*
それは久々にバンドのliveがある日だった。
平日の夜。
市内のミュージックBarに俺らの音楽を聴きくるやつなんてほとんどいない・・・はずだった。
ギターのカズが、目を真ん丸にして楽屋の裾から大して広くもないステージを覗き、狐につままれたような顔をして俺に振り返る。
「なぁ・・・おい、なんで今日こんなに客いっぱいいんの???
今日って俺らしか演るバンドいないよな???」
「はぁ・・・??」
その言葉にきょとんとして、俺はカズと同じように楽屋の裾からステージを覗いてびびりまくった。
「なんでこんなに客いんの!!?」
「だろ??おかしいだろ???」
カズがそう言った時、俺らのうしろでベースの島が、手に持った雑誌をばさばさと揺らしながらこう言ったんだ。
「テツのせいだろテツのw
『Soul Sound』の記事のせいで客増えたんじゃないの?w」
「えー?!だって俺、どこでどんなバンドやってるなんて言った覚えねーし!」
俺がそう言うと、今度はドラムの木野がタバコをふかしながら答えた。
「おまえ、ネットって怖いんだぞww
雑誌読んだやつがこいつ知ってる!とかって、SNSで言い出すとあっという間に広がるやんw」
「うわぁ・・・・まじかぁw
でもまぁ、どうせ一時的なもんだろうから・・・」
俺がそう答えた時だった、突然楽屋のドアが開いて、息せいた何者かが楽屋をぶっ壊すような勢いでつっこんできたんだ。
「はぁはぁ・・・」
そして、そいつは何故かめちゃくちゃ息を荒くしてる。
手には、差し入れだろうペットボトルの入ったコンビニの袋を下げ、表が寒かったのは頬っぺたを真っ赤にして、ふわふわした髪を肩のあたりで揺らす女の子。
「ちょっと!なんかすっごおおおおおおおおくお客さん多いんだけどぉぉぉ!!?」
俺らの楽屋につっこんできて、唐突にそう叫んだのはほかでもない、いつものあいつ、きなこだった。
俺は、ステージに立つ準備をしながらそんなきなこに言う。
「うん・・・なんか今日すげー人いるよなwてか、おまえ、仕事帰り?」
「絶対これのせい!絶対これのせい!絶対これのせい!!」
俺の質問はまるでシカトして、某アニメのキャラみたいにそう呟くと、きなこはバックの中からさっと雑誌を取り出した。
表紙には『SoulSound』と書いてある。
おまえもかwwww
「クズなてっちゃんがなんか妙にかっこいいこと言ってるし!なんか妙にかっこよく写真に写ってるし!
絶対これのせい!」
きなこは頬っぺたを真っ赤にしたまま、妙に力んでそう言うと、わざわざ付箋を貼った俺の記事を大げさに開いてみせる。
「このテツ、かっこつけすぎだよなwww」
カズは可笑しそうにそう言うと、きなこはやけに興奮ぎみに俺に詰め寄ってきたんだ。
「てっちゃん!!!」
「な・・・なんだよ?」
あまりにも鬼気迫る顔をするもんだから、俺は一瞬あとずさりする。
きなこは、そんな俺の顔にずいっと自分の顔を近づけて言うんだ。
「てっちゃんは・・・あおちぃとあたし、どっちが好きなの!?」
「はぁ???」
そのセリフにぎょっとしたのは、何も俺だけじゃない、バンドのメンバーもめちゃくちゃ目を点にして俺ときなこを交互にみてる。
俺は意味がわからないまま、思わずこう答えた。
「あほかおまえは?どっちが好きなもなにも、そういう関係じゃねーだろがww」
「そういう関係じゃなくても知りたいの!!
てっちゃんはあおちぃとあたしどっちが好きなの!!!?」
唐突に、この女は一体に何を聞いてくるんだか!!
俺がめちゃくちゃ挙動おかしくなったんで、バンドのメンバーが何故かニヤニヤしはじめる。
「なんだよテツ、おまえきなこちゃんといつの間にそうなったんだよw」
そういったのは島だった。
「ちげぇwww俺は何もしてねーし!つきあってもいねーって!」
俺はそうやって否定すると、きなこが追い打ちをかけるように、ご丁寧に目をウルウルさせながら言うんだ。
「てっちゃんひどおおおおおい!!いつも一緒に寝てるじゃなああああああい!!!」
「寝てねーわぼけwwwwwwおまえが勝手にひとん宅きて、勝手に隣で寝てるだけじゃねーかwwww
しかも、いつもなんかじゃないだろwww」
俺がそう答えても、何故かバンドメンバーはしれっと俺の顔をみるだけだ・・・
こいつらwww
ぜってー俺のこと信用してねぇwwwwww
短くなったタバコを灰皿でもみ消しにがら、やけに冷静な顔で木野が言った。
「テツ・・・週刊誌とかに『鬼畜!Marineのコーラス担当はファンを自宅に連れ込んで弄ぶ!』とか書かれるまえに、ちゃんとしてやれ・・・」
「待てwww物騒なこと言うなww俺はそんなことしてねーしww
きなこになんか、何もしてねーwwww」
そう主張しても、バンドメンバーはしれっとしてニヤつくだけだった。
おまえらwwww
まじwwww
苦笑してふときなこの顔を見ると、きなこもまた悪だくみしてるようにしか見えない表情で、何故かにんまり笑っていたんだ・・・
「おwwwまwwwえwwwまじwww殺すwwww」
「いいから、てっちゃんステージいってきなよ!あたし客席で見てるね!」
悪魔のほほえみを天使のほほえみに変えて、きなこはそう言うと、にゅふふっと笑って俺の胸に抱き着いてきた。
俺はそんなきなこを引きはがしながら、大きくため息をついて、ステージに出た。
それは久々にバンドのliveがある日だった。
平日の夜。
市内のミュージックBarに俺らの音楽を聴きくるやつなんてほとんどいない・・・はずだった。
ギターのカズが、目を真ん丸にして楽屋の裾から大して広くもないステージを覗き、狐につままれたような顔をして俺に振り返る。
「なぁ・・・おい、なんで今日こんなに客いっぱいいんの???
今日って俺らしか演るバンドいないよな???」
「はぁ・・・??」
その言葉にきょとんとして、俺はカズと同じように楽屋の裾からステージを覗いてびびりまくった。
「なんでこんなに客いんの!!?」
「だろ??おかしいだろ???」
カズがそう言った時、俺らのうしろでベースの島が、手に持った雑誌をばさばさと揺らしながらこう言ったんだ。
「テツのせいだろテツのw
『Soul Sound』の記事のせいで客増えたんじゃないの?w」
「えー?!だって俺、どこでどんなバンドやってるなんて言った覚えねーし!」
俺がそう言うと、今度はドラムの木野がタバコをふかしながら答えた。
「おまえ、ネットって怖いんだぞww
雑誌読んだやつがこいつ知ってる!とかって、SNSで言い出すとあっという間に広がるやんw」
「うわぁ・・・・まじかぁw
でもまぁ、どうせ一時的なもんだろうから・・・」
俺がそう答えた時だった、突然楽屋のドアが開いて、息せいた何者かが楽屋をぶっ壊すような勢いでつっこんできたんだ。
「はぁはぁ・・・」
そして、そいつは何故かめちゃくちゃ息を荒くしてる。
手には、差し入れだろうペットボトルの入ったコンビニの袋を下げ、表が寒かったのは頬っぺたを真っ赤にして、ふわふわした髪を肩のあたりで揺らす女の子。
「ちょっと!なんかすっごおおおおおおおおくお客さん多いんだけどぉぉぉ!!?」
俺らの楽屋につっこんできて、唐突にそう叫んだのはほかでもない、いつものあいつ、きなこだった。
俺は、ステージに立つ準備をしながらそんなきなこに言う。
「うん・・・なんか今日すげー人いるよなwてか、おまえ、仕事帰り?」
「絶対これのせい!絶対これのせい!絶対これのせい!!」
俺の質問はまるでシカトして、某アニメのキャラみたいにそう呟くと、きなこはバックの中からさっと雑誌を取り出した。
表紙には『SoulSound』と書いてある。
おまえもかwwww
「クズなてっちゃんがなんか妙にかっこいいこと言ってるし!なんか妙にかっこよく写真に写ってるし!
絶対これのせい!」
きなこは頬っぺたを真っ赤にしたまま、妙に力んでそう言うと、わざわざ付箋を貼った俺の記事を大げさに開いてみせる。
「このテツ、かっこつけすぎだよなwww」
カズは可笑しそうにそう言うと、きなこはやけに興奮ぎみに俺に詰め寄ってきたんだ。
「てっちゃん!!!」
「な・・・なんだよ?」
あまりにも鬼気迫る顔をするもんだから、俺は一瞬あとずさりする。
きなこは、そんな俺の顔にずいっと自分の顔を近づけて言うんだ。
「てっちゃんは・・・あおちぃとあたし、どっちが好きなの!?」
「はぁ???」
そのセリフにぎょっとしたのは、何も俺だけじゃない、バンドのメンバーもめちゃくちゃ目を点にして俺ときなこを交互にみてる。
俺は意味がわからないまま、思わずこう答えた。
「あほかおまえは?どっちが好きなもなにも、そういう関係じゃねーだろがww」
「そういう関係じゃなくても知りたいの!!
てっちゃんはあおちぃとあたしどっちが好きなの!!!?」
唐突に、この女は一体に何を聞いてくるんだか!!
俺がめちゃくちゃ挙動おかしくなったんで、バンドのメンバーが何故かニヤニヤしはじめる。
「なんだよテツ、おまえきなこちゃんといつの間にそうなったんだよw」
そういったのは島だった。
「ちげぇwww俺は何もしてねーし!つきあってもいねーって!」
俺はそうやって否定すると、きなこが追い打ちをかけるように、ご丁寧に目をウルウルさせながら言うんだ。
「てっちゃんひどおおおおおい!!いつも一緒に寝てるじゃなああああああい!!!」
「寝てねーわぼけwwwwwwおまえが勝手にひとん宅きて、勝手に隣で寝てるだけじゃねーかwwww
しかも、いつもなんかじゃないだろwww」
俺がそう答えても、何故かバンドメンバーはしれっと俺の顔をみるだけだ・・・
こいつらwww
ぜってー俺のこと信用してねぇwwwwww
短くなったタバコを灰皿でもみ消しにがら、やけに冷静な顔で木野が言った。
「テツ・・・週刊誌とかに『鬼畜!Marineのコーラス担当はファンを自宅に連れ込んで弄ぶ!』とか書かれるまえに、ちゃんとしてやれ・・・」
「待てwww物騒なこと言うなww俺はそんなことしてねーしww
きなこになんか、何もしてねーwwww」
そう主張しても、バンドメンバーはしれっとしてニヤつくだけだった。
おまえらwwww
まじwwww
苦笑してふときなこの顔を見ると、きなこもまた悪だくみしてるようにしか見えない表情で、何故かにんまり笑っていたんだ・・・
「おwwwまwwwえwwwまじwww殺すwwww」
「いいから、てっちゃんステージいってきなよ!あたし客席で見てるね!」
悪魔のほほえみを天使のほほえみに変えて、きなこはそう言うと、にゅふふっと笑って俺の胸に抱き着いてきた。
俺はそんなきなこを引きはがしながら、大きくため息をついて、ステージに出た。
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