魔法の星に召喚された宇宙最強の男の冒険譚

ゆーなま

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異変の後で

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ソウシロウの朝は早い。

アリアが同行するようになってから、今までよりも早く起き、練気による鍛錬をしている。

気操術の達人であるソウシロウが修行時代から続けている日課だが、アリアが同行するようになってからその時間が短くなっていた。

そこで、アリアが目を覚ます前に自身の修練を行なうようにしたのだ。

今日は初仕事の日。簡単な仕事であるため気負うわけではないが、冒険者としての初仕事でありちょっと張り切っているのは確かだ。

暗闇の中身体を起こそうとすると、その異変に気づく。

「アリア?」

アリアが自分の上で寝ている。
しかもこの感触。
二人とも裸で。

暗闇でよく見えないがおそらく二人とも全裸である。布団スラかけていない。
間違いなく行為の後だ。

状況を認識した瞬間、ソウシロウの頭をさまざまな疑問が駆け巡る。

俺が無意識でアリアを襲った?
いや、こっちは俺の布団だ。それはない。
じゃあアリアが俺布団に潜り込んだのか?
でもなぜ気づかなかった?
いくら悪意がないとはいえ、同じ布団に潜り込まれて気づかないなんてありえない。
そもそも俺は寝ている間に行為を行なったのか?そんなことそもそも普通できるのか?
まさか、何者かの魔法か?精神攻撃か?
だとすると、アリアは無事なのか?
はっとしてソウシロウはアリアの顔を覗き込む。

「スースー」
実に気持ちよさそうに寝ている。
特段問題はなさそうだ。

「なんだこれ?全く状況が理解できないな」

とりあえず二人とも身体的異常はなさそうなので、ソウシロウはアリアを起こさないようにベッドから這い出る。

わからないことを考えてもしょうがない。ひとまずいつも通り修練を始めよう。

ソウシロウは大抵のことでは動じない。
裸のまま修練を開始する。気で視力を強化し、暗視で周囲を見渡す。

破れた衣服が散乱しているのはソウシロウのベッドだけだ。
アリアの布団は少しも乱れてない。
二人の持ち物も無事だ。
やはり夜襲ではないと確信する。

状況的にはアリアが寝ているソウシロウに行為を及んだように見える。
アリアが目を覚ましたら聞いて見るしかない。

ソウシロウはそこで思考をとめ、修練に集中することにした。

※※※

朝日が登り、アリアが目を覚ます。

彼女がゆっくり身体を起こすと準備を整えたソウシロウの姿が目に入った。

「おはようございます。ソウシロウさん。」

「ああ、おはよう。よく眠れたか?」

「はい。すごくスッキリしています。」

「そうか。それは何よりだ。じゃあ、そろそろ服を着たらどうだ?」

「えっ、あっ」

アリアは自分が全裸でソウシロウの布団で寝ているという状況を見て、昨日の自分の行為を思い出した。

「じゃあ、アリア。どういうことか聞かせてもらおうか?」

真っ白なシーツを自分の体に巻きつけて耳まで真っ赤に染めているアリアにソウシロウが尋ねる。

「ううっ、すみませんでした。つい魔がさしてしまいました。」

なんか軽薄な男みたいなこと言ってるよ。モジモジしてるし、なんか可愛いな。

「寝ている俺にアリアは一体何をしたんだろうな?」

「ううっ。すみません。あの、そこまで大したことはしていない、と思います。」

「ほぉ。寝込みを襲っておいて大したことはしていないと?」

「だって、ソウシロウさんがいけないんですよ!夜伽は奴隷の役目だというのに、隷従契約を結んでからも今までと全く変わらないし、手すら繋いでくれないじゃないですか。おかしいですよ、そんなの。」

ソウシロウの追及に、アリアは観念したのか顔を両手で覆いかくしながら無茶苦茶なことを叫ぶ。

「昼夜問わずしっかり主人に奉仕するのが奴隷の勤めなんです!ソウシロウさんも当然それくらい知ってますよね?」

まさかの逆ギレだ。1週間程度の付き合いだが、ちょっと猪突猛進な性格をしていることは気がついていた。だが、まさかここまでとは。

「まあ、奴隷だからな。でも俺たちはお試しなんだからさ、それにアリアを奴隷商から助けた俺が襲うわけにはいかないだろう。だから部屋も分けようとしたのに。俺だってアリアみたいな子とずっと一緒にいて何も思わないわけないだろう」

そう、ソウシロウも我慢していた。特に隷従契約を結んでから日増しにアリアを押し倒したいような衝動に駆られていた。ただ、「気」を落ち着かせて踏みとどまっていたのだ。

「えっ!?なんだそうだったんですか・・・それならそうと早く言ってくださいよ。私はソウシロウさんの奴隷なんだから、何をされても構わないって言ったじゃないですか。というか、私の方が我慢できなくて襲っちゃったじゃないですか・・・。」

怒ったり照れたり落ち込んだり、アリアは百面相を繰り出しているがまあ総じて楽しそうみたいだ。
そんなアリアを見てソウシロウも少し安心する。
森で助けた直後は本当に幼い子供のように見えたし、オリオール村の奴らにも人格を保障されていた手前、アリアを女性として見るのに罪悪感があった。

でもまあ、お試しとはいえ奴隷と主人という間柄になったわけだし、何もしないもの逆に不自然かも知れない。

ソウシロウは子供の頃からずっと修行に明け暮れていたため、女性と付き合ったことがない。
父の元を離れて賞金稼ぎとなった後は、女性と接する機会はあったが、仕事の範疇から外れたことはなく、色恋関係に発展したことはなかった。
つまり、ソウシロウは「武術バカ」であり、女性との距離感は全くわかっていない。

「わかった。俺が無理矢理押し倒したとかそういうことじゃなかったならそれでいい。とりあえず、服を着てくれ。目のやり場に困る。」

「あっはい、そうでした。それにしても、ソウシロウさんは意外とうぶだったんですね。初めて年長者として威厳を取り戻しましたよ。」

脱ぎ散らかした自分の服を拾いながらアリアが微笑む。

「・・・アリアは意外と助平だったんだな。」

「うっ、そんなんじゃないんですよ。こんなこと私だって初めてなんです。自分を抑えられなかったことなんて今まではなかったんですよ」

アリアの発言にソウシロウも内心同意していた。
襲われて気づくのもおかしな話だが、確かに隷従契約を結んでからアリアを女性として意識し始めている。
アリア自身魅力的ではあるが、それだけではない。
気操術の達人であるソウシロウだから普段と変わらないように平静を装えたのだろう。
もしアリアも同様の感覚に襲われていたといたら欲求を抑えられなくなったのも理解できる。
うーん、やっぱり固有スキルのせいかもな。隷従契約は解除したほうがいいかもしれない。

「ほら、ソウシロウさん!朝ごはんに遅れちゃいますよ。」

ソウシロウが考えている間に、アリアは意外にもテキパキと出発準備を終えていた。

「ああ。わかったよ。」

そうだな。あれこれ考えるのは後にしよう。若い男女が一晩を共にしたわけだし、別にそこまでおかしなことではない。それに本人がいいと言ってるんだからまあいいだろう。

ソウシロウは宿の階段を軽快に降りていく少女の後を追って部屋から出る。
誰もいない部屋にはきちんと畳まれた真っ白なシーツに朝日が輝いていた。


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