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ACT2 ちぐはぐな人生はどうやっても交差なんかしない2
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俺たちが撤収した後のステージには、来年メジャーデビューすることが決まっているって連中のライブが始まっていた。
200人入れる会場は言葉通りのすし詰め。
俺たちの時とは大違いだ。
そりゃ本音を言えば悔しいし、ものスゲー劣等感で発狂したくもなるけど…無駄に疲れるのもつまんねー。
だから俺は、いつもの通り自分の感情にスルーを決めこんだ。
ライブハウスの裏側には、関係者専用の喫煙所がある。
専門と言っても屋根もないし、ベンチの前にデカイ灰皿が置いてあって、自販機がある程度のもんだ。会場の中からは大歓声とそして大音響が聞こえてくる。
俺は、ギターのカズと一緒にベンチに座って、さっきから、やたらと無口で目の前立っているきなこに声をかけた。
「おまえどうしたん?なんか、今日は元気なくね?」
ちょっとうつ向き加減だったきなこが、ちらっと俺に視線を向けて、何故かため息を吐く。
「……」
俺は、思わず隣でタバコをふかしているカズに目線を向けた。
カズも、これは何かおかしい…って言いたそうな顔つきで、俺と目を合わせる。
そんなカズが、目の前に突っ立ったままのきなこに聞いた。
「きなこちゃんがさ~、きなこ節じゃないとなんか調子でないよ?どったの?」
カズの言葉に、きなこはいきなりその場に座りこんで、小学生みたいに膝を抱えると、上目使いに、俺とカズを見る。
「うぅ…」
その途端だった。きなこの大きな二つの目に、みるみる涙が溢れてきたのだ。
「ぶはっ!ちょっと待て!おま!何泣いてんだよ!?」
俺は慌て過ぎて、思わず火のついたタバコを地面に落とす。
慌てたのはカズも一緒で、カズは目をぱちくりさせながら、叫けぶように言った。
「いや!俺、なんも泣くような聞いてないよね?!」
あわてふためく俺たちを尻目に、きなこは、細い肩を震わせ嗚咽しながら、ガキみたいに声をあげて泣き出したのだった。
一体なんだって言うんだ!?
思わず、唖然として、泣きじゃくるきなこを見おろす俺とカズ。
さりげなく路地を通っていく、通行人の視線がえらく痛すぎだ。
まるで俺らが何かしたみたいじゃんが…
「あー……」
俺は困りに困って、頭をかく。
そんな俺に向かって、カズが言う。
「つかさ…なんとかしてよ、テツ?
マジで、さっきそこ通ってったリーマンの視線、めちゃくちゃ痛かったんだけど…」
「なんで俺なんだよ!俺だってなんもしてねーじゃん!」
「え~?だって、おまえなんかしてそうじゃん?」
「してねー!」
反論した俺は、とりあえず、深くため息を吐いてから、きなこに言った。
「あのさ~…泣くのは勝手なんだけどさ~…とりあえず、場所考えようぜ…」
そう言った瞬間、きなこは、がばっと泣き顔を上げて、えらく怖い表情をしながら叫ぶように俺に言う。
「てっちゃんひどい!ひどいよてっちゃん!
あたしがこんなに悲しいのに!
何よ!?その言い方!?
てっちゃん鬼!
人でなし!!
インポ!!」
「こら待て…なんだインポって?
馬鹿かおまえ!?
おまえが泣くのとインポと、何か関係あんのか?!
その前に!俺は、インポじゃねえぇぇっ!!」
「てっちゃんは、あたしが泣いてることよりインポかインポじゃないかが重要な訳!?
ひどすぎるよ!!
馬鹿!あほ!包茎!」
「おまえ・・・・まじで殺すぞ・・・」
俺たちが撤収した後のステージには、来年メジャーデビューすることが決まっているって連中のライブが始まっていた。
200人入れる会場は言葉通りのすし詰め。
俺たちの時とは大違いだ。
そりゃ本音を言えば悔しいし、ものスゲー劣等感で発狂したくもなるけど…無駄に疲れるのもつまんねー。
だから俺は、いつもの通り自分の感情にスルーを決めこんだ。
ライブハウスの裏側には、関係者専用の喫煙所がある。
専門と言っても屋根もないし、ベンチの前にデカイ灰皿が置いてあって、自販機がある程度のもんだ。会場の中からは大歓声とそして大音響が聞こえてくる。
俺は、ギターのカズと一緒にベンチに座って、さっきから、やたらと無口で目の前立っているきなこに声をかけた。
「おまえどうしたん?なんか、今日は元気なくね?」
ちょっとうつ向き加減だったきなこが、ちらっと俺に視線を向けて、何故かため息を吐く。
「……」
俺は、思わず隣でタバコをふかしているカズに目線を向けた。
カズも、これは何かおかしい…って言いたそうな顔つきで、俺と目を合わせる。
そんなカズが、目の前に突っ立ったままのきなこに聞いた。
「きなこちゃんがさ~、きなこ節じゃないとなんか調子でないよ?どったの?」
カズの言葉に、きなこはいきなりその場に座りこんで、小学生みたいに膝を抱えると、上目使いに、俺とカズを見る。
「うぅ…」
その途端だった。きなこの大きな二つの目に、みるみる涙が溢れてきたのだ。
「ぶはっ!ちょっと待て!おま!何泣いてんだよ!?」
俺は慌て過ぎて、思わず火のついたタバコを地面に落とす。
慌てたのはカズも一緒で、カズは目をぱちくりさせながら、叫けぶように言った。
「いや!俺、なんも泣くような聞いてないよね?!」
あわてふためく俺たちを尻目に、きなこは、細い肩を震わせ嗚咽しながら、ガキみたいに声をあげて泣き出したのだった。
一体なんだって言うんだ!?
思わず、唖然として、泣きじゃくるきなこを見おろす俺とカズ。
さりげなく路地を通っていく、通行人の視線がえらく痛すぎだ。
まるで俺らが何かしたみたいじゃんが…
「あー……」
俺は困りに困って、頭をかく。
そんな俺に向かって、カズが言う。
「つかさ…なんとかしてよ、テツ?
マジで、さっきそこ通ってったリーマンの視線、めちゃくちゃ痛かったんだけど…」
「なんで俺なんだよ!俺だってなんもしてねーじゃん!」
「え~?だって、おまえなんかしてそうじゃん?」
「してねー!」
反論した俺は、とりあえず、深くため息を吐いてから、きなこに言った。
「あのさ~…泣くのは勝手なんだけどさ~…とりあえず、場所考えようぜ…」
そう言った瞬間、きなこは、がばっと泣き顔を上げて、えらく怖い表情をしながら叫ぶように俺に言う。
「てっちゃんひどい!ひどいよてっちゃん!
あたしがこんなに悲しいのに!
何よ!?その言い方!?
てっちゃん鬼!
人でなし!!
インポ!!」
「こら待て…なんだインポって?
馬鹿かおまえ!?
おまえが泣くのとインポと、何か関係あんのか?!
その前に!俺は、インポじゃねえぇぇっ!!」
「てっちゃんは、あたしが泣いてることよりインポかインポじゃないかが重要な訳!?
ひどすぎるよ!!
馬鹿!あほ!包茎!」
「おまえ・・・・まじで殺すぞ・・・」
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