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第13章︰吸血鬼の道
第116話
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「ぅ…ん…?」
日の光が顔を照らし、その眩しさに開いた目を細めた。ゆっくり身体を起こすと、鮮やかな緑色の草木が周りを取り囲むようにして生い茂っている。
「森かな…?どこの森だろう…。」
その場に立ち上がり、目の前に伸びている道を歩き出した。しばらく歩みを進めていると頭上で鳥の鳴き声が聞こえ、立ち止まって上を見上げた。木の枝に止まった白い鳥がこちらをじっと見つめ、何かを訴えているように感じた。その鳥に誘われるように後をついて行くと、木で作られた小屋が立っていた。
小屋の側にはいくつもの切り株が並び、そのうちの1つに人が1人座っていた。腰辺りまで伸びた白髪に日の光が当たり、眩しくて見ていられない程に光り輝いている。
「あ、あの…!」
背を向けていたその人物に声をかけると、ゆっくりと後ろを振り返り、その場に立ち上がった。
「えっ………ルナ…!?」
細く白い腕、紺青色の大きな瞳、これ程までに僕と瓜二つな人物はルナしかいない。異様に長くなっている白髪を除けば、彼女の姿そのものだった。
僕は彼女の元に駆け寄ると、その勢いのままに力強く抱きしめた。
「やっと見つけた…!ずっと探してたんだよ!?…こんな所にずっといたの?」
「…。」
「…ルナ?」
「僕はルナじゃないよ?」
「…!?」
慌てて背中に回した腕を離すと、数歩後ろに下がって距離をとった。明らかに少女と思えるその人は、低い声で「僕」と口にした。
「ごめんなさい…!知り合いに似てたのでつい…。あの…あなたは…?」
「僕は君。」
「…え?」
「だから…僕は君だよ?」
「キミ…って言う名前なんですか?」
「違うよ…!名前はステラ。…ステライラージュ。」
「ステラ…!?」
「ずっと待ってたんだ。ルカが来てくれるのを。」
「なんで僕の事…。」
「話したい事が沢山あるんだ。中に入って紅茶でも飲まない?」
「う、うん…。」
僕は彼の誘いを受け、小屋の中に入っていった。彼が用意した紅茶は、夢の中でミグが用意してくれた物と似ていて、懐かしい味がした。
「どうしたの?そんなに緊張しなくてもいいのに…。」
「緊張なんて…」
「わかるよ。君は僕の一部だから。」
「一部…?」
「この話は長くなるから…また今度ゆっくり話さない?」
「え!?どうして今じゃ駄目なの?さっき、話したい事があるって…」
「大丈夫!また夢の中で会えるから。」
「で、でも…。」
「またね。ルカ。」
「待っ…!」
手を伸ばして目を開けると、コンクリートの天井が視界に映った。
「ん…?どうした…ルカ?」
「あ…ガゼル…。」
隣にある別のベッドに寝ていた彼が身体を起こし、こちらの様子を伺い始めた。
「まだ朝じゃないだろ…?もう少し寝ようぜ~…。」
「うん…そうだね…。ごめんね起こしちゃって…。」
「ん~…。」
僕は再びベッドに横になり、軽く目を閉じた。
「僕は君。」「君は僕の一部だから。」と話していた彼の言葉が気になり、もう一度夢を見ようと試みたが、次に目を覚ました時には朝を迎えていた。
「今日はルカくんに、魔法を使ってもらおうかな。」
「魔法…ですか?」
翌日、オズモールさんの研究室にやってきた僕は、彼女の前に用意された椅子に座って話を聞いていた。常に行動を共にしているガゼルは、昨日と同じソファーに座って僕達のやりとりを眺めている。
「そう。昨日みたいに、記録を取って人と比較しようと思うの。」
「僕…魔法は苦手で…。吸血鬼になってから、まだ属性魔法は使った事がないんです…。」
「大丈夫だよぉ~。ルカくんならきっと出来るよぉ。」
「人と一緒で吸血鬼にも適正属性があるみたいだし、出来ないのはしょうがないよ。今、自分がどのくらい魔法を使えるか、試してみるくらいの気持ちでやってくれればいいから。」
「わ、わかりました…。」
「なら、今日も外だな。」
僕達の話が終わってすぐに、彼はその場に立ち上がって出入口の扉に手をかけた。
「今日はガゼルくんも乗り気だねぇ!」
「魔法を使ってる所を見るのって面白そうだろ?魔法自体、あんま見るもんじゃないしな。」
「なら、魔法の事もあんまり知らないんだねぇ~。あたしが教えてあげようかぁ?」
「魔法を使えないのにわかる訳が…」
「あたしは吸血鬼の事勉強してるからわかるもん!少なくともガゼルくんよりは…」
2人は話をしながら、研究室を出て行ってしまった。
「あら…行っちゃったね。」
「魔法を使うのは僕なのに…!待ってよ2人共~!」
「じゃあまずは火からね。」
「は、はい…!」
建物の裏にある砂地の場所で、属性魔法を試してみる事になった。火、水、風とそれぞれの上級属性魔法は問題なく発動させる事が出来た。問題なのは、ルナも上手く使いこなせなかった光属性と、吸血鬼特有の属性である闇属性の魔法だ。
「どうした?ルカ…」
「え?」
「なんか…怖い顔してるけど。」
「そ、そんな顔してた…?」
「ルカくん大丈夫?ちょっと疲れたぁ?」
「ううん!大丈夫…。」
そっと目を閉じ、大きく息を吸い込んだ。それをゆっくり吐き出すと、魔法の詠唱を始めた。
「“血の盟約は互いの友好の証。我が血を糧とし力に変え、我が意思に従え。レイ!”」
伸ばした手から光線を放つ、光属性の魔法を発動した。しかし、手の先に集まった光がその場で弾けて消えてしまった。
「はぁ…やっぱりだめかぁ…。」
「光るだけでもすごい事だよルカくん!光は人間特有の属性だから、普通なら何も起こらないはずだよ?」
「そうなんですか?」
「なぁ。ちょっと聞いてもいいか?」
離れた所から様子を見ていたガゼルが、こちらに歩み寄って来た。
「ん?何かな?」
「ルカが詠唱してたのって、血の盟約がどうのこうの…っていう、吸血鬼が使う魔法詠唱だろ?人間が使う魔法詠唱じゃ駄目なのか?」
「魔法詠唱にはそれぞれ意味があって、人間はミラ様の力をお借りして魔法を発動するの。吸血鬼の場合は人じゃないから、ミラ様の力を借りる事は出来ないんだよ。」
「そうか…。光が人間特有の属性なら、人が使う詠唱で発動出来たりしないのかなと思っ…」
「そっか!それだよガゼル!」
「は?」
「光属性の魔法を使うなら、人が使う詠唱をしなきゃ!」
「でも…吸血鬼が人間の魔法詠唱を使って魔法を発動させたなんて、聞いた事ないよぉ?」
「やってみるよ!どうせ駄目なら試してみなきゃ!“ミラの加護を受けし者。光の精霊と契を交わし、我に力を与えよ。レイ!”」
先程同様、同じ魔法を詠唱した。伸ばした手に集まった光が、光線となって地面の土を抉った。
「やった!発動出来ました!」
「嘘…。まさか本当に発動出来るなんて…。」
「すごいよぉルカくん!」
「ガゼルがこの事に気づいてくれたおかげだよ!ありがとうガゼル!」
「お、俺は何もしてねーよ…。」
「これだと…治癒属性の魔法も人の詠唱を使えば発動出来そうだね。治癒属性は、魔法発動の確認が出来ないから…とりあえず、闇属性の魔法をやってみてくれるかな?」
「はい!」
初めて詠唱してみた闇属性の魔法は、身体が吸血鬼になっている事もあって問題なく発動する事が出来た。魔法が発動出来るかどうかばかり気にしていたせいで、魔法の威力や正確さが優れているのかどうかはわからなかった。
魔力と血を大量に消耗した事で、その日は早めに身体を休める事となった。
「おかえりルカ。」
「た、ただいま…ステラ…。」
夢の中にある森で目を覚ました僕は、小屋の前で再びステラと出会った。テーブルを挟んで向かい側に腰をおろし、目の前には以前と同じように紅茶が用意されている。
「この間は強引に帰しちゃってごめんね?ここまで歩いてくるの、大変だったでしょ?今度からは、奥の部屋にあるベッドを使ってね。」
「そ、そんな事より…!今日は話してくれるんだよね…?」
「うん。知りたい事、なんでも聞いていいよ。僕にわかる事なら話せるから。」
「えっと…。僕は…本当にステラなの?」
「そうだよ。君は僕の一部なんだ。」
「この間も一部って言ってたけど…それってどういう事?」
「僕がミラに封印されそうになった事は知ってるよね?」
「うん…。けど、ミラ様が封印したのはステラの分身だったんでしょ?」
「そう。その時は、誰も分身だって事に気づいてなかったから、あの時点でステラは死んだんだ。けど、ステラが生きていると分かったらまた人間に命を狙われる…そう思って、身体を分裂させる事にしたんだ。」
「逃げる為に…自身を分裂させたの?」
「それもあったけど…。これ以上、人間と吸血鬼を争わせない為だよ。ミラが死んだのにステラが生きてたら、人間達は吸血鬼に恨みを抱くはずだから…。」
「分裂したのは、僕とルナなの…?」
「うん。そうだよ。」
「ルナ…。」
彼女の名前を口にする度に、胸の奥が締め付けられて苦しくなる。
「ルカ。ルナは死んだんじゃない。僕の元に戻って来たんだ。」
「なら…ステラの中にいるの?」
「うん。僕の中で眠ってる。」
「そっか…。」
「そろそろ時間だね。もうすぐ日が昇るよ。」
「ありがとうステラ。…また話に来てもいいかな?」
「毎日来てくれていいよ。ルカに会えるの、楽しみにしてるね!」
「うん…。」
彼に進められた通り、奥の部屋にあったベッドに横になり、再び眠りについた。
日の光が顔を照らし、その眩しさに開いた目を細めた。ゆっくり身体を起こすと、鮮やかな緑色の草木が周りを取り囲むようにして生い茂っている。
「森かな…?どこの森だろう…。」
その場に立ち上がり、目の前に伸びている道を歩き出した。しばらく歩みを進めていると頭上で鳥の鳴き声が聞こえ、立ち止まって上を見上げた。木の枝に止まった白い鳥がこちらをじっと見つめ、何かを訴えているように感じた。その鳥に誘われるように後をついて行くと、木で作られた小屋が立っていた。
小屋の側にはいくつもの切り株が並び、そのうちの1つに人が1人座っていた。腰辺りまで伸びた白髪に日の光が当たり、眩しくて見ていられない程に光り輝いている。
「あ、あの…!」
背を向けていたその人物に声をかけると、ゆっくりと後ろを振り返り、その場に立ち上がった。
「えっ………ルナ…!?」
細く白い腕、紺青色の大きな瞳、これ程までに僕と瓜二つな人物はルナしかいない。異様に長くなっている白髪を除けば、彼女の姿そのものだった。
僕は彼女の元に駆け寄ると、その勢いのままに力強く抱きしめた。
「やっと見つけた…!ずっと探してたんだよ!?…こんな所にずっといたの?」
「…。」
「…ルナ?」
「僕はルナじゃないよ?」
「…!?」
慌てて背中に回した腕を離すと、数歩後ろに下がって距離をとった。明らかに少女と思えるその人は、低い声で「僕」と口にした。
「ごめんなさい…!知り合いに似てたのでつい…。あの…あなたは…?」
「僕は君。」
「…え?」
「だから…僕は君だよ?」
「キミ…って言う名前なんですか?」
「違うよ…!名前はステラ。…ステライラージュ。」
「ステラ…!?」
「ずっと待ってたんだ。ルカが来てくれるのを。」
「なんで僕の事…。」
「話したい事が沢山あるんだ。中に入って紅茶でも飲まない?」
「う、うん…。」
僕は彼の誘いを受け、小屋の中に入っていった。彼が用意した紅茶は、夢の中でミグが用意してくれた物と似ていて、懐かしい味がした。
「どうしたの?そんなに緊張しなくてもいいのに…。」
「緊張なんて…」
「わかるよ。君は僕の一部だから。」
「一部…?」
「この話は長くなるから…また今度ゆっくり話さない?」
「え!?どうして今じゃ駄目なの?さっき、話したい事があるって…」
「大丈夫!また夢の中で会えるから。」
「で、でも…。」
「またね。ルカ。」
「待っ…!」
手を伸ばして目を開けると、コンクリートの天井が視界に映った。
「ん…?どうした…ルカ?」
「あ…ガゼル…。」
隣にある別のベッドに寝ていた彼が身体を起こし、こちらの様子を伺い始めた。
「まだ朝じゃないだろ…?もう少し寝ようぜ~…。」
「うん…そうだね…。ごめんね起こしちゃって…。」
「ん~…。」
僕は再びベッドに横になり、軽く目を閉じた。
「僕は君。」「君は僕の一部だから。」と話していた彼の言葉が気になり、もう一度夢を見ようと試みたが、次に目を覚ました時には朝を迎えていた。
「今日はルカくんに、魔法を使ってもらおうかな。」
「魔法…ですか?」
翌日、オズモールさんの研究室にやってきた僕は、彼女の前に用意された椅子に座って話を聞いていた。常に行動を共にしているガゼルは、昨日と同じソファーに座って僕達のやりとりを眺めている。
「そう。昨日みたいに、記録を取って人と比較しようと思うの。」
「僕…魔法は苦手で…。吸血鬼になってから、まだ属性魔法は使った事がないんです…。」
「大丈夫だよぉ~。ルカくんならきっと出来るよぉ。」
「人と一緒で吸血鬼にも適正属性があるみたいだし、出来ないのはしょうがないよ。今、自分がどのくらい魔法を使えるか、試してみるくらいの気持ちでやってくれればいいから。」
「わ、わかりました…。」
「なら、今日も外だな。」
僕達の話が終わってすぐに、彼はその場に立ち上がって出入口の扉に手をかけた。
「今日はガゼルくんも乗り気だねぇ!」
「魔法を使ってる所を見るのって面白そうだろ?魔法自体、あんま見るもんじゃないしな。」
「なら、魔法の事もあんまり知らないんだねぇ~。あたしが教えてあげようかぁ?」
「魔法を使えないのにわかる訳が…」
「あたしは吸血鬼の事勉強してるからわかるもん!少なくともガゼルくんよりは…」
2人は話をしながら、研究室を出て行ってしまった。
「あら…行っちゃったね。」
「魔法を使うのは僕なのに…!待ってよ2人共~!」
「じゃあまずは火からね。」
「は、はい…!」
建物の裏にある砂地の場所で、属性魔法を試してみる事になった。火、水、風とそれぞれの上級属性魔法は問題なく発動させる事が出来た。問題なのは、ルナも上手く使いこなせなかった光属性と、吸血鬼特有の属性である闇属性の魔法だ。
「どうした?ルカ…」
「え?」
「なんか…怖い顔してるけど。」
「そ、そんな顔してた…?」
「ルカくん大丈夫?ちょっと疲れたぁ?」
「ううん!大丈夫…。」
そっと目を閉じ、大きく息を吸い込んだ。それをゆっくり吐き出すと、魔法の詠唱を始めた。
「“血の盟約は互いの友好の証。我が血を糧とし力に変え、我が意思に従え。レイ!”」
伸ばした手から光線を放つ、光属性の魔法を発動した。しかし、手の先に集まった光がその場で弾けて消えてしまった。
「はぁ…やっぱりだめかぁ…。」
「光るだけでもすごい事だよルカくん!光は人間特有の属性だから、普通なら何も起こらないはずだよ?」
「そうなんですか?」
「なぁ。ちょっと聞いてもいいか?」
離れた所から様子を見ていたガゼルが、こちらに歩み寄って来た。
「ん?何かな?」
「ルカが詠唱してたのって、血の盟約がどうのこうの…っていう、吸血鬼が使う魔法詠唱だろ?人間が使う魔法詠唱じゃ駄目なのか?」
「魔法詠唱にはそれぞれ意味があって、人間はミラ様の力をお借りして魔法を発動するの。吸血鬼の場合は人じゃないから、ミラ様の力を借りる事は出来ないんだよ。」
「そうか…。光が人間特有の属性なら、人が使う詠唱で発動出来たりしないのかなと思っ…」
「そっか!それだよガゼル!」
「は?」
「光属性の魔法を使うなら、人が使う詠唱をしなきゃ!」
「でも…吸血鬼が人間の魔法詠唱を使って魔法を発動させたなんて、聞いた事ないよぉ?」
「やってみるよ!どうせ駄目なら試してみなきゃ!“ミラの加護を受けし者。光の精霊と契を交わし、我に力を与えよ。レイ!”」
先程同様、同じ魔法を詠唱した。伸ばした手に集まった光が、光線となって地面の土を抉った。
「やった!発動出来ました!」
「嘘…。まさか本当に発動出来るなんて…。」
「すごいよぉルカくん!」
「ガゼルがこの事に気づいてくれたおかげだよ!ありがとうガゼル!」
「お、俺は何もしてねーよ…。」
「これだと…治癒属性の魔法も人の詠唱を使えば発動出来そうだね。治癒属性は、魔法発動の確認が出来ないから…とりあえず、闇属性の魔法をやってみてくれるかな?」
「はい!」
初めて詠唱してみた闇属性の魔法は、身体が吸血鬼になっている事もあって問題なく発動する事が出来た。魔法が発動出来るかどうかばかり気にしていたせいで、魔法の威力や正確さが優れているのかどうかはわからなかった。
魔力と血を大量に消耗した事で、その日は早めに身体を休める事となった。
「おかえりルカ。」
「た、ただいま…ステラ…。」
夢の中にある森で目を覚ました僕は、小屋の前で再びステラと出会った。テーブルを挟んで向かい側に腰をおろし、目の前には以前と同じように紅茶が用意されている。
「この間は強引に帰しちゃってごめんね?ここまで歩いてくるの、大変だったでしょ?今度からは、奥の部屋にあるベッドを使ってね。」
「そ、そんな事より…!今日は話してくれるんだよね…?」
「うん。知りたい事、なんでも聞いていいよ。僕にわかる事なら話せるから。」
「えっと…。僕は…本当にステラなの?」
「そうだよ。君は僕の一部なんだ。」
「この間も一部って言ってたけど…それってどういう事?」
「僕がミラに封印されそうになった事は知ってるよね?」
「うん…。けど、ミラ様が封印したのはステラの分身だったんでしょ?」
「そう。その時は、誰も分身だって事に気づいてなかったから、あの時点でステラは死んだんだ。けど、ステラが生きていると分かったらまた人間に命を狙われる…そう思って、身体を分裂させる事にしたんだ。」
「逃げる為に…自身を分裂させたの?」
「それもあったけど…。これ以上、人間と吸血鬼を争わせない為だよ。ミラが死んだのにステラが生きてたら、人間達は吸血鬼に恨みを抱くはずだから…。」
「分裂したのは、僕とルナなの…?」
「うん。そうだよ。」
「ルナ…。」
彼女の名前を口にする度に、胸の奥が締め付けられて苦しくなる。
「ルカ。ルナは死んだんじゃない。僕の元に戻って来たんだ。」
「なら…ステラの中にいるの?」
「うん。僕の中で眠ってる。」
「そっか…。」
「そろそろ時間だね。もうすぐ日が昇るよ。」
「ありがとうステラ。…また話に来てもいいかな?」
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