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【19、贖罪】
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結局、一週間経っても彼からLINEは帰ってこなかった。
幸か不幸か、仕事が忙しくてお店にも顔を出せなかった。
彼とこんな関係になってから、一週間も彼の顔を見ないのも、彼に抱かれないのも初めてで、私の心は、驚くほどの寂しさに沈んだ。
信ちゃんが転勤した時なんか、非じゃないほどの寂しさ…でも。
あたしは、信ちゃんと結婚する…
だから、これが良い機会…
お別れを言わないと…
そう思ったから、私は、彼のバイト先に来た。
直接会って、時間を取ってもらえないか聞きたかった、でも、その日に限って、いつもは暇な時間帯のお店が忙しく動いていた。
私がいつも座る席だけが、たまたま空いていた程度…
彼は出勤してたけど、忙しそうにしてて、目も合わなかった。
驚いたことは、赤だった髪が黒になってて、以前より大人びて見えたこと…
あたしのことなんか、もう、興味なくなっちゃったのかな…?
別れを切り出すつもりなのに、何故かこんなことを考える私は、ほんとに勝手な女だと、我ながら落ち込む…
「いらっしゃいませ!なんだか、久しぶりに顔みましたね!」
黄色い声が聞こえてきて、はっと顔をあげると、そこに立っていたのはバイトのミキちゃんだった。
一瞬動揺して、私は変な笑いかたをしてしまう。
「そうだね、仕事、忙しかったから」
「そうなんですね~?ご注文はいつものブレンドで?」
「うん、お願い」
私がそう答えると、ミキちゃんは何やら含み笑いをして、どこか嬉しそうに、だけどどこか探るように、突然、小声で私に言った。
「聞いてくださいよ…この間、並木店長と里佳子さんにファミレスで会った日あったじゃないですか?」
「え?あ、うん」
「あの日ね…あたし、いっくんの家、泊まったんですよ!」
「……っ」
その一言で、私の動揺は最大値に達した。
でも、そしらぬ顔で答えた。
「そうなんだ~」
「はい!じゃ、コーヒー淹れて来ますね!」
「ありがとう、よろしく」
多分彼女は、わざと言ったんだ。
女の子は怖くて、勘で色んな事に気づいてしまう。
彼女は元から樹くんを気に入ってたみたいだし、どんなに隠していても、なんとなく関係に気づくのかもしれない。
だから、わざと言ったんだ…きっと、これは牽制。
気付いたら、何故か指先が震えていた。
胸の奥がもやもやする…
苦しいよ。
これは間違いなく嫉妬だ。
やっぱり、あの日にあの二人は…
考えるとますます指先が震えてくる。
だけど、あたしは、樹くんに何も言えない。
だってあたしは、信ちゃんと結婚するんだもん…
それにあの日は、あたしだって信ちゃんに…
必死に自分を抑えると、涙が出そうになる。
ちゃんと彼と話したい…
だけど、彼は忙しそうで、結局、店では何も話せなかった。
諦めきれなかった私は、帰宅して、お風呂に入り、時間を見計らって…彼に電話をかけた。
幸か不幸か、仕事が忙しくてお店にも顔を出せなかった。
彼とこんな関係になってから、一週間も彼の顔を見ないのも、彼に抱かれないのも初めてで、私の心は、驚くほどの寂しさに沈んだ。
信ちゃんが転勤した時なんか、非じゃないほどの寂しさ…でも。
あたしは、信ちゃんと結婚する…
だから、これが良い機会…
お別れを言わないと…
そう思ったから、私は、彼のバイト先に来た。
直接会って、時間を取ってもらえないか聞きたかった、でも、その日に限って、いつもは暇な時間帯のお店が忙しく動いていた。
私がいつも座る席だけが、たまたま空いていた程度…
彼は出勤してたけど、忙しそうにしてて、目も合わなかった。
驚いたことは、赤だった髪が黒になってて、以前より大人びて見えたこと…
あたしのことなんか、もう、興味なくなっちゃったのかな…?
別れを切り出すつもりなのに、何故かこんなことを考える私は、ほんとに勝手な女だと、我ながら落ち込む…
「いらっしゃいませ!なんだか、久しぶりに顔みましたね!」
黄色い声が聞こえてきて、はっと顔をあげると、そこに立っていたのはバイトのミキちゃんだった。
一瞬動揺して、私は変な笑いかたをしてしまう。
「そうだね、仕事、忙しかったから」
「そうなんですね~?ご注文はいつものブレンドで?」
「うん、お願い」
私がそう答えると、ミキちゃんは何やら含み笑いをして、どこか嬉しそうに、だけどどこか探るように、突然、小声で私に言った。
「聞いてくださいよ…この間、並木店長と里佳子さんにファミレスで会った日あったじゃないですか?」
「え?あ、うん」
「あの日ね…あたし、いっくんの家、泊まったんですよ!」
「……っ」
その一言で、私の動揺は最大値に達した。
でも、そしらぬ顔で答えた。
「そうなんだ~」
「はい!じゃ、コーヒー淹れて来ますね!」
「ありがとう、よろしく」
多分彼女は、わざと言ったんだ。
女の子は怖くて、勘で色んな事に気づいてしまう。
彼女は元から樹くんを気に入ってたみたいだし、どんなに隠していても、なんとなく関係に気づくのかもしれない。
だから、わざと言ったんだ…きっと、これは牽制。
気付いたら、何故か指先が震えていた。
胸の奥がもやもやする…
苦しいよ。
これは間違いなく嫉妬だ。
やっぱり、あの日にあの二人は…
考えるとますます指先が震えてくる。
だけど、あたしは、樹くんに何も言えない。
だってあたしは、信ちゃんと結婚するんだもん…
それにあの日は、あたしだって信ちゃんに…
必死に自分を抑えると、涙が出そうになる。
ちゃんと彼と話したい…
だけど、彼は忙しそうで、結局、店では何も話せなかった。
諦めきれなかった私は、帰宅して、お風呂に入り、時間を見計らって…彼に電話をかけた。
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