5 / 21
馬車の救出
しおりを挟む
「さすがに森や山道よりも歩きやすいな」
下山し、村を目指して道無き雑木林を進んでいくと、人間が整備したであろう街道にあたった。アスファルトではないが、雑草や石ころも少なく整備されていた。車がすれ違えるくらいに広い。
「ん?この気配は、馬車か?」
村の方角から人と動物の気配が近づいてくる。スピードは馬が引く程度。おそらく馬車だ。
思っていたより文明が進んでおり安心した。
ここで待っていれば向こうから来てくれる。馬車はそれほど速いわけではない。ここでゆっくり待つとしよう。
ソウシロウは、山から休むことなく歩いてきた両足を労うようにさすって、道端の石に腰をかけた。
すると、馬車の様子が変わった。
「動物に襲われているのか」
この気配は経験している。
最初に倒した怪鳥だ。
どうやら人間が好物みたいだ。
空高くから急降下する怪鳥はソウシロウでも接近に気付きにくい。馬車では防ぎようがないだろう。
ソウシロウは駆け出した。
数百メートルほど進むと状況が視認できた。
銀色の甲冑を来た兵士風の男が大きな槍を構えて怪鳥を威嚇している。
その周りには数名が倒れている。絶体絶命のようだ。
ソウシロウは全力で接近し、紅姫を刀化して一瞬で鳥の首を両断した。
怪鳥は無言で絶命し、一呼吸遅れて血液が吹き出る。
「うわああああ」
兵士風の男からすると、いきなり鳥の首がはねられたように見えただろう。
混乱させてしまったようだ。
「いやぁ、悪い。驚かせたね」
ソウシロウが驚いている男に軽い口調で声をかける。
男はようやくソウシロウを確認すると、話しかけてきた。
「###$$%%&&」
聞いたこともない言語だ。予想していたことだが、案の定何を言っているのかわからない。
男はソウシロウの様子から言葉が伝わらないことを察したのか、納得したように頷いた。
そして、何やら呪文のように詠唱すると持っていた槍をソウシロウに向けた。
ソウシロウは少し身を強張らせたが、男に殺気がこもっていないとわかっていたため男の言動を見守った。
すると、男の槍の先から光が発現し、ソウシロウに宿った。
「これでわかるかな?」
男は改めてソウシロウに尋ねた。
「ああ、わかるよ」
ソウシロウは当たり前のように振る舞ったが、内心かなり驚いていた。
言葉が通じる。一体どういう原理だ?
「いや、すまない。助かったよ。君がヘルコンドルを倒してくれなければ全滅していた」
男は改めて頭を下げた。
「だが、仲間が殺されてしまった。」
男は絶命している仲間を悲しそうに見つめた。
「連れは残念だったな」
「ああ。だが、全滅を免れたことを喜ばなくてはいかんな」
「無理するな。心境は察するよ。ところで、この馬車はあの村から来たのか」
俯く男の手前、気になったことを全て聞くわけにもいかず、今一番必要な情報を聞くために問いかける。
「ああ、そうだ。我々は少し先のオリオール村の自警団だ。村の薬草師を乗せて、薬草を採取する道中だった。ここ数年、向こうの山にドラゴンが住み着いた影響で、ヘルコンドルが生息域を追いやられ、村の周辺に現れるようになったんだ。そのせいで山の麓の森に行くにも命がけになってしまった。」
「それにしても、君は相当強いみたいだな。旅の冒険者か?」
「ああ、そうだ。故郷を離れて修行も兼ねて旅をしている。こう見えて人と話すのは数ヶ月ぶりだ。なにぶん田舎者だから色々教えてもらえると助かるんだが。」
「そうか。だから言葉も通じなかったんだな。わかった。どうせ俺と薬草師だけではこれ以上進むのは無理だ一度体制を立て直すためにも村に戻ろう。客人として歓迎するぞ」
「悪いな。助かるよ」
男が都合よく勘違いしてくれて助かった。余計な詮索をされずに済んだ。
「おい、コーン、助かったぞ。お前も出てこいよ」
兵士風の男が馬車の中に声をかけると、ひょろっとしたオカッパの青年が顔を出した。
「ありがとうございました。あなたは命の恩人です」
よほど怖かったのか、まだ少し緊張しているのがわかる。兵士風の男とは異なり、戦闘には不向きのようだ。
「コーンよ、すまんが私はこの客人と道中話がしたい。馬車の操縦を頼む。
コーンは、はい、と頷き、すぐさま操縦席に移った。
「またヘルコンドルに襲われるとも限らん、早速出発しよう」
兵士風の男に言われ、コーンは鞭を振るった。
下山し、村を目指して道無き雑木林を進んでいくと、人間が整備したであろう街道にあたった。アスファルトではないが、雑草や石ころも少なく整備されていた。車がすれ違えるくらいに広い。
「ん?この気配は、馬車か?」
村の方角から人と動物の気配が近づいてくる。スピードは馬が引く程度。おそらく馬車だ。
思っていたより文明が進んでおり安心した。
ここで待っていれば向こうから来てくれる。馬車はそれほど速いわけではない。ここでゆっくり待つとしよう。
ソウシロウは、山から休むことなく歩いてきた両足を労うようにさすって、道端の石に腰をかけた。
すると、馬車の様子が変わった。
「動物に襲われているのか」
この気配は経験している。
最初に倒した怪鳥だ。
どうやら人間が好物みたいだ。
空高くから急降下する怪鳥はソウシロウでも接近に気付きにくい。馬車では防ぎようがないだろう。
ソウシロウは駆け出した。
数百メートルほど進むと状況が視認できた。
銀色の甲冑を来た兵士風の男が大きな槍を構えて怪鳥を威嚇している。
その周りには数名が倒れている。絶体絶命のようだ。
ソウシロウは全力で接近し、紅姫を刀化して一瞬で鳥の首を両断した。
怪鳥は無言で絶命し、一呼吸遅れて血液が吹き出る。
「うわああああ」
兵士風の男からすると、いきなり鳥の首がはねられたように見えただろう。
混乱させてしまったようだ。
「いやぁ、悪い。驚かせたね」
ソウシロウが驚いている男に軽い口調で声をかける。
男はようやくソウシロウを確認すると、話しかけてきた。
「###$$%%&&」
聞いたこともない言語だ。予想していたことだが、案の定何を言っているのかわからない。
男はソウシロウの様子から言葉が伝わらないことを察したのか、納得したように頷いた。
そして、何やら呪文のように詠唱すると持っていた槍をソウシロウに向けた。
ソウシロウは少し身を強張らせたが、男に殺気がこもっていないとわかっていたため男の言動を見守った。
すると、男の槍の先から光が発現し、ソウシロウに宿った。
「これでわかるかな?」
男は改めてソウシロウに尋ねた。
「ああ、わかるよ」
ソウシロウは当たり前のように振る舞ったが、内心かなり驚いていた。
言葉が通じる。一体どういう原理だ?
「いや、すまない。助かったよ。君がヘルコンドルを倒してくれなければ全滅していた」
男は改めて頭を下げた。
「だが、仲間が殺されてしまった。」
男は絶命している仲間を悲しそうに見つめた。
「連れは残念だったな」
「ああ。だが、全滅を免れたことを喜ばなくてはいかんな」
「無理するな。心境は察するよ。ところで、この馬車はあの村から来たのか」
俯く男の手前、気になったことを全て聞くわけにもいかず、今一番必要な情報を聞くために問いかける。
「ああ、そうだ。我々は少し先のオリオール村の自警団だ。村の薬草師を乗せて、薬草を採取する道中だった。ここ数年、向こうの山にドラゴンが住み着いた影響で、ヘルコンドルが生息域を追いやられ、村の周辺に現れるようになったんだ。そのせいで山の麓の森に行くにも命がけになってしまった。」
「それにしても、君は相当強いみたいだな。旅の冒険者か?」
「ああ、そうだ。故郷を離れて修行も兼ねて旅をしている。こう見えて人と話すのは数ヶ月ぶりだ。なにぶん田舎者だから色々教えてもらえると助かるんだが。」
「そうか。だから言葉も通じなかったんだな。わかった。どうせ俺と薬草師だけではこれ以上進むのは無理だ一度体制を立て直すためにも村に戻ろう。客人として歓迎するぞ」
「悪いな。助かるよ」
男が都合よく勘違いしてくれて助かった。余計な詮索をされずに済んだ。
「おい、コーン、助かったぞ。お前も出てこいよ」
兵士風の男が馬車の中に声をかけると、ひょろっとしたオカッパの青年が顔を出した。
「ありがとうございました。あなたは命の恩人です」
よほど怖かったのか、まだ少し緊張しているのがわかる。兵士風の男とは異なり、戦闘には不向きのようだ。
「コーンよ、すまんが私はこの客人と道中話がしたい。馬車の操縦を頼む。
コーンは、はい、と頷き、すぐさま操縦席に移った。
「またヘルコンドルに襲われるとも限らん、早速出発しよう」
兵士風の男に言われ、コーンは鞭を振るった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる