無職無双 ~現実世界で無職になって絶望。異世界転生しても無職のままで絶望。だが、無職こそ最強の世界だった無職転生物語~

ユニ

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第一章 ミズガルズの層

第五話 なまいき女とお近づきになろう  ~アースガルズの城壁の件~

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 180はあろうかという長身で赤色のショートカットに拳闘士のような格好。
 コブシには殴ったら岩をも粉砕しそうなナックルを装備している。
 胸の部分は大胆にあいていて、胸の谷間というよりメロンのようなおっぱいそのものが露わになっている。造形の深い顔にパーフェクトなボディーで完璧な美女だ。

「ワタシの名前は、アイラ・エリザベート。イギリス王家の正当な継承者よ」

 見たことがあると思ったら現実世界の王女様だ。
 数少ない俺が直接見たことある有名人の1人だ。
 日本に来日してパレードしていたのを偶然見かけた。
 テレビのニュース番組でも良く見たし間違いない。

「ちょっと。アナタ、お子様なんて失礼じゃない?」

 イズン師匠、ちょっと怒っている。お子様扱いされるのは嫌いなんだろうか?
 そう言えばイズン師匠は何歳なんだろう?
 よくある設定だと大魔道士だし80歳とかエルフ族とかなら800歳か?
 見た目は永遠の17歳というやつで。

「お子様にお子様と言って何が悪いの?
 ワタシは18歳。あなたはせいぜい12,3歳ってところでしょ」
「18歳? アナタなんてアタシから見たら子供どころかバクテリアよ」
「へー。じゃあ、お嬢さんはおいくつ?」
「アナタ達の尺度に合わせて教えてあげるとざっと12億歳ほどよ」

 ちょっ! 師匠! いくら悔しいからって12億は無いでしょ。
 1億と2千年前の10倍じゃないですか!

「あーはっはっは! 面白いわね。笑わせてもらったわよ。何かあったら守ってあげるわ。じゃあね」

 アイラは一方的に早口でしゃべって去っていった。
 まったく相手にもされてない。
 それはそうだろう。

「ぐぬぬぬぬ」

 イズン師匠が悔しがっている。

「師匠、さすがに12億は盛りすぎですよ。せめて800歳ぐらいにしときましょうよ」
「何を言ってるの! 盛ってなんか無いわよ。
 あの女許せん。
 だいたい赤い髪色がアタシの服やリンゴの色と微妙に被ってるし。ぐぬぬぬ」
「はいはい、わかりましたよ。俺も目立ったらいけないし師匠だって有名人なんだから大人しくしてましょうよ」
「まさか、アナタにそんなこと言われるとはね。仕方ないわ。我慢しましょう。
 ぐぬぬぬぬ。
 それにしてもあのけしからんオッパイ……」
「し、師匠。そこですか。ツルペタなの気にしてるんですね……」
「何か言った!?」
「いえ、何も……」

 師匠が本当に12億歳なら俺たち見た目は子供、ババアとオッサンのコンビってことだ。
 そんな異世界パーティーは嫌だ。

「敵襲!」

 大きな叫び声と共に危険を知らせる鐘の音が鳴り響いた。
 甲板を見渡すと船の先頭に5体の半魚人が居た。
 人型だが体中魚のようなウロコで覆われている。

「あれは『ギルマン』よ。RPの平均は830前後。この世界では最弱の部類よ。
 アタシ達が手を出さなくともこの船の他の者達で十分でしょう」

 イズン師匠がそう言った側から1体の半魚人ギルマンがオレ目掛けてつっこんできた。
 動きはスローモーションのように見える。
 遅い。
 攻撃を受けてもたいして痛くもないだろうし、逆にここまで弱い相手だと力の加減が難しい。
 砕け散らせてしまったら甲板が生臭くなりそうだし、せっかくの魔物だ戦利品がほしい。
 
「大丈夫? 少年!」

 俺があれこれ考えているうちにアイラが襲ってきたギルマンの動きを止めた。
 そのままストレートパンチをギルマンへ叩き込んだと思った瞬間。
 殴りつけた箇所を起点に巨大な爆発が起こりギルマンが砕け散った。
 とんでも無い破壊力だ。

「へー。口だけじゃなくやるわね」

 イズン師匠が感心している。

「拳のインパクトの瞬間だけ炎の魔法を使う高等技術よ。
 あの破壊力は瞬間的にRP8000以上出ているわ。
 アルスもこれぐらいRPをコントロール出来るようになりなさい」

 さすが元の現実世界でも有名な人物だけあってこの異世界でも才能がある。

「少年にお子様。ケガは無い?」

 アイラは誇らしげに胸をはって聞いてきた。
 はった胸のメロンのようなおっぱいが強調されている。

「ぐぬぬぬ。またもや。アタシの前で」
「師匠! おさえてください。完全に個人的なコンプレックスの問題でしょ」
「ぐぬぬぬ」

 イズン師匠。子供みたいでかわいい所がある。
 なんて思ってしまった。

「まーまー。師匠の強さは俺も知ってますし抑えてください」

 そう言ってなだめていると、イズン師匠の表情が急に真剣になった。

「来たわよ。アタシ達の出番ね」

 甲板を見るとギルマンより二周りは大きい手にモリを持った半魚人がいた。

「この海の強敵『サハギン』よ。RPは12000前後。
 この船の者では歯がたたないわ。
 あのアイラって子もね」

イズン師匠がそう言った瞬間、アイラが叫びサハギンに突進していた。

「歯ごたえがありそうな奴ね! たああ!」

 先ほどと同じ様に爆発が起きサハギンは煙に包まれた。

「師匠。倒したんじゃないですか?」
「ダメね」

 煙が霧散するとサハギンの姿が現れた。
 アイラが殴った箇所が傷つき焼けているものの効いていないようだ。
 むしろ、あの表情、相当怒っている。
 サハギンはアイラへ向けてモリを振り下ろした。
 攻撃が通じなかったことにあっけにとられアイラの動きが固まっている。

「バリアード!」

 イズン師匠が唱えるとアイラのまわりを白い光の幕がつつみこんだ。
 サハギンの攻撃が途中で止まっている。
 アイラは驚きの目でイズン師匠をとらえている。

「高等防御魔法。RPの変形、遠隔、離脱操作を同時に出来てはじめて可能な魔法。あ、あなた何者? 」

 アイラはイズン師匠のすごさがわかったようだ。

「言ったでしょ。アンタより年上だって。アルスやってしまいなさい」
「わかりました!」

 ここは師匠に恥をかかせてはいけない。
 常識的な範囲の力で繊細に普通に敵を倒す。
 RPの爆発をおさえ拳にまとうRPだけ極薄のイメージで。

「サハギンの顔面をソフトタッチ!」

 サハギンは5メートルほど後方にふっとび顔面は半分無くなっていた。

「し、師匠。すいません。やりすぎたでしょうか?」
「上出来よ。よくこの数日でここまでコントロールできるようになったわね」

 甲板の魔物は全て倒し船にはまた静寂が訪れた。


---


「先程は失礼しました。ぜひ、お名前を聞かせて頂けないでしょうか?」

 アイラは神妙な面持ちで聞いてきた。

「アタシはイズン。そして、こっちが弟子のアルスよ」
「イ、イズン!? あの高名な大魔道士イズン様ですか!?」
「ま、高名かどうかはわからないけど大魔道士イズンとは呼ばれてるわね」
「し、失礼しました! イズン様とも知らず。お子様などと!」

 アイラは深々と頭を下げた。
 が、長身なアイラが頭をさげたら、ちょうどメロンのようなおっぱいがイズン師匠の頭に乗っかった。

「むむむむむ。アナタ! アタシがペチャパイだからとわざとね! わざとやってるのね!」
「いえ、そんな決して」

 しばらくすると船の目の前に巨大な壁が現れた。
 壁は遥か遠くまで続き天高く伸び雲の上まで続いている。

「師匠! 見てください。これがあの師匠の言っていた場所ですか?」
「そうよ。アースガルズの城壁。
 この世界は大陸の外には海が広がり、そしてその海はこのアースガルズの城壁で囲まれているの」

 この異世界も地球と同じような惑星で丸いものだと思いこんでいた。
 今、俺が居る場所は壁で仕切られた平坦な世界だったんだ。
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