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ACT2 ちぐはぐな人生はどうやっても交差なんかしない9
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「きなこ…?」
「はいはい、きなこさんです~」
「おまえ……見てたんか?」
「見てたよ~」
なんのためらいもなく、けろっとそんな事を言って、きなこは、スタバの熱いコーヒーを俺に差し出した。
「彼女さんのも買ってきたんだけど…
てっちゃんが泣かせたりするから~渡せなかったじゃんね~」
「……泣かせた泣かせたって言うなよっ」
「だって、泣かせたじゃん!あれはないよ~!てっちゃん!」
「は?」
「別れたいのか別れたくないのか~?って聞かれてさ~わからないって答えはないよ~
てっちゃん、馬鹿なの?」
「おまっ…!聞いてたのか?!」
「うん!」
きなこは、何故かニッコリと笑って素直にうなずいた。
俺は、思わず、その場で頭を抱えてしまった…
そんな俺を、何故かじっと見つめるきなこ。
俺は、片手で差し出されたコーヒーカップを受け取ると、思わず、深くため息をつく。
「ため息つきたいのは、てっちゃんじゃなくて、彼女さんなんじゃないの?」
「うるせ~な!俺だってため息だよ!」
「てっちゃんさぁ~…」
「なんだよ!」
乱暴にそう答えた俺の隣に、何の遠慮もなく座ったきなこは、コーヒーに口を付けながら、いつもの口調で言葉を続ける。
「てっちゃん…ああ言う時にさ~真剣に、相手が何か言ってる時にさ~
わからないって言うのいくないよ」
「だって!ほんとにわからねーもん!」
「それってさ…つまり…どうでもいいってことじゃないの?」
「いやっ…それはっ…その…」
思わず、俺は答えにつまる。
きなこは、「やっぱり」て顔つきをして、じーっと俺の顔を見つめていた。
「一番、欲しくない答えだよね~もう、彼女さんどっちかにして欲しいんだよ…
てっちゃんは、ほんとにやる気ない」
「おまえに言われたくねーよ!」
「あたしはやる気満々だもん!お仕事頑張ってるもん!てっちゃんの応援も頑張ってるし!」
「なんだよそれ?」
「言葉のままだよ。てっちゃんがやる気ないのはわかってるけど…ほんとにあれはいくない」
「……」
「ちゃんと決めてあげなよ…てっちゃんなんかより、よっぽど、彼女さんのが辛いと思う」
「おまえ…やたら真奈美の肩を持つじゃんか?」
「だって!あたしも女のコだし!てっちゃんなんかと付き合ってる彼女さん、ちょっと可哀想」
「おま!失礼だな!」
そう言った俺を、きなこはまじまじと見る。
そして、何故か、やけに嬉しそうな表情をして、何を思ったか、殴られた方の俺の頬に、片手を置いた。
焼きが回ったのか、不覚にも、俺はドキっとする。
きなこは、少しだけ目を細めて、小声で言う。
「わからなくもないよ~…彼女さんの気持ち…てっちゃんなんか、ほんとダメ人間なのに…なんか…」
「……っ」
「なんか気になっちゃうし。付き合ったりしたら、絶対不幸になるの判るのに…なんか…なんか…」
「けなし過ぎだよ!」
「けなしてないよ!ほんとの事言っただけだよ~っ!」
「どう聞いてもけなしてんじゃんか!」
「腫れてるよ~?ほっぺ?これ、彼女さんも手、痛かったと思う」
「俺だって痛…」
そういいかけた時、きなこの柔らかな唇が、軽く、俺の頬に触れた。
「!!?」
「てっちゃんの…ばーか!!」
イタズラっぽく笑ったきなこが、ぴょんっと跳ねるようにベンチから立ち上がる。
俺は、きょとんとして、そんなきなこをまじまじと見た。
「じゃあね!」
きなこは、呆然とする俺に手を降ると、さっきの真奈美のように、走って改札の方に向かって行った。
その場に、一人取り残された俺は、思わず、夜空を仰ぐ。
ひどい夜だった…ほんとに…
俺を置いてけぼりにした夜は、そんな思いと共に、更けていくだけだった…
「はいはい、きなこさんです~」
「おまえ……見てたんか?」
「見てたよ~」
なんのためらいもなく、けろっとそんな事を言って、きなこは、スタバの熱いコーヒーを俺に差し出した。
「彼女さんのも買ってきたんだけど…
てっちゃんが泣かせたりするから~渡せなかったじゃんね~」
「……泣かせた泣かせたって言うなよっ」
「だって、泣かせたじゃん!あれはないよ~!てっちゃん!」
「は?」
「別れたいのか別れたくないのか~?って聞かれてさ~わからないって答えはないよ~
てっちゃん、馬鹿なの?」
「おまっ…!聞いてたのか?!」
「うん!」
きなこは、何故かニッコリと笑って素直にうなずいた。
俺は、思わず、その場で頭を抱えてしまった…
そんな俺を、何故かじっと見つめるきなこ。
俺は、片手で差し出されたコーヒーカップを受け取ると、思わず、深くため息をつく。
「ため息つきたいのは、てっちゃんじゃなくて、彼女さんなんじゃないの?」
「うるせ~な!俺だってため息だよ!」
「てっちゃんさぁ~…」
「なんだよ!」
乱暴にそう答えた俺の隣に、何の遠慮もなく座ったきなこは、コーヒーに口を付けながら、いつもの口調で言葉を続ける。
「てっちゃん…ああ言う時にさ~真剣に、相手が何か言ってる時にさ~
わからないって言うのいくないよ」
「だって!ほんとにわからねーもん!」
「それってさ…つまり…どうでもいいってことじゃないの?」
「いやっ…それはっ…その…」
思わず、俺は答えにつまる。
きなこは、「やっぱり」て顔つきをして、じーっと俺の顔を見つめていた。
「一番、欲しくない答えだよね~もう、彼女さんどっちかにして欲しいんだよ…
てっちゃんは、ほんとにやる気ない」
「おまえに言われたくねーよ!」
「あたしはやる気満々だもん!お仕事頑張ってるもん!てっちゃんの応援も頑張ってるし!」
「なんだよそれ?」
「言葉のままだよ。てっちゃんがやる気ないのはわかってるけど…ほんとにあれはいくない」
「……」
「ちゃんと決めてあげなよ…てっちゃんなんかより、よっぽど、彼女さんのが辛いと思う」
「おまえ…やたら真奈美の肩を持つじゃんか?」
「だって!あたしも女のコだし!てっちゃんなんかと付き合ってる彼女さん、ちょっと可哀想」
「おま!失礼だな!」
そう言った俺を、きなこはまじまじと見る。
そして、何故か、やけに嬉しそうな表情をして、何を思ったか、殴られた方の俺の頬に、片手を置いた。
焼きが回ったのか、不覚にも、俺はドキっとする。
きなこは、少しだけ目を細めて、小声で言う。
「わからなくもないよ~…彼女さんの気持ち…てっちゃんなんか、ほんとダメ人間なのに…なんか…」
「……っ」
「なんか気になっちゃうし。付き合ったりしたら、絶対不幸になるの判るのに…なんか…なんか…」
「けなし過ぎだよ!」
「けなしてないよ!ほんとの事言っただけだよ~っ!」
「どう聞いてもけなしてんじゃんか!」
「腫れてるよ~?ほっぺ?これ、彼女さんも手、痛かったと思う」
「俺だって痛…」
そういいかけた時、きなこの柔らかな唇が、軽く、俺の頬に触れた。
「!!?」
「てっちゃんの…ばーか!!」
イタズラっぽく笑ったきなこが、ぴょんっと跳ねるようにベンチから立ち上がる。
俺は、きょとんとして、そんなきなこをまじまじと見た。
「じゃあね!」
きなこは、呆然とする俺に手を降ると、さっきの真奈美のように、走って改札の方に向かって行った。
その場に、一人取り残された俺は、思わず、夜空を仰ぐ。
ひどい夜だった…ほんとに…
俺を置いてけぼりにした夜は、そんな思いと共に、更けていくだけだった…
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