無職無双 ~現実世界で無職になって絶望。異世界転生しても無職のままで絶望。だが、無職こそ最強の世界だった無職転生物語~

ユニ

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第一章 ミズガルズの層

第十六話 武器を手に入れよう 前編  ~神の鍛冶屋ロキの件~

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 40層『タラスク』を撃破し全員がRP自体の底上げをすることが出来た。
 RPとは意思の強さであり、その意思が大きければ大きいほどRPは大きくなる。
 なぜ、俺だけがずば抜けてRPが大きいかはわからない。意思はどちらかと言うと弱いほうなのに。

 50層『スフィンクス』を撃破し知能をあげることに成功した。
 ここで言う知能とは単純な思考のスピードであり、ひらめきや発想に影響するものでは無い。
 知能とはRPによる脳細胞の活動の活性化によるものだろうか?
 これはイズン師匠にもわかっておらず、俺もその原理の適当な説明は思いつかない。

 60層『ジン』を撃破し運勢とはRPの時間的な流れであるとわかった。
 RPとは意思であり、その意思を強く持つ事で時間経過と共にイメージする結果へと到達するよう周囲へ影響を与える。
 
 そして目の前には70層フロアボス『アブラクサス』が立ちはだかっている。
 頭部がニワトリ、ムチと盾を持っている。
 緑色の両足は良く見ると蛇だ。

「今回はアルス。あなた1人で全力で戦いなさい」
「わかりました!
 俺もだいぶRPについてわかってきましたし、コントロールも完璧です。
 でも、本当に思いっきりやっても大丈夫ですか?」
「ええ、思いっきりやりなさい」
「みんな大船に乗った気で見ててくれ!」
「はいニャ!」
「アルス殿、かたじけない。今回はお任せした」
「アルス、頑張って!」

 全力で戦うのは久しぶりじゃないだろうか?
 ディシデリーズの塔の攻略に入ってからは主にサポートばかりだった。
 その前も力のコントロールに自信が無く、それに二度と猫のフォレストを亡くした時のような事が無いように慎重だった。
 しかし、あれ依頼ずっと訓練しこの塔でも学習してきた。
 今ならやれるはずだ。

 「よし! いくぞ!」

 ダッシュした勢いのまま思いっきりアブラクサスに右ストレートをお見舞いした。
 強烈な衝撃音がフロア全体に広がった。
 よし、一発で粉々に……。

 なっていない!

 アブラクサスは左手の盾で俺の拳をガードしていた。
 
「アルス! そいつのRPは6万。あなたの100分の1ほどだわさ。
 ただし、そいつは攻撃してきた箇所にRPの全てで防御してくるわ」

 イズン師匠、こうなる事をわかっていて俺に戦わせたのか。
 やっぱり一筋縄ではいかない。
 とにかく力の限りやるしかない。
 スピードを乗せて拳を繰り出す。
 一発でダメなら何発でも。
 限界までやるしかない。


---


 およそ100発ほど全力で叩き込んだだろうか……。

「ハアッ! ハアッ!」

 息も苦しくなってきた。
 こんなに疲れるなんて、この世界に来てはじめてじゃないだろうか?
 アブラクサスは平然と立っている。
 盾には傷1つ入っていない。
 俺の方が100倍は強いはずなのに、全く歯が立たないなんて……。

「アルス!
 あんたRPが100倍だから100倍強いなんて勘違いしてないでしょうね?」

 イズン師匠も人が悪い、俺がこんな風に思う所まで予想済みってことか。

「逃げるわよ! 撤退!」
「え? イズン師匠!」


---


 アブラクサスはフロアから出ると追いかけてくることもなかった。
 イズン師匠の青い扉で街へと戻ってきた。
 カッコつけて良いところ見せようとして逃げ帰るなんて逆にカッコ悪い……。

「アルスを見ての通り、RPがいくら強大でも相手との相性、その時の状況、運、その他様々な条件次第で勝敗は決するわさ。
 もちろん、その様々な条件をクリアーして必ず勝てるようにしないといけないわさ」

 イズン師匠。俺をダシに悪い例ですか……。

「わかりました。反省してまーす」

 反抗期の中学生のような返事をしてしまった。
 ああ、みんなが俺のことを見てバカにして笑っているように見える。

「ふてくされないでちょうだい。アルスにプレゼントあげるわさ」
「プレゼント?」
「アルスだけずるいニャ!」

 ノルが騒ぎ出した。

「はいはい、ノルちゃんにもあげるから」

 イズン師匠はノルをなだめると話を続けた。

「手っ取り早く攻撃力上げるにはどうすればいいかわかる?」
「普通に考えて武器ですかね。俺、未だに素手で戦っていますし」
「そうだわさ。武器。武器には、どれぐらいの威力があるかわかる?」

 どれぐらい? と言われてもよくわからない。
 素手でもけっこうな破壊力あると思うので、今更武器なんてとも思っている。
 武器や鎧を装備するのは異世界っぽくて憧れるが。

「それじゃあ、ナイフで物が切れる理由はわかる?」
「手で押したりするよりも刃物は鋭いからですからね?」
「そうだわさ。通常のナイフでさえその圧力は手で押すよりも1万倍もの違いがあるわさ」
「そ、そんなにですか……」

 70層のアブラクサスがRP6万で俺の100分の1のRPで防御出来た事を考えると1万倍もの差があるのはでかい。
 しかし、それだけ大きな力が武器にかかると言うことは普通の武器じゃあ俺の力に耐えられない気がする。


---


 イズン師匠に連れられて来たのは武器屋の立ち並ぶ場所だった。
 
「さあさあ、みんなこっちだわさ」

 イズン師匠は、武器屋の中でも一段とボロいお店に入っていった。
 これだけ武器屋があるのに、なぜ、こんなボロいお店に……。

「おう。イズンじゃねえか。久しぶりだな」

 ボロい武器屋に入ると巨大な男が店番をしていた。
 トランプのジョーカーのような服装をしていてヒゲを生やしている。

「今日は、私のパーティーのメンバーの武器を調達したいの」

 イズン師匠がそう言うと巨大な男は一瞬驚いたようだった。

「イズン、お前がパーティーとはな。昔のよしみだ。俺が見つくろってやろう」
「あなたが見てくれるなんてね。みんな、こちらはロキ。これでも神の鍛冶屋なんて言われてるのよ」

 さっそくロキが俺達に武器を選んでくれた。

「カッコいいニャ! 切れ味すごそうニャ!」

 ノルは真っ黒なナイフを選んでもらった。
 漆黒の闇よりも深い黒色のナイフは切れ味が凄そうだ。

「ありがとうございます」

 フレイヤは槍を選んでもらった。
 白い槍は神官との相性が良いらしい。

「これは、かたじけない」

 アイラは炎のように赤いナックルを選んでもらった。
 見た目の通り炎系の魔法の威力が更に増すそうだ。

 そして俺には剣だ。
 けっこうカッコいい。
 職業は無職だが、この剣を持っていれば剣士なり勇者なり名乗っても大丈夫じゃないだろうか?

「ロキ、この子にはあなたが打った剣をお願いするわ」

 イズン師匠が俺の剣を取り上げロキに差し出して言った。

「なに? その剣も伝説級のエモノだぜ? 十分だろ?」
「アルスのRPは推定でも600万以上。武器が耐えられないわさ」
「な、なに!? 600万だと? 冗談言うなそんな奴が居るわけないだろ」
「それがここに居るわさ」
「仮にそうだとしても俺は、もう二度と自分で剣を打たないと決めたんだ。他をあたってくれ」
「あなたしか居ないから私もここに来たわさ」

 ロキは頑なに拒否した。何か理由があるんだろうか?
 しかし、俺にはどうしても剣が必要だ。

「ロキさん。何があったか知りませんが、どうしても俺には武器が必要なんです」
「そこまで言うなら俺の出す条件をクリアしてもらおう」
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