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第一章 ミズガルズの層
第二話 弟子になろう ~ワンチャン無職最強かもな件~
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「イズンよ。あんたが無職のアルスね」
背中をつついてきたロリっ子は偉そうに言った。
小学生高学年か中学生ぐらいか。
赤いローブに杖となんだか特別な魔道士感はある。
ちんまりとしているが、なんだか態度は大きい。
つーか、無職のアルスって無職は余計だ。
周囲の声が聞こえてくる。
「あれが大魔導師イズンだって」
「あんな小さいのか」
「まだ子供じゃないのか?」
みなイズンについて驚いているようだった。
大魔導師イズンという名前は知れ渡っているが実際の人物に会うのは初めてのようだ。
だがしかし、数多くのアニメを観てきたアニメマイスターの俺にしてみれば、
ロリっこ魔道士の存在は想定の範囲内だ。
ロリ・ジト目・偉そう。
三拍子そろった彼女はパーフェクトだ。
ぜひ俺の嫁に欲しい。
なんて言うんだろうな。ロリ好きなら。
あいにく俺はセクシー美女派で、乳よりも尻派だ。
「何をひとりでブツブツ言ってるのさ」
思わず乳だの尻だの言葉に出てたようだ。
「す、すいません」
ジト目がさらにジトッと湿ったようにつきささる。
「まず色々とはじめる前に後始末しないとね」
そう言うとイズンは右手のリンゴをゴウリキに投げて渡した。
「それ食べなさい」
「は、はあ」
弱ったゴウリキがしぶしぶリンゴを食べるといきなり立ち上がって叫んだ。
「うおおおお! 力が湧いてくる。」
「大げさだわね。回復とちょっとした強化だけよ。アナタもこれにこりたら下手にケンカ売るのはやめなさい。」
「ありがとうございました! 失礼します!」
ゴウリキは礼を言うとホソカワと一緒に去っていった。
それにしても不思議だ。
リンゴが何かしらの回復アイテムなのか能力なのかはわかるが、イズンの右手には同じ赤いリンゴが復活している。
これも何かの職業の能力か魔法なのだろうか?
「リバイバル!」
杖を壊れた壁に向けて、イズンが言葉を発した。
するとみるみる壊れた壁が映像の逆再生のようにして元に戻った。
見た目はロリっこなのにすげえ。
無詠唱で時間逆光のような魔法も使えるのか。
無職の俺なんかには、すごすぎる先生じゃないのか?
相手がロリっこでも能力で評価出来る俺もなかなか偉いがな。
「さて、アルス。ここでは人も多いので街の外へ移動するわよ。まずは最初にアナタの実力を確認してそれから指導方針を決めるわ」
---
転移魔法だろうか?
一瞬にしてあたり一体見渡す限り草原のような場所に来た。
「まず、アナタ。職業とは何か? わかる?」
あらためて聞かれると答えるのが難しいな。
「何かの特技の才能があるってことですかね?」
「まあ、簡単に言うとそういうことね」
「では、その特技の才能とは?」
例えば足が速いとかなら肉体的な強さとかだが、この世界ではどうなんだ?
「うーん、難しいですね」
「そうね。アナタろくにギルドの座学講習も受けて無いみたいだしイチから説明したげるわ」
「職業とは、RP(アールピー)の使い方の違いよ」
へーRP(アールピー)の使い方の違いか。
って、RPって何だよ。
HPやMPならわかるがRPなんて聞いたことねーぞ。
「RPとは生命活動、肉体的活動、魔法活動、全ての活動に必要なエネルギーよ。
明確に数値で表せて0になったら戦闘不能。
0の状態に肉体の物理的な破壊など発生したら二度と復活出来ない死亡。
この世界はRPで成り立っていると言っても過言では無いわさ」
なんだ戦闘力のことか。
それならそうと早く言ってくれればいいのに。
さしずめライフポイントというところか? ライフの頭文字はRじゃなかった気がするが、まあ、いいや。
「ところで先生のRPはいくつなんでしょうか?」
「アタシのRPは54万よ」
「ええ!」
「あら、驚いたようね。数字だけ聞いてアタシの凄さが判断出来るとはアナタの感覚はなかなかいいわよ」
いや、違う先生。俺が驚いたのはRPが宇宙の帝王と同じ数値だったからだ。
「ちなみに武器を持った村人は5ぐらいですかね?」
「あら、あなたセンスあるわよ。所持する武器によって違うけど3~5ぐらいね」
「やっぱり……」
「ん? 何か?」
「いえ、なんでもありません」
大魔導師と言えども転生前の話はわからないだろう。
「さて、ここでもう一度考えてみて。
アタシの職業は大魔導師。
大魔導師というのは評判みたいなもので実際は魔法使いなんだけども。
RPを別な形にしたり、放出したりするのが得意ってことよ。
では、無職のアナタは?」
「何も特技無しってことですかね……」
わかっては居たが、自分から言わされると落ち込んでしまう。
何の特技も無しの無職……。
「逆を言えば何も不得意が無いってことよ。
可能性の塊ってこと」
イズンは真剣な表情だ。
「物は言いよう」とはこのことだな。
無職がリアルでそんなこと言ったら厨二病扱いされて終わりだ。
「アナタのRP。ギルドでは測定不能だったようだけど、
さっきぶっ飛ばした奴見る限り相当な数値よ。
まあ、アタシには劣るかもしれないけど」
「え? そうなんですか?」
ゴウリキに殴られても本当に痛かったこと無いし、もしかしたらワンチャン無職で最強の可能性あると思えてきた。
「ま、言葉より実践でいくわよ。最悪RP0になってもアタシが居るから安心しなさい」
え? 突然何を言い出すんだ?
「ギャザー!」
イズンの杖が光ったと思った瞬間、草原の彼方から何かがこちらへ走って来るのが見えた。
「モンスターを集める呪文よ。このへんなら動物系のモンスターで特殊攻撃は使ってこないから安心しなさい」
いや、安心しなさいって戦闘はおろかケンカすらまともにしたことないのに。
ゲームの戦闘はボタン押すだけだし経験が何の役にもたたない。
みるみる迫ってくる影が大きくなってくる。
「ク、クマああああああああああ!」
とんでもない。大きさのクマが突進して来てるのが見えた。
もう100メートルほどの所まで来ているが大きさは軽トラぐらいはあるはずだ。
デカイ。
金属のようなシルバーの光沢を放ち『ギンカブト』の異名を持つぐらいのすごみがある。
「うわあああああああああ!」
もう目の前までせまっていた。
とにかくデカイし、何やら右手の爪でこちらを殴ろうとしてきているのがわかる。
全てがゆっくりに見える。
ゆっくり進むコマ割りの現実に過去の思い出もよみがえってくる。
これが走馬灯と言うやつか。
終わったな。
ゆっくりと目を閉じ死を悟った。
「ん?」
背中を棒か何かでツンツンとつつかれた。
いや、杖でつつかれてるな。
ゆっくりと目をあけるとイズンの呆れた顔が眼の前にあった。
「アンタねえ。男でしょ。なんでもいいから殴るなり、蹴るなりしなさいよ」
「いや、無理ですよ。なんですかあの巨大なクマはギンカブトですか? 」
「何よギンカブトって、ただの動物系モンスターで肉も美味しいクマちゃんよ」
ところであのクマはどこへ行ったんだ?
ふと上を見ると思わず叫んだ。
「のわああああああああ!」
「うるさいわねえ。アタシの魔法で拘束してるから大丈夫よ。このまま締めて肉屋へ転送しとくわ」
俺の真上、空中に浮かんでいたギンカブトは、一瞬にして消えてしまった。
ああ、ギンカブトよ。永遠に……。
「次はもっと弱いモンスター召喚するから待ってなさい」
「ギャザー!」
遠くから黒いネズミがこちらへ近づいて来るのがわかった。
大きさもネズミにしては大きいが猫ぐらい。
ネズミなら余裕だ。
さすがにイズンは俺をなめすぎだ。
犬は無理でも猫ぐらいまでならいけるはずだ。
ネズミが相手では少々ものたりない。
「あれ? あの黒いネズミは」
イズンが不穏な表情でつぶやいた。
「今更弱いの召喚しすぎたとか無しですからね!」
黒いネズミはいつの間にか目の前にちょこんとたたずんでいる。
かわいいものだ。
これからその生命を殺めてしまうのが心が痛い。
せめて後から美味しく頂こう。
「待ちなさい!」
イズンが俺の前に立ちふさがったかと思った瞬間、
黒いネズミが黒い稲妻を放ってきた。
「きゃあああああああああ!」
眼の前のイズンが黒い稲妻に拘束されると強烈な爆発が起こった。
「イズン師匠!」
「逃げて……あれはブラックマウス……この世界の暴走した魔獣の一人『魔獣マウス』。
この世界の最強の一角RP100万を越える化物よ……」
「師匠とは言え女性を置いて逃げるわけにはいきません!」
思わずカッコつけて言ってしまった。
こんなロリっこ放り出して逃げてる所見られたら生き残っても後々何と言われるかわかったもんじゃない。
つーか、小さいしワンチャン踏み潰せばいけるんじゃないか?
そう思ってイズンの前に出ると黒いネズミが一気に変容した。
ギンカブトよりデカイ真っ黒な甲冑を纏った人型のそれは魔獣と言うより魔王だ。
さきほどまでのネズミの姿と違って確実に強そうだ。
もうね。
予想はしてたんですよ。
俺が街の外に出たら噂のレアモンスターのはずの暴走した魔獣に会っちゃうなんてね。
俺の異世界ライフも短かったな……。
「な、なんだ? あの黒い稲妻の塊は?」
いきなり全力かよ……。
魔獣マウスの頭上で黒い稲妻の塊がどんどん大きくなっている。
おいおい、本気モードで全力とか、何考えてるんだ。
俺はただの無職だぞ。
ひと思いにやってくれるのか?
無職がろりっ子をかばう勇気にたいする一瞬で消し去るというせめてもの優しさか?
ゆっくりと巨大な稲妻の塊がこちらへと向かってくる。
全てがゆっくりに見える。
ゆっくり進むコマ割りの現実に過去の思い出もよみがえってくる。
今度こそ、これが走馬灯と言うやつか。
終わったな。
巨大な黒い稲妻が体にまとわりつき、瞬間、爆発した。
「痛ッ!」
あれ? ゴウリキに殴られた時と同じぐらいの痛みしかない。
よくわからないが、最後に殴るだけ殴ってみよう。
一矢報いたみたいな感じで誰かに伝説として語ってもらえるかもしれない。
思い切って殴りかかってみた。
その瞬間。
突き出した拳から遅れて音がしたと思ったら強烈な破裂音が空気を振動させた。
魔獣マウスの上半身が跡形も無く吹っ飛んだ。
遅れて更に強烈な炸裂音が遠方から轟いたと思ったら、
魔獣マウスの後方、遥か先に見えていた山が消し飛んだ。
背中をつついてきたロリっ子は偉そうに言った。
小学生高学年か中学生ぐらいか。
赤いローブに杖となんだか特別な魔道士感はある。
ちんまりとしているが、なんだか態度は大きい。
つーか、無職のアルスって無職は余計だ。
周囲の声が聞こえてくる。
「あれが大魔導師イズンだって」
「あんな小さいのか」
「まだ子供じゃないのか?」
みなイズンについて驚いているようだった。
大魔導師イズンという名前は知れ渡っているが実際の人物に会うのは初めてのようだ。
だがしかし、数多くのアニメを観てきたアニメマイスターの俺にしてみれば、
ロリっこ魔道士の存在は想定の範囲内だ。
ロリ・ジト目・偉そう。
三拍子そろった彼女はパーフェクトだ。
ぜひ俺の嫁に欲しい。
なんて言うんだろうな。ロリ好きなら。
あいにく俺はセクシー美女派で、乳よりも尻派だ。
「何をひとりでブツブツ言ってるのさ」
思わず乳だの尻だの言葉に出てたようだ。
「す、すいません」
ジト目がさらにジトッと湿ったようにつきささる。
「まず色々とはじめる前に後始末しないとね」
そう言うとイズンは右手のリンゴをゴウリキに投げて渡した。
「それ食べなさい」
「は、はあ」
弱ったゴウリキがしぶしぶリンゴを食べるといきなり立ち上がって叫んだ。
「うおおおお! 力が湧いてくる。」
「大げさだわね。回復とちょっとした強化だけよ。アナタもこれにこりたら下手にケンカ売るのはやめなさい。」
「ありがとうございました! 失礼します!」
ゴウリキは礼を言うとホソカワと一緒に去っていった。
それにしても不思議だ。
リンゴが何かしらの回復アイテムなのか能力なのかはわかるが、イズンの右手には同じ赤いリンゴが復活している。
これも何かの職業の能力か魔法なのだろうか?
「リバイバル!」
杖を壊れた壁に向けて、イズンが言葉を発した。
するとみるみる壊れた壁が映像の逆再生のようにして元に戻った。
見た目はロリっこなのにすげえ。
無詠唱で時間逆光のような魔法も使えるのか。
無職の俺なんかには、すごすぎる先生じゃないのか?
相手がロリっこでも能力で評価出来る俺もなかなか偉いがな。
「さて、アルス。ここでは人も多いので街の外へ移動するわよ。まずは最初にアナタの実力を確認してそれから指導方針を決めるわ」
---
転移魔法だろうか?
一瞬にしてあたり一体見渡す限り草原のような場所に来た。
「まず、アナタ。職業とは何か? わかる?」
あらためて聞かれると答えるのが難しいな。
「何かの特技の才能があるってことですかね?」
「まあ、簡単に言うとそういうことね」
「では、その特技の才能とは?」
例えば足が速いとかなら肉体的な強さとかだが、この世界ではどうなんだ?
「うーん、難しいですね」
「そうね。アナタろくにギルドの座学講習も受けて無いみたいだしイチから説明したげるわ」
「職業とは、RP(アールピー)の使い方の違いよ」
へーRP(アールピー)の使い方の違いか。
って、RPって何だよ。
HPやMPならわかるがRPなんて聞いたことねーぞ。
「RPとは生命活動、肉体的活動、魔法活動、全ての活動に必要なエネルギーよ。
明確に数値で表せて0になったら戦闘不能。
0の状態に肉体の物理的な破壊など発生したら二度と復活出来ない死亡。
この世界はRPで成り立っていると言っても過言では無いわさ」
なんだ戦闘力のことか。
それならそうと早く言ってくれればいいのに。
さしずめライフポイントというところか? ライフの頭文字はRじゃなかった気がするが、まあ、いいや。
「ところで先生のRPはいくつなんでしょうか?」
「アタシのRPは54万よ」
「ええ!」
「あら、驚いたようね。数字だけ聞いてアタシの凄さが判断出来るとはアナタの感覚はなかなかいいわよ」
いや、違う先生。俺が驚いたのはRPが宇宙の帝王と同じ数値だったからだ。
「ちなみに武器を持った村人は5ぐらいですかね?」
「あら、あなたセンスあるわよ。所持する武器によって違うけど3~5ぐらいね」
「やっぱり……」
「ん? 何か?」
「いえ、なんでもありません」
大魔導師と言えども転生前の話はわからないだろう。
「さて、ここでもう一度考えてみて。
アタシの職業は大魔導師。
大魔導師というのは評判みたいなもので実際は魔法使いなんだけども。
RPを別な形にしたり、放出したりするのが得意ってことよ。
では、無職のアナタは?」
「何も特技無しってことですかね……」
わかっては居たが、自分から言わされると落ち込んでしまう。
何の特技も無しの無職……。
「逆を言えば何も不得意が無いってことよ。
可能性の塊ってこと」
イズンは真剣な表情だ。
「物は言いよう」とはこのことだな。
無職がリアルでそんなこと言ったら厨二病扱いされて終わりだ。
「アナタのRP。ギルドでは測定不能だったようだけど、
さっきぶっ飛ばした奴見る限り相当な数値よ。
まあ、アタシには劣るかもしれないけど」
「え? そうなんですか?」
ゴウリキに殴られても本当に痛かったこと無いし、もしかしたらワンチャン無職で最強の可能性あると思えてきた。
「ま、言葉より実践でいくわよ。最悪RP0になってもアタシが居るから安心しなさい」
え? 突然何を言い出すんだ?
「ギャザー!」
イズンの杖が光ったと思った瞬間、草原の彼方から何かがこちらへ走って来るのが見えた。
「モンスターを集める呪文よ。このへんなら動物系のモンスターで特殊攻撃は使ってこないから安心しなさい」
いや、安心しなさいって戦闘はおろかケンカすらまともにしたことないのに。
ゲームの戦闘はボタン押すだけだし経験が何の役にもたたない。
みるみる迫ってくる影が大きくなってくる。
「ク、クマああああああああああ!」
とんでもない。大きさのクマが突進して来てるのが見えた。
もう100メートルほどの所まで来ているが大きさは軽トラぐらいはあるはずだ。
デカイ。
金属のようなシルバーの光沢を放ち『ギンカブト』の異名を持つぐらいのすごみがある。
「うわあああああああああ!」
もう目の前までせまっていた。
とにかくデカイし、何やら右手の爪でこちらを殴ろうとしてきているのがわかる。
全てがゆっくりに見える。
ゆっくり進むコマ割りの現実に過去の思い出もよみがえってくる。
これが走馬灯と言うやつか。
終わったな。
ゆっくりと目を閉じ死を悟った。
「ん?」
背中を棒か何かでツンツンとつつかれた。
いや、杖でつつかれてるな。
ゆっくりと目をあけるとイズンの呆れた顔が眼の前にあった。
「アンタねえ。男でしょ。なんでもいいから殴るなり、蹴るなりしなさいよ」
「いや、無理ですよ。なんですかあの巨大なクマはギンカブトですか? 」
「何よギンカブトって、ただの動物系モンスターで肉も美味しいクマちゃんよ」
ところであのクマはどこへ行ったんだ?
ふと上を見ると思わず叫んだ。
「のわああああああああ!」
「うるさいわねえ。アタシの魔法で拘束してるから大丈夫よ。このまま締めて肉屋へ転送しとくわ」
俺の真上、空中に浮かんでいたギンカブトは、一瞬にして消えてしまった。
ああ、ギンカブトよ。永遠に……。
「次はもっと弱いモンスター召喚するから待ってなさい」
「ギャザー!」
遠くから黒いネズミがこちらへ近づいて来るのがわかった。
大きさもネズミにしては大きいが猫ぐらい。
ネズミなら余裕だ。
さすがにイズンは俺をなめすぎだ。
犬は無理でも猫ぐらいまでならいけるはずだ。
ネズミが相手では少々ものたりない。
「あれ? あの黒いネズミは」
イズンが不穏な表情でつぶやいた。
「今更弱いの召喚しすぎたとか無しですからね!」
黒いネズミはいつの間にか目の前にちょこんとたたずんでいる。
かわいいものだ。
これからその生命を殺めてしまうのが心が痛い。
せめて後から美味しく頂こう。
「待ちなさい!」
イズンが俺の前に立ちふさがったかと思った瞬間、
黒いネズミが黒い稲妻を放ってきた。
「きゃあああああああああ!」
眼の前のイズンが黒い稲妻に拘束されると強烈な爆発が起こった。
「イズン師匠!」
「逃げて……あれはブラックマウス……この世界の暴走した魔獣の一人『魔獣マウス』。
この世界の最強の一角RP100万を越える化物よ……」
「師匠とは言え女性を置いて逃げるわけにはいきません!」
思わずカッコつけて言ってしまった。
こんなロリっこ放り出して逃げてる所見られたら生き残っても後々何と言われるかわかったもんじゃない。
つーか、小さいしワンチャン踏み潰せばいけるんじゃないか?
そう思ってイズンの前に出ると黒いネズミが一気に変容した。
ギンカブトよりデカイ真っ黒な甲冑を纏った人型のそれは魔獣と言うより魔王だ。
さきほどまでのネズミの姿と違って確実に強そうだ。
もうね。
予想はしてたんですよ。
俺が街の外に出たら噂のレアモンスターのはずの暴走した魔獣に会っちゃうなんてね。
俺の異世界ライフも短かったな……。
「な、なんだ? あの黒い稲妻の塊は?」
いきなり全力かよ……。
魔獣マウスの頭上で黒い稲妻の塊がどんどん大きくなっている。
おいおい、本気モードで全力とか、何考えてるんだ。
俺はただの無職だぞ。
ひと思いにやってくれるのか?
無職がろりっ子をかばう勇気にたいする一瞬で消し去るというせめてもの優しさか?
ゆっくりと巨大な稲妻の塊がこちらへと向かってくる。
全てがゆっくりに見える。
ゆっくり進むコマ割りの現実に過去の思い出もよみがえってくる。
今度こそ、これが走馬灯と言うやつか。
終わったな。
巨大な黒い稲妻が体にまとわりつき、瞬間、爆発した。
「痛ッ!」
あれ? ゴウリキに殴られた時と同じぐらいの痛みしかない。
よくわからないが、最後に殴るだけ殴ってみよう。
一矢報いたみたいな感じで誰かに伝説として語ってもらえるかもしれない。
思い切って殴りかかってみた。
その瞬間。
突き出した拳から遅れて音がしたと思ったら強烈な破裂音が空気を振動させた。
魔獣マウスの上半身が跡形も無く吹っ飛んだ。
遅れて更に強烈な炸裂音が遠方から轟いたと思ったら、
魔獣マウスの後方、遥か先に見えていた山が消し飛んだ。
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