無職無双 ~現実世界で無職になって絶望。異世界転生しても無職のままで絶望。だが、無職こそ最強の世界だった無職転生物語~

ユニ

文字の大きさ
18 / 46
第一章 ミズガルズの層

第十八話 70層フロアボスを撃破しよう  ~最強の剣が想像と違った件~

しおりを挟む
 ロキの工房で俺専用の武器を打つことになった。
 俺がRPを素材へ注ぎ込み続け、その素材はロキがハンマーで打って形にしていく。
 まるで刀を打つようだ。
 素材は俺がイメージして生み出した物を使う。
 
 やはり異世界中世と言えば刀だろう。
 俺もエクスカリバーやマサムネなど最高峰の武器の知識だけは豊富だ。
 もちろんゲームで得た知識なのだが。

「おい! 集中しろ! いくぞ!」

 ロキの声で改めて気を引き締める。
 俺がイメージした素材は真っ黒な何かとして具現化した。
 ロキは、その黒い何かにハンマーを振り下ろす。
 俺がイメージした素材を青い光を放ちながら成形してゆく。

「お前、バケモノかよ。」

 突然、ロキが話かけてきた。

「え? 俺がですか?」
「そうだ。今までこれほどRPのある奴の武器を打ったことが無い。
 我もイズンと同じぐらいのRPはあるんだがな。
 世の中は広いものだな」
「俺なんてRPあるだけの無職ですし、まだまだです」


---


 俺の生み出した素材を、ロキはどれぐらい打っただろうか?
 俺のRPも尽きかけている。
 素材は何となく刀の柄の形を帯びてきている。
 刃の部分ではなく握る部分の形が出来ているのは俺のイメージが悪いんだろうか?

「これで仕上げだ!」

 ロキが思いっきりハンマーを持ち上げると、一気に振り下ろした。
 あたりを強烈な青い閃光が包んだ。

「できたぞ。これがお前専用の武器だ」
「こ、これがですか?」

 立派な黒い刀身に似つかわしくない細い刃渡り10センチほどの刀だ。
 刀というよりナイフが近いかもしれない。

「俺のほぼ全てのRPを使ってこれじゃあ、何かやり方悪かったんでしょうか?」
「何を言っているんだ? 俺の生涯最高傑作だ」


---


 およそ二ヶ月ぶりになるだろうか?
 70層フロアボス『アブラクサス』には「懐かしさ」さえ感じる。
 頭部がニワトリ、ムチと盾を持っている。
 緑色の両足は蛇で、何度見ても気持ち悪い。

 前回と違うのは、既にアブラクサスが他の者と戦闘していることだった。
 二ヶ月の間に追いついてきたのかクロダのカンパニーだ。
 ヒムロ、ゴウリキ、ホソカワ達も居る。
 70層でキャンプを張りアブラクサスと戦っている。
 たしかにアブラクサスは攻撃力は低いため長期戦はアリかもしれない。

 そして、もう1つ前回と違うことがある。
 パーティーにロキが同行している。
 俺がこの武器を使う所をぜひとも見たいとのことだった。
 ノル、フレイヤ、アイラの武器についても確認したいらしい。
 購入者の使用を見届けることが職人としての責任らしい。

「ロキさん大きいニャ! 登るニャ!」

 ノルも懐いている。
 猫の高い所に登る習性がうずくのか、ロキの背中に飛びついてる。

「ノルよ。我は大木では無いぞ」

 堅物のロキが困った顔をするのが面白い。
 アイラやフレイヤも堅物で口数の少ないロキに悪いイメージは持っていないようだった。

「さあ。楽しいピクニックの時間は終わりだわさ。全員行くわよ!」

 イズン師匠は、クロダ達が戦う最前線へと足を進めた。

「クロダさん! 交代よ!」

 イズン師匠が最前線に居たクロダへ大きな声で張り上げた。

「イズン殿か。あと少しという所で、おいしい所だけ持っていこうと言うんですか?」
「あなた達ボロボロじゃない? あなたは良くても周りは休みたいみたいよ?」

 イズン師匠が、そう言うとヒムロが助け舟だとばかりに声を発した。

「助かります。もう2週間ほど交代で戦いづめです。クロダさん。お言葉に甘えて休みましょう」

 ヒムロの言葉に周りの150名を越える兵士も全員が安堵しているようだった。

「よかろう。ちょうど休憩する予定だ。全員退避!」

 クロダは周りに押されて悔しそうに指示した。
 イズン師匠はクロダを見送るとさっそく指示してきた。

「この二ヶ月でみんな相当強くなったしRPも上がってるわさ。
 交互にアブラクサスに攻撃を加えて。
 最後はアルス。
 あなたがトドメをさすのよ」
「わかりました!」

 いよいよアブラクサスとの再戦だ。

 イズン師匠によるとそれぞれのRPは以前より大幅に上がっている。
 
 アルス   800万以上
 イズン師匠 54万
 アイラ   18000
 フレイヤ  9800
 ノル    6300
 
「それじゃあ、まず、ノル!
 いきなさい!
 一撃加えたら交代よ」
「はいニャ!」

 ノルは飛び出すと黒いナイフを取り出すとアブラクサスへ特攻をしかけた。
 アブラクサスの盾に一線の傷が入った。
 クロダとカンパニーの連中もアブラクサスの盾にキズが入ったのを初めてみたのか歓声が上がった。

「ノルちゃん上出来よ! 次はフレイヤ!」
「はい!」

 フレイヤは中距離から槍でアブラクサスへ鋭い突きをくり出した。
 アブラクサスの盾の左端を貫通して本体へとダメージを与えた。
 クロダとカンパニーの視線が集中する。驚いているようだ。

「次! アイラ! スイッチ!」
「たあああああああ!」

 フレイヤがアブラクサスから離れるか、離れないか、その瞬間。
 アイラの拳がアブラクサスの盾に炸裂した。
 爆発と共にアブラクサスの盾を持った手が上に跳ね上がった。
 そして次の瞬間、遅れて追加の爆撃がアブラクサスを襲った。
 アイラの新しい武器は炎の魔法がこだまのようにもう一度帰ってくるようだ。
 アブラクサスは怯んで後退した。

「うおおおおおおお」
「行けるぞおおおおお」

 クロダのカンパニーから歓声があがった。

「お前ら! 他のパーティーに勝利を持っていかれていいのか!」

 クロダだけが必死にまわりをいさめる。

「アルス! 今よ!」

 鞘から抜いた刀はナイフのように小さい。
 しかし、やるしかない。

「アルス! 刀身にRPを集中しろ!」

 ロキが俺に向かって叫んだ。

「うおおおおおおお」
「チャンスだ!」

 クロダのパーティーから大歓声があがる。

「ボウズいけえええええ!」

 クロダも興奮のあまり俺に声援を送ってきた。

 ここまでみんなが繋いでくれた連携。
 俺が引くわけにはいかない。
 
「いくぞおおおおおおおおお!」

 刀身にRPが集中する。
 振りかぶった剣は刀身が青い光につつまれた。
 ナイフほどの大きさだった剣は、青い光の刃を持つ長剣に変化した。
 そのまま一気にアブラクサスへ向けて振り下ろす。
 瞬間、剣影にそって盾が両断された。
 そして、アブラクサス本体も綺麗に真っ二つになった。

「アルスよ! それは汝のRPで変化する形の無い武器『レーヴァテイン』である!」

 ロキの叫びが、まるで勝利を宣言するように響いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~

ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。 彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜
ファンタジー
 ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。  だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。  趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?  ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。 ※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!

処理中です...